◆ユーロスペースで4年半ぶりに映画「TRAIL」を見ました。鳥取に行きたい~!
黒尾重明、鳥井信治郎、梶山季之、柳原良平、関保寿、中原誠、向田邦子、色川武大、井伏鱒二‥‥などについてつづった文章をまとめた本。途中、ニュースになった人の話が出てきたりするのがちょっと唐突。収録する文章が足りなかったのだろうか?
ギャラリーセプチマの波田野くんが監督した映画「TRAIL」をユーロスペースで見る。去年、達郎のライブと調布でやっていたキンダーフィルムフェスティバルに行ったけれど、ちゃんとした映画を見るのは漣くんが生まれて初めて。4年半ぶりくらい。
あまりにも久しぶりなんで上映中ずっと集中できるのかなとか、いきなり小難しい内容だったどうしよう、ついていけるのだろうか?なんて実をいうとかなり不安だったのですが、実際は頭を空っぽにして100分間映画の世界に引き込まれっぱなしでした。鳥取の自然とちょっとノスタルジックな街の風景がひたすら美しく、でもそれだけでなくて見る人に「!」や「?」を提示し、見る人、見る度に違う解釈せざる得ないというストーリーの共存がめちゃくちゃよかった。
光と影、生と死、現実と非現実、ギターの音の響きと役者たちの声の生々しさ、叙情的な風景と廃墟や見る人を一瞬不安にさせるような映像・・・など相反する要素があくまでも自然に一つの混じり合い境界線のない世界。
そしてストーリー展開に際しての伏線や暗示が、意図的に各所にちりばめられているので、一回見ただけだとその印象に引っ張られてしまったような気がしてしまってます。セプチマの受付でニコニコしながらビールを売っている波田野くんが実は詐欺師なんじゃないかと思ってしまったりして‥‥。
そんなわけで映画を見たあとで「あのシーンがよかった」とか「あれは私はこう思った」とかいろいろ話したりしてから、また見てみたら違う受け止め方ができて楽しいと思う。でもまぁここで独りよがりな解釈を語っても野暮というもの。というか人それぞれの思いを語り合うことが重要な気がしますしね。
あと見終わってからふと大林宣彦監督の尾道三部作や林海像の濱マイクシリーズを思い出しました。もちろん映画の内容も方法論も町へのアプローチも全然違くて、作品としてはむしろ似ているところはほとんどないんですけどね。
それにしても久しぶりに見る映画が「TRAIL」でよかった。映画館で映画を見てその世界に何時間か浸かるのは、いろいろな意味で気持ちもリセットできていい、ということを改めて思った次第。吉祥寺とかでまた上映されるといいなぁ~