在宅勤務になってからほとんど本を読まなくなってしまったので、今年は月に3冊は本を読むという目標を立ててみた。4冊だと週に1冊読まなくちゃいけないので、週に読書にとれそうな時間を考えるとちょっと難しいし、2冊だと逆に読む間隔があいてしまってけっきょく読まなくなっちゃいそう、ということで3冊。少なくとも週に3日くらいは、お昼休憩で外に行ってコーヒーを飲みながら読書する時間を取りたいと思ってる。

1月に読んだのは、「中央線随筆傑作選」と「喫茶店文学傑作選」、石田千の「箸もてば」、堀江敏幸の「曇天記」の4冊。1週間に1冊読めるじゃん、って思うかもしれませんが、「中央線随筆傑作選」はお正月に一気に読んだので、予定通りの月3冊って感じ。
「中央線随筆傑作選」と「喫茶店文学傑作選」は中央文庫から出ている本で、このほかにも「上京小説傑作選」や「鉄道文学傑作選」、「谷根千文学傑作選」といったアンソロジーも出ている。中央文庫はこういう文庫オリジナルのアンソロジーをわりと出していて、本屋さんに行ったときはなんとなくチェックするようにしている。続けて読むとお腹いっぱいになりそうなので、少し間隔をあけつつほかの本も読んでいきたい。
井伏鱒二や木山捷平、上林暁といった阿佐ヶ谷文士が好きだったので、高円寺~吉祥寺くらいの随筆はわりと読んでいるつもりだったけど、お茶の水や四ツ谷について書かれたものを読むと、そういえば東京~新宿間も中央線だったなぁなどと当たり前のことを思ったりする。路線が長い分場所によってぜんぜん文化が違っていたりするので、読んでる途中で飽きてきたりすることはほとんどない。
最初に中央線全体について書かれた随筆があって、そのあとお茶の水~新宿~荻窪~国立~八王子と西に向かっていく構成になっているので、山口瞳や小島信夫の国立くらいまで読み進めるとようやく終点のほうに近づいてきてるなぁと実感がわいていい。
構成という点では「喫茶店文学傑作選」も夏目漱石の明治から戦前~戦後、現代という流れで収録されているので、高平哲郎や常盤新平までくると現代に近づいてきたなぁという感じなる。さまざまな作家の作品を収録したアンソロジーでもそういう流れがあると読んでいてまた違う楽しみがある気がするかも。DJがかけるレコードの順番みたいなものですかね。
石田千は、一時期からひらがなが多くて読みにくいイメージになっていて、ちょっと敬遠していたのだが、ひさしぶりに読んでみたらそういうこともなかった。まぁ実際ひらがなは多いかもしれない。
特に何が起きるわけではない日常をつづっているのだけれど、こういう日々を過ごしたいと思わせてしまうのが、石田千のエッセイの魅力。料理ができあがるまでの描写が細かに書かれていて、でもそれが単なる手順になっていなくって、できあがる料理を包み込んでいるような雰囲気が読んでいて心地よい。こういう日々を過ごしたいって書いたけど、こういう描写を読んでいると自分には絶対できないと思ってしまう。
堀江敏幸の「曇天記」は、雑誌「東京人」連載されたエッセイをまとめたもの、とのことですが、エッセイというよりも散文、スケッチといった趣。短い文章だけれど、それぞれに独特の世界観があって、でも全体としてばらばらというわけでもなく、統一された空気でまとめられている。フランスの作家の短い文章を重ねていく形の本を思い出して読みたくなったりした。こういう本は寝る前に2、3編ずつ読み進めていくのがいいんだろうなぁっていつも思うが、夜はだいたいお酒が入ってしまうので、寝る前に本を読む気にはなれないのだった。
ところで、年末に年明けに読む本を選んでいたときに、毎日の通勤電車の中で本を読むといったまとまった時間を定期的にとれるわけではないので、どこから読んでもどこでやめてもいいようにアンソロジーを買ったのですが、実際に読んでみた感じでは、どこから読んでもどこでやめてもいいと、つい間が空いてしまうことが判明。
分厚い長編とかは多分読み切れないけど、ある程度長い話で、途中まで読んで次が気になる!って思わせてくれるような本を読んだほうがいい気がした。と言っても今、読もうと思って積んでいる本は随筆ばかりだし、今の自分にとって次が気になる!って思わせてくれる本がどんな本なのかもわかりませんが‥‥。
ちなみにもう一つ、雑記を月に2つくらい書くという目標もあったのですが、それは全然できなかったので1月に読んだ本についてのメモで、今ごまかしてます。次に雑記を書くのは3月か???