◆「マリオ・ジャコメッリ 写真展」&「アーウィン・ブルーメンフェルド 美の秘密」@東京都写真美術館
先週の金曜日は会社の引越しがあって5時に会社を出なくていけなかったので、写真美術館でマリオ・ジャコメッリとアーウィン・ブルーメンフェルドの写真展を見てきました。
マリオ・ジャコメッリは前の展覧会を見そびれてからずっと気になっていた写真家。今回もポスターに使われていた神学校の生徒たちが輪になっている写真が印象的でいつか写真集を買おうと思ってました。
一つのテーマで何枚かの作品で表現するという手法で、かつイタリアの日差しの強さをおもわせるような(まぁ実際に行ったことはありませんが)コントラストの強い写真は、鮮明に強く印象に残ります。神学校の生徒たちを被写体にした先の写真のような叙情的なものだけではなく、貧しい家に生まれ早くに父親を亡くし母親はホスピスで働いていたという生い立ちを反映し、ホスピスの老人たちや農夫、移民などを被写体とした社会的なテーマも扱っています。またシリーズや写真の内容によって現像の方法を大胆に変えているのも興味深かったです。この辺の違いはやはりプリントを見るとだとよく分かりますね。
アーウィン・ブルーメンフェルドの方は、「ハーパース・バザー」や「ヴォーグ」などのファッション誌を中心に活躍した写真家。1930年代の作品や作家自身が選出した名作100点、カラー復元された美しいファッション写真などが展示されています。
カラー復元された作品は、ちょっときれい過ぎるかなというくらい鮮明な色彩になっていて、どことなく違和感がありましたが、モデルのファッションや小物、そして構図などどれも洗練されていて、これらの写真が1940年代から1950年代、戦中から戦後間もない時期に撮られたものかと思うと、なんだかクラクラしてしまいます。
ファッション写真以外にもシュルレアリスムに影響されたと思われるモノクロ写真や抽象的な風景写真なども展示されており、わたしとしてはこれらの写真のほうにひかれました。
一方で、ドイツに生まれユダヤ人迫害の嵐から逃れてオランダ、フランス、アメリカと移り住んだり、徴兵をされたり、収容所に抑留されたり、自分の経営する店が破産したりと、かなり波乱に満ちた人生だったようで、ファッション写真に交じって髑髏なヒトラーの写真なども展示されており、華やかな面だけでも個人的な面だけでもなく、その両方にスポットを当てた展覧会になっていたのがよかったです。