【読書メモ】「わたくしのビートルズ」(小西康陽)

明けましておめでとうございます。今年もカヌー犬ブックスをよろしくお願いします。

927-a年末の12月はずっと小西康陽の「わたくしの二十世紀」を聴きながら「わたくしのビートルズ」を読んでた。ゴールデンウィーク前にパソコンが壊れたので、休み中にのんびりと読もうと思って買った本だったけれど、パソコンがすぐに直ってしまったために読みそびれていた本。なんとなく年中に読んでおいたほうがいいかな、と思って持ち歩いていたけど、思いもよらず夢中になってしまった。

収録されているのは業界の人を主人公にした恋愛もののコント(お笑いのじゃなくて軽妙な、ごく短い話ね)や、毎日のように通っている名画座で見た映画について、そしてもちろん最近のDJでかけているレコードやライナーノーツに収録された文章など、前の2冊と変わらない。でも時代が変わったせいか、好きなレコードやレア盤を読者にすすめるような文章はほとんどないし、そういう構成にもなってなくて、単にこういうレコードを聴いたり映画を見てこう思った、ここがよかった、ということが淡々と書かれているところがいい。そして全体的に歳をとった哀しさが覆っていて、大きな病気になった以後の心境や離婚した奥さんとの子どものことなどもところどころでつづられている。

最近、渋谷系の音楽がよく話題になっているけれど、その渋谷系と呼ばれる音楽が生まれた盛り上がりや喧騒とは関係なく、ピチカートファイヴ、小西康陽の創る音楽は哀しみにあふれていたことや、初期の2枚で見せたようなスタンダードな楽曲だったということに気づいた。それは「わたくしの二十世紀」を聴いているとわかる。発売された当時は、ピチカートファイブの曲を今の心境に合わせてアレンジしなおしただけではないかと思っていたけれど、たくさんの引用で彩られて見えづらかった楽曲をスタンダードな形にとらえなおしたものだったのだと、今さらながら気づく。
そういう意味でもムッシュかまやつがナレーションをしているものの、曲自体は本人が歌っている「ゴンドラの歌」が心に響く。小西康陽、本人もこの「わたくしのビートルズ」で、バード・バカラックについて、歌はうまくはないけど、本人が歌った曲が心に響くと言っているように‥‥

しかしそれぞれの文章を配置する構成はバラエティブックらしいけれど、イラストや写真などがほとんどないので、収録されている文章の量が多いので読みがいがあるというか、もうおなかいっぱい。また10年後に同じような体裁で本を出してほしい。なんかその時の自分の年齢も含めてすごく心に刺さってくるんじゃないかって気がする。でも実際問題10年後には、出版社が同じような体裁の本を作ることができなくなっているんじゃないかとも思ってしまう。これから本ってどうなっちゃうのかなぁ。

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