「我もまた渚を枕」-川本三郎-

■神奈川、千葉、埼玉など首都近郊のなんでもない町のなんでもない道を歩いて、古い町並みを楽しみ、地元の人が通う居酒屋でビールを飲むという一人旅をつづった本。小説や映画の一片と結びつけられ、広がって行くところがおもしろい。町歩きと言ってもその前の普段のインドアでの知識の蓄えと記憶力などが重要で、自分の中の引き出しに何も入っていなければ、風景から引き出せるものも限られてしまうのだなと思う。翻訳者による外国の紀行文がおもしろいのはそんなところにあるんだろう。
いつか実家に帰ったついでに、川本三郎でさえ場所がわかりにくかったと書いてあった抹香町や初音新地に行ってみたい。この本が出たのが2004年なので、それから10年以上達った今ではもっとわかりにくく、町の様子も変わってしまっているのだろうけど。単に小田原は隣の市なんだけど、子どものころから映画を見る時など平塚に出ることが多くて、あまり行ったことがないので、歩いてみたいという気持ちもあります。

-■気かつけば3月もおしまいで。3月は二宮や勝浦、そして札幌と遠出が続いていたので、なかなか新着本や雑記の更新もできないまま、4月に入ってしまいました。札幌は出張だったのですが、空いた時間などで、狸小路とかちょこちょこ歩き回ったりしましたが、事前知識もほとんどないので川本三郎さんのような街歩きにはならず。
しかも最初にアダノンキという古本屋さんの入っているビルのレコード屋さんに入ったら、300円くらいのシングル盤がたくさんあったので、そのままネットで調べつつレコード屋めぐりをしてしままうというあり様。カフェに入ってコーヒーを飲みながらスマートフォンで調べたら8軒くらい見つかったのですが、閉店しているぽかったり、場所が分からなかったりで、結局、催事に出ていたタケチャスレコーズも含めて4軒だけですけどね。どこも歌謡曲のシングル盤の量が多すぎて、時間的にあきらめたのがちょっともったいなかったかも。60年代のポップスやジャズのコーラスもの、イージーリスニングといった感じのものを15枚くらい買ったかな。楽しかったけれど、久しぶりにアナログ盤を買おうとすると、もうなに買っていいのかわからなくなります。特にアナログコレクターというわけではないので、基本的にはヒットした曲もしていない曲も含めて、60年代のポップスで絞ろうとは思ってるんですけど、なかなか。定期的にDJをやるわけではないのでネタ的なものは必要ないし‥‥

■ちなみにアダノンキはお店の中でビールが飲める古本屋さん。ちゃんとカウンターや席もあっていい雰囲気のお店でした。料理本などもたくさんあってちょっと買っちゃおうかと思っちゃったけど、旅先で本を買いだすとかなりかさばるんですよね。ビルの中にはほかにもカフェやギャラリー、雑貨屋などいろいろ入っていて、階段をぐるぐる回りながら上に行ったり下に行ったりしてしまいました。

■いい感じのビルといえば、ミンガスコーヒーの入っているビルも、ミンガスコーヒーのほかにワールドブックカフェやスープカレーのお店、北欧雑貨のピッコリーナ、and ordinaryなどオシャレなお店が入っていて、よかったです。ビル自体はそれほど大きくはないので、いちいち階段で上がったりしつつ、踊り場とか廊下とかを歩くという感じではないんですけどね。ミンガスコーヒーはレコードや雑誌がたくさん置いてあって、スピーカーからジャズっぽいボーカル曲が流れていて、カウンターの席も大きめでゆっくりできました。テラス席もあるみたいなので、晴れた日の朝に朝食を食べに行ったらいいかもしれません。

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-■さて、春になって暖かくなってきたということもあり、4月~5月はイベントに出ます。4月は12日、19日に小金井のクジラ山周辺で行われるはけのおいしい朝市。こちらはいつものはけ市のメンバーに加え、ホットベーグルやアジアンミール、たいやきや ゆい、七曜日‥‥など、たくさんのお店が出るので、桜の花は散ってしまっていると思いますが、クジラ山周辺は大賑わいになりそう。近くの武蔵野公園ではバーベキューもできるので、バーベキューやピクニックのついでにお店を歩き回ってもいいかもしれません。武蔵小金井の駅からちょっと遠いけれど、一日たっぷり遊べると思いますので、春の一日をクジラ山でのんびり過ごしてみてはいかがでしょうか?カヌー犬ブックスでは、今回ちょっと広く場所を使えそうなので、絵本などをゆっくり読めるスペースなども作りたいなと思っています。

 「はけのおいしい朝市 in 武蔵野公園」
 日時:2015年4月12日(日)・19日(日) 両日ともに10:30 – 16:00 雨天中止
 会場:武蔵野公園 くじら山付近 (府中市多磨町2-24-1)
 出店者など詳細はこちらから

「茶の木」-木山捷平-

■担当する編集者(女性)が庭に植えてある茶の木について話したにも関わらず、その近くのツゲの木について、どうやって手に入れたかなどからとくとくと語り出すという「茶の木」や指の怪我を治療するという名目のひとりでの温泉旅行、太宰治の思い出などをつづった随筆集。
特に大きな出来事やオチがあるわけでもない題材だし、なんとなく前にも読んだようなエピソードもあったりするけれど、おもしろくてつい夢中で読んでしまう。講談社文芸文庫でも多く出ているけれど、ちくま文庫あたりで全集を出して欲しい。(昔に出た全集は日本の古本屋で検索したら全8巻で8万くらいでした‥‥)

-■土曜は、小雨の降る中、高円寺から神保町、初台、荻窪、吉祥寺をぶらぶらと歩く。漣くんを幼稚園に送ってそのまま出かけたので、高円寺の古書展に着いたのが10時過ぎ、今までそんなに早く行ったことがなかったので、のんびり見れるかな、なんて甘いこと考えていたのだけれど、いつもより人でいっぱいでした。しかも年齢層がかなり高い。最近は古書展も若い人や女の人なども増えてきてると思っていたのですが、やはり主となる利用者の年齢層は変わっていないのだなぁと実感。本を見る側としてはどちらでも構わないんですけどね。しかし、ここ以外、中央線の週末の朝は遅いので、ほかに行く場所もなく移動するしかないという。やっぱりゆっくり出かけるのがいいね。
でも時間的に、漣くんを幼稚園に送って、そのまま高円寺に行って、戻ってきて幼稚園のお迎えに行くということができるんじゃないかと思った次第。4月になったら試してみようかしらん。

-■神保町ではさぼうるでナポリタンを食べる。さぼうるに入るのも何年振りか。昼時なので当然相席で、窓の外を見たら待っている人が見えたりして、のんびりはできなかったけれど、山盛りのスパゲティに満足。神保町は個人店が多いイメージだったけど、いつのまにか、チェーン店が増えてるし、行くたびに古本屋も1、2店閉店しているような気がします。ディスクユニオンの移転元がはなまるうどんになっていたし‥‥。ちなみにディスクユニオン自体は、道のの向かいに移転してきれいになってます。Jazz TOKYOといい、なんだかディスクユニオンはどんどんきれいに、おしゃれなイメージになっていくな。アナログレコードも流行ってるらしいしね。
あと、新しい古本屋で料理関連の本が充実しているところが増えてますね。お店の中で「こんな本もあるんだなぁ」なんで思いながら、棚の本を見てると、カヌー犬ブックスをこれからどうしていくべきなのか、悩みます。

-■その後、都営新宿線に乗って初台へ。東京オペラシティーギャラリーで3月29日まで開催されている「スイスデザイン」展を見る。江戸時代の後期、スイスとの国交開始の時期に作られた版画や資料から、「観光立国」を進めるにあたってのデザインを重視し推し進めた時代のポスター、そして近年のプロダクトの紹介など、スイスのデザインを俯瞰できる内容となっていました。
個人的には20世紀半ばのスイスのグラフィックデザインの黄金時代のものをもっと見たかったような気がしますが、それはそれでまとめられたものもあるし、見る機会もあると思うので、まぁいいかな、と。
州ごとにデザインされたものや何かの記念で作られたものなどたくさんの万能ナイフが展示してあってちょっと欲しくなってみたり‥‥帰ってきて久しぶりに「構成的ポ スターの研究―バウハウスからスイス派の巨匠へ」をめくってみたり‥‥。最近、デザイン関連の本を買わなくなってしまったので、たまにはリブロとかに行ってデザイン書をいろいろ見てみたよう、などと思っていたら、池袋のリブロが移転とか。う~ん。

「明日の友を数えれば」-常盤新平-

■70歳を超え、ささやかな楽しみとして町を歩き、海外文学だけでなく時代小説など幅広いジャンルの本に親しみ、喫茶店でコーヒーを飲む、そんな日々や、昔に知り合った友だちについての回想がつづられたエッセイ。2012年12月に出た本。亡くなったのが2013年1月22日なので、生前最後の本なのだろうか?古本屋で手に入れた本には亡くなった時の新聞記事が挟まれてました。そういう本をなんで売っちゃったのかな、とも思うけれど、そういうものが本に挟まれていたりするのも古本の楽しみの一つ。
ちなみにわたしが買った本で一番「お!」と思ったのは、ある有名ミュージシャンのカープのクレジットカードの申込書類のコピーが挟まれていた時ですね。住所などはもちろん、クレジットカードなんで年収とかも記載されてました。あれはカード会社の社員とかが勝手にコピーしたんでしょうかねぇ。って、そのコピー捨てた記憶がないけど、どの本だったのか忘れてしまっているので、自分の蔵書を売った際にその本が混ざってたら、またどこかの古本屋で挟まったままで売られてしまうことに‥‥

-■今年は、3月に入ってもまだ寒い。自分の中では、2月の真ん中くらいから暖かい日が時々ありつつ、3月になると、ダッフルとかPコートとかもおしまいという感覚なのだけれど、当分はこの寒さが続きそうで、Pコートが手放せない。早く暖かくなってほしい。気分的にはもう春の気持ちで、先日、泥酔ファンクラブでギターポップ/パワーポップを聴いたせいもあって、頭の中では、Groovy Little Numbersの「Happy Like Yesterday」がリピートされたりしてて、今年はギターポップでも聴いてみようか、なんて思ってる。どうなるか分からないけれど、とりあえずマイスティースとかデタミネーションなどiTunesに入っているスカ~ロックスディ、ダブのアルバムをiPhoneに入れてみた。春になってこの辺の音楽を聴くのも、定番になりつつある。

-■会社の帰りにツイッターを見ていたら、2000年代は1998年から始まったというツイートがあってなんとなく実感。コーネリアスの「ファンタズマ」と小沢健二の「ある光」でおしまい。で、2000年の始まりとしてくるりもやクラムボン、ナンバーガール、スーパーカー、椎名林檎、ドラゴンアッシュなどが出てくる。個人的にはスーパーカーをちょっと聴いたくらいでどれもあまり聴いたことがないので、2000年代の音楽として実感がないけど、なんとなくわかる。
じゃ、何を聴いてたのかと言えば、スカ~スカコア~ダブとエレクトロニカがわたしにとっての2000年代の邦楽、になるのかな、と思う。あと、セカンドロイヤルとかか‥‥。
スカ~スカコア~ダブは、まぁ90年代もスカパラやスカフレイムスもいたし、クラブでのイベントも定期的に開催されていたけれど、1990年代終わりから2000年代にかけてたくさんバンドが出てきたのはなんだったのだろう?エイベックスが、スカパラをはじめこの辺のバンドと契約しまくって、あっさりと手放していったのを思い出したりする。この辺のバンドも気がつけば次々と解散してしまった。しばらくはメンバーのソロを追いかけていたけれど、最近はどんな活動しているのかわからない。新しいバンドが出てきてるのかも不明。毎年、同じバンドの買いそびれたアルバムを買い足していってるという感じなので、もう少し広げていきたい気もする。riddimとかチェックすればいいのだろうか?

■現像に出していた、修理後に撮ったイコンタのフィルムをようやく取りに行けた。心配はしてなかったけれど、実際にちゃんと撮れているのを確認できてうれしい。これから暖かくなって外に出る機会が増えたら、またいろいろ撮りたいと思う。色合いも買ったばかりの頃に近くなっていて、露出やシャッター速度も調整されているよう。基本的にイコンタで撮る写真は露出をかなりオーバーにして、シャッタースピードも遅めにしてるので、全体的に薄い感じの色合いになる。当然、動いているものを撮るとたいていボケてる、もしくはぶれてるのだが‥‥最近は、ちゃんと設定どおりに動いていなかったせいか、思うような色合いにならなくて、だんだんと設定が極端になっていっていたので、ちょっと気をつけつつベースとなる設定を決めなくちぇ。
しかし、吉祥寺のヨドバシカメラは行くたびにフィルムカメラのコーナーが縮小されていって、今では、カウンターとちょっとフィルムが置いてあるくらい。周りはカメラですらなくなってて時計売り場になってるというね。あ~あ

「テクノイズ・マテリアリズム」-佐々木敦-

■佐々木敦はツイッターをフォローしたり、Webでのインタビュー、そしてHeadzのサイトなどはよく見ているけれど、著作を読むのは初めてだったりする。
電子音楽を聴き始めたころ、何から聴いていいのかも、どういう系譜があるのかもぜんぜん分からなくて、Headzのサイトに掲載されていた佐々木敦の電子音楽の歴史についての文章を繰り返し読んでいたのだけれど、いつのまにかページが削除されてしまっていて、ダウンロードしておかなかったことを後悔している。
それほどたくさんの電子音楽を聴いているわけではないけれど、今読んだらその時は分からなかったことがわかるかもしれないし、また違う感想を持つかもしれないと思う。そうやって少しずつ音楽を聴いて、文章などで隙間を補完したり、ちょっと先のことを学んだりしながら、聴き進めていくという過程が好きなのだ。思うように聴き進められないジレンマも含めて。

■この本を本屋さんでちょっとページをめくってたら、それっぽい章があったので、それが掲載されてるのかなと思って購入してみました。でも、記憶ではもっと詳しかったような気がするので、もしかしたらほかの本に掲載されているのかもしれない。全体としては、初期の電子音楽については一部でしかなく、大友良英の変遷やデレク・ベイリーのフリー・インプロヴィゼーション、ジョン・ケージの「4分33秒」などを通じて「音響」について語っていてそれはそれで勉強になったのですが。

■個人的には、何人かで1分とか2分とか時間を決めてそのときに聞こえるものをすべて書き出してみて、お互いに読み上げてみるというサウンドエデュケーションがおもしろそうで、自分でもやってみたいと思った。自分と人とがどんな風に音を聞いているのかという差がどんな感じなるのかドキドキする。それだけでなく定期的に自分一人でもやってみて意識的に音を聞くということをやることによって、音楽の聴き方が変わるかもしれないと思う。
昔、友だちとリード楽器が複数あるインストの曲のメロディを、口ずさんだら、人によって認識しているメロディが違っていたということがあったのを思い出しました。まぁよく言われるベーシストは曲のほかの人よりもベースの音をはっきり聴いている、みたいなことなのでしょうけどね。

■そういえば、佐々木敦といえば、先日大学入試センター試験に著作の文章が引用されたって話題になってましたね。これがきっかけで古本屋で、佐々木敦の本を見かけるようになったら、もっと本を読む機会が増えるんじゃないかと期待してるんだけど、どうかな?。基本的に古本屋でしか本を買わない人間なんで‥‥。

「coyote winter 2015」

■年始に二宮に行くときに持っていく本を買いに年末にリブロ行ったときに、ラッピングしてもらう間に店内をうろうろしていたら、「NEW YORK NEW BEAT GENERATION」という特集のタイトルが目に入って、つい衝動買いしてしまった1冊。
「coyote」でビート・ジェネレーションと言えば、以前、サンフランシスコ特集に掲載されていた松浦弥太郎の手書きの地図を持って、City lightsやAdobe Books、Green Apple Booksなどの古本屋やビート・ジェネレーションにまつわる場所を回ったことを思い出す。
この特集では、直接ビート・ジェネレーションに言及しているわけではなくて、ブルックリンから郊外に移って生活するアーティストなどを紹介している。ジム・ジャームッシュやジョナス・メカスのインタビューもあるけれど、どれも今の視点から現代のビート・ジェネレーション的なものを紹介するという感じで、当時の様子に直接言及するほぼないというところがいい。

-■西東京のスカイツリー、田無タワーの近くにある多摩六都科学館へ行ってきました。「六都」って何?ともってサイトを見てみたら、小平市、東村山市、田無市、保谷市、清瀬市、東久留米市の6市で設立されたことから、らしい(現在は統合により小平市、東村山市、清瀬市、東久留米市、西東京市の5市)。
展示は、チャレンジの部屋、からだの部屋、しくみの部屋、自然の部屋、地球の部屋の5つに分かれていて、ただ展示を見せるのではなく、実際に手を動かしたりして楽しめるようになっているので、子どもでもけっこう楽しめました。大人からするとちょっと意味不明な遊具的なものもあったりするしね。
漣くんが宇宙や恐竜などに興味を持つようになったので、機会があれば博物館に行こうと思っているのですが、博物館に行って困るのは、やっぱり3歳と5歳では興味の対象も違うし、理解度もぜんぜん違うということ。-だいたい、展示に添えてある説明文を漣くんに説明して、それをなんとなく理解した漣くんがいろいろ操作としようとすると、わけが分かってない暁くんが邪魔をして、けっきょく、けんか、というパターン。まぁこれは博物館に限ったことではないけれど‥‥。
プラネタリウムも見ましたが、わたしはほとんど寝てました。で、プログラムによるとは思いますが、こちらはちょっと5歳児には難しかったみたいです。やっぱりちゃんと起きてて、スタッフの解説に対して、その都度、きちんと説明してあげないとだめですね。反省‥‥ちなみに六都科学館のプラネタリウムは、23m以上の大型ドームでは世界初となる高輝度LED光源を採用されていて「最も先進的なプラネタリウム」として世界一に認定されてるらしいですよ。寝てたけど。

「屋根の花」-大佛次郎-

■全集未収録の随筆を、道ばたの草木や京都、奈良などへの旅、幼少の頃のこと、交遊録‥‥などに分類しバランスよく収録した本。1つ目を読み始めてすぐに「これ読んだことがあるな」と思ったら、やはり以前読んだ文芸文庫の「旅の誘い」に収録されていた本でした。タイトル変わってるし買う時は気がつきませんよね。
で、ついでに過去の雑記を読み返してみたら「「屋根の花」はいずれ読み直すことになるんだろうなぁ~。」って書いてありました。日付は2008年の2月18日で、多分、この時、初めて大佛次郎の随筆を読んだんじゃないかと思う。それから7年で4、5冊くらいなので、ぜんぜん進んでない。もっとも小説はまだ読む気がしないので、随筆だけだとどのくらいの冊数があるのかは分かりません。
この本は、ちょっと大きめの函入りで表紙の絵もきれいなので、どちらかと言えば、こちらの単行本を手元に置いておきたいと思ってます。「旅の誘い」も巻末に著作のリストがあるので手放せませんが。

-■先日は、中目黒のデッサンで行われていたswish!の「off the shelf展」に行ってきました。まぁわたしにニットの趣味はないのでミオ犬のリクエスト。ニットの靴下やマフラーなどと一緒にかわいい人形などもあったりしましたが、一番気になったのは、グラスゴーのライブハウスで行われるパステルズとウェイクのライブ告知のポスターだったりして。デザインもよくて、売り物だったらちょっと欲しかった。
ちなみにデッサンは写真集やデザイン関連の本、絵本などが中心の古本屋さん。ミオ犬がswish!を見ている間に写真集などを見ていたら欲しい本がたくさんあって、こういう古本屋さんになるにはどうすればいいんだろう?とか思ってしまったりしてね。

■最近は出店していませんが、デッサンは前は東京蚤の市に出店していました。そのときにお店にいた人の子どもが、実は、そのあと漣くんが入る幼稚園に通っていたという不思議な縁。
その人に教えてもらってアラスカというベジタリアンカフェでお昼ごはんを食べました。野菜のフリッターをメインにした玄米ご飯プレートを食べたのですが、野菜の食感ところものバランスが良くておいしかったです。木のさりげない感じの感じのテーブルや椅子、ぼんやりとゆがんだ視界になるガラス窓など店内の雰囲気もよかったです。

-■中目黒に行くのは何年振りだろう?漣くんが生まれてからは、夜に一回会社の飲み会で行ったくらいなので、少なくとも6年くらいは行ってない。
昔、西郷山公園の近くの会社に勤めていたころにしょっちゅう行っていたオーガニックカフェはとっくになくなって、そのあとに大きなマンションが建ってるし、春に窓際の席に座って桜を眺めていたPACIFIC57も、カプチーノがめちゃくちゃおいしかったマンゴスチンカフェも、わたしがその会社を辞めた後、表参道から移転してきたカフェエイトもなくて、どこに行ったらいいか分からず。
雨も降っていたしとりあえず、カウブックスで本をちょっと見て帰ってきただけだったので、次にいつ中目黒に行けるのかわかりませんが、いつかまたデッサンでいい展示があったら、その時はもう少し川沿いを歩いてみたい。しかしドンキホーテができてたのはびっくりしたなぁ~

「Holiday in」-masacova!-

■特に集中して集めているわけではないけれど、ポラロイド写真の写真集は、今後もう新しいものが出ないと思うので見つけた時に買うようにしている。一応、どんな写真集が出ているのか調べたとこがあるけれど、それほどなかったしね。そういう意味では岡本仁や岡尾美代子の本は雑貨の本というよりもポラロイド写真集として手元にある感じ。今でもインポッシブル・プロジェクトからポラロイドのフィルムが出ているけれど、どのくらいの人が使っているのだろうか。ここ数年でチェキが見直されているように、ポラロイドも見直されてもいいように思うけど、なかなか難しそう。というか、富士フィルムでポラロイドと同じくらいの大きさのチェキを出せばいいのにと思ってる。

■この本は、カリフォルニアやハワイのどこかノスタルジック風景が、ポラロイド特有の柔らかな光の淡い色彩で撮影されている。撮影したmasacova!は、帯の説明には「カメラ日和」の連載や「ポラロイドライフ」でおなじみ、と書かれていたけれど、「カメラ日和」は読んでないし、「ポラロイドライフ」もあまり気にしてなかったので、知らなかったです。ほかに写真集が出ているわけではなさそう。
日本で撮られているポラロイドは、だいたい淡い感じになるのに比べて、タルコフスキーなど海外の写真は、わりと暗めでコントラストがはっきりしているのはなぜだろうか。被写体とか撮影場所とかも異なる気がするし、その辺のポラロイドの文化の違いも興味深い。サンプル数が少ないので、単なるわたしの思い込みかもしれませんが‥‥

-■実を言うと、ikontaを修理に出している間、なんとなく、インポッシブル・プロジェクトのポラロイドフィルムを買ってしまった。でも、けっきょくポラロイドカメラを持って出かける機会もなく修理から戻ってきました。どういう時に持っていって何を取ればいいのかわからないんですよね。税込だと8枚で2500円くらいなので、1枚300円くらいになっちゃうということや、8枚しか撮れないのにあの大きなカメラを持っていくことを考えると、なかなか、ね。そもそも以前のフィルムでも人を撮るとぼやっとしてしまっていたので、子どもを撮るのは、どうかと思うし、どこかに出かけるわけでもないので、風景を撮る機会もないし、近所の風景を撮るのもなんだかなぁという気分になってしまいます。春になって日差しが強くなってきたら公園でピクニックするときとかに持っていってみようかしらん。

■タワーレコードの意見広告「NO MUSIC, NO LIFE?」広告集をまとめた「DOCUMENTARY PHOTO & MESSAGE OF “NO MUSIC, NO LIFE?”」の発売記念で行われた、あらかじめ決められた恋人たちへを見に行ってきた。あらかじめ決められた恋人たちへは、ダブを基調に深いエコーとピアニカで演奏されるちょっと哀愁ただようメロディとハードコアからの影響がうかがえる激しいサウンドがうまくミックスされたインストのバンド。ライブだとその振り幅が大きくダイレクトに伝わってきてかっこよかった。メロディを奏でたり時にはノイズを出すなどパーカッションの人のテルミンの使い方も効果的だし、リズム隊も曲に合わせて重かったり、激しかったりして盛り上げるし、ピアニカもかなり太いはっきりした音で、バックの音に負けてなくて最高でした。

「なんたってドーナツ」-早川茉莉 編-

■ドーナツについて書かれたエッセイを中心にレシピや物語、詩などを収録したありそうでなかったアンソロジー。といってもドーナツだけでは、一冊の本にならなかったということで、堀江敏幸や林望、角野栄子、いしいしんじなど書き下ろしのものも多い。
別のシリーズでのカレーと同様に、最後の清水義範の小説に明示されてるように、ドーナツと言って思い浮かぶものは人それぞれだけれど、誰もがどこかなつかしい気分になる感じが全体に漂っている。それは、カレーやドーナツという食べものの特性なのだろうか?食べものについて書いたものをまとめると自然にそうなってしまうものなのだろうか?あるいは編者がそういう思い入れを持って選んでいるからなのだろうか?まぁドーナツというとなんとなく古き良きアメリカ的な雰囲気もあるしね。いや、それは単にわたしがミスタードーナツに行き過ぎているだけか?

-■1月の初めに修理に出したikontaが戻ってきた。もともと壊れていたフィルムを巻くダイアルもスムーズになったのをはじめ、ところどころ剥げていた外側もきれいになり、ファインダーもちょっと鮮明になってうれしい。11月にフィルムが入っているかと思って巻いたら、動かなくなってしまい、無理やり巻いたりしてだましだまし使っていたのですが、やはりこれを機会に直すことにしてよかった。といっても、試し撮りして現像に出して実際に写真を見るまでは安心できないけど。ということは再来週か‥‥
中古カメラ屋を除いてももうフィルムカメラも少なくなってるし、ikontaなんてなかなか見かけることもなくなってきたので、こういうことがあった時のために、もう一台ikontaを買っておきたい。といいつつ、それだったら二眼レフのカメラが欲しい、とか、それ以前に調子が悪いターンテーブルをちゃんとしたものに買い替えたい、とかいろいろ思ってしまう。物欲の春。というほど、欲しいものがいっぱいあるわけではないけれど(欲しいCD、レコードは常にいっぱいある)。

-■いろいろな音楽を気の向くままに聴いてきたせいで、本当に自分が何が好きで、何を買わなくちゃいけないのか、わからなくなってる。年が明けてからはミニマル・ミュージック(と初期の電子音楽)に夢中。もともとは前にも書いたように、エレクトロニカを聴こうと思っていたのだけど、ついエレクトロニカのルーツってなんだろうなんて考えながらYouTubeでいろいろ聴いているうちにはまってしまった感じ。といっても、ミニマル・ミュージックのほうは、基本のスティーブ・ライヒとかフィリップ・グラス、テリー・ライリーくらいしか聴けてないんですけどね。ミニマル四天王と呼ばれているわりにはラ・モンテ・ヤングのCDが手に入りにくい状態になってしまっているのはなぜだろう?

■ミニマルといえば、一つのフレーズが繰り返されていくというイメージしかなかったのだけど、まぁその繰り返しの快感もありつつ、やはりそれが少しずつずれたり、変わったり、違う楽器に変わったりするところがよい。想像していたよりも、ふくよかな音楽だったというのが正直な感想。もっとストイックな音楽をイメージしてた。エレクトロニカを通過したせいか?人がやることでズレなどが生じるというおもしろさは、PC使って簡単にできてしまう今でこそ注目されるべきなのではないか、とか。
いや、普通に通勤時間や作業中のBGMとしてもいい。でも音に集中せずに流しているといつの間にか変わっていたりして「あれっ?」と思う。なんか、何かをしながら、つけっぱなしにしてビデオを見ていて、ちょっと目を離しているうちに事件が起きてがらりと雰囲気が変わってしまって巻き戻したくなる、感じ?ちょっと違う?かといって、繰り返されるフレーズに集中して聴き続けていると、つい意識が音楽から離れてしまいがちになったりして、難しい。木琴などの楽器で構成された曲は、なんだかガムランを聴いてる気分になったりするしね。

■それから、フィリップ・グラスのピアノ曲を聴いて、初めてマイケル・ナイマンが実験音楽~ミニマルの影響を受けていることに気づいた。なんか、「ピアノ・レッスン」の曲を作曲した人と、「実験音楽―ケージとその後」を書いた人、というのが長い間、いまいち結びつかなかったんですよ。聴けばすぐにわかるのに、そういうちょっとしたことをしないまま、知らないままで放置してしまうのはダメだな、と。

「アンソロジーお弁当。」

■このシリーズを読むのも三冊目。夏の間に読もうと思っていたビール編ははまだ読めていない。さて、お弁当ですが、幸田文が「自分の過去にあるおにぎりの影をたどると、誰しも大抵ちょっとした一代記の材料になるのではないかと思ふ」と書いているのですが、それはお弁当全般に言えるのではないかと思う。「にぎにぎ頂戴とねだった幼い日から学校の運動会遠足、勤め先のグループでのハイキング、若い母として初子に握ってやるおむすび‥‥」とこの文に続くのだ。幸田文の文章はこのアンソロジーを言い当てているような気がします。そういう風に思うと、ここに収録されているものでも、女性が書いた文章のほうがおもしろい。
ちなみに写真は阿部了。この人のことはまったく知らなかったのですが、おやつ(岡本真菜子)、カレーライス(佐内正史)と比べると、個人的には一番好みかもしれません。

-■タワーレコード渋谷店で行われた小島麻由美のレコ発ライブを見てきました。小島麻由美は「愛のポルターガイスト」くらいまではなんとなく聴いていてわりと好きだったのですが、それ以降は全然聴いてなくて、年末に友だちから恵比寿ガーデンホールでのライブのチケットをもらった勢いで、新しいアルバム「路上」を買ったり、年が明けたくらいから昔のアルバムも含めてよく聴いている。「路上」は、バックバンドが今までとは違い、ハッチ、カジヒデキ、塚本功のトリオになったせいか、アップテンポな曲もスローな曲も含めて、勢いがあっていい。ジャズやロックンロール、シャンソン、歌謡曲などの要素のブレンド具合が絶妙。ライブではMCのとぼけた感じと歌ってる時の感じのギャップがよかった。
ガーデンホールでは、Asa-changやDr.kyOnといったメンバーを率いての過去の曲を演奏した一部と、バックのメンバーを入れ替えて新しいアルバムからの曲を中心にした二部とで分かれていて二度おいしいという感じでしたが、タワレコでのライブを見て、やはり「路上」の曲はライブハウス向きだなと思った次第。

-■ウルトラマン・スタンプラリーが首都圏のJRを駅で2月の終わりまで行われていますが、我が家も小さな男の子がいる家庭としてやっぱり盛り上がってしまい、日曜日に西荻から東京までの総武線、東京から浜松町までの山手線を各駅停車し、スタンプを押してきました。改札を出たところにスタンプ台があるのですが、複数改札がある場合は、駅を降りた時にスタンプ台がどこにあるのか分からなかったり、ある駅では電車の最後尾のほうに改札があったのに、次の駅では先頭のほうに改札があったりして、意外と大変でした。予定では、総武線の後、東京駅から山手線を一周するつもりでしたが、時間切れで打ち切り。コンプリートを目指しているわけではないので、まぁいいんじゃないかと。
それにしても、ポケモンのスタンプラリーで夏休みに駅の中を走り回っている子どもたちを見ると、「たいへんだなぁ」と他人事で思っていたのに、自分が回ることになるとはね‥‥

「のれんのぞき」-小堀杏奴-

■生まれ故郷の団子坂から父である森鴎外が眠る三鷹の寺など江戸の気質を感じる老舗、職人をめぐり、その主人の話を聞きつづった本。雑誌「酒」に昭和30年代から40年代にかけて連載されたものをまとめたもので、偶然にも「「酒」と作家たち」に続き、雑誌「酒」、そして佐々木久子関連の本が続いてしまいました。
小堀杏奴は、姉の森茉莉に比べて独特の世界もないし、随筆などを読んでいてもなんだか普通、という印象を受けてしまってますが、こういう風にテーマを持った随筆だと、自分が主人公にならなくていいということもあり、よさが出るような気がしますね。ちなみに父親の森鴎外について書いた本は読んだことがないです。小堀杏奴に限らず、作家の子どもが親について書いた本っていまいち興味がわかないんですよね。親の本を読みこんだりした後に読むとおもしろいのだろうか?

-■何がきっかけだったのか忘れてしまいましたが、去年の10月くらいから我が家では「スターウォーズ」ブームが起きてます。多分、ドラえもんのプラネタリウムと買うと約束した時に、結局品切れで買えず、R2-D2のプラネタリウムを買ったのが直接のきっかけだったと思うのですが、いきなりR2-D2というわけではないと思うので、その前になにか前ふりがあったはず‥‥。
最近では、子どもたちは、何かとグッズなどを欲しがるは、映画のストーリーや登場人物について細かく聞いてくるは、で、「妖怪ウォッチ」や「ウルトラマン」について話している時間よりも圧倒的に長い。多分、わたしの反応がいいというのも大きな理由なんでしょうけどね。

-■実を言うとわたしは今まで映画を見たことがなかったのですが、去年のはらっぱ祭りのフリマで買った「エピソード2/クローンの攻撃」を年末に見て、年が明けてから「エピソード4/新たなる希望」「エピソード5/帝国の逆襲」、3連休には「エピソード3/シスの復讐」を見て、あとは「エピソード1/ファントム・メナス」と「エピソード6/ジェダイの帰還」を残すのみ。今年の年末に「エピソード7/フォースの覚醒」が公開されるにあたって発行されたスターウォーズ新聞まで買って、なんとなく全容が見えてきた感じです。それにしてもお正月に2本続けてみたのですが、約4時間飽きずに見ていたのがすごい。

■でもスターウォーズのグッズって大人向けのものばかりで子ども向けのものって少ないので困ります(値段も高いし、フィギュアも基本的に飾るのが目的のものばかりだしね)。というか、出かけるたびにグッズのあるお店に連れてくようせがまれて見に行っているうちに自分が欲しくなってしまってたりして‥‥。
さて、年末の「エピソード7/フォースの覚醒」までブームは続くのだろうか?