「日本の写真家〈7〉中山岩太」

■中山岩太は、なんとなく昔から写真集を買おうと思いつつも手に入れる機会がなかった写真家。といってもよく知っているわけでもなく有名な「上海からきた女」くらいしか知らない。この写真は高校くらいの時、ジャズを聴き始めたころに、ピート・ハミルが選曲した(してるのかな?わからない)、古いジャズのコンピレーションのジャケットに使われていたのをきっかけに知りました。もともと写真に興味があったわけではないので、レコードジャケットに使われた写真から知った写真家って多い。エリオット・アーウィット(フェアグランド・アトラクション)とか、ロバート・フランク(ローリング・ストーンズの「メイン・ストリートのならず者」)とか、ラルティーグ(誰か忘れた。フランスの)とか‥‥って思い浮かべてみたけど、あんまり思い浮かびませんでした。まぁわたしの写真家知識なんて、ほとんど「スタジオヴォイス」から得たものですよ。

■作品のほうは、ポートレイトや街角で撮影されたスナップ、そして小物などを配置した実験的なものなどが掲載されているのですが、シリーズの中の一冊なのでそれほど掲載点数は多くないし、物足りない。ひと回りしたせいもあるかもしれないけど、実験的な写真にその当時の雰囲気というのかな、最先端の表現を取り入れていく気概みたいなものがあっておもしろいと思う。植田正治の初期の写真にもそういうのありますね。スナップも構図が大胆で余計なものがほとんど入ってこないところなど、ロシアアヴァンジャルド的なものを感じてしまったりします。

-■そういえば6月に銀座で社員大会があって、4時前に解散、だったので、ついでにライカギャラリー東京でやっていたエリオット・アーウィットの写真展「NIPPON」を見てきました。
タイトルにもなっているように、日本の宮島や京都といったいわゆる観光地や東京で撮影されたスナップに近い写真14点が展示されていたのですが、個人的には子どもたちを撮ったスナップに近い写真のほうがエリオット・アーウィットらしくてよかった。1970年代に撮られたものなので、写っている子どもたちはわたしと同じ世代と思われるし、なんとなく自分が子どものころに見た風景に通じるものがあったりしましたね。
外国の写真家が日本を題材に撮った作品はいくつかあるけれど、その作家の作風とちょっと変わってしまった写真が多いような気がしてして、いいと思えるのはあまりないかも。それは単に自分の知っている風景だからなんでしょうかねぇ。その点、マイケル・ケンナは、どこに行っても作風が変わらないので、日本の風景でもあまり気にせずに素直に見れます。

■写真と言えば、先日、朝、漣くんに自分のおもちゃのデジカメを片手に「これって写真撮ったらすぐに見れるし、大きくしたり小さくしたりできるし、カメラっていうよりスマホじゃない?」と力説されました。いや、お父さんのカメラはフィルムだけど、大抵のお父さんの持ってるカメラはすぐに見れますよ、と思うが、説明するのは難しい。「じゃ、お父さんのはカメラじゃないの?」とか言われそう。

「汽車旅の酒」-吉田健一-

■文庫本オリジナルの鉄道紀行エッセイ集。待ち合わせの東京駅で飲み、電車の中で持ち込んだお酒を飲み、飲みきったら駅で買い、金沢をはじめいつも行く土地でおいしいもの食べ、飲むという旅がつづられている。
時には飲みすぎて旅行する間に持っていた、出版社からもらったお金を使い果たし、近くにいる友だちのところまで行ってお金を借りるという事態まで起こる始末。そして、その文章の締めで、やはり旅はお金がないとつまらないとまで言い切ってしまう。読んでいると、いつかそんな旅をしてみたいという気になってしまうけど、もちろんそんなに飲み続けることはできないし、食べ続けることもできません。

-■さて、すでに7月ですが、6月は幼稚園の行事で追われた感じでした。川遊びと幼稚園でやるおまつりという大きなイベントが2つありつつ。おまつりではおとうさんのバンド演奏があって、5月の終わりからその練習のために毎週土曜日に夜の幼稚園に行ったり‥‥まぁバンドの練習は、私は演奏はしないので、自分で何本かビールを持っていって半分飲みに行く感じなんですけどね。
しかし普段子どもの送り迎えの時は、それほど話したりしないお父さんたちと話してみると、共通の友だちがいたりするし、中には同じ小学校を卒業したお父さんもいたり、なんだか不思議な縁を感じます。

-■6月6日は、幼稚園の行事の隙間を縫って、Club Heavenのススキさんの50歳のバースデーパーティに行ってきました(もう1か月も前のことですね‥‥)。今でも時々あってる人から、久しぶりに会う人、そして顔は見たことあったけれど話したことのなかった人までたくさんの人が集まって、ソウマさん、メキシコさんのDJや、ライブで盛り上がりました。
Club Heavenは六本木から吉祥寺に場所を変えたときから、2年くらいは毎月のように行っていたけれど、実はそれ以降は、数えるくらいしか遊びに行っていない。でもなんとなく特別なイメージを持ってしまうのはなぜだろう。当時20代後半だったわたしがそんな感じなのだから、20代なりたてで通った人たちはもっと特別な思いがあるような気がする。そこで知り合ってイベントを始めた人もいっぱいいるしね。そんな人たちが集まった感じで暖かいパーティでした。そしてスズキさんは初めて会った時からもう20年くらいたつのに、あまり変わらない‥‥
そんなわけで、2次会まで出てしまってめずらしく終電で帰りました。

■そんなHeavenで知り合ったトヨシマくんがやっているIn The Pacificが7月で100回目を迎えます。とってもソフトロックナイト~カンフーナイト~クレアハミルなどとイベント名とメンバーを少しずつ変えているので、それらを合わせると200回近くなるんじゃないでしょうか。
100回記念はいつもの第三水曜ではなく、7月18日の土曜日に行われます。わたしもゲストでちょこっと回させていただきます。ほかのゲストはアンダーフラワーレーベルの田中さん、音楽ライターの油納さん、あぁそんな人たちにゲストで交ざっていいんでしょうかねぇ~スズキさんのバースデーパーティでもライブをしたLinustateのライブもあります。三連休の初日なので思いっきり騒いで飲みたいですね。わたしもいつもはイージーリスニングとかコーラスものとかライブラリなどをかけていますが、今回はちょっとだけ盛り上がる曲をかける予定です。いや、そんなに盛り上がる曲持ってないんで、当社比でほんのちょっと、って感じですが‥‥DJはマニアックな人ばかりですが、かける曲もイベントの雰囲気もわりと敷居が低いというか、のんびりした雰囲気なのでよかったら遊びに来てくださいねー

 『In The Pacific 100回記念』
  2015. 7. 18[sat]at DJ Bar Edge End(http://www.edgeend.com/)
  18:00~23:00 1000yen w/1drink

 LIVE:
  Linustate
 Guest DJ:
  田中謙次(Under Flower Label)
  油納将志
  Canoe-ken(Canoe-Ken Books)
 DJs:
  toyopee(fabulous parade)
  如月タクミ(Erica)
  Bucchi(sloppy joe)
  ERIK(Radio High!)
  Axelson

「BE A GOOD NEIGHBOR ぼくの鹿児島案内」-岡本仁-

■2008年の夏から2年で10回を数えるという鹿児島滞在で出会ったものなどについてつづった本。基本的には東京出会ったものについてポラロイドの写真とともにつづられるという「今日の買い物。」と変わらない。取り上げられているものやお店の雰囲気というか傾向もそんなに変わらないのではないかと思ったりするけれど、鹿児島に行ったこともないしそれはわからない。
そして「今日の買い物。」を読んでその中で紹介されているものを、東京で探すわけではないわたしは、もし鹿児島に行ったとしても、ここに載っているようなお店には行かないんだろうな、と思う。もしかしたら本を片手に嬉々としてまわっちゃうのかもしれないけど‥‥いや、車で遠くまで移動してるみたいなので、現実的に短期間の旅行で回るのはむずかしそう。

-■ところでもう何年もブログを見ていないけれど、岡本仁はいつまでポラロイドを使っていたのかな。ポラロイドの替わりに6×6のカメラを買おうと恵比寿の中古カメラ屋さんに行ったりしていた記憶もありつつ、最終的にはiPhoneのカメラでいいや、ってことになったような気がする。そういえばそれに影響されてikontaを買ったので、2010年くらいまではポラロイドだったということか。

■前回のおニャン子&1985年特集に続いて、その翌週はレアグルーヴの新世界、というアニソンのイベント、そして昭和サイケ歌謡大全と歌謡曲のイベントに続けて行ったせいで、なんとなく自分の中でも歌謡曲ブームになっています。といっても、CD買うついでにちょっとシングルを買うくらいでですけど。あとは前から持っていたシングルを聴きかえしたりしてる程度。歌謡曲のシングル盤をそんなに持っているわけではないので、100~300円くらいのセールの箱をチェックするだけでもけっこう楽しめます。ハードオフとかに行ってがっつりレコードをチェックしたい気もするけれど、歩いて3分のところにあるハードオフさえも行ける暇はなし、ですね。まぁものすごく行きたいわけでもないんですけどね。

-■また歌謡曲を聴きかえして思うのは、結局のところ自分は60年代のポップスやオールディーズをベースにした歌謡曲が好きたのだなということですね。端的に言っちゃうと、大滝詠一的なもの、ってことになっちゃうんですけどね。あと、杉真理とか。恥ずかしいので具体的に歌手の名前や曲名を出しませんけど。そう考えると、今までなんとなく聴かないままでいたザ・グッバイも聴いてみるべきなのかなと思ったりもする。
ただ歌謡曲を聴き続けると自分の中の線引きがずれる、ってのがありますね。自分の中では歌謡曲ってフェイクのおもしろさなんですよ。なので、直接的な引用あるなしに限らず洋楽がベースになっているものが好きだし、その解釈の仕方におもしろみを感じているので、聴き続けるとフェイクのフェイク、フェイクのフェイクのフェイク‥‥とエスカレーションしてしまって、「これってほんとにいいの?」と自問自答してしまう瞬間が訪れてしまうのです。そこを思いっきりエスカレーションすると、新しい価値観が生まれたりするんでしょうか。まぁ自分は性格的にそこまで行く前に気が変わって、ほかの音楽聴いてるんでしょうけど。

「文士の風貌」-井伏鱒二-

■1991年没後すぐに刊行された全集の月報や追悼文などをまとめた本。ほかの随筆でよく登場するする親しかった作家もいるし、会ったことのない、もしくは1回だけパーティ会場などで見た、というような作家も出てくる。前者はもちろん、後者に対しても、わずかな接点をたどりよせるように律儀に書いていて、それはそれで興味深かったりすのは、井伏鱒二の観察眼の鋭さと、それを伝える文章の巧みさなんだと思う。もっとも、時折、もっと適任がいるはずなのに、編集者はなんでこの原稿を井伏鱒二に頼んでいるのだろう?という疑問も浮かんでしまう事実だけど。まぁ1980年代後半にもなると、井伏鱒二しか当時を知らないということがあったのかもしれない。

■週末は泥酔ファンクラブへ。ファブリカが閉店してしまうようで、ファブリカで行われるのは今回が最後、そしてなぜかファブリカでの泥酔ファンクラブ最後のテーマは、「1985年&おニャン子クラブ結成30周年記念ナイト」。どういうイベントなんだっていう‥‥。しかもゲストDJは「FABULOUS PARADE」や「Mods Mayday」など、60’sのイベントでクールにレア盤をスピンしているmorrieさん!いや、初めてmorrieさんDJを聞いたのがいつだったかもう思い出せないけど、多分、もう15年くらい経つと思うんだけど、おニャン子クラブの曲(実際は河合その子)をかけるmorrieさんを見ることがあるとは!しかも胸には当時の河合その子のメンバーズカードをつけて、終始笑顔でレコードをかけるmorrieさん。いやー泥酔ファンクラブすごいわ。泥酔ファンクラブでしか見れないですよー

-■個人的には、「夕焼けニャンニャン」が始まった1985年は、すでに高校生だったし、最初の頃は部活もしていたので、当然、まっすぐ家に帰って見れるわけもなく、一回も見たことがない。思い返してみると、高校一年の夏休みに学校でキャンプに行ったときに、女子が「セーラ-服を脱がさないで」を出し物でやって、その時初めて「夕焼けニャンニャン」という番組を知ったくらい。おニャン子クラブも含めて各ユニット、ソロの曲もほとんど知らないです。渡辺満理奈でさえちゃんと聴いたのが外間隆がプロデュースした「虹の少年」だったりする。なので、たくさんの人でごったがえすファブリカの店内で、イントロが流れただけで盛り上がるメンバーにはまったくついていけず。しばらく聴いてサビ入ったところで、なんとなくわかる曲がちょっと、という感じでしたが、なんとなくつられて気分が盛り上がってしまう。ほかのアイドルの曲も含めて当時から後藤次利のアレンジがいまいち好きになれなかったのだけれど、今聴くとまぁまぁ聴けるような気もするし、単に盛り上がって、冷静に判断できなくなってるだけ、という気もするという状況でした。

■でもよく考えたら、おニャン子クラブが活動してたのって3年くらいなわけで、共有できる人ってほんと限られていて、今でいうとわたしくらいが上限でその下の世代5年、6年くらいですよね。で、まぁ来ていたお客さんもそのくらいの歳で、だから盛り上がるんだろうけど、その下の世代の人も巻き込んで盛り上げられるというのは、やはり選曲がうまいんだろうな、と思う。もちろんヒット曲が中心なのですが、そのあいだに今でも聴けるような音の曲をうまくまぜてて、知らない人でも聴きどころ、盛り上げどころをうまく作ってる。いや、何度も言ってますが、おニャン子クラブ関連の曲をちゃんと聴くのは初めてなんで、全部ヒット曲だったのかもしれませんが‥‥
そんな盛り上がりを見せていたファブリカ最後の泥酔ファンクラブでしたが、漣くんの体調があまりよくないこともあって、早めに帰らせていただきました。皆さまお疲れさまでした。

■って、この話題でこんなに書くつもりはなかったのだった‥‥

「つやつや、ごはん」

■食べものに関するアンソロジーは、少し食傷気味なんて言いつつ、続けて「ごはん」の本を読む。「ごはん」と言ってももちろん食事のことではなく「お米」のこと。こちらも内田百けんや魯山人から田中小実昌、池波正太郎、そして堀井和子や枝元なほみまで、新旧取り混ぜた文章が収録されている。テーマがごはん(お米)なんでバリエーションがあまりなくなってしまうのを、新旧取り混ぜたセレクションで補っているといった感じでしょうか。
そしてこうやって並べてみると、どの時代の人でも「お米」に対してそれぞれにこだわりもっているのが、日本人たる所以だなぁと思う。これがパンだったら趣が変わるような気がしますしね(そもそもパンはいろんな種類があるので、バリエーションは増えるんでしょうけど)。

■先週は中野にあるブライト・ブラウンというお店に、Bloodest Saxophoneの甲田伸太郎のサックスを聴きに行ってきました。ブライト・ブラウンはブルースのバンドのライブをやっているbarで、もちろん行くのは初めてだし、ブルースなんてほとんど聴いてないので、場違いな感じだったらどうしよう、などと思っていたけれど、サックスとギター2本という編成でスタンダードからジャイヴまでを交えた選曲、サックス抜きのギター2本のみの演奏もあったりして、ドラムがない分、落ち着いて聴けて、アットホームな雰囲気で楽しかった。ジャズでギター2本の編成ってあんまりない気がするけどいいですね(単にジャズギターが好きなだけです)。甲田伸太郎の丁寧な曲紹介のMCもいい感じでした。

-■こういうところに一人で来てライブを見ながらお酒を飲むなんて、久しぶりのことなので、20歳過ぎの頃、大学帰りに横浜の491ハウスやよいどれ伯爵に一人で行ってたのを、ぼんやりと思い出しました。あの頃は、お金もなかったし、今ほどお酒にも強くなかったし、ほんとビール1、2杯のみで、何時間も粘っていたものです。
そんなことを思い出したのは、甲田伸太郎と中学の頃の話やその頃の友だちの話をしたりしたせいもあるかもしれない。前にも書いたような気がするけど、中学1年の時同じクラスで、同じ名前なので最初の席が前後だったのです。高校は違うし、数年前までバンドをやっていることさえも知らなかったけれど、こうやって年十年ぶりかにあって、昔の話だけじゃなく、音楽の話をできたりすると、自分は楽器の演奏なんてまったくできないけど、音楽が好きで、ずっと聴き続けてきてよかったな、と思う。

■Bloodest Saxophoneは、ジャイブや古いジャズ、リズム&ブルースを演っているバンドで、最近では、ルイ・アームストロング楽団で活躍したシンガー、ジュウェル・ブラウンの共演カヴァー・アルバムを出したり、3月にはエルヴィスのトリビュートアルバムに参加したりしてます。夏にはフジロックやクアトロでジュウェル・ブラウンとのライブもあるそう。本格的なライブにはなかなか行けないけれど、またこういうところでやっているときに遊びに行こうと思ってます。
そういえば、わたしが本を置かせてもらっているシャトー2Fの前の店長がやっているバンドとBloodest Saxophone対バンしててびっくりしたこともありましたね。世の中狭いなー

「ぐつぐつお鍋」

■池波正太郎、獅子文六、久保田万太郎から江國香織、阿川佐和子といった最近の作家までの鍋について書いた作品を集めたアンソロジー。鍋の季節ももうおしまいだな、などと思いつつ慌てて読んだのが3月、そして今は5月という‥‥。
最近、食べものに関するアンソロジーがすごく出版されていてちょっと食傷気味という気もしないでもないです。収録されている人も同じような人が多い気がするしね。でもまぁ一人の作家での食べものに関する随筆を読んでると、正直、途中で飽きてくるときがあるけど、こういうアンソロジーだと、いろいろな視点で書かれているので飽きずに、そして気楽に読めるのがいいですね。しかし、こういう本がたくさん出ているわりにはそのわりにうちの売上のびてないのがちょっと哀しかったりもしますが。

-■週末は東京蚤の市でした。1日目はちょっと雨が降ったりしましたが、だいたいいい天気で、古本街もいつもよりたくさんの本が並べられ、子どもたちが絵本を読んだり、手に取った本をじっと読んでいる人がいたり、たくさんの人で大にぎわいでした。カヌー犬ブックスにもたくさんの人に来ていただき、ありがとうございました!今回はちょっとだけ音楽についての本や安藤鶴夫や池田弥三郎、吉田健一などの函入りの本を持っていったせいか、いつもより男性が多く、ちょっとめずらしい感じになっていました。
ちなみに今回のわたし自身の蚤の市の収穫は森永の木の箱のみ。これは普段は家で自分のおもちゃとか入れつつ、次回からイベント出店の時に使おうと思っています。始まる前などにちょっとまわったときにノベルティのグラスを売っているお店があって気になっていたのですが、買いにに行く暇がなく断念しました。
手紙社の皆さまを含めスタッフの皆さま、これだけ多くのお客さま、そして多くのお店が集まる中で、大きな混乱や事故もなく、ていねいに対応していただきありがとうございました。

「サ・ヴァ、サ・ヴィアン」-ピエール・バルー-

■ピエール・バルーの人生のポイントになった出会いや出来事と、過去に書いた詞の解説がつづられている。
これを読み始めてから頭の中で「サ・ヴァ、サ・ヴィアン」が常になっている状態になってしまい、サラヴァを中心にジャズやボサノヴァテイストのフレンチポップスを聴いてみようかと、ブリジット・フォンテーヌやアンリ・サルバトール、ゲンズブールの初期の作品などをiPhoneに入れてみたけど、気がつけば全然聴いてない。ちゃんと聴こうとすると、この辺のCDは意外とユニオンとかにあるようでないんですよね。秋口あたりになったら、ちゃんと欲しいアルバムのリストでも作ってもう一回聴いてみようかと思ってます。

-■で、最近はといえば、70年代のシンガーソングライターものを聴いてます。ジェームス・テイラー、キャロル・キングから始まって、ケニー・ランキン、ジェシ・コリン・ヤング、ジョニ・ミッチェル、ローラ・ニーロとか、もうクラッシックと呼べるものばかり。自分のCDの買い方が、その時の気分でかなり変わるし、ほとんどの場合、中古屋でしか買わないから、持ってるCDのラインナップに網羅性が全然ないのです。
なので、70年代のシンガーソングライターだけではなく、気に入ってるミュージシャンでさえ、ディスコグラフィがきちんと揃ってないので、ちゃんと揃えていきたいな、と思う。レアなものとか全然知らないミュージシャンのアルバムで一曲いい曲があればOK!という買い方はもういいや、という感じかも。いや、逆にレコードはよりニッチなところに足を突っ込んでいる気もしないでもないですが。
この辺のミュージシャンはアルバムによっていい悪いの差がそれほどなくて安心して聴けるのがいい。基本的には、ギターやピアノの弾き語りのみで成立するような曲に隠し味程度に大きくその時の流行のサウンドが取り入れられていて、アルバムごとでぜんぜん違うサウンドになっちゃったりすることもあまりないですしね。
春の暖かなお休みの日に、ちょっと遅く起きて、朝ごはんを食べたりしながら聴いていると、幸せな気分になれます(歌詞は置いといてね)。実際は、子どもたちに無理やり起こされて、大騒ぎされている中であわてて朝ごはんを食べてるという日々ですが‥‥

-■4月は、府中公園でちょっと花見をして、2週連続で武蔵野公園のはけのおいしい朝市に出て、小金井公園の子どもフェスティバルに行って、ゴールデンウィーク前には井の頭公園に行ってボートに乗るという公園三昧でした。ようやく暖かくなってきたし公園で遊ぶのにちょうどいい季節。
そういえば3年前のゴールデンウィーク前くらいにもミオ犬の健康診断のため会社を休んだことがあって、そのときも井の頭動物園にいってから、そのあとボートに乗って、お昼ごはんはいせやで、おやつにドナテロウズでアイスを食べたという思い出があります。3年前とわかるのは、いせやの座敷で暁くんにミルクを飲ませていたのとから。自分は歳を取って3年前も4年前もそう変わらなくて違いが分からなくなってますが、子どもがどうだったかで、なんとなく違いが分かるという。いいんだか、悪いんだか‥‥
その頃は、いせやはまだ改修前だったしドナテロウズもまだあったんですよねぇ~ほんとここ数年で吉祥寺はどんどん変わっていくな、と。そしてさすがに今のいせやに0歳児と3歳児をつれて入って、上の子はシュウマイとごはん、自分は焼き鳥、ビール、下の子にミルクあげるというのは躊躇しちゃいますよね~。

-■ちなみにお昼ごはんは、ペパーミントカフェでガイガバオと焼きそばのランチを3人で食べました。ちょうど奥の座敷の席も空いていて、まぁまぁゆっくりできました。子どもたちは辛いものがダメなので、あとから調味料で辛さを調整できるのはいいです。
ペパーミントカフェに来るのは、友だちが結婚した時にここでプチ・サプライズ・パーティをやった時以来かな、と思って、ちょっと「カヌー犬ブックス ペパーミントカフェ」で検索したら、2009年3月3日の雑記が出てきた。長年、雑記を書き続けてると便利というかなんというか。
ということは、漣くんが生まれる1か月前、そういえば、そのあと喫茶店に寄ってみんなでケーキ食べて、何枚もコーヒーチケットみたいのもらったのだけど、子どもが生まれたらこんな喫茶店には当分これないからって、吉祥寺に一番近くに住んでいる人にみんなあげたことなど、いろいろ思い出してくるから不思議。子どもたちが中学生くらいになるまでそうやって記憶を結び付けていくんだろうなぁ。

「大滝詠一 Talks About Niagara」

■ナイアガラ・レーベルの各CDが再発されたタイミングなどで、「レコード・コレクター」誌で行われたインタヴューと、70年代にビーチ・ボーイズやフォー・シーズンズ、フィル・スペクターなどについて執筆した文章を収録した本。3月には、同じく「レコード・コレクター」に掲載された、インタビュー以外の記事をまとめた「大滝詠一 スクラップ・ブック」も出てます。個人的には、白夜書房から出た「大瀧詠一Writing & Talking」が読みたいけれど、5000円近くするんですよね~。今年の3月は「NIAGARA CD BOOK II」も出たし、ナイアガラ関連のものをコンプリートしようとしたら破産しそう~(もちろんしませんが)ちなみにこの本も、出てから4年くらい経ち、ようやく買ってみたら、去年、コンプリートエディションが出てたことに気づくという‥‥。
しかし大滝詠一ほど自ら自分の作品について語ったミュージシャンは、海外を含めてもいないんじゃないだろうか?そういう裏話や影響を受けた音楽も含めて、ナイアガラなのだなぁとつくづく思う。そしてナイアガラというのは、すべての作品を線でつなげた一人のミュージシャンのドキュメンタリーだなぁ、とも。いや、線だけではなく、時に面となり、時に立体となるので、より複雑になるわけなんですが‥‥

■2週にわたって行われたはけのおいしい朝市も無事終了しました。先週は途中雨が降ってきてしまい、どうなるかと思いましたが、小雨ですみ最後まで開催できてよかったです。2日ともたくさんの人に来ていただきありがとうございました。雨が降ったせいでちょっと余裕もできて、ほかのお店をのぞいたり、近くでバーベキューをしていた幼稚園のお父さんの所に行ってみたり、少しだけですが、お客さんとして楽しめたのもよかったです。
しかし子ども連れの人が多かったせいか絵本がかなり売れて、もう絵本屋さんになっちゃおうかと思ったくらいでした。あとやっぱりネットで本を売ってる時と実際にイベントで売る時の違いを改めて感じたりして、イベント出店用の在庫をある程度、キープしておく必要があるなぁとか、毎回反省を繰り返しています。なかなか思うように改善できないのが悔しいのですが、少しずつでも改善できたらいいなと思っています。
それにしても1日目は土曜まで雨が降っていてどうなることかと思っていたのに、日曜はまぁまぁいい天気で、2日目は木曜くらいからいい天気が続き、天気予報も日曜まで晴れだったのに、当日になったら崩れてしまうという‥‥ほんとに今年の春は天気が読めないですねぇ~

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-■そしてゴールデンウィークが終わる5月9日と10日には、東京蚤の市に出店させていただきます。気がつけばもう7回目。毎回、出店するお店もお客さんも増えて大きなイベントになっていっていますが、今回はどうなるのでしょうか。前回に引き続き東京北欧市も開催されますし、Water Water Camelやカジヒデキ、ザッハトルテなどのライブもあるし今から楽しみです。今回の反省を活かすにはちょっと準備期間が短いですけど、がんばりますので、よろしくお願いしますー!

 第7回東京蚤の市概要
 日程:2015年5月9日(土)、10日(日)
 時間:9日(土)10:00~19:00/10日(日) 9:00~16:00
 開催場所:東京オーヴァル京王閣
 東京都調布市多摩川4-31-1
 入場料:500円(小学生までは無料)

「僕らのヒットパレード」-片岡義男、小西康陽-

■「芸術新潮」に連載されていたというリレー連載を中心に、二人による対談などを収録した本。発売されることを知った時から読まなくちゃと思いつつも、なかなか買えないでいた一冊。いや、世の中はなかなか買えないものばかりなのです。ちなみに「11のとても悲しい歌」の買えてないまま、4年が過ぎてしまった。発売した時にジャケットの雰囲気から冬になったら買おうと思っていたのだけれど、気がつくと冬が過ぎて、毎年、春くらいになると思いだし、今年の冬こそはと思って、そのまま過ぎてしまう。聴いたら今まで聴かなかったことを後悔するのかもしれないし、このまま聴けないままに時間ばかりが過ぎてしまうのかもしれない。

■この二人のレコードに関する本がおもしろくないわけがないのだけれど、どこか遠慮がちな雰囲気がただよっているような気がします。同じレコード好きといっても生まれた年や育った環境の違いから、二人の間で音楽のとらえ方が違うところがあったりするのがおもしろい。まぁあたりまえと言えばあたりまえですが。で、当然ながらその辺はあまり深堀されてないので、もっと親しくなってもらって続編が出たらなぁと思う。あと、もう少しジャケット写真のページが欲しいかも。

■さて、はけのおいしい朝市の一日目が終了しました。たくさんの人に遊びに来ていただき、またカヌー犬ブックスのブースにも寄っていただきありがとうございました!
今回は、武蔵野公園という屋根のまったくないロケーションということもあり、前日まで雨が降っていたので、かなり天気と地面の状態を心配していましたが、当日は晴れ、地面も水はけがよいらしく、ぬかるみになることもなく、無事開催されてよかったです。

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わたしはずっとお店に立っていたのですが、本越しにくじら山方面を見ていると、近所の人が多いせいか、くじら山周辺の様子がわかっているようで、皆さん、レジャーシートや小さなテント、遊び道具などをたくさん持ってきて、のんびりしたり家族で遊んでいたりして楽しそうでした。来週はちょっと時間を作って歩き回ったりしたいですね。
ちなみに来週は、持っていく本のほとんどを入れ替えて、先週とはちょっと違う雰囲気のお店にするつもりです。って、すみません、うそです。本を入れ替えても雰囲気はほとんど変わらないかと思います。天気予報では、日曜は天気もよく、気温も20度を超えるようです。予報通り晴れたら、先週は地面の状態があまりよくなかったせいであきらめた絵本や児童書をゆっくり読めるスペースを作りたいと思ってます。

「泡/裸木」-川崎長太郎-

■前回の川本三郎の本で抹香町が出てきたのでなんとなく川崎長太郎の本を読んでみる。といっても、舞台となっているのは本に出てきた抹香町とはまた違う宮小路。私小説なので生家の海岸に近い物置小屋に住み、ちょっとお金が入ると宮小路に行き、そこでの芸妓とのやり取りが描写される。
ただこの作品が、ほかの川崎長太郎の作品と少し異なるのは、一人の芸妓を挟んで、小津安二郎をモデルとした映画監督との三角関係(?)の様子が川崎長太郎の目を通じて語られているところ。まぁ三角関係というか、小津安二郎が芸妓の気持ちを受け止めないことをいいことに、川崎長太郎が勝手に思いを寄せているだけのような気もしないでもない。小津安二郎をどことなく冷たい男として描いているのもフィルターがかかっているかなとも思うので、解説にあるように「川崎長太郎の一連の『小津もの』は、研究者にとって第一級の研究資料」と言ってしまうのはどうなのだろうか?

-■3月になって余裕ができたこともあって、乃木坂にあるTOTOギャラリー・間でやっていた「TANGE BY TANGE 1949-1959/丹下健三が見た丹下健三」を見てきました。この展覧会では、1952年の「広島平和会館原爆記念陳列館」のプロジェクト開始から1958年の「香川県庁舎」完成までの10年間に手がけた建築について、それらの建物を丹下健三自らが撮影したコンタクトシートが展示されていました。わたしはあまり建築について詳しくはないので、建物をこういう構図で撮るのか、といった視点ぐらいでしか見れませんでしたが、詳しい人にとっては建築途中のものがあったり、赤線でトリミングの指示が引かれていたりしてもっと興味深く見れたのではと思います。
しかも70点以上のコンタクトシートが展示され、ギャラリー自体も2つのフロアに分かれていて、コンタクトシートの写真を一つ一つ見ていたら、かなり時間がかかってしまって、昼休みにちょっと見るという感じではなかったです。

-■続けて、タカイシイギャラリーで5月2日までやっているやっているエルスケン写真展の「セーヌ左岸の恋」へ。タカイシイギャラリーはしょっちゅういている気がしますね。この展覧会では、、1956年に発表された写真集「セーヌ左岸の恋」からの作品15点が展示されています。正直に言って、写真集などでも見ているものが多いし、おっ!という驚きなどはないけれど、ちゃんとしたプリントで見るとコントラストがより際立って見えたり、いろいろ発見することがありますね。

■ところで、このエルスケンをはじめ、アジェ、ロベール・ドアノー、ブラッサイ、イジスなど、パリの街並みやそこで暮らす人びとを被写体にした写真家は多いけれど、ロンドンを同じような形で撮った写真家があまりいないのはなんででなんだろう、なんてことを、この写真展を見ながら思ってしまいました。パリに比べれば、ロンドンの街の被写体としての魅力は低いのかもしれないけれど、それでももっと撮っていてもいいのではないかと思う。
そもそもイギリス出身で有名な写真家もあまりいないですね。写真自体は60年代のファッション写真とか思い浮かぶけれど、写真家としてはあまりフォーカスされてないのが不思議。まぁ写真家だけでなく、画家とか映画監督も多くないような気がするので、お国柄なのだろうか、とかなんとか。