「スキスキ帖」-後藤繁雄-

-■後藤繁雄の本は1冊だけポラロイドカメラで撮った写真集「Wasteland guide」を持っているんですが、ちゃんとした文章を読むの初めて。旅先での風景がポラロイド独特の淡い色合いで切り取られている15cm四方の小さな本で、中の文章もふくめてけっこう好きで、ときどき見返したりしているんだけど、なんとなくほかの本に手をのばすきっかけがなかったんですよね。
この本は、石ころから鎌倉の近代美術館、花森安治、京の夏野菜、白州正子、ガス・ヴァン・サント、坂本龍一、ロバート・フランクや長島友里枝といった写真家まで、著者の好き(数奇)なものについて「好きなように好き勝手なことを好き放題好きなだけ」つづられてます。Webでの連載をまとめたものなので、まぁ一貫したテーマがあるわけではないし、日記のようなものって感じですかね。
後藤繁雄については、写真集やアートブックなどを手がけている編集者ということくらいしか知らないのですが、好きになるもの(こと)が広範囲なんだけど、どことなく一本の筋が通っているような視点がいい。偏見なんだろうけど、編集者の書いたものって、なんか信用できないというしこりみたいのが残っちゃう一方ですごく惹かれるものもあって、読んだ後にそのあいだで気持ちが浮いていしまう気がして、実際に読むことはあまりないんですが、ほかの本もチェックしてみます。

■さて、前回の続きで、今年友だちが開店させたお店の3店目は、吉祥寺の井の頭線沿いにあるきっちん大浪。カフェ、バーと続いて定食屋さんです。
お店を始める前から店主が、インスタグラムなどにいろいろなお店のカレーの写真をアップしていたこともあり、カレーがおいしいらしいのですが、わたしはまだ食べたことがありません。子どもたちと3人で行ったので子どもも食べられるもので分けやすいものということで、メンチカツ定食とから揚げ定食を頼んで3人で分けるという感じになっています。揚げ物ばかりですみません~子どもたちもおいしいらしく、かなりがっつき気味でいつもより多く食べるので、そのあと夕ごはんまで何も食べなくても大丈夫なくらいです。わたし的にはメインに添えられたおひたしやサラダ、煮物などがおいしいので、これを肴にビールを飲みたい気持ちでいっぱいです。でもお父さんは次回はお魚とか食べたいです。

-

「アンソロジー ビール」

-■「食」をテーマに編んだアンソロジーシリーズの、カレーライス、お弁当、おやつに続く第4弾。ちょうど夏くらいに出たこともあり、夏の間に読もうと思っていたら夏が終わり、次の夏が来て今年こそはと思いつつも秋になり、3年目にしてようやく読めた感じです。
内田百けんから吉田健一、獅子文六、山口瞳、椎名誠と来て角田光代や平松洋子といった最近の人まで、41人が幅広くピックアップされています。それぞれこだわりがあるのだけれど、ビールなんでカレーライスなどのように凝った作り方を紹介するなんてこともないし、例えばベルギーのなんとかのビールはどうやってこうやってみたいなうんちくを長々と語るものもあまりないし、細かな味の違いを主張したりすることもなく、まぁみなさんけっきょくは「飲めればいい」という趣のものが多い。なので、軽くさらりと読めちゃう。そういう意味では夏が来る度に読んでみるのもいいかも?
ちなみにこのシリーズは、この後、そば、餃子と続いておしまいらしいです。いろいろな切り口でもっと出してほしい。というか、なんとなくですが、10冊、20冊と続いて大きいくくりのテーマじゃなくなってきたくらいになってきたときに、別のおもしろさが出てくるんじゃないかなどと思ったりします。ただ食べものについて書いている人ってそれほど多くないので、シリーズを続けていくと収録される人がかたよっちゃうってこともあるんですけどね。

■東京蚤の市も無事終了しました。初日に雨が降って外で出店しているお店の人は大変そうでしたが、屋内の古本街は雨の影響もあまりなく、でもいつものように八角テントのライブなど外の様子も味わえないまま慌ただしい2日間でした。日曜は天気もよかったこともあって、たくさんの人で京王閣がにぎわっていましたね。カヌー犬ブックスもたくさんの人が寄ってくれて、本を手に取っていただきありがとうございました。
東京蚤の市が終わると冬だなぁと思う。蚤の市だけではなく毎年遊びに行く秋のイベントも勤労感謝の日が過ぎると終わってしまう。そしていろんなところでイルミネーションが輝いたりしてクリスマス~年末に入っていくわけです。

-

■前に友だちが烏山でCafe Lofahというカフェを始めたという話を書きましたが、今年の夏から秋にかけて、ほかの同じくらいの歳の友だちが吉祥寺で定食屋を始めたり、西荻の立ち飲みバーのオーナーになったりと、今年はなぜか周りで飲食店開店が続きました。みんなもともと飲食店をやっていたわけではないので、なんか不思議。どこもそれぞれいい雰囲気のお店なのでオススメ。(烏山は駅から遠いのできっかけがないとなかなか行きづらいんですが)

-■西荻の南口を出て左に入ったところすぐにあるヒュッテは、オーナーが山好きということでアウトドアでもよく使うスキレットをいたメニューやスキットルによるウィスキーのマイボトルキープ、山のかたちの箸置など山をテーマにした山小屋バル。1階は立ち飲みスペース、1階は座って飲むスペースになっています。
メニューは、スキレット料理をはじめ、燻製やサラミ・生ハム・塩鱈といったスペインのタパスなどちょっとしたおつまみといったものが中心なので、どれもおいしいです。がっつり食べたい人はホットサンドなどもありますが、西荻の南口の狭い場所にたくさんの飲み屋が集まっているところなので、近くのお店をはしごするのも楽しいんじゃないかな。
と言いつつ、わたしもお店を知った時は金曜の夜とか会社帰りに頻繁に寄れるかなと思っていたのですが、まだ3回しか行ってないんですけど。

「BLUE BEAT BOP! REISSUED EDITION」-山名昇-

-■今年の夏はレゲエのシングル盤をちょこちょこ買っていたので、それに合わせて改訂された方を読んでみた。情報もかなり増えて厚さも倍くらいになってます。よくあるディスクガイドとは違うワクワクする感じがこの本にはあると思う。まぁ半分以上はわかってないんですけどね。逆に前に読んだ改定前の本で、わかってなくて読み飛ばしていた内容が20年近く経っておもしろく読めたりするのも楽しい。レゲエのシングル盤ブームはいつものわたしのブームのように夏が終わる前に不完全燃焼のまま収束してしまったけど、これがきっかけてこれからも気が向いたときにレコードをチェックする感じになりそうなので、また5年後、10年後に繰り返して読み返すのだろう。

■11月5日、6日は小金井で阿波踊りに次ぐ大きなイベント、はらっぱ祭りでした。今年はめずらしく2日とも天気がよくて、昼間は日が当たるところだったら半袖でもいいくらいでした。1日目はDDFCのメンバーも集まってレコードのまわる飲み会ならぬ、ライブ会場横での飲み会といった趣で、2日目は漣くんの幼稚園時代の友だち家族とのんびり、といった感じで楽しめました。特に1日目は風もなく暖かく、子どもたちも暗くなるまで会場で遊んでいたので、元ダイナマイツの瀬川洋のライブも見れてよかった。上原ユカリのドラムもよかったし、「トンネル天国」や「恋はもうたくさん 」も演って大盛り上がりでした(個人的な気持ちも含めて)。
小さなコンロを持って行ったので、子どもたち用にソーセージを焼いたり、ワインを温めたりしたのですが、これが終わるともう外でバーベキューをしたりごはんを食べたりお酒を飲んだりすることもなくなる季節になるなぁなんて思ったりしました。

-
-■で、今週末は東京蚤の市です!なんと10回目!今回は北欧市だけでなく豆皿市も同時開催されるし、八角テントのライブもカジくんや畠山美由紀といった前回までの人に加え、なつやすみバンドや栗コーダーカルテット、ボノボの蔡忠浩、ビューティフルハミングバードと盛りだくさんでますます盛り上がりそうです。お店のほうも200店舗以上が出店、たしか1回目は120か130店だった記憶があるので10回を経てかなり増えましたね。
毎回、朝一番でビールを買いに行って、一杯だけ飲みながらお店お店をしたいなと思いつつも(車で行っているので終わる頃に飲むわけにはいかないのです)、いつもスタート時にバタバタしてしまい気がついたら、会場がお客さんでいっぱい、という感じになってしまっているので、たまには早めに準備して、開場前の会場を回ったりしたいですね。
カヌー犬ブックスは、今回はあまりジャンルを広げずに、料理随筆やレシピ、雑貨の本を中心に、絵本や児童書を加えた感じで本を持って行こうと思っています。まだ準備してないので途中で気が変わるかもしれませんが‥‥。
皆さま、よろしくお願いします~

「MUSICS」-大友良英-

-■ジャズ、ノイズ、うた、映画音楽‥‥などについて、音楽を聴き始めたころのことからこの本が出た時点での音楽活動にいたるまで、自身の音楽経験や活動をつづった本。何をもって人はノイズと認識するのかといったことや耳のカクテル効果、ミュージシャンがライブの時にステージで何を聴いているかのアンケートなど興味深い話が多く一気に読んでしいました。()
実をいうと大友良英の音楽ってあんまり聴いてなくて、CDも1、2枚しか持っていないけれど、もうちょっと深く聴いてみたくなりました。

■といっても、最近はあんまり音楽を聴いてない。9月に武蔵小金井から中央線で1本で行ける場所に会社が引っ越したせいで、なんとなく通勤時間に音楽を聴くことがなくなってしまってます。朝は武蔵小金井発の電車に乗っているせいでだいたい寝てるし、帰りもわりと新宿で乗ってる人が入れ替わるタイミングで、座席の前の場所に立てるようになったので、なんとなく本を読んだり、座れたりすると居眠りしちゃったりしてる。いや、単に音楽への興味が薄れてるのかもしれない。なんか気が向いたときにちょこっとシングル盤とか買って、夜、時間がある日に、ビール飲みながら5、6枚聴けば満足という感じですかね。それもそれで楽しいんですけどね。

■週末は、烏山にあるCafe Lofahのオープニングパーティに行ってきました。Cafe Lofahは昔からの友だちが最近開店させたお店で、千歳烏山からバスに乗って○近くの住宅街にあります。地図を見たら電車やバスを乗り換えていくよりも、自転車で行っちゃった方が早そうだったので、思い切って子ども二人前と後ろにのせて自転車で行ってみました。まぁ電動自転車なのでこぐのは楽ですよ。
オープニングパーティーではIn The PacificのエリックやパレードのTAROさん、One Plus Oneの原子さんなどのDJやKristian Anttilaや筒井朋哉、wikaなどのライブがあり、だんだんと日が陰っていく夕暮れにおしゃれな音楽を聴きながらビールを飲んだり、カレーを食べたりしつつ、いい雰囲気でした。お店の前にちょっとスペースがあったので、子どもたちは外で遊んだりときどき中に入ってきたりとかなり自由にふるまってましたけどね。自転車で30分くらいということが分かったので、また何かあったら遊びに行きたいです。

-

■と、ここまで書いたのが10月17日で、2週間以上も放置してて、気がついたら家族の文化祭も終わってました。家族の文化祭は前日ちょっと雨が降ったりしてヒヤヒヤしましたが、明けてみればいい天気に恵まれ、たくさんの人に来場していただき大盛況でした。
カヌー犬ブックスのブースは、いつものようにライブが行われる場所の近くで、お店をやりながらライブを見たり、広場に集まってくる子どもたちが絵本を読んだり、お母さん、お父さんに本でもらったりしていい雰囲気だったんじゃないでしょうか。なんかいろんな子がうちのブース近くでうちの子と遊んだり、気がついたら一緒にうちのおやつを食べてたりして、ときどき子だくさんのお店みたいだなーなんて時もありましたが。
ライブも毎回出ているCOINNに加え、ズビズバーのライブもいいテンションで子どもたちを巻き込むような演奏で見ていて楽しかったです。しかし、曲自体はユーモアたっぷりだけど、演奏も歌もうまいなー
-

「林の中の晩餐会」-城夏子-

-■少女小説を書いていたり編集者として働いていた頃から、老人ホームに入ってからの頃までに出会った人々についてつづったエッセイ集。井伏鱒二や里見トン、瀬戸内寂聴、宇野千代と言った作家から竹下夢二、森繁久弥、市井の人々まで、さまざまな人が登場して、こういうつながりがあったのか、などいろいろ発見も多い。この人の若い頃に出した本を読みたいと思うけれど、さすがに少女小説は40代後半のおじさんにはつらいので、随筆集とか出ていないのだろうか?

■10月2日のはけのおいしい朝市も無事終了しました。いい天気に恵まれたくさんの人に来ていただきありがとうございました。個人的には前日行われる予定だった小学校の運動会が日曜に延期になってしまったせいで、はけ市と重なってしまい、なんだか慌ただしい一日でした。小学校での初めての運動会だったのでゆっくり見たかったなーと思う。徒競走も1番だったらしいしね。でもお昼にケーニッヒのホットドッグを食べたり、木を削って鉛筆をつくるワークショップに暁くんと参加したり、そして15年以上前に勤めていた会社の同僚が遊びに来てくれたりして楽しかったです。ものすごく久しぶりに会ったのにぜんぜん変わっていなくって、びっくりでした。

-

-■次回の出店は、11月3日に東小金井駅の高架下で行われる家族の文化祭になります。今回のテーマは「家族の食卓」ということなので、いつもサイトで販売している食の本で家族で楽しめるものや家族で楽しめるレシピなどが掲載されている本などを多めにピックアップして持って行きたいと思います。もちろん絵本や児童書なども持って行きますよー
特にはけ市では、小学校が運動会ということで、小学生が読めるような児童書を持って行かなかったのですが、今回はその辺もある程度そろえますので、小学校のお子さんんいる家族でも楽しめるのではないかと思います。よろしくお願いします~

 【家族の文化祭 家族の食卓】
 開催日:2016年11月3日(木・祝)
 場所:コミュニティステーション東小金井(JR中央線東小金井駅高架下(小金井市梶野町5-10-58))

「William Eggleston’s Guide」-William Eggleston-

-■1976年にMoMAにて開催された初の“カラー”の展覧会の際に出版された図録的な写真集。これは2003年に復刻されたもので、いまではわりと手軽に手に入るエグルストンの入門編といった感じですね。
エグルストンの写真集は「William Eggleston 2 1/4」を持っていて、いつか「Los Alamos」とか「William Eggleston: For Now」といった作品を手に入れようと思っているんですが、最近はいろいろな意味で写真集を買うような余裕がないですね。金額のことを言えば、普段、レコードやCDばかり買ってるくせに、1万円のレコードとかぜんぜん買う気にならないんだけど、1万円の写真集なら買っちゃおうかな、なんて思ってしまうのが不思議。まぁ写真集はそういうものだという刷り込みがあるわけですが‥‥昔、カジヒデキが写真集を買うのは、自分の未来への投資、みたいなことを言っていたけど、この歳になって未来への投資って言うのもどうかってね(そもそも写真集が投資になるようなことは、仕事でもプライベートでも一切していない!)。

-■10月2日に小金井神社で開催されるはけのおいしい朝市に出店します。はけのおいしい朝市に出店するのは1年ぶり、小金井神社での出店は2年ぶり、かな。小金井神社のはけのおいしい朝市は、うちの子どもたちも含め、神社の境内を子どもたちが走り回り、にぎやかな雰囲気で楽しいので、今から楽しみにしています。といっても、来週末なんで、もう準備をし始めなくちゃいけないんですけどね。
基本的には絵本や児童書を中心に、家族で楽しめるようなレシピ本、読書の秋にさらりと読めるような随筆を料理の分野だけでなく幅広く持って行こうと思っています。
9月に入ってからあんまり天気がよくないけれど、当日は晴れるといいなちなみに前日は小学校の運動会なので、10月1日、2日は両方とも晴れてほしいんですけどね。

 「はけのおいしい朝市 vol.84 in 小金井神社
 日時:2016年10月2日(日)9時~16時(雨天決行・荒天中止)
 会場:小金井神社 東京都小金井市中町4-7-2

「ロッパ日記代わり 手当り次第」-古川緑波-

-■「週刊娯楽よみうり」に1958年から1959年にかけて連載したコラムをまとめた本。食べ物や映画や舞台、読んだ本‥‥などについて、日記代わりのようにつづられている。ほめたりときに毒舌をはきつつ短めの文章でテンポよく読めます。
ロッパの食べものについての文章を読んでいると、以前、会社の本部長だった人が「量が質を凌駕する」ということを言っていたのを思い出す。食べる量が普通の人とぜんぜん違う感じなんですよね。おいしいものもまずいものもとにかくたくさん食べて、まずいものはまずいといい、おいしいものはおいしいという、まずいものも食べなくちゃおいしいものはわからないというスタンスがストレートでいい。音楽を聴くにしても本を読むにしても映画を観るにしても、いいものだけに接していることはできないし、体を動かすにしても効率の良いことばかりしていくのは不可能であって、とにかく量をこなすということが大事なんだろうなと思う。って、つい音楽とか本とか趣味の話になってしまい、仕事にまったく活かそうとしていないところがなんですけどね。

■今年の夏は、子どもたちの帰省が短かったこともあり、いろんな所に行った。7月の初めにイイトコ宵の市があり、府中競馬場の花火大会、3週連続のセプチマ、そして8月に入ってからも江戸東京たてもの園の夕涼みから始まり、水木しげるの妖怪展、スカイツリー、NHKのスタジオパーク、勝浦、国立博物館、バーベキュー‥‥など、まぁ基本的に近場ですけど。でもね、なんとなく今年の夏は「夏~」って感じがしなかったなぁと思う。冷夏ってわけでも天気が悪かったわけでもないしなんでだろう?単に歳を取ったせいなのだろうか?そんなわけでなんだかしっくりとこないままこれまた行事やイベントの多い秋に突入です。

-

「ジャケガイノススメ―Beautiful Covers」-土橋一夫、高瀬康一-

-■レコードジャケットがたくさん載っている本を読んでいるのは楽しい。レコードジャケットに添えられている文章が著者の思い入れたっぷりだったりするとさらに楽しい。思わず「ジャケガイ」してしまいそうな美しいジャケットのレコードをオールカラーで掲載したこの本もそんな本。まぁだいたいきれいな女性が写っているジャケットが多く、イージリスニングからオールディーズ、ジャズ、ボサノバなど1970年くらいまでのレコードが紹介されている。サバービアスイートの一面を拡大させた感じと言えるかな。
個人的には、ジャケットの写真もいいけど、アルバムタイトルやアーティスト名(ってこの頃は言わないか)のフォントや配置の仕方にひかれてしまいましたが。最後のコーナーの海外シングル盤のカンパニー・スリーブの写真もいいですね。
適当にページをめくりながらビール片手にレコードを聴いてると時間を忘れる気がします。いや、忘れたい。ふと気がついたら夜中の3時とかになってたい。とはいうものの、この本も10年前に出た本で2014年に改訂版も出ているくらいなわけで、それほどレコードに関する本を買っているわけではないんですけどね。

-■立川の砂川七番にあったギャラリーセプチマが7月いっぱいでクローズしてしまいました。7月の最後は、タイミングが合ったこともあって、3週続けてセプチマに行って、いろいろな人のライブを見たり、それまで話していなかった人と話したりしました。ほんとの最後の最後までいられなかったけれど、最後の日にセプチマに行けてよかった。
「気づいてないかもしれないけど、今かけがえのない時間を過ごしてるんだぜ」というYojikとWandaのギターの人の言葉の通り、セプチマの代わりになるようなどこにも場所はない。でもここで見たり聴いたり遊んだりしたその記憶を胸に秘めつつ、それぞれが何かをしていけば、またどこかで別の素晴らしいことが生まれるんだと思う。そうやって繋いでいくことが大事なんじゃないかな。よく分からないけど。で、じゃ、お前は何するんだ?と言われるとなんにも言えませんが。

■わたしがセプチマを知ったのは2010年11月に行われた「みんな丘へ」というイベントに誘われたのがきっかけでした。「みんな丘へ」は絵の展示や、おいしい食事のお店、鉄の器とコースターを作るワークショップがあり、バックではハタノくんのラジオ局があり、最後にはみんなで楽器を持って演奏するという不思議で、にぎやかで楽しいイベントでした。西東京に引っ越してきて一年くらい経った頃で、セプチマのみんなに出会えたことは、いろいろな意味で大きかったですね。
そのあとはセプチマには一年に数回くらいしか行けなかったけど、子どもたちを連れて気軽に遊びに行けて、ライブやおいしい食べものがあって、時にはバーベキューをしたり‥と、いろいろな企画が湧き出るように開催されてほんとに楽しい場所でした。

■電子音楽を聴きながら庭でジンギスカンをしたことやmomo-seiを初めて見たこと、そのmomo-seiとロッキンエノッキーの演奏をバックに漣くんがスネアを叩いたこと、なつやすみバンドのスティールパンの響き、子どもたちに囲まれたCOINN‥‥など、いろいろな思い出が頭に浮かびます。でもどんなときでも子どもたちは庭を走り回ってるだけでしたが、いつかこの場所があったことを思い出したりしてくれるといいなと思う。

-
■セプチマありがとうー!

「花森安治戯文集1〈逆立ちの世の中〉ほか」-花森安治-

-■昭和29年に刊行された「逆立ちの世の中」と、「暮しの手帖」以外の雑誌・新聞に寄稿した文章を掲載したもの。ファッションやゲージュツ、戦後の世相などについて独特の口調で語っている。最初に花森安治の本を読んだのはいつだったか忘れてしまったけれど、それほど熱心に「暮らしの手帖」を読んでいたわけではなかったので、この絵を描く人がこんな文章を書くんだという感じでちょっと違和感があったけど、最近は慣れてきました。むしろ内容的には辛辣なことを言っているので、この口調によってきつさを緩和しつつ、読む人にストレートに訴えかけてきているような気がします。
こういうことって誰もが思っているけど、普段の生活の中では忘れていて、流されている部分なので、繰り返し心に刻みつつ行動していかないとダメで、そういった意味では「暮しの手帖」という定期的に読まれる雑誌媒体で読まれ、引き継がれていくべきものなのだろうなと思う。こういう分厚い本でドンとまとめられるものではないかもね、なんてことを考えていたら、「逆立ちの世の中」は中公文庫から出てました。

■4月から始まった朝ドラが「暮しの手帖」の大橋鎭子をモデルにしているということで、ミオ犬が毎日録画していたので、めずらしく見てみようかと思っていたのに、気がついたら何週間も溜まってしまい、結局ぜんぜん見ていない。ツイッターとか見ていると、「暮しの手帖」に思い入れがある人ほど、いろいろ言っていて、それほど思い入れがない人は楽しく見ているようだ。わたしの会社の人なんて、「朝ドラを見るのが唯一の楽しみ」と言っていたのに、話していたら花森安治もそもそも「暮しの手帖」さえ知らなかったんでびっくりしました。まぁそういうものなのかもしれないですね。

「食魔 岡本かの子食文学傑作選」-岡本かの子-

-■岡本かの子の食に関する作品を集めたもの。前半は小説、後半は随筆は収録されている。随筆のほうは昭和の初めに一家でヨーロッパを巡った際の体験談が中心で、さまざなま国でのレストランでの様子などがつづられている。本を買った時は随筆で一冊にまとめてほしかったけど作品数が足りなかったのかな、などと、小説のほうはあまり期待していなかったのだけれど、好き嫌いが激しくてやせていく子どもを心配する母親が、子どものために手製の鮨をにぎる「鮨」や、どじょうを食べることについての老人の執念を描いた「家霊」、北大路魯山人をモデルにしたという美食の道に尋常でない執念を燃やす主人公を描いた「食魔」など小説のほうがおもしろかったです。ほかの作品も読んでみたいけど、どんな感じなのだろうか?

-■今年も府中競馬場の花火大会に行ってきました。去年は急に来られない人がいたりして、結局、子どもと3人で見たのですが、今年は5家族くらいとかなりにぎやかな中での花火でした。一緒に行った人が朝、場所取りもしてくれたときは、すでによい場所は取れれていたらしく、木で視界が遮られてしまう場所だったのですが、年々人が多くなるといっても通路となっているところに移動してみるくらいの余裕があるので、夕方くらいから飲んだり食べたりしながら、花火が始まったちょっと移動するという感じ。花火の時間も30分くらいですしね。
府中競馬場の花火大会は、それほど大規模というわけではないけれど、花火が打ちあがる場所が近いので、きれいに見れるし迫力もあるし、なにより会場まで行くときや帰りに行列になったりすることもなくてのんびりした雰囲気がいい。
昼間に地元の人と話していたら、府中競馬場の花火大会は、昔はバブルガム・ブラザーズや高中正義といった人が出て、花火に合わせて演奏していたりしていたらしいです。

■立川のグランデュオに入っていたオリオンパピルスが7月で閉店してしまうらしい。立川に行ったときは必ず寄って、本をチェックしたり、子どもたちに絵本を読んだりしていたので、さみしい。雑貨も本もきちんとしたラインでセレクトされていたし、お店の雰囲気もよかった。駅ビルに入っている書店としてはそれほど広くはないけれど、セレクトショップとしては広めという、子どもたちを連れてざっと本をチェックするにはちょうどいい広さで、しかも平積みにされている本が多くてチェックしやすかったので残念。
グランデュオは前はアメリカンファーマーシーも入っていたのになくなってしまったしなー(その前の中華街の時もわりと好きでした)