「屋根裏プラハ」-田中長徳-

-■何年か前に写真家が書いた本を読もうと思っていた時にリストアップしていた本なのですが、田中長徳さんのことは写真家というよりもライカのコレクターということくらいしか知らない。写真についてもこの本に掲載されているもの以外できちんと見たこともないです。もしかしたら広告の写真とかで知らないうちに見ているのかもしれませんが。
この本は、1970年代から東京とプラハを行き来している著者が、2000年代の出来事から1968年のプラハの春~1989年のビロード革命という2つの節目を軸に、はじめてプラハに行ったときからの出来事を回顧したも。プラハの街を写真撮影する様子やプラハと東京で行われた個展の準備から開催した時の話、プラハでの友人たちとの交流を中心にしつつ、プラハ出身の写真家ヨゼフ・スデクについてといったことがつづられている。どのエピソードもその裏にプラハの春、ビロード革命が潜んでいたり、著者自身の年齢も含めてそこはかとなく暗い影を落としていたりして、そこがなんとなくですがプラハの街のイメージを重なってこのエッセイの魅力にもなっていると思う。
しかしこう言っちゃなんですが、この本自体はおもしろかったけど、まぁ田中長徳の写真集を買おうとかは思わないかも。ヨゼフ・スデクの写真集は欲しいけどね(amazonを見たらマーケットプレイスで3万くらいだった‥‥むむ)。

■土曜日はイイトコ宵の市でした。ポータブルプレーヤーのセッティングできれいに音が出ないなどちょこちょことトラブルもありましたが、5時にスタートしてからはのんびりとレコードを回しつつビールも飲めてわたし的にはかなり楽しいイベントでした。もうレコードかけるのとビール飲むので古本屋のことなんて半分忘れてました。ときおりかけてるレコードの写真を撮る人がいたり、体を揺らしてる人がいたりしたので、来てくれた人も楽しんでくれてたらいいなと思う。そしてテンチョには聞いてないけど、ビールの売上げが伸びてくれていたらうれしい。
わたしは普段クラブではかけられないジャズ系のものから60年代ポップス、夏っぽい歌謡曲、そして最近よく買っているレゲエをバラバラとかけてみました。もう少しジャンルを絞ったほうがよかったかなとも思うけど、どんな音楽で喜んでもらえるかまったく分からなかったので仕方ない。しかもけっこう曲の途中でカットアウト、インしちゃったので、想定していたよりもかなりの枚数をかけました。
そのあとは、一緒にDJとしたマチャさんやレコード屋のハイフェデリティさん、幼稚園のお父さん友だちと、1階の居酒屋で12時過ぎまで飲んでました。帰りはふらふらでしたが、飲んだ後、自転車で帰れるのは楽だなー

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■武蔵小金井でどこかお店を借りてイベントをやったりするのは、ちょっと難しいかな、と思ってて、そもそもそんなお店もないんですが、今回、イイトコ市でBGM係をやってみて、こういう風にポータブルプレーヤーで出張する感じでBGM係をするのも、いつものイベントの雰囲気と変わっておもしろいなと思いましたね。ということで、小金井近辺でイベントをやっている方、もしよろしければ声をかけていただければと。よろしくお願いしますー!

「随筆東京」-奥野信太郎-

-■幼少の頃は浅草の叔母の家に預けられ、青年期には永井荷風に心酔して、荷風が教授を務めていた慶應義塾大学に入ったという(入学時すでに荷風は職を辞していたらしい)東京の下町も山の手も知っている著者が、幼少の頃から戦後にいたるまでの東京についてつづった随筆集。タイトルは東京となっていますが、東京について書かれたものが半分、戦後の世相や専門の中国(文学)に関するものが半分くらいの割合で収録されているので、全体として東京が一つのテーマとなっているわけではないです。第一作目の随筆集が、昭和11から13年にかけて外務省の特別研究員として北京に滞在した時のことをつづった「随筆北京」なので、それにあわせてるのかもしれません。(適当)


-■奥野信太郎に限らず池田弥三郎や永井龍男、吉田健一、安藤鶴夫など、昔からの東京について、あるいは幼少の頃の東京についてから今の東京についてまで、東京について書かれた本が好きでよく読んでいる。でも東京という街に何か思い入れがあるかというとそうでもない。別に東京で生まれたわけでもないですし、神奈川という微妙に近い場所で生まれたせいで、ひとり暮らしを始めたときも上京という感じでもなかったですしね。
で、こういった本のなにがおもしろいのかなと思うと、やっぱりその時々の暮らしの様子や人間関係、書く人の日々の様子、そして東京への思い入れ‥‥になるのかな。昔は東京という街自体が狭いので、いろいろな人がどこかでつながっていたりし、活動範囲もそれほど広くない。なので、同じことや同じ場所を、違う人がそれぞれの視点で書いているものがあったりします。その辺を頭の中でつなげつつ読んでいけたらより楽しめるのだろうけど、あいにく記憶力があんまりよくないので、忘れてたり、なかなか思い出せなかったりするのがとても残念。

■週末は普段夜のイベントで遊んでいる友だちと鉄道博物館に行ってきました。下は2歳から上は51歳までの大人7人、子ども4人の大所帯。初めに友だちと行こうと言ったのが2年前くらいだったのですが、なかなか行くタイミングがなく2年経ってしまいました。そのときは子どもたちも木の電車で遊んでいたりした頃だったので、鉄道博物館と言っただけでかなり盛り上がったのですが、2年経つと興味も移り、「今度、鉄道博物館に行くよー」と言っても、特に大きな反響もない。あー大人と違って子どもにとっての2年は大きいですね。特に上の子は小学生になったということもあり、昔好きだったものに対して、もう小学生だしそんなものは卒業、みたいにいきがってるところもある。ウルトラマンとかね。
とはいうものの、行ってみれば大盛り上がりだったんですけどね。あと大人数ということもあってゆるい感じで見れたのがよかった。多分、3人で行ったら隅から隅まで歩いて、できるだけ全部の体験コーナーによって行ったり来たりでぐったりしちゃうんだろうけど、人が多い分、広場でのんびりしたり屋上で遊んだりするだけでも子どもたちは楽しそうでした。わたしとしてはスズキさんに車掌の格好をしてもらって子どもたちと並んで記念撮影して欲しかったですが‥‥

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■夜は池袋に出て西武の屋上で飲む。大人の時間。注文してから焼くビザとかあって軽く飲むにはいい感じでした。最近、デパートの屋上のお店が充実してますよね。イベントとかもよくやってるし。その一方で屋上と言えば、という感じのペットショップもあったりするのもよかったです。

「日本のポータブル・レコード・プレイヤーCATALOG」-田口史人-

-■1960~70年代を中心に製作されたポータブル・レコード・プレイヤーを111台紹介した本。それぞれの機種の色もきれいなのでカラー写真でこれだけのプレーヤーが並ぶと壮観です。単にレコードを聴くだけでなく、ラジオ、カセットからエコー、リズム・ボックス、鍵盤といった機能が追加されているものがったり、フォルムもそれぞれ個性的で眺めているだけで楽しい。80年代中ごろくらいまでってポータブルプレーヤーに限らず、テレビやラジオ、家電もこういうある意味この過剰な感じのデザイン、多様なデザインが多かった気がしますね。今だったらより売れるほうに一斉にデザインが流れていくと思うんですよね。逆にこういうデザインがあふれていたからこそ、無印良品のシンプルなデザインが新鮮だったんだろうなぁどと思いつつ、コロンビアのポータブルプレーヤーでレコード聴きながら眺めてます。
ちなみに著者の田口史人さんは高円寺にある円盤の店主。「レコードと暮らし」とか最近著書がよく出ている気がするけど、気のせいかな?

■わたしが一番最初にレコードを聴いたのは、この本にも出ているテントウムシプレーヤーというやつでした。今はもうないけれど、4曲入りの童謡のレコードやウルトラマンなどの子ども番組の主題歌とか当時流行っていた「泳げたいやきくん」とか10数枚くらいのレコードをこれで聴いてました。特に親も音楽が好きというわけでもなく、レコードを買っていたりするわけでもなかったので、ポータブルプレーヤーくらいでちょうどよかったのだと思う。

■そのあと、一人暮らしを始めた時には、調布の骨董市で見つけたプレーヤーでレコードを聴いてましたね。真空管の入ったやつで、スイッチを入れてもすぐに音が大きくならず、時間がたってくるとだんだん音が大きくなるという感じでした。SPレコードも聴けたんですが、聴いたことはなかったな。7、8年使って最後には音が出なくなってしまったので、捨ててしまったけれど、今考えるともったいなかった。ちょうど当時使っていたパタパタ時計が壊れて、古道具屋に修理に出したんだけど、結局直らなかったということがあったんで、直すのが面倒になってしまったんですよね。

■で、今と言えば、逆にそのときに買ったレコードプレーヤーが壊れてしまっているので、コロンビアのポートブルプレーヤーでレコードを聴いていることが多い。床に座り込んでビールとか飲みながらレコードを聴けるので楽なんですよね。まぁ特に音にこだわってないってのも大きいですが‥‥

-■そして、そんなポータブルプレーヤーを2台使った簡単なDJ(というかBGM係)を、7月9日にシャトー2Fで行われるイイトコ宵の市でやります。イイトコ市は、いつもは日曜の昼間に行われている市で、食べものや飲みものを初め、洋服やアクセサリー、雑貨などのお店がシャトー2Fの店内を彩ります。(といってもわたしはかなり昔に一回行っただけですが‥‥)今回は土曜の5時から9時という夕方から夜の時間に行われるということで「イイトコ宵の市」。一応、「夏」をテーマにジャンル関係なくかけようと思っていますが、その場の雰囲気も分からないし、ほかの人がどんな曲をかけるのかもわからないのでどうなるかは分かりません。まぁ夏の初めの夕暮れにお酒が進むような感じにしたいですね。

■それからイイトコ宵の市では、カヌー犬ブックスとしても少しだけ本を持って行きます。絵本と料理関連の本、そのほかのジャンルの本を1/3ずつくらいで、全部で段ボール2箱くらい持って行こうかなと思っていますので、こちらのほうもよろしくお願いしますー

 【イイトコ宵の市】
  日時:7月9日(土)17:00-21:00
  会場:シャトー2Fカフェ 小金井市本町6-5-3シャトー小金井2F
  会場HP:http://www.chateau2fcafe.com/
  日曜市FB:http://www.facebook.com/iitocoichi

「サウンド・バイツ」-アレックス・カプラノス-

-■著者のアレックス・カプラノスは、フランツ・フェルディナンドのヴォーカル&ギターを担当している人で、バンドのツアー先で食べたものについて書いた本。B級グルメからミシュラン星つきの高級レストランまで幅広い店が登場する。まぁだいたいB級グルメぽいものが多いのかな。日本では名古屋の「幕の内弁当」や大阪の「フグ」という、なんで名古屋で幕の内弁当?大阪でフグ?と日本人なら突っ込みたくなるような、地域と食べものが選ばれてます。ほかの国もそんな感じなんだろうなぁ~
とはいうものの、下積み時代にシェフやウェイターなど飲食業についていたということもあって、料理方法についての言及や厨房の中の様子などについても書かれていたりして、単にロックミュージシャンが食べものについて書きましたという感じではないです。
原文は分からないけれど、文章も音楽と同じくひねた感じの言いまわしで、若干読みにくいところもあるけれど、読んでいるうちにその言葉のリズムにはまってしまいます。ちなみに翻訳者は実川元子。わたしの中では映画化された「おれたち、ザ・コミットメンツ」で有名なロディ・ドイルの本の翻訳を手掛けていたというイメージで懐かしい。なぜか「おれたち、ザ・コミットメンツ」は実川元子の翻訳ではなく、サザンオールスターズの関口和之なんですけどね。

-■これを読むなら一緒にフランツ・フェルディナンドも聴かねば、などとと思い、久しぶりに「Franz Ferdinand」や「You Could Have It So Much Better」をiPhoneに入れて聴いていたら、ほかのバンドも聴きたくなり、しばらくの間自分の中で2000年代のUKロックのプチブームが起きてました。と言っても当時聴いていたものを聴き返してるだけですけどね。でも久しぶりにUKロックとか聴くと朝から気分があがりますね。
で、結局、1番聴き込んだのは当時も好きだったThe Viewの「Hats Off To The Buskers」とLittle Man Tateの「About What You Know」だったりします。わりと基本的にいいメロディに後ろでギターがジャカジャカ鳴ってればOKって感じなんで。Little Man Tateはセカンドアルバムを出した後、解散してしまったみたいだけど、YouTubeでちょっと聴いたらいい曲だったので、どこかでセカンドアルバムを見つけたら買おうと思ってる。
あと当時はそうでもなかったけど意外にBabyshamblesがよかったりして、今さらながら今までスルーしてきたThe Libertinesを買ってみようかなんて思ってしまいました。

-■洋楽も邦楽もそうだけど、もう2000年代の音楽って古い感じがまったくないのね。それは自分が歳を取ったというせいもあるし、実際に古くなっていない(言い換えれば新しくなっていない)という部分もある。加えて歳を取って自分の好みが固まってきて、自分の好みの範囲で音楽を聴いてしまうということもあるかな。
なんとなく1997年~1998年くらいからもうあまり古くない感じですかね。特に邦楽はそんな感じがします。くるりやスガシカオ、椎名林檎、キリンジ、クラムボン‥‥とかね。というのも先週、ETVで渋谷系を特集した番組が放送されてて、自分は結局最初の5分くらいしか見ることができなかったんですが、その番組に出ていた20歳くらいの女の子が、渋谷系はぜんぜん知らない。よく聴くのは椎名林檎、みたいなことを言ったのに「んん?」って思ったから。まぁその後の活躍もあるけど、渋谷系と椎名林檎って2、3年くらいし変わらないのに、その差ってなんだろうとちょっと思う。そして自分の中ではこの辺の時からリアルタイムで邦楽を聴いてない感じなので、詳しくは語れません。

「石垣の花」-木山捷平-

-■作家仲間のこと、来日したビートルズのこと、戦争のこと、中国の友だちのこと‥‥など、身辺雑記をまとめたもので特にテーマはない。が、飲みの席で指を怪我させられた時の話が執拗に書かれてるのがおかしい。後日の飲み会の席で怪我させた人にそれを言ったらすっかり忘れてて、随筆を書くネタができてよかったじゃん、みたいなことを言われたことに対する腹いせなのかもしれない。まぁこの指の怪我以外にも交通事故にあった時のことなど、自分の怪我や体調のことをわりとしつこく書いてるんですけどね。でもどれも語り口が深刻にならず、そこはかとなくユーモアがただよっているところが木山捷平らしい。

■4月の家族の文化祭、そして東京蚤の市が終わってすっかり気が抜けてしまってて、部屋の片づけもあんまりできず、いまだに本を入れたままの段ボールがいくつか残ってしまっている状態です。蚤の市は、天気にも恵まれ入場者数も過去最大の3万人を超えたようで、カヌー犬ブックスのブームも常に人がいる状態でした。皆さまありがとうございました。次回は10回目ということで、もっと盛り上げていきたいと思ってます。って何を考えているわけでもありませんが、まずは取り扱う本の種類をもう少し増やして、もっといろいろな人に興味を持ってもらえるようにしたいです(特に男性)。

-左が今回の蚤の市、右が第1回目の蚤の市のカヌー犬ブース

■本の出し入れのついでに7インチを移動させていたりしていたら、レゲエのシングル盤が何枚か出てきたので、夜時間があった時になんとなく聴き始めてしまって、今年の夏はレゲエのシングル盤を中心にレコードを買ってみようかと思っています。レゲエといってもボブ・マーリーみたいなルーツロックレゲエでもなく、スカでもなく、もちろんダンスホールレゲエでもなく、ロックステディ後期から70年代のソウルぽいもの~ダブが好きで、できればインストがいいなぁとか思っているので微妙にどのジャンルを見ればいいのかいまいち分かんないんですよね。
基本的には昔から好きなMoodiscやRandys Records、Dynamic、Joe Gibbs、IMPACT、Rockers、Trojan、Wackiesといったレーベルを確認しつつ、試聴してみるという感じで集めてるので思ったようにすすみませんが、まぁ興味が向いているうちは気長にいきます。つぎにどなたかにDJを誘っていただいたときは、多分レゲエのレコードばかりになるかもね?

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「辻邦生全短篇 I」-辻邦生-

-■パリに留学中に執筆され、帰国後の1961年に発表されたデビュー作「城」から、この単行本が出た1978年までに書かれた短篇を制作順に編集したもの。この「I」では1967年の「洪水の終わり」までが収録されています(なので、発表順では一部入れ替わっている作品もあり)。
死や狂気、戦争などといった暗い影がべとりと貼りついた作品がほとんどなのですが、読んでてつらくなるほど重くならないのは、舞台となっているのがおもに外国だったり、主人公が留学中の大学教授や記者といったちょっと現実から離れた設定で、かつ物語の中で狂気に陥るのが主人公ではなく、主人公はその様子を語る人物として登場することが多いせいなのかもしれません。

■あっという間にゴールデンウィークもおしまい。
前半は長野の小諸にある茶房 読書の森というところに行ってきました。茶房 読書の森は、オーナーが建てた小屋やゲルがいくつかありそこに泊まる形のゲストハウスで(というのかよくわかりませんが)、うちは、絵本作家の田島征三が壁の絵を描いた征三ハウスに宿泊しました。キャンプ場ではないけれどバンガローに泊まるイメージですかね。
周りには、下から空気が出ていて上に竹でできた上がついており、そのあいだにある穴を抑えると音が出るどうらくオルガンやピンホールカメラの原理を利用して、真っ暗な中にスクリーンが設置されていて壁の穴を通して外の風景が上下さかさまに投影される小屋などがあり、茶房のほうにも絵本の部屋があったりします。でも基本的には、池があって、その周りを林や田んぼ、畑が広がっているという風景が広がっていて、子どもたちもそちらのほうで遊びまわっていました。子どもたちの後ろから道を作りながら林の奥へと進んでいくと自分が子どもの頃を思い出したりします。

夜には、山菜を中心にした食事が出て、お酒を飲みながらオーナーやほかの宿泊者たちと遅くまで話したりして大人だけで泊まるのも楽しいと思いますよ。

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■後半は、子どもたちと二宮に帰ったり、府中競馬場や井の頭動物園、昭和記念公園など相変わらず近場で遊び倒すという感じでなんだか疲れました‥‥。出かける場所を決める時は、例えば井の頭動物園に行きつつ、Young Soul Rebelsでやっていた原子高志さんと宮里卓さんの2人展「London Is Far Away」を見に行ったり、昭和記念公園の帰りには立川ルミネのあおぞらガーデンでQuinka,with a Yawnのライブを見るとか、自分の行きたいところを紛れ込ませているのですが、そこまで行く間に子どもたちが疲れてしまったり、途中で「そんなところに行きたくない!」と騒がれたり、なかなか難しい。そしてたいていは一人でビール飲んでます。

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■そんな中、井の頭動物園に行った際に見た(ついでと言うには遠かった)、原子高志さんと宮里卓さんの2人展「London Is Far Away」はよかったなぁ。原子さんのイラストは、デコレーションしたベスパなど相変わらずいい感じだったし、宮里卓さんは、直接面識はないので、(イベントで会ったことはあるかも?)、どんな写真を撮る人なのか知らなかったのですが、シャープな構図のモノクロ写真で、Young Soul Rebelsのお店の雰囲気にぴったりでした。もう少したくさんの点数の写真をゆっくり見たかったなぁ~
ついでに店内の洋服をちらりと見たら欲しい服もあったけど、入り口で水木しげるの妖怪図鑑を見ている子どもたちをそのままにして試着するわけに行かず、断念。ほんとはカフェスペースでコーヒーとか飲みたかったんですけどねぇ。
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「映画を書く」-片岡義男-

-■今まで日本映画を観たことがなかったという片岡義男が、昭和10年から30年までに公開された映画をそれぞれ1本ずつ見て、その感想を書くという趣向の本。昔の日本映画と片岡義男というのはイメージが結びつかなかったけど、原節子について書いた本が出た流れで企画された本らしい。
取り上げられているのはほぼ知らない映画ばかり。でも基本的な流れとしてはまず取り上げた映画のストーリーを説明されるので、特に問題はないです。むしろ片岡義男による再構築されたストーリーを読んでいるだけでもおもしろい。その後、その映画が当時のどういう価値観を元に作られ、どういうメッセージを観客に伝えていたか、そして40年後の今から見るとその価値観はどういう風にとらえられるのか、といったことがつづられている。ご都合主義で流れる箇所を徹底的に指摘し、現代的、かつアメリカ的合理性のある片岡義男の独自の視点や論理が、戦後の日本映画のある意味のんびりした雰囲気に化学反応を起こしている感じです。

■かなり時間がたってしまいましたが、家族の文化祭、無事終了しました。天気もよかったこともあっていろいろなものを食べたり、ワークショップに参加したり、ライブを見たりして一日中楽しんでくれた方が多かったようです。笛をデコレーションするワークショップが盛況だったみたいであちらこちらから子どもたちの吹く笛の音が高架下に響いていました。
カヌー犬ブックスは今回、絵本以外の本も多めに持って行きました。見てくれるかどうかちょっと不安もあったのですが、食べもの関連の本に興味を持ってくれる人も多くいて、いろいろ本について話したりして楽しかったですね。お子さんを連れた親子でも子どもとお父さん(あるいはおばあさん)が絵本を見つつ、お母さんがレシピ本などを見てるみたいな風景もよく見かけたので、いろいろな本を持って行ってよかったと思ってます。
来てくれた皆さま、スタッフの皆さまありがとうございました。家族の文化祭はこれからも定期的に行われるようですので、今後もよろしくお願いします。

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■次は5月14日、15日に行われる東京蚤の市に出店します。東京蚤の市も気がつけば9回目。毎回どんな本を持って行くか迷いつつ、でもうちの場合、そんなにバリエーションもないので、少しずつマイナーチェンジしてみてるという感じです。今回はどうしようかまだきちんと決めてませんが、ゴールデンウィーク中にいろいろ考えたいと思ってます。

 第9回東京蚤の市
  日程:2016年5月14日(土)、15日(日)
  時間:14日(土)10:00~18:00/15日(日)9:00~17:00
  開催場所:東京オーヴァル京王閣
  東京都調布市多摩川4-31-1
  入場料:500円(小学生までは無料)
  ホームページ:http://tokyonominoichi.com/2016_spring/

「黄昏のムービーパレス」-村松友視-

-■テレビの一般化、ビデオの発売と映画業界が斜陽になった80年代後半、全国のローカル映画館を訪ね経営者に話を聞くというノンフィクション。取り上げられている映画館は、大正から昭和の初期に建てられてものが大半で、場所も県の中心部から離れた場所が多い。ほとんどの経営者は、戦後のヒット映画を観に映画館に人が集まってきた頃のことを懐かしく話している。一方でただ懐かしむだけでなく、興行師としてもうひと山当てたいという野心もかすかに見え隠れするところが、映画館の現実をあらわにしている。まぁ著者がそういう方向に持って行こうとしている感もあるけど。

■わたし自身も、大学生の頃、1990年代の初め、浅草の東京倶楽部が閉館したのがきっかけで、全国を巡って映画館の写真を撮ってみようと思ったことがあるのですが、結局、実現するまでいたらなかった。一番の理由としては、地方も含めて各地の映画館を回るという行動力がなかったわけでけれど、その頃でもすでに映画館が閉館していて今からやっても遅いかも?という気持ちがありました。でも今から思うと、ぎりぎ間に合ったのではないかとも思う。今でもちょっと後悔していることの一つ。
ちなみに東京倶楽部の最後の上映は「赤い河」でした。「ラストショー」が好きだったからそれだけで感無量でしたね。

■4月になると公園など外でのイベントが増えて楽しい。4月2日、3日の花見から始まり、4月9日、10日とはけのおいしい朝市に通い、16日は、狭山の稲荷山公園でやっていたみどりのクラフトに行くという具合で毎週のようにレジャーシートを持って出かけている。まぁどこに行っても子どもたちは走り回り、お父さんはビールを飲みながら、その場で買ったものを食べたりしているだけなんですけどね。
近場のイベントだと誘い合わなくても、元幼稚園の友だちが遊びに来ていてレジャーシートの面積も人数も多くなる感じ。こういう風にのんびりと一日を過ごすということができるのは、あと何年ぐらいなんだろう?なんて思ってしまうのは、漣くんが小学校に入学したせいかも。自分自身の経験でいうと、同級生が多い世代だったこともあって、小学校に入ってから週末親と遊んだ記憶ってほとんどなくて、たいてい友だち同士で遊んでいたけど、これからどう変わっていくんでしょうね。

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■そんなイベント続きの4月ですが、今週末、23日は東小金井駅の高架下で行われる「家族の文化祭」に参加します。前回11月の時は、わりと絵本を中心に本を持って行きましたが、今回は、絵本に加え、カヌー犬ブックスらしい食べものに関するエッセイやレシピなども持って行く予定です。あまり構えずにちょっと時間が空いたときに読めるようなものを中心に持って行こうと思っています。お母さん、お父さんも、これならちょっと時間を作りつつ、毎日少しずつ読めるかも?という本を探していただければと思います。よろしくお願いしますー!

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「柳原良平の仕事」

-■年末くらいに出た柳原良平の作品集。最近も定期的に新しい絵本が出ていたので、亡くなったときはびっくりしました。サントリー宣伝部で一緒だった開高健、山口瞳かなり前に亡くなっているので、絵本が出る度にすごい長生きしてるような気がしてました。
柳原良平の作品をまとめたものというと、2000年代に、「Ryohei Yanagihara」と「柳原良平の装丁」という本が出ていて、こちらはわりと、装幀やイラスト、絵本の原画などが中心でした。こちらはグッズの写真なども掲載されているのがいい。見ていると欲しくなっちゃうけど。

■ところで、この本で原子高志さんが追悼文を載せていて、2001年に行われた「柳原良平vs原子高志 二人展」の話を書いていて懐かしい。展覧会を知ったので、終わってから2か月くらい経ったときで、展覧会に行けなくてくやしい思いをしたことを思い出しました。しかも当時、中目黒から歩いて10分くらいのところで働いてたんですよね。
この展覧会の告知で初めて知った原子さんとは、その後、パレードでのDJを見に行ったり、原子さん自身がやっているイベントに遊びに行ったり、そのイベントでゲストで回させてもらったりすることになるのですが。
その原子さんのイベント「ONE plus ONE」が、4月16日に吉祥寺の伊千兵衛で行われます。行きたいけど、次の週イベント出店があるので、その準備で追われていそうなんですよね。どうなるのか‥‥

-■そう、4月23日は、東小金井の高架下、アトリエテンポで行われる「家族の文化祭」に出店します。アトリエテンポのサイトで、まだ告知されていないので、言っていいのか分かりませんが、もう今週末は4月ですしいいですよネ。
昨年の11月に1周年を迎えた際に行われたイベントの第2回になるのかな。前回はフードやクラフトのお店が出たり、ワークショップやライブが行われたりして盛りだくさんな楽しいイベントになっていたので、今回もいい雰囲気の楽しいイベントになると思います。と言っても、どんな方が出るのかはわかりませんっ!
カヌー犬ブックスは、前回と同じように絵本や児童書を中心にしつつ、今回は、大人でも楽しめるよう、食べ物や旅のエッセイなども少し多めに持っていこうと思っています。座ってゆっくりできる場所もたくさんあるので、ごはんやおやつを食べながら、音楽を聴きながら、ゆっくり本をめくっていただければと思います。

 ■開催日/2016年4月23日(土)
 ■時 間/11:00~16:00 雨天決行・荒天中止
 ■場 所/コミュニティステーション東小金井・モビリティステーション東小金井
 ※JR中央線東小金井駅高架下近辺(東京都小金井市梶野町5丁目)
 ■URL(Facebook ページ):http://www.facebook.com/kazokunobunkasai

「ほろよい味の旅」-田中小実昌-

-■新宿や浅草などの近いところから故郷の広島、北海道、名古屋、鹿児島などの日本各地、そしてサンディエゴやダブリンまで、さまざまな場所での飲み歩き記。一応3部に分かれており「味な話」では、各地のおいしい食べ物が取り上げられており、「酔虎伝」ではビール、ワインを中心とした話と旅先で飲んだお酒のこと、3部の「ほろ酔い旅日記」は、旅の話を中心につづられている。食べ物から旅へのグラデーションになってるとも言えるか?適当。
といっても、前にも書いたような気がするけど、コミマサさんのこの手のエッセイは、基本的にはどれも同じような話だし、まったく同じ話も出てくるわけですが、飲み屋のカウンターでいろいろ昔話を聞いてる感じでいい。でもやっぱりおもしろいのは、新宿、浅草、そして子どもの頃に過ごした広島や若い頃に帰るお金がなく1年間くらい過ごしたという北陸、ヌード劇場に出てたという神戸など、長期で滞在した(あるいは住んだ)場所の話なんですよねぇ。
そういえばテレビで、ローカル路線のバスを乗り継いで目的地に行くって番組やってるみたいですけど、バス乗り継いでいくのに目的地とか期間を決めちゃダメですって。

-■3月は人生初のインフルエンザにかかってしまい、何もできず、という感じでした。しかも家族4人‥‥。1回38度以上の熱が出て、次の日には37度後半くらいまで下がって、3日ぐらい続いたのですが、普通の風邪でも39度のとかの熱が2、3日続くタイプなので、症状としてはそんなにつらくはなかったかな、と。ただインフルが治ってからも、なぜか1週間くらい夜になると熱が出続けたので、パソコンを立ち上げる気力もなく、ぼぉっとテレビとか見て、10時前に寝る生活をしていました。夜、テレビのニュースとかを見つつ、だらだら過ごすなんて何年ぶりでしょうかね。ほんと本の入力や表紙のスキャン、サイトの更新などをまったくしないと楽ですネ。
と、そんなことを言っても、4月、5月はイベント出店が続くので、いつまでもだらだらしていないで、そろそろ本腰を入れて準備をしなくては‥‥。
それにしてもインフルエンザのせいで漣くんの卒園式に出られなかったのは痛かった‥‥

-■ところで、今、子どもたちの中で深海生物ブームが来ていて、ことあるごとに図書館で図鑑を借りたり、自分でも買ってみたり、ダイオウグソクムシやダイオウイカ、メンダコなどを折り紙で作ってみたりしてるので、思い切って3連休に江の島の水族館へ行ってきました。江ノ島水族館は、しんかい2000という潜水調査船の展示や深海生物のコーナーが充実してるんですよね。
しかし春休みの3連休ということでめちゃくちゃ混んでて、ゆっくり見る雰囲気ではなく、子どもたちもじっくり楽しめたのかどうか微妙でした。それでもメンダコやフトツノザメ、タカアシガニを見たり、ダイオウグソクムシにさわったりできるコーナーでは何度も行ったり来たりしていましたけどね。しばらく深海生物ブームが続くようだったら、また行ってみようかな、なんて思ってます。
10代後半くらいの女の子がメンダコを見て「かわいい」といか言いながら、写真を撮っていたのにはびっくりしました。ちょっと前にダイオウイカが注目されてましたけど、深海生物って流行ってるんですかねぇ。