「下町今昔」-秋山安三郎-

「年始名刺」「初湯初床」「神田ばやし」「酉の市」「江戸まえ言葉」「筆の話」「深川めし」「鍋焼きうどん」「うり声」「豆腐」「どじょう汁」「あんころ」「そばやの看板」・・・・など、昔の下町の風物や習慣、言葉、人々などについて、語ったもので、一つ一つ1ページから2ページくらいでまとめられている。
こういう本は、電車の中でとかで一気に読むのではなく、手元にいつも置いておいて気が向いたときに少しずつ、進んだり戻ったりしながら、あるいは適当に開いたページを読むという感じで接したいと思う。なかなかそういうわけにもいかず、いつものように通勤電車にもまれながら、読み切ってしまいました。来年の今頃の季節になったらまた読み返してみたい。

「東京味覚地図」、「下町今昔」と東京に関連する本を続けて読んだついでに、これから年末から年始にかけて、大正から戦前・戦後の東京についての随筆や小説を何冊か読んでみようと思ってます。ほんとは大正から戦前・戦後の横浜を舞台とした随筆や小説を読んでみたいのけれど、どんな本があるのか、しらん。
横浜にゆかりのある作家といえば、獅子文六、大佛次郎、吉川英治、谷崎潤一郎、北林透馬らが思い浮かぶのだが・・・・。北林透馬は、10年くらい前からずっと気になっている作家なのだけれど、未だに手に入れることができてません。amazonで検索したら「花ひらく亜細亜 『帝国』戦争と文学」だけしか出てこないし、しかも22050円という・・・・。「波斯(ペルシャ)猫」「街の国際娘」「レスビアンの娼婦」といった作品があるらしいですけどね。

「東京味覚地図」-奥野信太郎 編-

それぞれゆかりのある人たちに東京の各地域を受け持ち、それぞれの地域のいろいろな味や店について書いたものを集めた本。「浅草」(檀一雄)、「新宿」(戸板康二)、「築地界隈」(池田弥三郎)、「神田」(高橋義孝)、「渋谷・世田谷」(奥野信太郎)、「吉祥寺」(江藤淳)・・・・といった文章が収録されています。こういう本で紹介している店が、今でも残っていることは稀だろうし、もしあったとしてもその当時の様子とは変わっているだろう。そういうお店を探して回るという趣味もあまりないので、それよりもその周辺で描かれるお店の主人や一緒に行った仲間とのやりとり、その頃の街の様子などが随所に出ているようなものがおもしろい。そういう意味では、この本はどちらかというと店の紹介が中心になっているので、その点ではちょっと物足りないような気もします。でも吉祥寺のところで浜田山の旭寿司が出てきたりすると、「そういえば浜田山の駅を通り過ぎるとき、旭寿司の看板が見えるけれど、そこなのだろうか?」とか、「ケーキがなくなってからボアにもすっかりいかなくなってしまったなぁ」とか、思たりしてしまいます。

週末は、なぜかギャラリー三昧でした。

「スイスポスター100年展」
ギンザ・グラフィック・ギャラリー 2005年12月2日~12月22日
タイトルのとおりスイスポスター100年の歴史たどった展覧会。ギンザ・グラフィック・ギャラリーなので、100年をたどるには展示数は多いとは言えないけれど、アール・ヌーボーの影響を受けた19世紀終わりから20世紀初頭のものから、第二次世界大戦後のノイエ・グラフィーク、コンピューターを用いた最近のものまで、一つ一つの作品はすばらしいものばかり。

「新しい紙『タントセレクト』による私的装幀デザイン展」
紙百科ギャラリー 2005年12月2日~2006年2月25日
仲條正義氏・羽良多平吉氏・工藤強勝氏・松田行正氏・古平正義氏、5人のグラフィックデザイナーによる私的な本の装幀デザイン展。新しい紙「タントセレクト」と言われても私にはそれがどんなものなのかぜんぜんわかりませんが・・・・。

「タナカタナ夫展~アンビエント・マンガの世界」
ラフォーレミュージアム 2005年12月14日~12月28日
「バカドリル」やトン子ちゃんで有名なタナカカツキ初の大展覧会。初期の叙情的な作品から最近の映像作品、Tシャツはもちろん、小学生・中学生のころに書いた漫画なども展示されてます。これが小学生の割にはクオリティが高く、そして今でもきれいに保存されていることにびっくりさせられます。誰が書いているのかわかりませんが、作品に添えられたキャプションもおもしろい。

「クリスマスの宿題工作展」
原宿LAPNET SHIP 2005年12月14日~12月25日
安齋肇&朝倉世界一がプロデュースした、しりあがり寿、高橋キンタロー、白根ゆたんぽ、薙野たかひろ、なんきん、ミック・イタヤらが参加している工作展の第三弾。先生役はナンシー関、山田五郎に続きクリスマスと言えばこの人(?)パラダイス山元が担当。ゲストの女子生徒の東京モダンアート娘って誰?真剣さとちゃらんぽらんさが同居したクリスマスをテーマにしたバカバカしい工作の数々に大人の余裕を感じます。適当。

「Pretty Things」
ペーターズ・ショップ・アンド・ギャラリー 2005年12月9日~12月25日
作品集「Pretty Things」を出したばかりのイラストレーター、原子高志さんの個展。原子高志さんといえば、ランブレッタ、モッズ、そして「礼儀作法入門」。そうしたアイテムがスタイリッシュな作風で描かれています。印刷ではわからない原画ならではの線や色の塗りの微妙な感じだとかがわかったり、鉛筆で描かれた下書きが展示されていたりして興味深いです。23日にクリスマス・パーティも開かれるのですが、行きたい・・・・でも行けないかなぁ・・・・。

「牧野伊三夫展」
HBギャラリー 2005年12月16日~12月26日
音、呼吸、記憶をテーマにした作品や即興絵画、スコットランド取材をした「ウイスキーヴォイス」の来年のカレンダーなどが展示されています。

「小えびの群れ」-庄野潤三-

庄野潤三の作品は初期の頃をのぞくと、そのほとんどは郊外での子どもたちとの静かな生活の、ほんのささいな出来事や、遠くで暮らす兄弟とやりとり、学生時代のことなどをつづったものなのだけれど、読んでいて静かな共鳴を受けるようないい作品に感じられるものと、読み進めるのがちょっと苦痛なくらい退屈さを感じてしまうものがあるのはどうしてだろう。そういう風に感じるのは私だけなのだろうか。そう感じながらも作品によってどこかどう違うのかよくわからなくて、実はその時の自分の気分に合うかどうかによって、印象が変わっているだけなのかもしれないとも思ったりもする。
この「小えびの群れ」は、前作「丘の明り」から続く、日常生活の、ほんのちょっとした会話をきっかけにして、童話や民話の世界に入っていく作品や、戦時中、学生時代に中国に旅行したときの話、夫婦でアメリカへ行ったときの話・・・・など、ほかの作品でも見られるような題材が取り上げられている。でもその日常的な世界がとても心にしみます。ついでに「丘の明り」を読んだときの雑記をみてみたら、「どれも日常的な断片を紡ぎ合わせたような穏やかで静かな作品で、こういう作品を読んでみると機会があれば60年代くらいまでの作品は読んでみようかな、と思ってしまう」と書いてあったので、やはりなにかしらの基準があるのかもしれない。

さて、寒い季節になると近江屋に行きたくなるのは、食べ放題のボルシチが目当てだからで、温かいボルシチを軽い食事にして、ケーキと飲み放題のジュースをデザートにするという感じだろうか。いくら甘いもの好きな私でもこの歳になれば、ケーキとストロベリーやみかん、マンゴスチン・・・・などのジュースを飲み続けてたら、胸焼けがしてしまいます。いつもは本郷の方のお店に行ってスコスや古本屋をのぞいたり、東大の周辺を歩いたりするのだけれど、天気が良かったせいもあり、土曜日にはじめて神田の方の近江屋に行ってみました。神田といってもJRの神田駅からも神保町からもちょっと離れていて、最寄り駅は都営新宿線・小川町、丸の内線・淡路町になります。お店の内装や雰囲気、メニューは本郷とほとんど同じ。本郷では、お休みの日に行くことが多いので、ノートとか広げながら時間をつぶしている東大の学生らしい2、3人の団体がいるくらいで、たいていすいていたけれど、神田の方のお客さんは、背広の男性や何人かできておしゃべりしているおばさんたちから親子連れ、若いカップルまで幅広く、それほど多くない席がいつも埋まっている感じですぐには入れず。地図を見た感じでは繁華街から少し離れていたので、混んでいて入れないことなんて予想もしてませんでした。みんな近江屋が目当てなのか知らん。で、いつものようにボルシチやジュースを何度もお代わりして、モンブランを食べてお腹いっぱい。モンブランはケーキ部分ももちろんおいしかったけれど、栗がとてもおいしかった。

そのまま、先週吉祥寺で見つけたちらしを見て知ったアテネ・フランスのバザーへ足をのばす。アテネ・フランスに行くのははじめてだったのですが、ピンクの色がゲバゲバしく感じられない建物の外装から、中で使用されている棚や椅子、テーブルなどもいい雰囲気でした。こんな学校に通ってみたいとちょっと思ったりもするけれど、特にフランス語やギリシャ語を習いたいと思うことはない。映画の上映会などもときどきやっているようなので、これからはこまめにホームページなどをチェックすることにしたい。バザーそのものはカフェテラス(自習室?)の片隅で、有志の人たちが、ワインや灰皿などの雑貨、クッキーやマフィンを、こじんまりと売っているという感じでしたが、こういう機会があってアテネ・フランスに来た、ということだけで満足かもしれない。灰皿とかも欲しかったけれど、とりあえずマフィンとビクコッティを買って帰ってきて、今日の朝食にしました。

「踊る地平線」-谷譲次-

中国からロシア、そして大陸横断の国際列車に乗り込んでヨーロッパへ。昭和のはじめ、1927年から1年超にわたって、中央公論社特派員の名目で夫婦でヨーロッパを旅行した際の旅行記。前に読んだ「テキサス無宿」もそうだったけれど、カタカナ、英語混じりで軽快、そしてユーモアあふれる文体は、当時としてはかなりハイカラかつモダンだったに違いない。が、なんだか今の私にはちょっと読みづらいというか、途中で文字を追いかけるのが面倒になってしまって、上巻でとりあえず挫折。けして嫌いではないのだが・・・・。下巻はまた気が向いたら読むことにしたい。

週明けぐらいには告知を入れようと思っていますが、年明けの1月7日(土)から22日にロバロバカフェで行われる「ロバロバカフェの新春・古本市」に参加することになりました。出店するお店は、a2g+(books) booby bookstallchotchke booksninon books貸本喫茶ちょうちょぼっことらんぷ堂書店ブックピックオーケストラの8店。どの店も独自の視点でそれぞれにいい本を扱っている本屋さんなので、こんな中に私が混ざってしまっていいのかしらん、なんて、送られてきたフライヤーやフリーペーパーの原稿を読みながら思ってしまいます。まぁあれこれ考えてもどう仕様にもないですけどね。あれこれ考えたって自分でやれることしかできないわけで(時にはやれないことをあえてやってみるというのも必要なことなのかもしれませんが・・・・)、それよりもやはり楽しみの方が大きいかも。

「ku:nel」(Vol.17/2006.1.1)

「ku:nel」は、会社員の私にとって田舎暮らしの現実離れした内容が多くなってしまっているような気がするし、広告とのタイアップ記事ばかりのような気もするし、前回の「本と料理」の特集でがっかりしたこともあって、もう買うのはやめよう、と思っていたのだけれど、本屋に新しい号が平積みされているのを横見で見てみたら、「パリのすみっこ案内」という特集で、表紙・イラストは堀内誠一・・・・。これって反則でわ?と思いながらも、ダブルポイントをねらってタワーブックスで購入(せこい)。パリに行く予定も“あて”さえもない割には、なんだか今年はパリについての本をよく買ったり、読んでいるような気がするのは、単に山田稔と堀江敏幸の本をよく読んだせいか。

会社が終わってから友達が主催しているグループ展のクリスマス・オープニング・パーティに行く。場所は、去年その友達が写真展を開いた白金台のProspect Hair Designという美容室。グループ展が1日から始まっているうえにクリスマスにはちょっと遠い6日にパーティが開かれたのは、美容室がお休みだから、らしい。しかもその友達が展示に参加しているわけではなくて、9月にadd Cafeで行われたグループ展の時と同じように会場の構成などを含めた企画ということらしい。せっかくなんだからいくつか作品を出せばいいのにとも思ったりすもするけれど、それはよけいなお世話か。まぁどちらにせよ、パーティにはかなりの大勢の人が集まっていたので、ゆっくり作品を見るという感じではなかったけれど。
会社を出るのが遅くなってしまったせいで、会場に着いたのは9時前くらいだったので、ボサノヴァのライブもヘアカット・ショーも見れずじまいでしたが、いろいろな人とおしゃべりしつつ、ワインを飲み続けたおかげで、ふらふらとしながら帰ってきました。やっぱりこういうパーティは次の日を気にしないで済む週末にやって欲しいな。

「巣立ちの歌」-永井龍男-

週末に雨が降ると一日のうちのほとんどをスペースシャワーTVとかカートゥーンネットワークとかをつけっぱなしにして、家の中でダラダラと過ごしてしまいます。一日のあいだにアジカンとaikoとレミオロメンとエルレガーデンとテリヤキボーイズと・・・・のPVを何回見てしまったことだろう。もう見飽きました。そんなわけで芸能情報にはすっかり疎くなってしまった反面、日本の売れてる音楽には妙に詳しくなっていっているような気がする、ような気のせいのような・・・・。
そんなPVを見ていると、どのバンドも一応、サウンドはUKロックだったり、パンクだったり、あるいはソウルだったり、レゲエだったりするのだけれど、メロディ自体はなんだか湿っぽくて、悪く言うと貧乏くさいなぁ、なんてことを思ったりする。極論と分かっていていってしまうと、2000年以降のロックバンドにおけるくるりの影響の大きさって、くるり自体の評価は別として意外と大きかったのではないか、と。適当。
そうかといって、じゃ、いいメロディってなんなんだろうと考えてみても、コード進行や楽典・・・・といった理論的なことがまったく分からない私には、それをうまく言い表すこともできないのがもどかしい。具体的に“いいメロディ”というテーマですぐに思い浮ぶ曲は、と言えば、「98.6」(Keith)だったり、「Let’s Ride」(Roger Nichols)、「Loving Thing」(Tony Hatch、Jackie Trent)、「Foolin’ Around」(Chiris Montez)、「There is Nothing More to Say」(Millenium)、「Down When It’s UP-UP When It’s Down」(Lou Christie)・・・・といった感じになってしまう。一番はじめに「98.6」が思い浮かんでしまったばっかりに古い曲&定番ナンバーばかりになってしまいましけど。
調子に乗って100曲くらいリストアップしていったらいろいろなジャンルが混ざったり、70番目とか80番目くらいにその人の本音が出たりしておもしろいかもしれない、なんて、思ったりもします。ついでに「私の人生を変えた100曲」とかタイトルつけてミュージックバトンみたいにいろんな人に聞いてみたい。でもめんどくさがって誰も書いてくれないだろうなぁ。逆にすらすらとあげられる人がいたら怖い。音楽で人生変わりすぎですよ。話がそれましたが、これらの曲のメロディにどのような共通項があるのはもちろん分かりません。というか、誰かに教えてもらいたいです。

「Hot Drinks around the World 世界のホットドリンク」-プチグラパブリッシング-

12月に入って本格的に寒くなってくると、ストーブを少し強めにつけて、温かいココアなんかをすすりながらレス・バクスターの「Ricordate Marcellino」をテーマに、フォーフレッシュメン、ミルズ・ブラザーズ、ハイローズ、ブルースターズ、パイド・パイパーズ、ヘンリー・マンシーニ、そしてジョー・スタッフォード・・・・など、昔のコーラスグループのレコードを聴いてみたくなる・・・・。
なんて文章を今までに何度か書いてきたことだろうか。そう考えるともう10年くらい自分の趣味が変わっていないことに気づいたりして、愕然とします。そしてそんなことを夢想して、毎年のようにココアのパウダーを買ってみるのだけれど、たいてい買ってきたばかりの12月に2、3ど飲むだけでそのままになり、春が過ぎた頃、残ったココアの粉を捨てることになるわけです。

メキシコの「ショコアテベック」、北欧の「ノルマンディ・コーヒー」、アメリカの「エッグ・ノッグ」、チベットの「バター茶」、イギリスの「グラスホッパー・コーヒー」、ベラルーシの「ゴゴリッ・モゴリッ」・・・・など世界各地のホットドリンクを85種類集めたこの本を眺めていると、基本的に、特にヨーロッパ方面は、濃いめのコーヒーにアルコールかホイップクリームを加え、シナモンなどの香辛料を振りかける、というパターンが多いことに気がつきます。なんだかんだといっても、「寒いときにはアルコールが一番なのだが、ウォッカをあおり続けるわけにもいかねぇしな」ということなのだろうか。「これらの飲みもの作る」とか「作りたい」なんて書いてしまうとどこからかプレッシャーがかかったりするので、実際に作るときがあるのかどうかはわかりませんが、今年の冬は1つか2つくらいは作るかもしれない、ということで。

前回の続き・・・・
スノードーム教室の後、渋谷に戻ってPIZZA OF DEATHが主催する「PIZZA OF DEATH」を見た。出演はNine Days Wonder、Comeback My Daughters、Your Song Is Goodの三組。Comeback My Daughtersのライブは、今年3回目。ニューアルバムが出ているわけではないので、演奏する曲が毎回それほど違うわけでもないのに、つい見に行ってしまっています。そして見るたびに、風貌もぜんぜん違うし、性格も年齢も違うと思われるメンバーたちが、どうゆう経緯でバンドを組むことになったのか不思議に思ってしまいます。私の中では、ヴォーカルの人が店長をやっているサーフショップに集まる人たちで結成されたバンド、という勝手な妄想が定着しているのだけれどね。でも、曲がいいのはもちろんのこととして、突飛なギミックはまったくないけれど、バンドとしての一体感がすばらしい。
はじめて見たYour Song Is Goodも、オルガンのサイトウジュンがはしゃぎまくりの予想通りの楽しいライブ。やっぱりこういうバンドはCDよりもライブの方がいいですね。いつかワンマンでみたいです。ひとつ気になったのは、途中でサイトウジュンが、PIZZAの話をしているときに「健くん」といっていたことですね。サイトウジュン、いったい何歳なんだ。今どき横山健のことを「健くん」という人はそういないと思うが・・・・(横山剣のことを「剣くん」と呼ぶ人はもっといないが・・・・)。Studio Grownでビークルのビダカトオル(1968年生まれ)に対しては「トオルくん」と言っている記憶がないので、1969年生まれ、同じ歳なのかな?それにしても「娘よ、帰ってきてくれ」「あんたの歌は最高だよ」というバンド名はどうなんでしょう。Nine Days Wonderについてはなにも語るまい・・・・。

「青春放浪」-檀一雄-

いままで「美味放浪記」や「檀流クッキング」といった料理に関する本以外、檀一雄の本を読んだことはなかったのだけれど、古本屋の100円均一の棚に積み重ねられたなかから、なにげなく取り出してみて最初ページをめくってみたら、次のような文章が目に入ってしまい、読んでみる気に。

「尾崎一雄さんに『なめぐじ横町』という作品がある。この小説は主として、尾崎さんと私が、不思議な同居生活(?)をしていた時期を中心に書かれたもので、忘れていたことで思い出したところもあり、どうにも記憶にかえって来ないようなところもあった。」

この後、何十年ぶりかに曽我にある尾崎一雄の家を訪ね、電車の中でちょうど乗り合わせた尾崎一雄の娘さんと話をする。家に着くと入り口まで迎えに来た尾崎一雄に20歳になった彼女のことを、「僕の恋人と言ってもいいくらいの歳になった」なんてことを言って苦笑される。そのやりとりがなんとなく檀一雄らしく、尾崎一雄らしくていい。
しかし話の内容は、戦前、檀一雄が大学の頃、学校にも行かず友人たちと長屋で共同生活をしていたり、軍隊から出て満州に渡ったりと、まだ作家として作品を書き始める前の時代のことが中心。酒まみれ、行き当たりばったりの生活が、どこか当時の世相と歩調を合わせているような、浮いているような、不安定な雰囲気を醸し出している。

週末、出張みづゑ教室の「キラキラスノードーム」に参加して実際にスノードームを作ってみました。スノードームを集め始めて5年くらい経つけれど、実際に作るのははじめて。というか、自分でスノードームを作ることなんてこれまで考えたこともない。
2時間という短い時間ということもあって、ガラスの瓶を使った簡単なものなのだけれど、久しぶりに粘土をこねたりすると、できはともかくとしてなんだか楽しい。久しぶり、というか小学生以来になるんじゃないだろうか?そもそも私は絵とか粘土とか大の苦手で、これからの人生もう二度と絵なんて描かないと決めているほどなのだ。実際、「ガキの使い~」を見てて浜ちゃんの絵を笑えないしくらいだし・・・・。そういうわけなので、できあがったものは小学生が作ったようなものなのだけれど、まぁ自分で作ったものなのでちょっとだけ愛着がわいたりするし、身の丈を考えればこれ以上は望むまい、という感じですかね。

「私の人物案内」-今日出海-

予定ではこの本を取り上げるときに、鎌倉のイワタコーヒーなどについて書こうと思っていたのだけれど、なかなか読み終わらなかったり、書くことがなかったりしたせいで先走ってしまいました。
そんな鎌倉に、昭和7年頃移り住んだという今日出海の交友録である本書では、永井龍男や小林秀雄、林房雄、大佛次郎、久米正雄・・・・など、鎌倉にゆかりのある作家たちが数多く登場して、私にとって興味深い内容となっているのですが、それは知っている作家が登場するから、というだけでなく、その作家の本質をつくような意見をさりげなく書きつつ、それを裏付けるようなエピソードを巧みに紹介するといった書き方や、対象(人物)に対する今日出海の見つめ方のおもしろさという部分が大きいような気がします。井伏鱒二の軽やかな交友録・ポルトレ(肖像)にはかなわないけれど、もっとこの人の書いたものを読んでみたいと思わせるポルトレです。
ついでに書いておくと、今、鎌倉文学館では「文学都市かまくら100人展」が12月18日まで行われています。先日、鎌倉に行ったときに知ったので、私は行けそうにないけれど、川端康成や夏目漱石、芥川龍之介から井上ひさし、なだいなだ、高橋源一郎といった最近の作家までリストアップされたちらしをみていると、ちょっと無理をしても行ってみるべきかなと思う。遊吟舎というブックカフェもできているみたいだし、近いうちにまた行こうと思ってます。冬の鎌倉は寒そうですだけどね。

実を言うと、私は中学受験と高校受験で鎌倉の学校を受験しているので、どうも冬の鎌倉というとそのときのことが思い浮かんでしまう。中学はちょっと受けてみようという感じで落ちたし、高校は滑り止めだったので、第一志望の公立高校に入学したので、けっきょく鎌倉まで通うことはなかったけれど、もしどちらかの学校に通うことになっていたらどういう学生時代を過ごしていたのだろうか。感化されて今ごろでもサザン・オールスターズとか普通に聴いていたり、サーフィンなんかしてみたり(笑)するのだろうか。もしくは学校の雰囲気に反発して実際の私と同じように、スミスとかニックヘイワードなんかを聴いて、週末になると横浜のタワーレコードや、ユニオンに通うという学生生活を送ったのだろうか。どうでもいいことだけれど、想像してみるとちょっと楽しい。

「回想の本棚」-河盛好蔵-

河盛好蔵は、阿佐ヶ谷会のメンバーとしていつか読んでみたいと思っていた人。阿佐ヶ谷会でフランス文学者といえば、青柳瑞穂の名前がすぐに思い浮かんだりするけれど、この本ではその辺の交友録についてはあまりふれてなくて、ちょっと肩すかしだったりします。

ところで会社の引越しがあって、先週から新しいオフィスに通い始めたのだけれど、読書時間がかなり減ってしまったような気がします。時間的には今までよりもちょっとだけ通勤時間が短くなっただけなのだけれど、乗り換えが細かい。会社の場所がどこだかあえて書かないけれど、渋谷に出るまではこれまでと同じとして、その後、渋谷で乗り換えてひと駅、そこでまた乗り換えてふた駅で降りる、いう感じなのです。、それでは電車に乗って鞄から本を出して読み始めたとしても1ページか2ページで駅に着いてしまう。なのでこの雑記のペースも少し落ちるかもしれません。と、書くと単なるいいわけのような気が・・・・。
そういうこともあって、思い切ってiPodなんて買ってしまうのもいいかもしれないなんて思始めてますす。CSが見られるようになってからは、特に好きなミュージシャンが出ているわけでもなく、ヒット曲のPVが流れているだけでも、ついスペースシャワーとかMTVとかつけっぱなしにしてしまうので、CD買ってもあんまり家で聞いてないしね。といっても、困ってるわけでもないし、今すぐ欲しいというわけではないので、気長に考えることにしよう。ゲームという選択もあるわけだしね・・・・。そもそもゲームなんて今までほとんどやったことないですけど。