予定ではこの本を取り上げるときに、鎌倉のイワタコーヒーなどについて書こうと思っていたのだけれど、なかなか読み終わらなかったり、書くことがなかったりしたせいで先走ってしまいました。
そんな鎌倉に、昭和7年頃移り住んだという今日出海の交友録である本書では、永井龍男や小林秀雄、林房雄、大佛次郎、久米正雄・・・・など、鎌倉にゆかりのある作家たちが数多く登場して、私にとって興味深い内容となっているのですが、それは知っている作家が登場するから、というだけでなく、その作家の本質をつくような意見をさりげなく書きつつ、それを裏付けるようなエピソードを巧みに紹介するといった書き方や、対象(人物)に対する今日出海の見つめ方のおもしろさという部分が大きいような気がします。井伏鱒二の軽やかな交友録・ポルトレ(肖像)にはかなわないけれど、もっとこの人の書いたものを読んでみたいと思わせるポルトレです。
ついでに書いておくと、今、鎌倉文学館では「文学都市かまくら100人展」が12月18日まで行われています。先日、鎌倉に行ったときに知ったので、私は行けそうにないけれど、川端康成や夏目漱石、芥川龍之介から井上ひさし、なだいなだ、高橋源一郎といった最近の作家までリストアップされたちらしをみていると、ちょっと無理をしても行ってみるべきかなと思う。遊吟舎というブックカフェもできているみたいだし、近いうちにまた行こうと思ってます。冬の鎌倉は寒そうですだけどね。
実を言うと、私は中学受験と高校受験で鎌倉の学校を受験しているので、どうも冬の鎌倉というとそのときのことが思い浮かんでしまう。中学はちょっと受けてみようという感じで落ちたし、高校は滑り止めだったので、第一志望の公立高校に入学したので、けっきょく鎌倉まで通うことはなかったけれど、もしどちらかの学校に通うことになっていたらどういう学生時代を過ごしていたのだろうか。感化されて今ごろでもサザン・オールスターズとか普通に聴いていたり、サーフィンなんかしてみたり(笑)するのだろうか。もしくは学校の雰囲気に反発して実際の私と同じように、スミスとかニックヘイワードなんかを聴いて、週末になると横浜のタワーレコードや、ユニオンに通うという学生生活を送ったのだろうか。どうでもいいことだけれど、想像してみるとちょっと楽しい。