「遊園地の木馬」-池内紀-

◆絵本縁日@星と森と絵本の家
■日経新聞での連載をまとめたもの。勤めていた大学を退職したあとの日常生活の中のちょっとした出来事や思ったことをつづった随筆集。東京の下町を散歩して銭湯に入ったり、山に登ったり、温泉に入ったり、ウィーンに行ったり、大学の生徒たちと会ったり‥‥と、ある意味優雅な生活の断片が、心情とともにていねいに語られている。
このあとに読んだ川本三郎や常盤新平なども含めて、外国文学を研究したり紹介していた人が、歳を取って東京の下町を散歩したり、日本各地を旅するようになったのは、どういう心境の変化なのだろうかと思う。単に歳を取ってノスタルジックな気分になっただけとかでは説明できないような気もするけれど、もしかしたら単に自分の子どもの頃見た風景を、振り返っているだけなのかもしれないが。
「がんぽんち」などところどころに岩本素白について書かれたものがあり、岩本素白の本を読んだばかりだったので、読んでいてなんとなく気持ちが盛り上がってしまった。

■三連休3日目は星と森と絵本の家でやっていた「絵本縁日」へ。
テントの中で読み聞かせを行ったり、絵本のビブリオバトルが行われたり、歌や手遊びをするコーナーがあったり、木のペンダントなど自然ものものを使った工作ができたりと絵本に関連したさまざまなコーナー、そしてパン屋さんやコーヒー屋さん、子どもたちによるケーキ屋さんもあり大賑わいでした。
天気もよく幼稚園の友だちも何人か遊びに来ていて、子どもたちも庭で走り回ったりしつつ、家の中に入って顕微鏡を見たりおもちゃで遊んだりと思っていたよりも楽しめたよう。年に一度のイベントということもあり、絵本が置いてある家に入れるのに待つくらいだったので、絵本をゆっくり読むという感じではありませんでしたが、それはイベントがないときにでもまた来てゆっくり読めばいいかと。

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■「絵本縁日」のコーヒー屋さんでコーヒーを買ったときに淹れてもらっている間に「家でもコーヒーをよく飲むんですか?」と聞かれ、つい「いえ、あんまり飲まないです」と正直に答えてしまい、その後、微妙な雰囲気に。まぁ実際、朝、インスタントコーヒーを飲むくらいで、ドリップするのはお休みの日の昼間に家にいたときぐらいになってしまってる。豆も挽いたものを買ってきてしまっててそれがいつまでも残ってる。
夜は、たいていビールやらワインやらアルコールに走ってしまうので、休日の朝くらいはちゃんとコーヒーを淹れないと、コーヒーのドリップの仕方を忘れそう。
大好きだったマンデリンフレンチがカルディで売られなくなってから、なんとなくコーヒーを淹れて飲むって気分が薄れてしまったような気がする。

-■今日のBGMは、The Explorers Clubの「Freedom Wind」。2008年のアルバムなのだけれど、もう何年も洋楽の新譜ってちゃんとチェックしてないので最近知りました。ジャケットでも分かるように1曲目から、ストレートなビーチボーイズリスペクトで、しかもかなり完成度が高い。いや、完成度が高すぎてちょっと笑っちゃうくらいでもある。完全に60年代マナーでありながらなんとなく2000年代の音のような気がするし、かといって、60年代のサウンドを2000年代の音楽として再構築しなおしているわけでもないので、もうこれがいつの時代の音楽なのかまったく分からなくなってしまう。そういう意味では普遍的ななのかも知れないけれど、これを若い人が聴いてどのように思うのかも想像つかない。
ジャケットも中古のアナログ盤のちょっと汚れた感じをわざと出していたり、裏ジャケはミレニアムだったり細かいところにこだわっているところもいいです。
セカンドアルバムの「Grand Hotel」では、ビーチボーイズだけでなく、A&Mサウンド(ジャケットはティファナ・ブラスっぽい)、ソフトロック、映画音楽を間口を広げたハーモニーポップになっているようで、こちらも近いうちに手に入れようと思ってます。

■明日ははけのおいしい朝市in江戸東京たてもの園!あの三丁目の夕日みたいな町並みの中がどんな風になるのか今から楽しみです。天気予報が雨なのが気になりますが、そうは言ってもはけ市まで雨の予想だった時も、当日は降らなかったりしているので、大丈夫なことを祈ってます!そんなわけで今から明日は雨だから、なんて思わずに、明日の様子を見て遊びに来てくださいね。お待ちしています~

「ひとり歩き」-佐多稲子-

◆「関田孝将 スプーンからお店まで」@circle gallery & books
■この本、完全に飛ばしてました。「身辺雑記」「小説や作家の話」「旅行や長崎、東京について」と大まかに3つのテーマに分けた作品を収録した随筆集。ソ連からヨーロッパを旅してトルストイなどの作家たちのお墓に行く話や、堀辰雄、広津和郎、壺井栄、土門拳といった友人についてつづったものがなんとなく印象深いかな。三月書房の本は小さいけれどわりと中身は多いので、こうやって章を分けて収録されていると気分が変わって読みやすい。大げさに言えば3冊読んだ気分。

-■連休二日目は、谷保にあるcircle gallery & booksでやっている「関田孝将 スプーンからお店まで」を見に行ってきました。関田くんは金属を中心にさまざまな素材や技術を使って、キッチン用具・照明器具・家具・店舗の看板などを作っている造形作家。独特の世界を持ちつつ、でも抽象的なものへは向かわずに、自分たちが日常で欲しいもの、そして使えるものを制作し続けているところがすごいと思う。
circle gallery & booksの内装の多くも関田くんが手がけていて、本棚や階段の手すりなども展示されているものとあわせてじっくり見ると、蔵全体(circle gallery & booksはもとは蔵だったところを改装して利用しているのです)が関田くんの作品みたいな気分になってより楽しめます。ということもあり、今までもいくつかの場所で関田くんの作品を見たけれど、ここでの展示が一番なじんでいたように思えます。

-■この個展の「スプーンからお店まで」のお店のほうにあたる(?)「ラマパコス」というお店がオープンしました。場所は、谷保駅から歩いて5分くらいのところでcircle gallery & booksからも近いです。関田くんと小沢利佳さんの住居を自分たちで改装したお店でギャラリー的な感じになるそう。わたしたちが行ったときは関田くんや写真家の利佳さんの作品、東欧で見つけてきた雑貨などが店内に置かれていました。天気もよかったし、ガラス戸を開け放して開放感のある空間でいい雰囲気。これからどんなものがお店に置かれていくのだろうとか、どんな作品が展示されるのだろうと思うと楽しみです。
ちなみに「ラマパコス」という名前は、以前、石田倉庫のアートな二日間などに出店していたカレー屋さんの名前だったので、お店に行くまではカレー屋さんと思ってました。お店に行ったら席などもないし、関田くんたちは、先に来ていた友だちとのんびりと話しているし、「幸田さん、ワイン飲む?」とか言いつつワインやジュースを入れてくれるし、最初の1分くらいは頭の中を「?」が渦巻いてました。同じように考えていた人もいたらしく、お店に入るなり「えーカレーないの?」と言われていたりしていました。

■2009年から続いていたNHK FMの「元春レイディオ・ショー」が先週で終了。2000年代に入ってからの毎回聞いていたわけでもなく、放送時間に家にいて作業を行っているときにときどき聞くくらいでしたが、80年代の「元春レイディオ・ショー」を聞いていた身としては終わってしまうのは寂しい。去年は小西康陽の「これからの人生。」が終わったし、3月はいろいろ終わる季節。そういう中で20年以上続いている「サンデーソングブック」はすごい。
ちなみにジングルになっているマリ・ウィルソンのレコードは、伊藤銀次が貸したものらしい。これいいから聴いてみなよってレコード貸したらぜんぜん返してくれなくて、しばらくしたら番組のジングルとして使われてた、と伊藤銀次が話してました。

■毎回参加させていただいている東京蚤の市のちらしが届きました。今年はいつもより1週間早い5月17日、18日の二日間になります。今回は北欧市も同時開催されるようです。またきちんと告知しますが、今から予定を空けておいてくださいねー

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「ロッパの悲食記」-古川緑波-

◆「101年目の植田正治『軌道回帰』」@アツコバルー
■昭和19年、33年の日記と食に関するエッセイという構成。特に19年の日記は普通の人からすれば「悲食記」とはまったく言えないくらい食べまくっているのだけれど、ロッパの食べ物に対する執念がすごすぎて悲しいのか滑稽なのかただ圧倒されるのみでした。
前半と後半に戦争末期(昭和19年)と戦後(昭和33年)の食物日記、その間に食べものに関するエッセイを挟んだ構成がいい。
菊池寛に戦前に一流のレストランでごちそうになった思い出をつづったあと、戦争が始まり「僕あ、ああいう美味いものを毎日食いたいと思って、努力を続け、漸く、それ位のことが出来るようにな身分になりました。ところが何うでしょう先生、食うものが世の中から消えてしまいました」と菊池寛に言うところなど、この人らしい言葉が満載で、この倍くらいの分量で読みたくなるほど。

-■毎月第三週水曜は渋谷のエッジエンドへ。最近は渋谷に行くのなんて、このイベント時だけになってます(?)。月に一回になっちゃってるので、いろいろ行きたいところがあるなーなどと思いつつ、アツコバルーで3月12日からやっている「101年目の植田正治『軌道回帰』」を見に行く。
今回の展覧会では、1986年に私家版として1000部限定で発表された「軌道回帰」や山川惣治をモデルにした写真などが展示されています。去年行われた「植田正治の道楽カメラ」もそうだったけれど、規模は小さいながら、テーマや展示方法、展示される写真の形式(今回はあえて印刷)などこだわりのある展示がうれしい。
ここはお酒も飲めるのでほんとはゆっくり時間のあるときに行って、おつまみでもつまみつつゆっくりすごいしたいところなんですけどね。下にあるクラフトビールが飲めるGoodbeer FAUCETSも気になってます。

■今月のインザパシフィック@エッジエンドは、レギュラーメンバーが二人欠席したせいかギターポップがたくさんかかって、いつもと違う雰囲気でそれそれで楽しかった。そんな影響もあって、帰ってきてからThe Hang-UpsとかThe Orange Peels、Kincaid、Bikerideといった1990年後半から2000年代初めのアメリカのギターポップを聴いている。キンダーコア、フィルターレコード、エレファント6、ミンティ・フレッシュ、マーチ・レコーズ‥‥といったレーベルの屈託のない明るいサウンドがいまでもわりと好きで、ときどき何かのきっかけがあると聴き直したりしてる。春ですねぇ~こんな曲たちをiPhoneに入れて簡単なスピーカー持ってピクニックに行きたい。去年は、春分の日近くに花見をしたけど、今年はそういう雰囲気ではまだないですね。

■三連休の一日目は、上野の国立科学博物館へ。朝起きた時はそんなところに行く気もなく、午前中スプンフルさんに行ってのんびりと話し込んだりしていたため、ついたのは1時過ぎ。当然、全部見れるはずもなく、地球館だけざっと見て日本館は次の機会に。まぁ一日いたとしても子どもたちの体力的に全部見るのは無理そうだし、当然、全部の展示に興味があるわけではない。今回は恐竜の化石を中心にわかりやすいところをさらって見た感じでした。これから機会があるたびに見に行ったらその時々でいろいろ興味の移り変わりが分かって楽しいのではないかと思う。といいつつ、最近、漣くんは図書館に行くたびに宇宙に関する本を借りてきているので次は日本科学未来館に行きたいな。

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「虚の焦点」-鈴木信太郎-

◆週末は風邪をひいて寝込んでました
■こけしややマッターホーン、神田志乃多寿司などの包装紙のイラストでおなじみの画家のほうではなく、大正時代、翻訳さえもあまりされてなかった頃からフランス文学を研究し、東京大学文学部長をつとめたフランス文学研究の第一人者。大正から昭和にかけてのフランス文学の翻訳事情やフランス留学の話、辰野隆、豊島与志雄、山田珠樹などの仲間との交流、フランスのマラルメの研究者との交流など黎明期ならではのエピソードが興味深く、おもしろい。

■海外の文化を貪欲に吸収していこうとするさまは、年が明けてから毎回のように大滝詠一の話をしているような気もしますが、細野晴臣が「Daisy Holiday」で語っていた大滝詠一との出会いを思い出したりした。大滝詠一が始めて細野晴臣の家に来たときに、ヤングブラッズのシングル盤をステレオの上に置いておいて試したこと、バッファロー・スプリングフィールドのアルバムをレコードショップで見つけた大滝詠一が細野晴臣が買いに来るまで何時間も買われないように番をしていたというエピソード、「当時ね、わかったかわかんないかって大事だった」という話とか‥‥あ、強引ですかね。

■ちなみヤングブラッズのシングル盤の話は、80年代、小西康陽の家に初めて細野晴臣が来るというときに、ロジャー・ニコルスのアルバムをステレオの上に置いておいたという話につながります。小西康陽の場合は、試すのではなく回答なんだろうけど。

■3月になったのでiPhoneに入れているエレクトロニカ系の音楽を全部消して、イギリスのハーモニーポップに入れ替えてみた。今年の冬はあんまりエレクトロニカ~電子音楽を聴かなかったかも。入れ替えてみてよく聴いてるのはフレッシュメンかな。フレッシュメンは、1965年に北アイルランドで結成されたビーチボーイズフォロワーのバンドで、数曲のヒットも出している。かなり忠実にビーチボーイズのコーラスに迫ってるし、曲もアレンジもいい。でもどこか突き抜けた感じがないんだけれど‥‥なんてつい言ってしまうのではアイルランド出身という先入観に違いない。

■そう、たぶん、このバンドが紹介されるときに必ず言われるだろう「アイルランドでなぜビーチボーイズ?」という疑問は、世界各国の音楽を貪欲に食い散らかしている日本人が言う資格はなし。写真を見るとサーフィンをやるような感じではない、いかにもアイルランドの人という感じのごついメンバーが7人並んでいるのだけれど、どんな風にして7人ものメンバーが集まって意気投合し、バンドが始まったのかだろう?ある日、友だちに誘われてその友だちの家に行ったらステレオの上に「ペット・サウンズ」が置いてあったりしたのだろうか?(結成年とサウンドからから考えると「サーファー・ガール」や「リトル・デュース・クーペ」か?)なんて考えるとちょっと楽しい。アイルランドのサーフィン&ホットロッドの黎明期の話(妄想)

■週末は風邪をひいて寝込んでました。なんかここ一年で4回目くらい?前は、後から考えたらあの時無理してたのが悪かったと原因が思い当たったものだけれど、最近は原因が思い当たらない場合が多い気がします。あぁ歳を取ったということか?
今回は、金曜の昼くらいから熱っぽくなって、ちょっと早めに会社をあがって8時に寝てそのままご飯もほとんど食べず、日曜の昼まで寝てました。今回はそれほど熱が高くなることもなくて、最高は土曜の夜中に計ったとき8度3分だったので、まぁなんとかなったけれど、ほんとうなら土曜の午前中に病院に行くべきだったと思う。風邪をひいたらしっかり寝て自分の回復力に身を任すのだ、という人もいるけれど、わたしの場合は、39度近くになりがちなので、とりあえず薬で熱を下げないことには始まらない。でも会社の近くの病院が信用できないってのが難点なのです。

-■日曜の午後は風邪も直ってきた感じだったので、家族で「ウルトラマンギンガ」の劇場版を見に行く。制作費をあまりかけられないんだなあという感想しか出ないような内容でした。4歳と2歳の子どもが見るには十分なのかもしれないけれど。
わたしが子どもの頃は、ウルトラマン、仮面ライダー、戦隊シリーズという大きな3つの子ども向けの特撮番組がありつつ、そのほかにB級、C級の特撮ものがたくさんあったという記憶があるけれど、今ではその3つの番組がB級的な扱いに落ちてしまっているような印象。中でもウルトラマンの凋落が激しい気がするのは、ターゲットに大人も含めて新機軸を打ち出した仮面ライダー、あくまでも子どもがひっかかるギミックで押しまくる戦隊シリーズの間でターゲットが定まらないためか。意外と大きいってことがネックになってる気もしないでもない。

「森本書店 24号」

◆行けなかった喫茶店あれこれ
■そういえばこれについて書くのを忘れてた。前々から読んでみたかったフリーペーパーを、2月のはじめに高円寺のAmleteronでようやく入手(この号はフリーではなく300円)。そのときすでに数冊しかなかったので、もう手に入らないのかな。わかりません。
安田謙一、岡村詩野、平川雄一、犬伏功、キング・ジョー、江村幸紀、松永良平、菅野カズシゲ、樋口大輔、武末亮、藤瀬俊、オーナー森本泰弘といった人たちが、森本書店で2013年に再生時間の長かったレコードからレコードのマトリクスナンバー、1980年代初めのゲーム音楽、フリーペーパー、ソフビ‥‥などについて執筆していて、50ページくらいの小冊子ではありますが、内容は盛りだくさん、かつ濃密。写真なども素敵なものが多いですよ!

電車の中とかでさっと読んでしまうのがもったいなくて、木曜の夜、会社帰りに荻窪に寄ったときに、これを読むために6次元にでも行ってみようと思っていたけれど、10時までに荻窪に着くのは無理でした。

■最近はそうでもないのだけれど、昔は喫茶店で本を読むのがなんとなく苦手でした。なんかまわりの様子が気になってしまって集中できなかったんですよね。そんなわけで、喫茶店ではわりと軽めなエッセイとかをよく読んでました。あ、今は軽めの随筆しか読んでないから喫茶店でも普通に本が読めるのか?
それから古本屋やレコード屋を回った後には必ず、喫茶店でライナーノーツやクレジットを読んでましたね。20年前は、今ほどディスクガイド的な本も少なかったし、ネットもなかったから、ライナーノーツに書かれている内容が大きな情報源だったような記憶があります。
そんなわけで、ときどきそのレコードを買ったときとか思い出とか自分の話ばかりで、全然そのCDやミュージシャンについて書いてなかったりすると、ちょっとなんだかなぁという気持ちになったものです。まぁ小西康陽のはそれはそれで楽しめるんですけどね。
今は簡単にバイオグラフィーとかディスコグラフィーをネットで調べられるけれど、そういう時代になって、ディスクガイドがたくさん出版されるようになったのはなんでなんでしょうね。

-■先週の金曜は有給をいただき、子どもたちを連れて四谷三丁目にある消防博物館に行ってきました。いつの時代も小さな男の子は働く自動車が好き。去年、暁くんをべビーカーに乗せて行ったのですが、ここはビルの中に自動車が展示されているので、ベビーカーで階を上ったり下りたりするのは面倒。今年はベビーかなしで四谷まで行ってみたものの、博物館についたとたんに暁くんが寝るというアクシデントが発生。12キロの子どもを抱っこしながら階段を行ったりきたりするのはつらかったし、おまけに漣くんも「もう階段上りたくない」と言い出す始末。
というわけで、お父さんが楽しみにしていたフクナガフルーツパーラーでフルーツサンドを食べるという計画は断念、サイゼリアでごはんという羽目に‥‥。しかし平日の消防博物館は子どもを連れたお母さんの団体が多くて、なんだか居心地悪いです。

■続けて、週末は三鷹にあるJAXAへ(住所は調布か)。自転車で30分くらい。いつの時代も小さな男の子は働くロケットや飛行機が好き。というわけで、飛行機の実験機などの展示を見たり、動かしたりして楽しんだ後、漣くんのみ工作教室へ。集まったのは4歳から11歳までの子どもたち、ということはうちの子が最年少。
最初にJAXAの説明や飛行機が飛ぶ仕組みなどが紹介されるものの、大きな子どもたちがいろいろな質問に答えている中、漣くんは暇そう。お父さんも眠くなってくる。ちょっと資料から目を離して、顔を上げたら前に座ってるお父さんも熟睡中。
工作はゴム動力のプロペラ飛行機を作るというものだったのですが、こちらも一からは作れないので、わたしが作ったものに絵を描いたりするくらい。もう少し大きくなったらまた参加しよう。

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■JAXAから三鷹駅のほうに向かう途中にある古本カフェフォスフォレッセンスによく行っていたのは、三鷹台に住んでいるときだったか、久我山に住んでいるときだったか?ここでお茶してから、上々堂やパレードとか行って、そのまま吉祥寺を回って帰ってきたものです。あのなくなってしまった古本屋さんはなんて言ったっけ?
久しぶりにこの辺に来たので、フォスフォレッセンスに行きたかったけれど、さすがに小さな子どもを二人も連れてフォスフォレッセンスでお茶するのは無謀過ぎる。最近は、点滴堂や水中書店といった古本屋さんが三鷹にできているので機会があればいろいろまわってみたいと思う。

「林芙美子随筆集」-林芙美子-

◆3月30日にはけのおいしい朝市@江戸東京たてもの園に参加します~
■林芙美子というとやはり「放浪記」のイメージが強い。で、「放浪記」というと森光子のでんぐり返りが思い出されてしまっていまいち読もうとする気も起きないし、ましてやどこかで「自分の作品が世に出て認められるためには、ほかの作家を蹴落とすことでも目立つことでもなんでもする、手段を選ばない自己顕示欲のかたまりのような性格」などとという文章を読んでしまったらなおのこと。なんて思いつつも、「下駄で歩いた巴里」とかこの随筆集は読んでみたいと前々から思っていたのはなんでだったのだろうか?

この随筆集では友人との交流や住んでいる下落合周辺の様子など身辺雑記的な内容を中心に、旅に出たときの話や恋愛感などが加わるのだが、どれも楽しみながら書いている(いや、楽しみながら暮らしている)感じが伝わってきてよかった。中にはちょっとしたいざこざと書いたものとかありますけどね。恋愛感などはこの時代に女性がこういう考え方を書くということはどういうことだったんだろう、なんてちょっと思ったりしますが、実際にこの時代の人たちが、どういう考え方で恋愛をしていたか分からないのでなんともいえない。昔はこうだった、なんて紋切り型で示されることのほとんどは、人も思い込みの積み重ねでしかないからだ。
岩本素白の随筆を読んだ後だからかもしれないですが、(分量も含めて)もう少していねいな編集だったらよかったのにともちょっと思ってしまいますが‥‥

■3月に入ったので、もうダッフルコート、ニット帽、手袋で通勤するのはやめよう。少しくらい寒い日があっても我慢する、と思っていたのだけれど、2月の終わりに暖かい日があったと思ったら急に寒くなってしまい、まだニット帽、手袋が手放せない。自転車で駅までに行くときが寒いんですよね。
ニット帽は10年前くらいに買ったSILASのものをずっとかぶり続けてます。よく見ると外側が色あせてきているが、あまり気にしてない。代官山なんてもうずっと行ってないけど、どうなってるのだろう?今行ったら迷ってしまいそうだ。ボーネルンドもあるし暖かくなったら行ってみようかね。そういえば昔は、子どもが生まれたら子ども連れでOKURAに行きたいって思ってたな。

-■3月30日に小金井公園の江戸東京たてもの園で行われるはけのおいしい朝市に、参加します。今回は開園20周年&30棟完成 江戸東京たてもの園フェスティバルの一環として、30のお店が、下町風情が漂う昔の商家・銭湯・居酒屋などが立ち並ぶ東ゾーンに並びます。カヌー犬ブックスは、去年、小金井神社で行われた50回記念のときと同じく、レコード屋のHigh Fidelityさんと一緒に出店します。
まだどんな本を持っていくか、ちゃんと決めてませんが、場所にあわせてちょっと古めの本を中心に持っていきたいと思っています。ほんとは外に出店するときにいつも使っているカラーボックスではなく、もう少し渋い雰囲気の本棚にもしたいところなんですけどね。ちなみに本屋さんとしては、ニチニチ日曜市おなじみの古本泡山さんとやぼろじでギャラリーも運営しているcircleさんも出店します。

小金井公園は、武蔵小金井からバス5分というちょっと行きにくい場所ですが、たぶん、咲き始めの桜も楽しめる時期なので、江戸東京たてもの園だけではなく小金井公園でものんびりと楽しめるのではないかと思ってます。

 →はけのおいしい朝市オフィシャルサイト
 →はけのおいしい朝市オフィシャルブログ
 →江戸東京たてもの園フェスティバル

「忍び草」-川崎長太郎-

◆手紙社さんのアカテガミー賞の授賞式に行ってきました~
川崎長太郎の本を読むのは2冊目かな。
小田原の魚屋の長男として生まれにもかかわらず、家も継がず文学を志して東京に出るものの、東京での生活に行き詰まり小田原に戻り、37歳の時から20年以上、実家の庭の片隅にある二畳ほどの物置小屋での一人住まい。台所もないため三度の食事は外食(ちらし寿司多し)トイレも公衆便所に行き、外の明るいうちは散策、夜は読書と執筆という生活を送った作家。作品の内容は、どれもその生活ぶりや月に数回の遊郭通いや時折その物置を訪ねてくるファンの女性との関係などをつづった私小説なのですが、その女性との金銭のやり取りなどまで書かれていてすごいです。
何年か前に芥川賞を取った西村賢太を思い出すような生活ぶりですが(よく知らないけど)、昔の作家はこういう人がたくさんいたんだろうな。文学を志した段階で不良扱いだし、この後、読んだ鈴木信太郎の本でも東大に入ってフランス文学を専攻したときに親が嘆いたというエピソードが出てくるしね(東大なのに‥‥)。

この本では、まず川崎長太郎の実家について何代にもわたって苦労しつつ、魚屋として独り立ちした経緯が描かれていて、そのあと、師でもある徳田秋声や田畑修一郎、宇野浩二といった友人のことが描かれ、後半以降は年代を追って小田原での生活を、そして60歳を超えたときに30歳年下の女性との結婚し、その二人での暮らしの様子までが描かれている。そのため、最初に一人暮らしをしている背景や過去が分かるので、初めて川崎長太郎をはじめて読む人でも分かりやすい。
特に起伏があるわけでもない日々をつづった文章で、かつ読点で区切られた一文が長い文章にもかかわらず読みにくさが感じられないというところにこの人の作家としての文章の力を感じます。

しかし実家の手伝いをするわけでもなく、ほかに職を探すわけでもなく、日々を暮らしていく状況を何十年も続けているというところ、そして家族も特に手を差し伸べるわけでもなくそのままにしておくところに、鬼気迫るものを感じますね。もしあるのなら父親や家業を継いだ弟の話も読んでみたい気持ちにさせられます。

まぁ何冊か読んでみたら同じエピソードが出てきたりして、もういいや、ってことになるのか、それでもおもしろく読めるのか、どちらになるか知るためにももっと読んでみたいかな。
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週末は雨。2月以降雪が降ったりと週末の天気がよくなくて家にこもりがちです。それでも土曜の夕方には漣くんを連れて手紙社さんのアカテガミー賞の授賞式にちょっと行ってきました。会場となった柴崎になる手紙社の2nd STORYは、なかなかいく機会もなくて去年、開店する前のお披露目のとき以来になります。
おつまみを一品持っていくという形で、わたしはスプンフルさんのマフィンを持っていったのですが、皆さんの持ってきたおいしいものを食べながら、普通にビールをおかわりしてりして、しかも授賞式の途中で帰るという、何しにきたの?と言われそうな感じですみません。でも出席した人とちょっとだけ話したり、受賞された方のすてきな作品などちょっとでも見れてよかったです。


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一つずつ手作り(?)された羊モチーフのトロフィー&スクリーンの前で記念写真(笑)

なお当日は手紙舎さんの新しいお店troisのお披露目もありました。こちらは2nd STORYの上の階にあるアパートメントの一室を改装したお店で、テキスタイルや布をテーマにした作品、商品が、屋根裏をテーマにしたというお店の中に並んでいていい雰囲気でした。

しかし、新しく地下になった調布駅はいまだに慣れず、帰りは柴崎から各駅停車に乗り、調布で一本橋本行きを見送った後、逆側のホームについた準特急に乗ったら、それも橋本行きだったという‥‥パルコ側のホームで橋本行きとか、橋本行きが二本続くなんて、5年以上調布に住んでいたわたし(かなり前のことですけど)には罠としか思えません~

「素湯のような話」-岩本素白-

◆スプンフルさんとシャトー2Fさん
素白先生の随筆は、いろんなものが沈殿した水槽の上のきれいなところをていねいにつづりつつ、時折深いところが見え隠れする感じが好き。「酒は飲まず煙草は吸わず、碁も打たず将棋も指さず、謡も謡わず茶も立てぬ、世間的に云えば無趣味極まる男である。暇さえ有れば独り杖を曳いて気侭に歩くだけの事である」とはいうものの、自分の好きなものに対するこだわりは徹底しているし、専門分野の探究に関してもストイックというか厳しい考え方を持っていることが、そこかしこでうかがえます。そしてものすごく記憶力がいい。その深く広い知識と過去の記憶を軽やかに行き来し、それが無理なく表現されているという随筆がおもしろくないわけがない。

ところでカヌー犬ブックスでは、家の近くにあるスプンフルと武蔵小金井の駅の近く(でもない?)にあるシャトー2Fというカフェに本を置かせてもらっています。

-スプンフルさんには、去年の2月くらいからイベントで使っている四角いボックスを3つ分ほど本を置いていて、ボックスごとにちょっとしたテーマを決めて本を持っていっています。気持ちとしては、毎週、1つのボックス分の本を毎週入れ替えていこうと思っているのですが、最近は2週間に一回ぐらいになってしまっている感じですね。
ちなみに今週のテーマは「紙」。包装紙や封筒などのかわいい紙を紹介した本から切手、ぽち袋、フリーペーパー、ダンボールで作る子どもが遊べる家具の作り方などを紹介した本を置いています。

たいてい、土曜日に漣くんを幼稚園に送った後、迎えに行くまでの間に、本と暁くんを台車に乗せてスプンフルさんに行き、ついでにコーヒーを飲んだりスコーンやマフィンを食べながら、お店の人と話したり、スプンフルある丸太ストアの中で暁くんを遊ばせたりしながら本を入れ替えています。
スコーンもマフィンもおいしいのですが、わたしが好きなのはクッキーですかね。ちょっとやわらかめのクッキーに大き目のチョコなどが入っていて、ときどき家で食べるように持ち帰ったりしています。もちろんカレーやキッシュ、クスクスなどごはんメニューもおすすめ。それから夏になるとソーダやチャイ、スムージーなどいろいろな種類のドリンクがあるのもうれしい。

丸太ストアは、スプンフル以外にはお惣菜屋、お肉屋、魚屋があります。古い建物の中に昔からあるような小さな商店が集まっていて、お店の人も親切で温かくて、いい雰囲気。そして魚もお肉もここで買ったものを食べたらスーパーで買ったものが食べられなくなるくらいおいしいのです。うちは駅から離れていて周りは住宅街(?)とちょっと離れて大きな公園があるようなところなんで、近くにこういうお店があるのはほんとにうれしいです。

シャトー2Fのほうは、去年の12月から60cmくらいの本棚に本を置かせていただいています。こちらも月一くらいで本の入れ替えを行えればと思ってはじめたのですが、なかなか行区ことができない状態になっています(申しわけありません。)。始めたばかりなので特にテーマは決めてませんが、これから続けるにしたがって置く本の傾向を決めていければと思っています。カフェの置くにはキッズルームもあるので、半分くらい絵本を置いてもいいかな、とかね。

シャトー2Fも武蔵小金井に昔からあるシャトー小金井というちょっと大き目の建物の2階にあるギャラリーも併設したカフェ。カフェのメニューは漣くんと同じ幼稚園に通うお母さんが担当していて、幼稚園やはけのおいしい朝市のメンバーが集まったりしています。店内も広くゆったりしているのでキッズルームで子どもを遊ばせながらごはんを食べたり、本を手にとってもらえればと思っています。

ちなみにシャトー小金井にはほかにスポーツクラブや居酒屋、バー、などもあり、初めて行ったときはなんか不思議な建物だなぁと思いました。今では遅く帰ったときなどときどきその中の居酒屋で一人で飲んで帰ったりしてますけどね。

 →tiny little hideout SPOONFUL
 →KOGANEI ART SPOT シャトー2F