■去年のクリスマス近くにたまたま機会があって、自分へのプレゼントとして買った写真集。ラルティーグが生涯に渡って作り続けたとされる写真スクラップブックを模倣して作られていて、写真自体は印刷されたものですが、台紙に一枚一枚張り付けられてあり、余白にラルティーグによるコメントが記されているという凝ったつくりになっている。まぁ収録されている写真自体は特に目新しい発見はないけれど、こういう形でまとめられて眺めると、ラルティーグの写真の全体像が具体化される感じがする。これがあったらラルティーグの写真集はもういらないなという気もしないでもない。いや、といいつつ、どこかで見つけたら買ってしまうかもしれない。
■去年の9月に会社が引っ越して、通勤とかちょっと楽になったけれど、近くに本屋がないのが不便。前は昼休みに青山ブックセンターやIMA CONCEPT STOREをちょこっとのぞいて写真集をチェックできてよかった。アマゾンは買うのは便利だけど、やっぱり新しい出会いはあまりないんですよね。特に写真集の場合は、本の大きさや写真の画質、全体の質感を確かめてから買いたいと思うので、画面でレコメンドを追っているだけでは、難しい。そもそもレコメンドで出てきた本が気になったとして、それだけじゃ買うまでいかなくて、ほかのサイトで写真家についてやその本について調べることになるので、まぁまぁ時間がかかってしまう。オリオンパピルスも閉店しちゃったし、写真集を手に取って見る機会がほんとなくなってしまった。
近くに写真展を行うようなギャラリーもないし、六本木はいろいろ不便だったりしたけど、今になって思うと周りは充実していた気がする。
■小沢健二の19年ぶりのシングルが出たり、Bridgeが再結成したり、今何年なんだよと言いたくなるようなニュースが飛び交ってますね。とりあえず「流動体について」はミュージックステーションに出てるのを聴いただけなので、いったん保留。アルバムが出たら買うかなと思うけど、曲自体が90年代後半のシングル盤の曲を引き継いだものなので、アルバムは出なくて、シングルが2、3枚出て、そのままという感じになるのかもしれない。そのほうが「オザケン」らしい。CDは買わないけど、ラジオとか有線とか聴こうと思っていないところで流れたらちょっとうれしい。しかし「Eclectic」と「毎日の環境学」はなかったことになっているのねー
Bridgeのほうは先日のPenny Arcadeの再結成ライブにシークレットで出た後、一回ライブをやるだけみたい。「22年間メンバー全員が揃った事がなかったバンド」だけに新しい曲を作ったらどうなるのかすごく期待しちゃうけど、そういうことにはならないんだろうね(うん、そのほうがいい)。
■前回、フランス文学者の本をよく読んでると書きながら、続いて読んだのは英米文学者の福原麟太郎。読んだ本についての雑記的や学生たちの話、英語教師についてから吉田健一や芥川龍之介、そして比較的長めのチャールズ・ラム論などを英文学者の視点でつづった随筆で、翻訳者のエッセイの源流といった感じでしょうか。
■2010年に刊行された本で身辺雑記的なものと回想録とが混じり合ったエッセイ集。直接パリにいたときの話を素材にした作品は表題作のみで、ほかは著者が過去に出会った人や気になったとのかかわりをつづったものが収録されてます。どの作品も現在と過去を行き来したり、寄り道をしたりするのだけれど、散漫になることもなく話にふくらみがあって、引き込まれるように読んでしまいます。
■副題が「映画。グレンミラー。そして神保町の頃」となっているように、内容もその3つのテーマに分かれている。映画では、片岡義男が影響を受けた映画の映画音楽について、グレン・ミラーは自身の原点ということもあり、そのバイオや所有しているレコードの一枚一枚について詳細に語っている。そして神保町の頃では、若いころに神保町の喫茶店で原稿を書いていた頃の回想やその喫茶店でかかっていた音楽、そしてその頃の神保町の街について、当時の写真を元につづっている。
■フランスに留学していた時に古物市で見つけた、1938年の消印のある古い絵はがきにつづられた十行の詩を発端に20数年にわたる縁を描いた物語。
■11月くらいからずっと70年代のソウルを聴いてます。Johnny BristolとかLeon Ware、Lamont Dozier、Alice Clark、Syreetaといったフリーソウル的なものや、Chi-LitesとかEugene Record、Tyrone Davis、Impressionsといったシカゴソウル、Chairman Of The BoardやBarrino Brothers、Norman Feelsといった70年代のノーザンソウルとかね。聴きはじめた時はファンクを中心に聴こうと思っていたんですけど、やっぱこの辺が好きなんだなと思う。
■亡くなる直前まで入院していた伊豆韮山温泉病院のベッドでつづられた日々の断片的な文章を中心に、70年代後半に発表された本や映画、ニューヨークでのことについてつづった単行本未収録のエッセイが収録されている。
■植田正治の集大成的な写真集が出たとのことで、それを記念して15日まで神楽坂のla kaguというところで写真展が開催されていることを知り、神楽坂に行ってみました。
■澁澤龍彦の反対日の丸パンから、ロマン・バルトのてんぷら、谷崎潤一郎の柿の葉寿司、ポール・ボウルスのモロッコ料理そして明治天皇の大昼食まで、古今東西の芸術家が好み、レシピを残した料理を実際に作って食べて語った本。こういう本ってわりと写真が中心になってしまい、文章はそれを簡単に説明するだけ、みたいな形になりがちなんだけど、それらの料理と芸術家たちのエピソードはもちろん、それぞれの国や地域、そして時代に根ざした文化的な背景が詳しく記されてるところがいい。
■後藤繁雄の本は1冊だけポラロイドカメラで撮った写真集「Wasteland guide」を持っているんですが、ちゃんとした文章を読むの初めて。旅先での風景がポラロイド独特の淡い色合いで切り取られている15cm四方の小さな本で、中の文章もふくめてけっこう好きで、ときどき見返したりしているんだけど、なんとなくほかの本に手をのばすきっかけがなかったんですよね。
■「食」をテーマに編んだアンソロジーシリーズの、カレーライス、お弁当、おやつに続く第4弾。ちょうど夏くらいに出たこともあり、夏の間に読もうと思っていたら夏が終わり、次の夏が来て今年こそはと思いつつも秋になり、3年目にしてようやく読めた感じです。
■西荻の南口を出て左に入ったところすぐにあるヒュッテは、オーナーが山好きということでアウトドアでもよく使うスキレットをいたメニューやスキットルによるウィスキーのマイボトルキープ、山のかたちの箸置など山をテーマにした山小屋バル。1階は立ち飲みスペース、1階は座って飲むスペースになっています。
■今年の夏はレゲエのシングル盤をちょこちょこ買っていたので、それに合わせて改訂された方を読んでみた。情報もかなり増えて厚さも倍くらいになってます。よくあるディスクガイドとは違うワクワクする感じがこの本にはあると思う。まぁ半分以上はわかってないんですけどね。逆に前に読んだ改定前の本で、わかってなくて読み飛ばしていた内容が20年近く経っておもしろく読めたりするのも楽しい。レゲエのシングル盤ブームはいつものわたしのブームのように夏が終わる前に不完全燃焼のまま収束してしまったけど、これがきっかけてこれからも気が向いたときにレコードをチェックする感じになりそうなので、また5年後、10年後に繰り返して読み返すのだろう。
■で、今週末は東京蚤の市です!なんと10回目!今回は北欧市だけでなく豆皿市も同時開催されるし、八角テントのライブもカジくんや畠山美由紀といった前回までの人に加え、なつやすみバンドや栗コーダーカルテット、ボノボの蔡忠浩、ビューティフルハミングバードと盛りだくさんでますます盛り上がりそうです。お店のほうも200店舗以上が出店、たしか1回目は120か130店だった記憶があるので10回を経てかなり増えましたね。