■前回、フランス文学者の本をよく読んでると書きながら、続いて読んだのは英米文学者の福原麟太郎。読んだ本についての雑記的や学生たちの話、英語教師についてから吉田健一や芥川龍之介、そして比較的長めのチャールズ・ラム論などを英文学者の視点でつづった随筆で、翻訳者のエッセイの源流といった感じでしょうか。
この本は、どちからかというと、福原麟太郎やその内容よりも花森安治が装幀を手がけた本といてのほうが有名なんじゃないかな?花森安治関連の本でもよく見かけるし、わたし自身もこの本を知ったのは花森安治関連の本だったような気がします(福原麟太郎自体の名前はほかの所で知ったのだけれどどこだったか忘れました)。初期の「暮しの手帖」の表紙を思わせるようないい装幀です。
■土曜は一人で外出の日、ということで、例によって神保町をうろうろしたりしつつ、銀座のグミオギタギャラリーでやっていた、“漫画家の絵本の会”の作家作品を集めた「植田俊一郎コレクション展」を見てきました。“漫画家の絵本の会”は、おおば比呂司、手塚治虫、永島慎二、馬場のぼる、東君平、柳原良平、やなせたかしの7人で、展覧会では原画や版画・陶器などが展示されていました。
藤子・F・不二雄ミュージアムで見た漫画のカラー原稿もきれいでしたが、手塚治虫や永島慎二の原画もきれいだったし、「味のある旅」などカヌー犬ブックスでもときどき取り扱っているおおば比呂司のコペンハーゲンなどの駅の絵も、やはりほんとは違う味わいでよかったです。個人的には柳原良平のアンクルトリスの陶器のお皿が欲しい!(売っていたわけではないですが)。
馬場のぼる、東君平、やなせたかしなど、子どもたちが親しんでいる作家の絵もあったので、もう少し家から近ければ、そしてもう少し早く知ったなら(当日、武蔵小金井から御茶ノ水までの電車の中で調べた)、家族4人で行きたかったですね。
■ついでにIt’s a Sony展も見ようと思ったのだけれど、Part1とPart2の入れ替え時期で開催されておらず。ザンネン。そのまま移動するのもなんなので、ギンザグラフィックギャラリーの「仲條正義 IN & OUT, あるいは飲&嘔吐」展へ。こちらは「MOTHER & OTHERS」テーマにした新作のポスター20点あまりと「花椿」のページが展示されています。展覧会のタイトルもそうですが、ユーモアのある発色のきれいなポスターに囲まれ、真ん中にはどーんと「花椿」が展示されていて不思議な空間になっていました。しかし仲條正義ってもう83歳なのね。ポスターだけを見たら83歳の感覚とは思えないなぁ。