「冬の薔薇」-秋山ちえ子-

◆蓮沼執太のインストアライブとかカヌー犬ブックス8周年記念20%オフセールとか
秋山ちえ子さんは1957年から45年間「秋山ちえ子の談話室」というラジオ番組のパーソナリティをつとめた人で、「大晦日のローストビーフ」「春・夏・秋・冬 女の食卓」「雨の日の手紙」「82歳のひとりごと」といったラジオ番組などを通じて出会った人々とのエピソードや身辺の出来事をつづった随筆集や昭和40年代から50年代の高度成長期に取材した人たちを10年後に再度訪問するという「十年目の訪問」などの本も出しています

この本は77歳、喜寿を迎えた記念としてまとめた本。
前にも誰かの本で、誰かが三月書房から出している小形の本が気に入っていたので、今回何かの記念に自分でも出すことができた、みたいなことが書いてあったような気がするのだけど、記憶があいまい過ぎて調べようがない。三月書房自体も少人数でやっている小さな出版社みたいだし、そういうつながりで出している本もわりと多いのだろうか?

そしてウィキペディアを見てみたら秋山ちえ子さんは、1917年生まれでまだ存命のよう。喜寿どころか今年珍寿なのですね。しかも2005年まで自身のラジオ番組を持っていたとのこと。ちょっとびっくり。

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金曜の夜は、スパイラルレコーズでやっていた、蓮沼執太のインストアライブを見に行ってきました。当然ですが蓮沼執太のライブを聴くのは初めて。
蓮沼執太は、生楽器中心のオーケストラ編成の蓮沼執太フィル、コンピュータが中心のソロである蓮沼執太チームなど、さまざまな形態でライブを行っているのだけれど、今回は蓮沼執太バンドと称して、蓮沼執太(鍵盤)、Jimanica(ドラム)、千葉広樹(ヴァイオリン)、石塚周太(ギター)、斉藤亮輔(ギター)の5人のメンバーでのバンド編成。まぁこれは最後にメンバー紹介をしたとぎにはっきり分かったことで、会場は人が多くて、最初から最後まで演奏している様子を見ることはできず。ライヴ・レコーディングを素材にしたアルバム「wannapunch!」で聞かれるような、フレーズが組み合わさり、絡み合うような曲がどのように演奏されているのかちょっと見たかったですね。
練習する時間があまりなかったというわりには息もぴったりで、バンドのサウンドとしてストレートに演奏されていて、蓮沼執太のブレイヤーとしてのすごさを実感しました。機会があれば、ちゃんとしたライブを見てみたいです。

ところで、話が変わりますが、6月10日でカヌー犬ブックスは8周年を迎えました。まあいろいろありましたけど、なんとかここまで続けてこられたのも皆さまのおかげです。ほんとうにありがとうございました!
ここ数年はいろいろやりたいこともありつつ、あまり実行できないという感じでしたが、10周年に向けて少しずつ前に進んでいきたいと思っておりますので、今後もよろしくお願いいたします。

そんなわけで、8周年記念ということで6月10日(金)から24日(金)まで、全品20%オフセールを行っています。前から欲しかった本や買い逃していた本、あるいは買うかどうか迷っていた本などがありましたら、この機会にぜひご利用ください。

「ふらふら日記」-田中小実昌-

◆はけのおいしい朝市@中村文具店
ちゃんと照らし合わせていないけれど、なんとなく読んだことがあるものばかりなので、ほとんどがちくま文庫の田中小実昌エッセイ・コレクションの<旅>編に収録されているのかもしれない、いや、読んだことがある気がするだけで分かんないです。いつでもバスに乗って“ふらふら”とどこかに行き、行った先でお酒を飲んで“ふらふら”と酒場をはしごする様子がつづられているので、読んでいるほうもときどきコミマサさんがどこにいるのか分からなくなって“ふらふら”してしまいます。
たぶんものすごくたくさんの知識と経験を持っているにも関わらず、実際の“もの”はほとんどなくて、所有にもこだわらず、ほぽ手ぶらな状態で、“ふらふら”と歩きまわる生き方はほんとうにうらやましい。

そういえばエッセイコレクションも最終巻の<自伝>を読んでないや。今度読もう。んでもって気持ちだけでも“ふらふら”としながら過ごしていこう。

さて、日曜ははけのおいしい朝市。前にPetalでやっていたときに何回か行っていたけれど、 dogdeco HOMEでやるようになってからはあんまり行かなくなってしまってました。そんなに遠くなったわけではないけれど、通り道かどうかっていうのが大きい。それから、朝市の時だけじゃないけど、素敵な植木の置いてあってその横で出茶屋さんのワゴンがあって、小さなテーブルとイスが置いてあって、みんなで囲むようにコーヒーを飲みながらマフィンを食べたりしている、というPatelのお店の前の雰囲気がよかったということもあるかな。(そういえば前は参加しているお店が持ち回りで朝市の会場にしてましたね)

今回は、dogdeco HOMEと中村文具店での2か所での開催とのことで、60年間、小金井でお店をやっていたという文房具店の倉庫に眠っていた古い文房具や、それを再生させたオリジナル商品があるらしい中村文房具店が気になっていたのと、近所にあってミオ犬がしょっちゅう行っているスプーンフルというカフェがdogdeco HOMEのほうに出店するということだったので、あわよくば両方まわれたらいいかな、と。

中村文具店では、「文具店で、ちょっと座っていきませんか」と題した手づくり手紙キットのワークショッブやオヤコデねっとによるひらがなやカタカナが白抜きで書かれているポストカードに自由に絵を描くという「これなーんだ?」があり、奥ではYUZURIHA+アチパンの日本茶カフェがあって、ガレージの中は子どもたちでいっぱい。そんな中で漣くんもお絵描きに夢中になってしまったので、予定では、文房具を見てアチパンでパンを買ってさくっと移動する予定だったのですが日本茶をいただきながら抹茶のマフィンを食べたりしてのんびりしてしまいました。

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ガレージの中だけでなく、お店が路地というには広く、でも車が行き交うわけでもない道路に面しているので、子どもたちが多少店から出ても安全だし、こういうワークショッブをするにはいい場所でしたね。

ところで、家に帰ってちょっと調べてみたら、中村文具店って南口の商店街に合った文房具店だったんですね。わたしたちがここに引っ越してきてしばらくたった頃、閉店セールをやっているのを見つけていろいろ文房具を買ったのを思い出しました。
そう考えると引っ越してきて一年半くらいしか経ってないけど、駅前の様子など武蔵小金井周辺はかなり変わりましたね。そもそも線路がまだ高架になってなかったですよねえ(遠い目)。

「口福無限」-草野心平-

◆SLが料理を運んでくるお店でお祝い
週末は金曜をお休みにして3連休でした。
特にどこかに出かけるというわけでもなかったのですが、金曜の昼間は家でのんびりして(というか午後、家族3人で思いっきり昼寝してしまったのだ)、夕方から国分寺に出て行き、小平にあるいろりの里というところで食事をしました。

いろりの里は、国分寺といっても住所は小平、玉川上水沿いにあって、敷地内には日本庭園が広がっていて、まさに”武蔵野”という感じのレストランで、その庭園を個室から眺めながら、しゃぶしゃぶやすきやき、海鮮料理といった料理を楽しむことができます。

なんでわざわざそんなところまで行ったかと言えば、部屋の外にレールが敷いてあって蒸気機関車が料理を運んでくれるのです!しかもそんなギミックだけではなく、料理もおいしいらしいし(ミオ犬は昔ここで食事をしたことがあったらしい)親子3人とも満足できる素敵なレストランなのですよ。って大げさか。もっと近くにあったら頻繁に行くのに!いや、うそです。平日ランチでも2500円のコースなんてそうそう食べられません。

実際は、全部の料理をSLが運んできてくれるわけではなくで、しゃぶしゃぶのお肉とデザートの2品だけなんですが、ほかの部屋に料理を運んでくるときも窓の外に出てSLを見たりするので、食事をしている間、わりと頻繁にSLが通ります。その度にほぼ全室で大騒ぎになるのですが、SLが戻って行った後は個室に入って窓を閉めてしまえば静かに料理を食べられます。

しかしなんでSLなのかはちょっとなぞ。

そして隣の女の子(漣くんと同じ2歳。女の子はおしゃべりがはやいねぇ)が大騒ぎしているのに気遅れしてるのと場所見知りで、SLは気になるけど、いまいち緑側に出ていくことができない漣くんなのだった。SLの音がすると窓を開けてその隙間から外を見たりしてるのですよ。この辺はなんか「自分の子だな~」と思ってしまうところですね。
でも、「このお肉おいしいねえ」という親の声に反応して、いきなり、しゃぶしゃぶの生肉に食いつくようなところは、「自分の子とは思えないなあ~」と思ってしまいますけど。

「阿蘭陀まんざい」-鈴木信太郎-

◆画家の鈴木信太郎とは知らずに買った本
実を言うと、この本は、フランス文学者のほうの鈴木信太郎の「記憶の蜃気楼」と並べられ置いてあったのを内容もろくに見ずに値段だけで見て両方買ったので(両方とも500円!)、読み始める直前までフランス文学者の鈴木信太郎の本だと思ってました。

それで、前に読んでいた本が読み終わって次に何を読もうかと本を函から出してみたら、なんだか可愛い装丁で、ちょっと意外だなぁと思い、さらにページを開いてみたら、あの特徴的なイラストとそれに添えられた「す」の署名が目に入って、そこで洋画家のほうだと気がついた次第。
いやや、作品集だってなかなか手に入らないのに、まさか洋画家の鈴木信太郎の本を“読める”なんてね、ほんと本は出会いだなーとかなんとか‥‥文章の内容としては、医学博士である永井隆博士の「花咲く丘」の挿絵を担当したことがきっかけとなった長崎旅行の様子を中心に日々の出来事などがイラストとともにつづられています。

中には住んでいた荻窪の様子や挿絵を担当した井伏鱒二の家を訪問した様子なども書かれていたり、荻窪~吉祥寺~三鷹台~久我山といったエリアに暮らしている(た)人たちの家の地図が描かれてあって、それに合わせるようにそれぞれの人についての思い出などがつづられていたりして、阿佐ヶ谷文士のつながりと重なる部分もありつつ、また違った杉並に住んでいた人々の相関図が分かって興味深い。

鈴木信太郎自身は、荻窪から三鷹台に引っ越すことになるのですが、昔の三鷹台の駅のイラストを見ると、何年か前まで三鷹台、久我山に住んでいた私としては、もちろんイラストに描かれている駅とはぜんぜん違いますが、それもまたうれしい気分になってしまいました。

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なんていうことをツイッターでつぶやいたら、三鷹台に住んでいる友だちが、鈴木信太郎の家のすぐ近くに住んでいて、孫と歳が近いこともあって子どもの頃、よく遊びに行っていたことが判明。なんだかすごい。鈴木信太郎家はなぜか庭によく小銭が落ちていたらしいです。次に一緒に飲みに行く機会があったら詳しい話をいろいろ聞きたいな。

ちなみに鈴木信太郎が引っ越していったあとの荻窪の家には、棟方志功が引っ越してきたそう。となれば、6月5日まで荻窪の「6次元」でやっている「デザイナーとしての棟方志功展」を見に行くしかない!あんまり時間もないけどタイミングを見て会社帰りに絶対に寄らなくては。

「リーズンズ・トゥ・ビー・チアフル」-バーニー・バブルズ-

◆バーニー・バブルズの本と国立のバラ園
バーニー・バブルズは、エルビス・コステロやニック・ロウ、イアン・デューリー、ダムドといったスティッフレーベル、またスクィーズやビリー・ブラックなどのミュージシャンのレコードジャケットや「NME」のロゴなどを手掛けてたグラフィックデザイナー。1983年に亡くなっている。何かを調べていたときに偶然知って、さらに検索してみたら、小西康陽の「200枚のCDを聴く。」という連載にこの本のことが書かれていたのを見つけたのだった。もっともそこで小西康陽はこの本を褒めている、というわけではない。
ずっと絶版になっていたのだが、最近2ndエディションが出て、アマゾンで買えるようになったので、すぐに買えなくなってしまいそうで慌てて購入。

わたしはあんまりレコードジャケットの本を持っているわけではないのだが、これとジャイルス・ピーターンンが監修したボサ・ノヴァのレコードジャケットを集めた本は買おうかなと思っている。あぁそうだ小西康陽と常盤響の「いつもレコードのことばかり考えている人のために。」も買っておくべき?正直“いつもレコードのことばかり考えている”わけでもないですけどね。

さて今日は、TAIYODOがフジカワエハガキでお店を出していたので、散歩ついでに国立へ。
駅近くの中華料理店でお昼ご飯を食べてから、珍しくお休みの匙屋の前を通り、やっているのを見たことがないフードムードで半開きのシャッターの中をのぞいてみたり、お休みのお店が多い中いつものようにやっているレットエムインの店内を見たりしながら、フジカワ工八ガキに行ってみると、お店の前ではアグネスさんが菅藤さんとしゃべってて「おお!偶然!いいタイミングだね」なんて話していたら、通りの向こうからともきくんが自転車でやってきて、なぜか「みんな丘へ!」の仲間が続々と集合。

お店の前でお茶を飲みながら話しているうちに盛り上がってきて、これまた「みんな丘へ!」のメンバーであるハタノくんが勤めているひかりフラワーというバラ園にみんなでいく。

ひかりフラワーは、国立の北口の通りをずうっと行ったところにあるバラを中心した園芸店なんですけど、敷地がかなり広くて、さまざまな種類のバラが、鉢植えになっていたり、地面に植えてあったり、アーチに這わせてあったりして、買わなくても見ているだけでかなり楽しい場所でした。パラを見ながら紅茶やケーキなどを食べることのできるカフェもあります。
加えて、わたしたちは仕事中のハタノくんに園内を案内、一つ一つのバラを解説してもらって、かなり賛沢な時間を過ごさせていただきました。

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バラ園の入り口

漣くんも花を見てはいちいち「これかわいいね~」とか「これきれいだね~」と大声をあげながら園内を走り回ってました。すぐに花に触ろうとするので、親としてはけっこうドキドキ。あと、園内をまわっている途中で、折れていたバラをハタノくんが切ってくれたのですが、それを振り回しながら走り回る漣くんを見てると、あきらかに子どもが勝手に枝を折って振り回しちゃってる図で、それはそれでまたちょっとドキドキしちゃったりして‥‥。

国立の駅から遠いんですけど、花の咲いている時期にもう一回くらい行きたいですね。

「春の坂」-上林暁-

◆本の五月祭@高円寺あずま通り
増田れい子の「春の予感」、木山捷平の「耳学問・尋三の春他」に続いて、春になったら読もうと思って本棚に積んであった本。気がついたらもう5月も半分過ぎてしまってますけどね。

日曜は、漣くんとお出かけ。ミオ犬には、吉祥に行ってくるって言って家を出たんだけれど、パスの中で、ツイッターを見ていたら、あまりにもいい天気だったこともあって、高円寺の本の五月祭に行き先を変更~!
本の五月祭は、高円寺の駅から古書会館まで行くときに通るあづま通りを会場とした縁台ふるほん市を中心に、古書会館で行われているちいさな古本博覧会やライブ、卜一クショーなど本に関するさまざまなイベントが行われるお祭?なんですけど、遊びに行く側として今の気持ちとしては、子ども連れということもあり、“本”だけのイベントだとちょっと物足りないんですよね。じゃ何がいいのかと言われると分かんないけど‥‥。

あづま通りは、たいていBGMに童謡のインストがかかっていて、「亀は意外と速く泳ぐ」でふせえりがやっているようなアナウンスが入ったりするような通りで、地味な感じがわりと好き。なかなか行く機会ないですけど、最近はいい感じの飲み屋や古本屋などが増えてきてるみたいです。

さて、本の五月祭。
いやね、子どもの生活に合わせてると、普通に起きて、ご飯食ぺて、洗濯とか掃除とかして、そのまま出かける用意をして出かけると、武蔵小金井から出たとしても、普通に11時半くらいには、高円寺についてしまうんですよね。まして、今回は、途中で行き先を変更したので、開催時間が12時~18時なんてチェックしてなかったので、みんなまだ準備をしているという状態。通りを歩いていて半分くらい来た時に「もしかしてまだちゃんと始まってない?」って気がつきました。

それでも、三月書房の小型本など何冊か購入。こういう狭い通りでまわりにお店みたいなところがあると漣くんもけっこう歩いてくれるし、天気もいいし、これで、ちょっとした食べものや飲みものを売っているお店が出ていたり、入りやすそうな喫茶店があったりしたらいいのにな、って思いました。
あとで考えたら出店はあったのだけれど単に時間が早かったのでお店の準備ができてなかった、喫茶店は時間が早いので当然あいてない、ってことだったのかもしれません。次回は行く機会があったらもう少し時間を見ていきたいと思います。

ちなみにお昼は、4丁目カフェでピザを食べました。先週の福生に続いて2週連続ピザ、そして、ゴールデンウィークに立川のmarumi-yaに行ったときに知った「電車から見える建物は、建物からも電車が見える(可能性がある)」という法則(?)どおり、4丁目カフェからも中央線・総武線がよく見え、漣くんも大ほしゃぎ。お店自体もざわざわしてるし、子ども連れにおすすめ、というほどでもないです。子ども連れでも可、くらいか。

「ニュードキュメンタリー図録」-ホンマタカシ-

◆「ホンマタカシ ニュー・ドキュメンタリー」@東京オペラシティ アートギャラリー
土曜日に初台のオペラシティでやっているホンマタカシの「ニュードキュメンタリー」を見に行ってきました。会社帰りにギャラリーに寄ったりしたことはあっても、ちゃんとした美術館なんて行くのはほんとうに久しぶりな気がします。漣くんも連れて家族3人で行ったので、片方が展覧会を見ているあいだ、もう一人は外で漣くんと遊んでいる、というちょっと面倒なやり方だったけれど、思ったよりもゆっくり見ることができました。

周りを見てみたら、赤ちゃんを抱っこしていたり、小さな子どもをベビーカーで連れた夫婦が何組かいたし、意外と見に来ている人が少なかったから、静かにしていたら子どもと一緒でも大丈夫だったかも?なんて思ったりしましたが、うちの子は声が大きいし、最近は、勝手にベビーカーから降りて自分の気になるほうに歩いて行ったりするので、まあ無理ですね。

それとは別に、金沢でやっていたときにもけっこう話題になってたし、子どもがいるいないに関係なく、混んでてゆっくり見れないんじゃないかと思っていたので、あんまり人がいなかったのは意外でした。やっぱり単純に「かわいい!」って思えるような川島小鳥の「未来ちゃん」とかのほうが人気なのだろうか?

というのは、同じ女の子を撮った写真でも、ホンマタカシの場合、素直に「かわいい!」って気持ちで見れないのね。「Tokyo and My Daughter」ってタイトルがついてるにもかかわらず、ホンマタカシの娘じゃない(みたいだ)し、ホンマタカシが撮ったもの以外の写真も混ざっちゃってる(みたいだ)し、しかもこの女の子の日常とはまったく関係ない(みたいな)広範囲の東京の風景が挟まったりして、いちいち立ち止まって考えちゃうんですよ。
ほかの写真も同じような感じで、作品を見て進めば進むほど、疑問が浮かぶような仕掛けがしてあって、大げさに言うと疑心暗鬼になってしまう。
それで「ニュードキュメンタリー」というタイトルがついているんだと思うだけど、金沢21世紀美術館にしろ東京オペラシティアートギャラリーにしろ、こんな大きな会場でそんなことするなんて、なんだかおおげさだなぁという気もちょっとします。なんとなくそれぞれのシリーズが、一つのギャラリーで行われている展覧会というイメージかな。

もちろんこの写真展で提示されている「写真とは何か」とか「ドキュメンタリーとは何か」、さらに言うと「真実とは何か」みたいな問いかけについての答えはないです。だいたいこの展覧会だけでそれを提示することは不可能なわけで、そのあとは個々にホンマタカシの作品を見たりや著作を読んだり、またホンマタカシ以外の写真家の作品を見たりや著作を読んだりして、自分なりの答えを見つけていくのかもしれない。

ただ私が思うのは、ここ10年のデジタル化によって、写真が真実を写すという幻想はまったくなくなってしまったのではないかなということ。こういう問いかけをするための世界観の構築ってデジタルを使用することで簡単にできるようになってしまった気がしますし‥‥。

それと、今、写真を見たりしている人にとっては、そこに写っているものやことが、真実だろうか真実でなかろうが関係なくて、写真の中のものを真実として受け取れるような世界を構築したり、そのために個性を前面に押し出してくるような、写真(家)のほうが、求められているのかも、なんてことも思ったりします。いや適当。

わたしはホンマタカシみたいな“考える写真家”好きですけどね。というか、ホンマタカシは、個性とかじゃなくて、その問いかけをするための世界を構築するテクニックや感性、それを裏付けるための知識の使い方がすごいんですよ。

それで実はこの写真展のポスターにもなっている「Tokyo and My Daughter」からの女の子の写真さえもホンマタカシが撮ったものじゃなかったりして‥‥。

「いつも夢中になったり飽きてしまったり」-植草甚一-

◆立川のmarumi-ya
たいていの植草甚一の本はタイトルがよいのだけれど、これはその中でも1、2を争うんじゃないでしょうか。
インパクトのある植草甚一の写真をうまく使った筒の函も凝ってるし、こういう本を手に取ると「スクラップブック」とか「●●誌」のようなアンソロジーもいいけれど、きちんと単行本を集めておきたいな、と思いますね。

内容はといえば、ジャズやロックや外国小説、映画、雑貨などについて、植草甚一のあのいつものような文体で書かれていて、この本だからという特徴はあまりないです。ただ個人的には、テーマを決めて組まれたものよりも、この本や「ワンダー植草・甚一ランド」「ぽくは散歩と雑学がすき」みたいにバラバラの内容を寄せ集めたもののほうが好き。というよりも、テーマが決まってると途中で飽きてきちゃうんですよね。昔はそんなことはなかったので、単に歳をとって、植草甚一の好奇心について行くだけの体力がなくなってるだけなのかもしれませんが‥‥。

さてさて、今年のゴールデンウィークは、あっという間に過ぎてしまったような気がします。去年、一昨年は、漣くんもまだまだ小さくて、ほとんど出かけるということもなくて、ときどき親戚や友だちが遊びに来るほかは、近くの公園とかに出かける程度だったので、4日くらい休むと、なんかずいぶんゆっくりしてる気がするけどまだまだ休みなんだなぁ~なんて思ったものでしたが‥‥
とはいうものの、今年も一泊二日で伊豆に行った以外は、吉祥寺や立川、国立など近場に出かけただけだったし、それもたいていは4時か5時くらいには帰ってきてしまうという感じだったのですが、やはりちょっとでも出かけると気分的に違うものですね。

それにしても、毎日のように13キロ近くある漣くんを抱っこして出かけてると、4日日くらいから肩が痛くなってきて、これからもっと子どもがアクティブになっていったらどうなっちゃうのか、なんてちょっと心配。などと思っていたのですが、連休中、一日自由時間ができて、ひとりで高円寺の古書会館を中心に中央線の古本屋レコード屋巡りをした次の日の朝の筋肉痛のほうがひどかった、という‥‥。どんだけ本買って歩き回ってるんだか‥‥。
漣くんはすぐに抱っこをせがみながらも、時々は歩いてくれるけれど、本は絶対に歩いてくれませんもんね。

植草甚一が古本屋巡りをしていたせいで、歳をとっても足腰がしっかりしていたという話は有名ですが、それを実感したゴールデンウィークでした。

って、中身もないうえに、そんなオチもうどうかと思うので、連休中に行った立川のmarumi-yaを紹介します。

marumi-yaは、去年の9月に国立でやっていたワイワイ祭りに行ったときに知った、玄米ご飯をメインにしたメニューが食べられるお店です。ワイワイ祭りの時は、確か玄米が売れ切れたとかで食べられなかったのですが、そのあと場所をウェブで確認したら、立川に行くときに電車から見えるビルにあることが分かり、立川に行くたびに行ってみたいと思っていました。

今回初めて行ってみたそのピンクのビルには、marumi-yaのほかにもカフェや食器を売っているお店などが入っていて、外から見たちょっと古いピンクのビルの印象に似合わず、なかなかいい雰囲気。marumi-yaも窓が多くあり日当たりや風通しのよい部屋で、木製の古いテーブルやイスが置いてあって、カウンターの横には絵本が売られていたりして素敵なお店でした。

わたしが食べたのは鶏肉団子の甘酢あんかけ(もしかしたらちょっと名前は違うかもしれません)。漣くんが食べそうなものと思って頼んだのですが、それよりもミオ犬が頼んだはるさめにがっついてました。いまいち漣くんの好きなものが把握できてないお父さん。いや、甘酢あんかけも最後のほうは団子だけでなく“あん”までも飲んだりしてましたが‥‥。

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鶏肉団子の甘酢あんかけ定食

それから、前述したようにここは電車から見えるビルの一室なのですが、逆に、この部屋から立川に入って来たり出ていく電車が一望できるので、電車好きの漣くんとしては興奮しどうし。何か食べては「おいしい!」を連発し、電車が通るたびに「がたんがたん」を繰り返して、周りのお客さんが温かい人たちでよかったものの、静かなお店の雰囲気をかなり壊してました。すみませんっ。

ちなみにお店の人は、先日国立のヒラヤギャラリーで行った「みんな丘へ!」に来てくれたそう。わたし自身、イベントの時に話したりしたわけではなかったので、絵本を見ていたら声をかけられてびっくりでした。

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店内の様子

「鈴木信太郎展 親密な空間、色彩の旅人」-鈴木信太郎-

◆アースデイに行ってきました
先日は、フランス文学者の鈴木信太郎の本を取り上げましたが、今回は、その時にも書いたこけし屋やマッターホルンの包装紙などのイラストでおなじみの洋画家のほう。
手ごろな画集がなかったので、2006年10月から11月にかけて、横浜のそごうで行われた「鈴木信太郎展」の図版をとりあえず買ってみました。

中心となるのは優しく暖かい印象の洋画で、こちらもよいのですが、やはり気になるのは本の装幀。最後の方、参考資料としての掲載なので、ページ数にして5ページ程度に、宇野千代や石坂洋次郎、林房雄、尾崎一雄、獅子文六、源氏鶏太‥‥といった人の本が掲載されています。どの本も表紙、背、裏表紙、全体を使って一つのイメージとなるような装幀で、つい集めたくなってしまいますが、どう考えても無理なので、佐野繁二郎や茂田井武に続いて、誰か鈴木信太郎の装幀や挿絵などを集めた本を作ってくれないものだろうか?

ちなみにこの展覧会のほうはそごうで行われたの後、八王子の夢美術館でも開催されていて、こちらについては、堀井和子の「みてまわる日々」に書かれてました。

日曜は思ったよりもいい天気だったので思い切って代々木公園でやっていたアースデイに行ってきました。アースデイに行くと言っても基本的に体力のない夫婦なので、ライブをやトークショウを見たり、ワークショップに参加したり、ブースを隅から隅までチェックしたりということはなし。
原宿から渋谷までのんびり散歩ができて、カフェエイトのごはんを食べて、なんとなく目に入ったブースをのぞいたりできればいいかな、という感じです。カフェエイトは青山にあったときはかなり頻繁に通っていたのですが、中目黒に移転してからすっかり行けなくなってしまっているので、こういう機会があるとうれしいですね。

カフェエイトではわたしはテンペカツカレーを、カレーとかテンペとか漣くんにどうなのよ、と思いつつ買ってみたのですが、そんな心配は必要ないくらいガツガツと食べられてしまって、どちらかというとわたしのほうがちょっと物足りない気分。ミオ犬もりんごジュースをほぼ全部飲まれてたし、なんなんだかなぁ~うちの子。

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テンペカツカレー、シートの色が‥‥

そんなこともあって(?)渋谷まで歩いているうちに漣くんが寝たのをいいことに、親たちはマーガレットハウエルのカフェでお茶。カプチーノとレモンケーキを食べてちょっと満足。なんなんだかねぇ~この親たち。
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「装幀の本」-平野甲賀-

◆「みんな丘へVol.2」にたくさんの人にきていただきありがとうございました!
No.126ギャラリーでやっていた平野甲賀展の会場に置いてあったのを見て「やっぱり欲しいな」と思いなおしたのが、2007年夏。その前からずっと欲しいと思っていた本なのだけど、平野甲質展から考えてももう4年くらい前のことになるのかと思うと月日は早い。
あのときは代々木上原まで行って、ハリッツでド―ナツを買ったり、dish/Organic Cafeでごはんを食べたり、LOSPAPELOTEで本を見たりしてからのんびりと駒場東大前まで歩いたんだった。けっこう距離があったし、暑さがひいたタ方くらいに家を出たので、ギャラリーに着くころにはもう暗くなっていたという記憶があります。
機会があればまた代々木上原周辺~駒場東大前を散歩してみたい気がしますが、そんな機会があるのかなぁ~。

さて、この本では、初期の晶文社の本を含む1964年から1984年までの装幀や黒テン卜時代の演劇のポスターが収録されています。たぶんわたしのデザインに対する注意力と記憶力の問題なのだろう。こうやってまとめてみてみるとあれだけ個性的な描き文字にもかかわらず、平野甲賀と認識してなくて、あらためて「そういえばこれもそうだったな」なんて風に気づく本もあったりします。
もちろん“装幀”なのですべてが“描き文字”を使っているわけではないですけどね。
あと、最近出た平野甲賀特集の「アイデア」も買っておかないと。何年かして手に入らなくなったころに欲しくなる気がします。

さて、日曜日の「みんな丘へ!」は、天気にも恵まれて、たくさんの人に来ていただき大盛況でした。みなさまありがとうございました。
前回もそうでしたが、わたしは相変わらず出店者というよりもお客さんのひとりみたいな感じで楽しませていただいてしまいました。トンボベーカリーのパンやカレーを食べながら、アグネスパーラーのサンダリアやビール、夜になったらOH!TAKU1980のカクテルを飲んで、来てくれた人としゃべったり、漣くんと一緒に他の子どもたちと遊んだり、春の休日を満喫。
いやいや毎回そんな感じでもだめなので、次回はいろいろ考えてちょっと違うカヌー犬ブックスにしたいと思ってます~

ヒラヤギャラリーは、5月の終わりまで週末を中心に、カフェや展示などのイベントが行われるようなので、国立散歩がてら出かけてみてください。わたしもちょこちょこ遊びに行きます。スケジュールなどはヒラヤギャラリーのブログでチェックしてみてくださいね。~

 →みんな丘へvol.2の様子(ricamera’s photostream)
 →ヒラヤギャラリーブログ