「並木印象」-石田千-

◆ゴールデンウィークはフリーライブ三昧?Bloodest Saxophone、宮内優里そしてCOINN

石田千の本はテーマが決められているものがいい。でもその世界に入り込むとおもしろいのだけれど、気持ちが入らないと文面を上滑りするようでなかなか頭に入ってこなかったりします。優しい文体だけれど、さらっとは読み飛ばせない感じ。そこが石田千の本の魅力でもありますね。

ゴールデンウィークは近場をうろうろして、なぜかフリーのライブをよく見てました~

吉祥寺音楽祭の一環でパルコの前の歩行者天国で見たBloodest Saxophoneは中学のときの同級生がやっているバンド。中学に入った時に出席番号順の席ですぐ後ろに座ってたのがテナーサックスの甲田伸太郎でした。前々から母親から「伸太郎くんが今でもバンドをやっているらしいのだけれど知ってる?」と言われていたのですが、去年たまたまネットで見つけてfacebookでつながったりしてる。不思議。
-ジャイヴというか50年代のジャズやリズム&ブルース、ブルースに影響を受けたインストバンドで、いい意味でストレートなエンターテインメントなジャズの演奏がいい。パルコ前のライブでもプラターズの「「Twilight Time」を豪快にカバーしてました。機会があればライブハウスでビール片手に聴きたい。そういう音楽。声をかけたらわかってもらえてうれしかったです。高校は違ったし成人式もあまり記憶がないので、会うのはたぶん30年ぶりくらいですから。う~ん。

ミッドタウンの21_21 DESIGN SIGHTでやっている「デザインあ展」では、展覧会が始まった時から行こうと思っていた宮内優里のフリーライブ&ワークショップ。前日のUSTで展覧会のほうがかなり混んでいると話していたので見れるかどうかドキドキしていたのですが、11時前にミッドタウンにいくと会場の前はすでに長蛇の列になっていて1時間待ちというね‥‥。それでも後半、みんなで「あ!」とか言って録音する場面には間に合ってなかなか楽しかった。漣くんは例によって恥ずかしがってなかなか叫んだりしなかったけど、なぜか家に帰ってから突然「あ!」とか「ああぁ!」とか言い出したりしてあいかわらずでした。
展示のほうは体験型の展示が多く子供でも楽しめるものだったのですが、なんせ人が多くてなかなか順番が回ってこなくて、待っている間に暁くんがどこかに歩いてしまったり、漣くんも待つのにちょっと飽きてしまったりという状態。特に漣くんは強引にやりたいところに入っていったりするタイプではないしね。逆に暁くんは好き勝手に列に割り込んでいってしまったりするので、けっこうたいへんでした。結局一番気に入ったのはコーネリアスの音楽に合わせて壁に映像が映し出される部屋で、音楽に合わせて体を動かしたり映像を指さしてみたりしてはしゃいでました。しかしこの展示で1000円はちょっと高い気がしますがどうでしょ?
ちなみにワークショップで録った宮内優里の曲はまだ聴いてません。

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最後は立川のルミネの屋上でやっていた青空ガーデンでのCOINN。青空ガーデンにははけのおいしい朝市のメンバーも出店しており、子どもを連れた友だちもたくさんきていて、天気もよかったしこどもの日らしいいい雰囲気でした。COINNは3月にもセプチマで見たばかりだったのですが、セプチマといい青空ガーデンといいいい場所で見れてよかったです。
ミオ犬は漣くんと宇田川さんのワークショップで勲章ブローチを作ったり、暁くんは同じくらいの歳の子どもとじゃれたりして、わたしはクルミドコーヒーのカフェラテとシンボパンのパンを食べながらのんびりと鑑賞。

やっぱり夜、ライブハウスとかに出かけるのがなんとなく難しいので、昼にやるライブでできれば子どもが騒いだときにどこかに逃げられるところ、って考えると、なんとなくなにかのイベントでやってるライブに行くことになってしまうんですよねぇ。あ、だからみんな子ども連れてフェスに行くのか!

「マリオ・ジャコメッリ写真集」-マリオ・ジャコメッリ-

◆「マリオ・ジャコメッリ 写真展」&「アーウィン・ブルーメンフェルド 美の秘密」@東京都写真美術館

先週の金曜日は会社の引越しがあって5時に会社を出なくていけなかったので、写真美術館でマリオ・ジャコメッリとアーウィン・ブルーメンフェルドの写真展を見てきました。

マリオ・ジャコメッリは前の展覧会を見そびれてからずっと気になっていた写真家。今回もポスターに使われていた神学校の生徒たちが輪になっている写真が印象的でいつか写真集を買おうと思ってました。
一つのテーマで何枚かの作品で表現するという手法で、かつイタリアの日差しの強さをおもわせるような(まぁ実際に行ったことはありませんが)コントラストの強い写真は、鮮明に強く印象に残ります。神学校の生徒たちを被写体にした先の写真のような叙情的なものだけではなく、貧しい家に生まれ早くに父親を亡くし母親はホスピスで働いていたという生い立ちを反映し、ホスピスの老人たちや農夫、移民などを被写体とした社会的なテーマも扱っています。またシリーズや写真の内容によって現像の方法を大胆に変えているのも興味深かったです。この辺の違いはやはりプリントを見るとだとよく分かりますね。

アーウィン・ブルーメンフェルドの方は、「ハーパース・バザー」や「ヴォーグ」などのファッション誌を中心に活躍した写真家。1930年代の作品や作家自身が選出した名作100点、カラー復元された美しいファッション写真などが展示されています。
カラー復元された作品は、ちょっときれい過ぎるかなというくらい鮮明な色彩になっていて、どことなく違和感がありましたが、モデルのファッションや小物、そして構図などどれも洗練されていて、これらの写真が1940年代から1950年代、戦中から戦後間もない時期に撮られたものかと思うと、なんだかクラクラしてしまいます。
ファッション写真以外にもシュルレアリスムに影響されたと思われるモノクロ写真や抽象的な風景写真なども展示されており、わたしとしてはこれらの写真のほうにひかれました。

一方で、ドイツに生まれユダヤ人迫害の嵐から逃れてオランダ、フランス、アメリカと移り住んだり、徴兵をされたり、収容所に抑留されたり、自分の経営する店が破産したりと、かなり波乱に満ちた人生だったようで、ファッション写真に交じって髑髏なヒトラーの写真なども展示されており、華やかな面だけでも個人的な面だけでもなく、その両方にスポットを当てた展覧会になっていたのがよかったです。

「木靴の山」-井伏鱒二-

◆国立お花見ストリートライブ「桜らいぶ」で土生”Tico”剛のライブを見てきました

このところ身辺雑記的な随筆しか読んでなくて、純粋に小説、フィクションを読むのはほんとうにひさしぶり。もっといろいろな種類の本を読まなくてはなぁ。まぁ流行りのビジネス書とか自己啓発的な本は読もうとは思ってはないんですが。
基本的に本を読むというのは娯楽なので、それを読むことによって何か得になるとか、まったく考えてないかも。

週末は、漣くんがミオ犬と一緒に出かけたので、わたしはめずらしく暁くんと二人で国立へお出かけ。国立は、漣くんが2歳くらいまではニチニチ日曜市などによく行ったものですが、意外と子供向けの施設が少ないので、最近はどうしても近くだと国分寺や立川、吉祥寺あたりに行ってしまいがちです。

そんなわけで、まずは定番のロージナ茶房でお昼ごはん。ここはあんまり子ども向けというわけではないけれど、基本周りは大人数でおしゃべりをしててにぎやかだし、ちょっとぐらいうるさくても目立たないところがいい。食べものの量も多いので、二人で分けて食べられるしね。
しかしロージナにくるお客さんって、みんながみんなそんなに若いってわけではないのだけれど(もちろん学生の団体もいますが)、どこか学生気分をそのまま残したまま大人になったような人たちが多くていいなぁと思います。

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ロージナのあとはレットエムインまで行って家具や雑貨を見たり、最近できたroom 103をのぞいたり、雑貨屋さんでフレッドくんグッズを買ってみたり、ブックオフやみちくさ書店、谷川書店、国立本店などの古本屋を回ってみたりして、夕方にはスターバックスの前で行われていた、お花見ストリートライブ「桜らいぶ」のリトルテンポの土生”Tico”剛やReggaelation IndependAnceのストリートライブを見たりして国立散歩を満喫。
天気もまぁまぁよかったし、夕暮れに国立の学園通りに響くスティールパンの響きが気持ちよかったです。今年は桜の開花が早くて、しかも週末からの雨と風で花が全部散ってしまっていたけれど、これが満開の桜の木の下だったら、もっと時間があってビールとか片手に見れたらなんて贅沢だっただろう、なんて思ったりして。
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ところで暁くんといえば、ロージナを出たあとライブが始まるまでのほとんどの時間ベビーカーで昼寝をしてましたとさ。

「四季八十彩」-池田弥三郎編-

◆築地・新橋、レトロ喫茶めぐり3

食を中心に日本の暮らしについての随筆を歳時記風にまとめたアンソロジィ。串田孫一や藤枝静男、荻昌弘、辻邦生、芝木好子、飯田深雪、永井龍男、沢村貞子、岡部伊都子、辻勲など執筆陣が豪華。日清製粉の創業80年を記念に80の随筆が収録されています。
日清製粉は小麦粉の本とかなにげにいい本を出しているなぁと思う。というか、1990年代はじめくらいまでは、こういった自社に関連する内容を、企業が編纂して出版しているというケースがわりとあったような気がするのですが、最近はあまり見かけないような‥‥。単にそういったものも普通に出版社から出てるだけでしょうかね。

さて、築地・新橋、レトロ喫茶めぐり第三弾。

-■いまあさ
ここは、明治に創業したすき焼き屋さんがやっている喫茶店。看板のデザインや店内の様子がモダンでかわいかったです。朝に行った時はお客さんが誰もいなくて、BGMにNHK FMの「元春レディオショウ」の再放送が小さめの音でかかっていて、わたしとしてはかなりいい感じでのんびりしちゃいました。店内のBGMはいつもラジオなのでしょうかね。

昼ごはんもここでドライカレーを食べたのですが、こちらはまぁふつうに喫茶店メニューでした。すき焼き屋さんがやってるということでちょっと期待したんですけどね。ちなみにすき焼き屋さんのほうのランチは一日限定で1000円の定食があるようです。こちらはMTGが終わる時間がいつも1時半くらいになってしまうので断念。さすがに1600円のすき焼きを普通のランチで食べるのはねぇ~

あとで調べて見たらマッチもいい感じのデザインらしいのでもらえばよかったです。いつもはタバコを吸わないのでこういう時、忘れてしまいますね。

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■洋食すいす
会社の人に新橋に大きなメンチカツを食べられるところがあると聞いて行ってみました。MとLのサイズを選べるようになているのですが、わたしはMを注文。それでもかなり大きくて、午後はずっとお腹が苦しかったです。ランチタイムは2時までで、お店に入ったのが1時半くらいだったのですが、お店の中はほぼ満席で、スーツを着たたくさんのサラリーマンがLサイズのメンチカツをほおばっていました。メンチカツ自体はどことなくふわっとした柔らかめなので、サイズは大きいけれど、最初に見たときに思ったよりもさくっと食べられる感じでした。
もちろんほかにもメニューはあるので、夜にきてこれをつまみにビールを飲んでみたいと思うけれど、夜の営業時間が5時から8時までなので職場が近くでないとちょっと無理かな。
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■喫茶ひよ子
築地駅の近くにあるこじんまりとした昔ながらの喫茶店。とりあえず安い。わたしはフルーツジュースとミックスサンド、そしてコーヒーゼリーを食べたのですが、これでだいたい700円くらい。
もちろんサンドイッチなど量は多くないけれど、もうちょっと食べたかったらゼリーじゃなくて130円のホットドッグを頼んでもいいしね。軽く食べる分には全然いい感じです。コーヒーも150円なので近くにあったら入り浸りそう。
全席喫煙化なんのでちょっとタバコの煙は気になりますが、その割にはお店の中もきれいだし、サンドイッチの並べ方もていねいでマスターの性格があらわれてます。
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■カフェ・ド・カナール
ニュー新橋ビルの1階にある喫茶店。朝で駅前ということもあり待ち合わせっぽい人たちや打ち合わせをしている人が多くいました。メニューにはいろいろな種類のコーヒーや紅茶がありちょっと値段も高めですが、いろいろこだわってそう。それも含めて内装もテーブルや椅子も落ち着いていてこれぞ王道な喫茶店いう雰囲気。
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「落葉・回転窓 木山捷平純情小説選」-木山捷平-

◆築地・新橋、レトロ喫茶めぐり その2

文芸文庫とはいえ、新しく木山捷平の本が新しく文庫本で読めるなんてうれしいですね。まぁ値段は文庫本とは言いがたいですけど。

3月も築地方面への外出が多かったので、築地や新橋でコーヒーを飲んだりしたり、ランチを食べたりという1か月でした。そんなわけで築地・新橋のレトロ喫茶店・定食屋めぐりの続きを。

■ポンヌフ
コリントでパンケーキを食べている時に、周りでたくさんの人がカレーやナポリタンと言ったザ・喫茶店メニューを食べていたのを見て、なんとなく昔ながらのナポリタンが食べたくなり、ナポリタンがおいしいという新橋ビルの一階にあるポンヌフへ。

銀のお皿に山盛りのナポリタンにハンバーグもついていてそれだけでもかなりお腹いっぱいになるのですが、プリンもおいしそうだったので、ついナポリタンとプリン、そしてコーヒーのセットを注文。
最近ではあまり見なくなった太い麺を柔らかめに茹でて、ケチャップで味つけしたナポリタンはまさに昔ながらという形容詞がぴったりでした。量も多いし途中で飽きそうだな、なんて思いつつチーズをかけたり、タバスコを加えつつ食べたのですが、多分、そんなことしなくても普通においしい。会社の近くにお店があったらときどき思い出したように食べにきそうです。
プリンもちょっと硬めで舌触りもよく手作りという風合いで、これとコーヒーだけでお茶しにきてもいいかもという気持ちになりました。

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■パーラーキムラヤ
ポンヌフと同じ新橋ビルの地下にある喫茶店。店内の装飾も適度に品がよくて落ちつけます。ここは朝にちょっと寄ってコーヒーしかのまなかったのですが、ナポリタンやオムライス、パンケーキなどのメニューもあってお昼によってものんびりできていいかも。といいつつ会社のメールに返事をしたりしてて実際はゆっくりという感じでもなかったんですけどね。
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■マックモア
築地の場外にある喫茶店。なのですが、その時期によって一番おいしい生のマグロを使うというランチが有名な喫茶店。実をいうと前日に築地で食べた丼がいまいちだったということもありおいしさ倍増でした。喫茶店なのでサイホンで淹れたコーヒーもランチは半額でつけることもできます。
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築地場外は昼過ぎに行くといろいろ安くなっていて、買って帰りたいものばかりでしたが、そのあと会社に戻るということを考えると生ものを買って帰ることもできず、クジラの竜田揚げなどを歩きながら食べつつちょこっとだけうろついて帰ってきました。

さて、とりあえず今日はここまで。3月の築地・新橋喫茶店巡りはまだまだ続きます。

「花と魚と」-柳原良平-

◆(今さらですが)GOOD FOOD MARKETに出店しました!きていただいたみなさまありがとうございました。
柳原良平というと船やアンクルトリスのキャラクターをもとにしたイラストが多いけれど、これは船や港ではないことをテーマにした画文集。花や木、魚や動物、昆虫などの絵とそれにまつわる柳原良平のエピソードがつづられてます。原画がどのくらいの大きさか分からないけれど、15cmくらいの小さめの正方形で、ちょっと余白があるような額に入れて飾っておいたらかわいいかもしれません。
まぁ船や港が多いと言ってもそれはおとな向けの画文集の話で、子供向けの絵本については、日常生活で使う道具や野菜、はたまた七福神や干支などいろいろなものが出ていますけどね。

こちらももうとっくに過ぎてしまったけれど、3月16、17日に調布の京王閣で行われたGOOD FOOD MARKETに出店させていただきました。
日曜はちょっと風が強くて肌寒かったけれど、おおむね天気もよく、たくさんの人にブースまできていただきありがとうございました。

今回はイベント名のとおりパンやお菓子からお米や野菜までさまざまな食べ物屋さんが出店したイベントで、事前に紹介されているお店を見ていたらどれもほんとうにおいしそうで、正直、この中に混ざって本を売るのはちょっと厳しいかも?なんて思っていたのですが、そんな心配をする必要もなくいろいろな人が本を手にとって見てくれてうれしかったです。

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カヌー犬ブックスのブースの様子

できればお店の前にイスや机を置いて、パンを食べたりコーヒーを飲んだりしながら本を見てもらえるといい感じかなと思っていたのですが、本以外にいろいろ持って行くのもたいへんだし、会場も広いしなかなか難しいですね。

うちの周りはいつものように、漣くんや暁くんが友だちの子供たちとはしゃいだり走りまわったりして終始にぎやかでした(それでいいのか悪いのか分かりませんが)。お隣のモダンクラシックスさんも小さな赤ちゃんを連れて出店していたので、いつか一緒に遊べたら楽しいかも、なんて思いました。
毎回、普段なかなか会う機会が作れない友達がきてくれるのも、うれしいことの一つなのですが、今回は最近、Facebookで再会した友だちが来てくれて10年ぶりぐらいに会えたのがうれしかったです。昔、家族で西荻で飲みに行ったときに今の漣くんぐらいの歳だった女の子が中学生になるってのを聞いて、流れる年月の早さにびっくりしましたが。次回はうちに遊びにきてくださいね。

あと、イベント用にとっておいた「世界の料理」シリーズを、その本がきっかけで料理研究家になり長年探していたという人の弟さんにまとめて買っていただいて、とても喜んでいただけたことや、吉田菊次郎の本を手にとって「これ私が作ったんですよ」と話しかけてくれたデザイナーさんなど思いがけない出会いがありました。それからこう言ってはなんですが、土曜日は割とお客さんも少なめだったので、パンやお菓子などをいろいろ買ってきてのんびりと食べたりと、楽しい二日間を過ごさせていただきました。

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たいやきやゆいのたいやきと「世界の料理」シリーズ

定期的にイベントに出るようになって普段ネットではできないことが、いろいろできるようになってきて、ちょっとずつでも幅を広げられたら、と思っています。

「わたしの生活手帖」-山口瞳-

◆右に見える競馬場、左はビール工場♪
単行本未収録のエッセイ集。前回読んだ「わが師 わが友」のように明確なテーマがないので、どこかまとまりのない感じがします。今の作家がツイッターでつぶやいたら炎上しそうな偏見で言いきってしまう話の展開にちょっとドキドキするけれど、読んだ人それぞれが受け入れるか受け入れないかは別として、こういう主張ができるという余裕が大切なのだなぁと思う。一方、この内容だから単行本未収録だったのだろうなぁとも思いますけどね。
そういう意味でも、もう少し見せ方というか伝え方を考えた編集の仕方がある気がします(って上から言ってますが)。意地の悪い言い方をすると、こういう本が河出書房新社から出るなんてなぁ、なんていっちゃいますヨ。

-前回に続いて2月の話になってしまいますが、山口瞳と言えばサントリー、というわけではないですが、府中にあるサントリー工場へ工場見学に行ってきました。サントリーの工場見学は、府中にある武蔵野工場のほか全国で9か所の工場が見学でき、工場に合わせてビールやウィスキー、ワイン、天然水などの製造工程を見学できます。武蔵野工場は、ユーミンの歌にもあるようにビール工場なので、「ザ・プレミアム・モルツ」の製造工程を見ることができます。
ビール工場の見学なんて最後にビールを飲むことが目的のほとんどなんですが、単純に製造のための機会を見たり、動いている様子を見ているだけでワクワクしてしまいますね。子どもたちも原料となる「天然水」「大麦(麦芽)」「ホップ」の説明や発酵、ろ過など、説明を聞いているときは退屈そうにしていたモノの、大きな機械を前にするとなにをするのかはいまいち分からないもののそれなりに楽しそうでした。特にたくさんの缶が次々と機械の上を動いていく詰の工程になると見いってました。やはり動きは大切。その点うちの会社となぁ‥‥(以下自粛)。

-まぁそんなこと言いつつ最後のプレミアム・モルツの生を飲むのが一番の楽しみなんですけどね。わたしは子ども連れということもありのんびり2杯いただいたって感じだったのですが、まわりの人の限られた時間のなかでぐいぐい飲む勢いがけっこうすごかったですヨ~
機会があれば今度はお菓子工場とかに行ってみたいかも。チチヤスとかも工場見学できるんですよねぇ。広島なんで遠くて行けないですけど。

ちなみに漣くんは、工場見学に行ってからというもの、スーパーとかでビールの缶を見るたびに「サントリーだ」という言うようになってしまいました。で「あれはアサヒだよ」と訂正すると、「アサヒ・サントリーだね」と、なかなか譲らないところが誰似なのか‥‥

もうひとつ府中で山口瞳にゆかりのもの、ってわけではないけれど、暖かくなったら競馬場にも行かなくてはネ。去年はミニ新幹線が動いてなかったんですよ。

「世界のグラフィックデザイン103 カリ・ピッポ」-カリ・ピッポ-

◆「Kari Piippo Posters & Drawings」@ギンザグラフィックギャラリー
展覧会が終わってもう1か月も経ってしまっているのでいまさらなんですが、ギンザグラフィックギャラリーで2月にやっていた「Kari Piippo Posters & Drawings」展を見てきました。
カリ・ピッポは、世界中のさまざまなポスター展でたびたび受賞するなど、特にポスターなどの分野で活躍しているフィンランドのグラフィックデザイナー。フィンランドのデザインというと、マリメッコを始めたとしたテキスタイルやイッタラなどの食器、アアルトの家具などが思い浮かびますが、意外とポスターなどのデザインは紹介されてないような気がします。
この展覧会のサブタイトルが「Simple Strong and Sharp」となっているように、カリ・ピッポのポスターは、最小限の力強いタッチで構成されたタイポグラフィーやイラストが印象的です。かつ、そこに描かれているものがちゃんとポスターの意図する内容と合致しているので、ちょっとじっと見ていると「あ、そういうことね!」という発見があって楽しい。
スイスのデザイナーのようなかっちりとした構成とフランスのポスターのユーモアのいいところをあわせもったようなポスターの教科書とも言える作品で、世界中でレクチャーやワークショップを開催しているというのもうなずけます。
一緒に展示されているドローイングをみるとこういった発想が、普段の生活の中の出来事や思いつきの積み重ねによるものだということも分かります。
初日にはカリ・ピッポ自身によるギャラリートークもあったみたいなので参加したかったですね。ワークショップの様子を撮ったドキュメンタリーとかあったらおもしろそう。

「国立の先生山口瞳を読もう」-常盤新平-

◆常盤新平は高校生時代の先生だった?
1か月ぶりの雑記。というか途中まで書いて1か月放置していたので、この後なにか河口と思っていたのか忘れてしまいました。なので、まぁこのままで。

1月の終わりに翻訳家の常盤新平が亡くなったのを知り、久しぶりに常盤新平の本を読みたくなってアマゾンでいろいろ見ていたらこんな本が出ていたことを今頃知りました。
常盤新平は10代から20代前半くらいまで、「ニューヨーカー」やマフィア、1920年代のアメリカなどついて書かれた本をほんとによく読みましたね。ひと時のわたしにとって先生みたいな人でした。それに比べてなにげに常盤新平が翻訳した本って読んでないかもしれません。ざっとウィキペディアでリストを眺めると「彼らは廃馬を撃つ」「汝の父を敬え」「素晴らしいアメリカ野球」「ニューヨークは闇につつまれて」「ニューヨーカー・ノンフィクション」「ブルックリン物語」「夏服を着た女たち」「心変わり」「ビッグ・アップル」「ザ・ニューヨーカー・セレクション」「混合ダブルス」「ゴールデン・ピープル」「夏の日の声」「大雪のニューヨークを歩くには」ってまぁまぁ読んでるか。小説のほうは「遠いアメリカ」「罪人なる我等のために」だけしか読んでないです。最近のエッセイもほとんど読んでなかった。

今、あらためて思うのは、繰り返しになるけれど、常盤新平は先生だった、ってことですね。だから自伝的な要素が含まれている小説や、自分のことを語るようになってきた最近のエッセイを読めなかったんじゃないかと。だって自分がいま中学生だったとして、尊敬している担任の先生が不倫して子どもまで作って奥さん病気になって‥‥なんて聞きたくないじゃないですか。今だったらさ、大人になってるから先生も大変だったんですねぇ、なんて普通に言えるけど。
そんなわけで今だからこそ常盤新平の本を読んでみようと思う。いや、ちょっと遅かった。もう少し早く30過ぎくらいの時にもう一回、常盤新平を見なおしてみるということをすればよかったと思いました。

「鶴の舞」-野尻抱影-

◆築地・新橋、レトロ喫茶めぐり
野尻抱影は、星座とその伝説を解説した本をいくつも出しており、星の和名の収集研究で知られている英文学者、天文民俗学者。作家、大佛次郎の兄で、今回ウィキペディアを見て知ったのだけれど、血のつながりはないですが、中川翔子と姻戚関係でつながっているらしいです。
さてこれは星とは関係ないテーマでつづられた随筆集(星にまつわる話もすこしあり)で、構成としては、生まれた場所である横浜の明治時代からの風物から現在までの思い出をつづったもの、落語や芝居、古典について語ったもの、南アルプス登山にまつわるものなど、いくつかのパートに分けられています。
横浜の話などは弟の大佛次郎や獅子文六の随筆などとあわせて読んいくとおもしろいと思うし、身辺雑記的なものも少しだけ天体の話が出てきたりしてよかったのですが、古典や山の話はあんまりついて行けず、って感じでしたね。そもそも山や渓谷の地名がわからない‥‥。前回、文章を書く(読む)ためには草木の名前を知っておくべきと書きましたが、日本の細かい地名もちゃんと知っておくべきかと(あと、教養として古典もね。その辺、わたしは理系なんでかなり弱いのです)。

装丁は、佐多芳郎。山本周五郎の「樅ノ木は残った」「ながい坂」、平岩弓枝の「南総里見八犬伝」、円地文子の「国性爺合戦 近松物語」などの挿絵を描いた画家。「四十八人目の男」「桜子」「冬の花」「今日の雪」といった大佛次郎の作品の挿絵や装丁なども多く手掛けているので、そのつながりでこの本の装丁を手がけた感じでしょうか。

-2月の後半からわけあって仕事で築地方面への外出が多くなってきたので、少しの時間を使って築地近くでランチをしたりお茶したりしてます。時間的に築地市場の中でごはんを食べるということはできないのが残念なのですが‥‥

といいつつ、まずは朝の訪問に合わせてまず築地市場の中にあるセンリ軒へ。朝ごはんを食べてきたのでとりあえずコーヒーとチーズケーキ。カウンターに座っても椅子をちょっと後ろにしたら壁によりかかれてしまう通路の狭さがけっこう好きです。カウンターだけに店員さんや常連の人たちの話が直接聞こえてきて、なんとなく気になってしまい本に集中できないんですけど、まぁ真剣に本を読みたいわけでもないのでそれでいいのではないかと‥‥。
築地市場の中の喫茶店と言うとここともう一つ喫茶 岩田があります。こちらはメニューにフレンチトーストがあったので、次に機会があれば朝ごはんを食べずに来てフレンチトーストを食べたいですね。

-新橋の喫茶ジャパンは前に純喫茶コレクションというブログを読んでいた時に知って、前から行きたいと思っていたところ。新橋を降りてSL広場を抜けてちょっと行ったところにあります。(築地市場と逆じゃんというツッコミはなしで)
看板も昭和なフォントですが、店の前に置いてあるショーケースもなかなかいい。形や中に置いてあるメニューは古めかしいけれど、ケース自体はすごくきれい。細い階段を降りていくと、なんの前ぶれもなく店内が広がる感じで、思っていたよりも広くてテーブルの間隔もひろくてゆったりしていました。ぜんぜん雰囲気は違うけれど、京都にあるオパールというカフェが移転する前、エレベータから出るといきなり店内になっていて、ドアが開くと開放的な気分になったのを思い出しました。
外に置いてあったショーケースもそうだけど、お店自体は古いみたいだし、置いてあるものも新しいわけではないのに店内の感じがとてもきれいで清潔感があるのがとてもよかったです。ここではあまり時間もなかったのでコーヒーのみ注文。座り心地のよいイスに座って本を読んでいると打ち合わせに行く気力がどんどんなくなってしましますヨ。

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で、場所がらと時間帯も朝ということもあって、会計をすますと「いってらっしゃい」と見送られました。

続いては築地市場の浜離宮の近くにある喫茶コリント。友だちにここのフルーツパンケーキを勧められたので、一緒に行った会社の人とランチ。ここもお店の雰囲気はまさに昭和。

注文したのはもちろんフルーツパンケーキ。まずびっくりしたのはそのパンケーキの大きさとフルーツの量。フライパン一杯の大きさくらいのパンケーキが2枚もあり、フルーツもパイナップルなんかは小さめのものとしても1/4くらいあったし、そのほかにいちごやバナナ(これも一本)、オレンジやグレープフルーツなどが盛りだくさんでした。

そして店内はほとんど近くの会社に勤めるサラリーマンで、わりと平均年齢の高めの人たちがパンケーキと格闘している姿はちょっと不思議。カレーやナポリタンといったメニューもあるのですが、どれも量が多かったです。

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次に外出する時に食べたフランクパンケーキ。これも一見ウィンナーのようですが、見た目よりもかなり大きいのです。

ちなみにわたしは2回ともパンケーキを食べきれず、残しました。

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