「百鬼園戦後日記」-内田百けん-

先週は、カヌー犬ブックスで使っているファイルの容量が、借りているサーバーの容量を超えてしまって、データが消えてしまったり、メールなども受信できない状態になってしまったりして、夜通しサーバーに上がっているファイル(主に本の画像)を削除していたりしてました。縁あってただで使わせてもらっているので、こういうときに容量を増やしたりできないのが難点です。いや、そんなこと言える立場でもないのですが‥‥。
皆さまにはご迷惑をお掛けしてしまいました。申し訳ありませんでした。

週末は、実家に帰る用事があったので、ついでに平塚で友だちと飲みに。友だちが平塚で不動産屋をやっていて、土日も仕事をしている人だったので、仕事が終わる頃、二宮駅で別の友だちと待ち合わせて平塚に行くよ、なんて簡単に言ってしまったけれど、二宮、平塚は意外と遠かったです。普段、井の頭線を利用しているものとしては、東海道のひと駅は長い。子供の頃、まだ横浜の相鉄線沿いに住んでいた頃もそんなこと思ったのを思いだしたりして‥‥。
さすが自分で「飲み営業で仕事をとってる」というだけあって、いろいろお店を知っていて、おいしいお刺身とか食べられたりしてよかったです。まぁ、道を歩けば店の前で名前を呼ばれて挨拶されるし、飲み屋に入ると必ず知り合いがいる、というのが笑えたけど。いろんな意味でがんばってるな~と。そんなわけで、12時半ごろまで3人で飲んでいたのですが、家に帰ったらドアの鍵が閉まっていて、家には入れないというオチが!
チャイムを鳴らしてもなかなか起きてこないし、かといって、また友だちに電話して泊めてもらうわけにもいかないし、煙草すったり、缶コーヒー買いに行ったりしつつ、チャイムを鳴らし続けて、結局家に入れたのは3時でした。もうすぐ40歳にもなろうというのに、実家に帰って閉め出し食らうとはねー。

「文句の言いどおし」-吉田健一-

基本、日本がどうの、日本人がどうの、若い世代がどうの‥‥という話はきらいなので、吉田健一といえどもちょっとどうかなぁとは思う。ましては一冊全部?だし。そもそも戦後に生まれた若い世代がダメだといっても、今じゃ60歳でだもんね。ある意味、恐ろしいことです。
まぁ、いろいろいうことはあるんだろうけれど、だいたいにおいてそのときの今の時代が一番いいのはではないかと、わたしは思ってます。人間なんて過去においてよかったことしか覚えていないものだし、最悪、戦時中はひどかったんだろうけど、やっぱりその前に何かしらの不満があって、戦争に突入したという、前段階があるんだと思うわけで、その辺が語られることはあまりないような気がします。どうでもいいですけど。

スティールパンにはまったり、シタールを聴きなおしたり、電子音楽を聴き始めたり‥‥なんてことばかりここで書いてますが、昨年、一番聴いたCDといえば、スペシャル・サンクスの「Seven Colors」だったりします。ミニアルバム全7曲でトータル20分ないので、会社に行く間に三回聴けちゃうってこともあるけれどね。ちなみにあとは、蓮沼執太の「ポップ・オーガ」とかペペ・カリフォルニアの「LLAMA」あたりですかねぇー。
で、はじめスペシャル・サンクスを聴いたときは、ヴォーカルの女の子は、かなり若そうだし、歌っているだけで、曲とかは別の人が書いているんだろうな、と思っていたのだけれど、歌詞カードを見たら、彼女が詞も曲もかいてびっくり。しかもまだ18歳で、今年の3月に高校を卒業するって‥‥。「Seven Colors」に収録されている曲の中には、中学の時に書いた曲もあるらしいです。まさに恐るべき子供。というか、18歳の女の子の作る音楽に夢中になってる自分が信じられんー。
そんなスペシャル・サンクスですが、4月に、Ken Yokoyama、ALMOND、DRADNATSとのスプリットアルバムがPizza Of Deathから出るらしい。ほかの2バンドはぜんぜん知らないけど、楽しみ。横山健とのライブも見たいけど、それは無理だろうなー

「PHOTOGRAPHS」-SAM PREKOP-

Morr Musicついでにサム・プレコップのCDを聴いていたら、写真集も出していることも知り、本屋さんで探すのが面倒なので、そのままアマゾンで注文。2007年に出たものなので、リブロなどに行けば普通に見つけられるのかもしれないけれど、写真集のコーナーなんてぜんぜん見てないので分かりません。あと、昔からほしかった桑原甲子雄の写真集もついでに注文しようと思ったのですが、こちらはアマゾンでは品切れになってました。

シカゴの街と積み木のようなオブジェをモノクロで撮った写真集で、こういうのを見ているとやはり写真はモノクロがいいな、と思います。カラーだとどうしても情報が多くなってしまってしまいますね。自分で撮る分にはカラーで、かつ、もう少し色彩の情報を落としたものを撮りたいと思っているのですが、写ったものを見るといまいち思うように撮れてないことが多いです。そもそも色彩の情報を落としたカラー写真というのが、自分の中ではっきりしてないし、テクニックもないので、どうにもなりません。加えて、フィルムカメラは、現像があがってくるまでどういう風に撮れているか分からないのもね~。

年末ごろに、ある理由からデジタル一眼レフを買おうかどうか迷ったのですが、結局、これからもできるだけフィルムカメラを使っていこうということを決めて、買うのをやめたのですが、ついでにモノクロも撮っておこうと思ってたりします。後になって、どういう風に思われるのか、それもちょっと楽しみ、ということで(誰に?)。
まぁ、デジタルにしたら、画像変換が簡単にできちゃうからカラーもモノクロも違いはないのでしょうが‥‥。

さて、前の会社で一緒だったBくんが結婚するというので、ときどき飲みに行くメンバーで飲みに行こうという話をしていたら、急に奥さんを連れてくるとのこと。それならば、と、急遽、元同僚たちに連絡して、今週末、プチ・サプライズ・パーティを開きました。
段取りとしては、ペパーミントカフェを5時半から予約、5時半にうちの夫婦とBくん夫婦で吉祥寺駅で待ち合わせ、その他の6人には5時半までに、二人の名前を入れたケーキ(ちょっと無理矢理な感じでそのために奥さんの名前を聞き出した)と花束を持ってペパーミントカフェで待機。4人で飲むと思っているBくんを迎えるというもの。まぁそれだけなんだけれど、奥さんが来ると分かったのが一週間前だし、そんなに準備もできないので、残念だけれどそれ以上はちょっと無理。ほんとはクラッカーくらいは仕込みたいなぁなんて思っていたのに、当日、5時半前、本人からはもう吉祥寺に着いてるってメールが来るし、ほかの人からはちょっと送れるメールが次々と来るという状態。結局、Bくんを連れたわたしたちが来る前に店に着いていたのは一人だけでした。とほほ‥‥。そのあと、次々と来たしそれはそれでよかったんですが、ゆるすぎです~。
それにしても、もうみんな辞めてから5年以上経つのに、一週間前に連絡して8人も集まるってのはすごいですね(閑なのか?)。いい人たちが多い会社だったなぁと改めて思ったりして。会社自体はけっこうひどかったけどね‥‥。いやいや、ここはBくんの人望の厚さ、ということにしておきます。

そんなわけで、急に連絡して誘ったため、直前に仕事が入ったり、用事があってして来れない人もいたので、どこかに写真をあげておこうと思って、久しぶりにデジタルカメラを引っぱり出してみたら、当然充電は切れてるし、カメラに残ってる最後に撮った写真は、恵比寿でやったカヌー犬ブックスのイベントの様子という有様でした。カヌー犬ブックスのイベントって2年前のことですよ。ほんとデジタルカメラ使ってね~。これじゃ、デジタル一眼レフなんていってる場合じゃないか。

「深夜の初会」-内田百けん-

内田百けんの対談(もしくは鼎談、座談会)をまとめたもので、徳川夢声、河盛好蔵、井伏鱒二、三木鶏郎、獅子文六、吉田茂‥‥といった人たちが対談相手をして登場してきます。たいてい、貧乏話とかお金の貸し借りの話ばかりしてて、酒が入っているためか対談の終わり頃には、相手をじいさん呼ばわりしたり、編集部の人がテーマに話をもどそうとすると、勝手に喋らせろみたいなことを言ったりしておもしろい。内容のほうは、言葉をピックアップしようとしたらポストイットだらけになりそうなくらい、いいことを言っていたりしていて、興味深いのだけれど、まぁ本気にとってもしょうがない。お酒の場での話なんですから、その日には盛り上がったり、話の内容に共感してうなずいたとしても、次の朝にはすっかり忘れてしまうものですよ、と。

今週はちょっと用事があったので、有休を取って根津へ。ついでに東大の学食でご飯を食べようと思って本郷3丁目まで歩いていったら、二次試験の受験日で関係者以外立ち入り禁止の看板が!寒い中、歩いていったのにそういう時期なのねぇ。というわけで、近江屋にしようかちょっと迷いつつ、万定フルーツパーラーでハヤシライスを食べる。ここでハヤシライスを食べたのはいつぶりか?なんとなく前はもう少し具があったような‥‥、少なくとも店の前のショーウィンドウ飾ってあるのは‥‥まぁいいや。デミグラスソースの味は変わってないと思いますが、あまり自信はなし‥‥。

ついでにそのまま歩いて、マミーズでアップルパイを買って、スコスで文房具を見たりする。マミーズは「Arne」で紹介されていたパイのお店。家に帰ってから食べてみたけど、かなりおいしかったです。レモンパイやバナナパイもあったので、次回は食べてみたい。大橋歩にはずれなし。天気がよければカメラを持っていってもう少しぶらついたりしたのだけれど、なんせ小雨は降ってるし寒い。そしてくしゃみが止まらないという最悪な状態だったので、早々に帰る。それにしても今週は雨ばかりでした。

「私の手料理」-瀬戸口しおり-


こんにちは、ミオ犬です。

この冬我が家で大流行の目からウロコな湯豆腐。
それは瀬戸口しおりさんの「私の手料理」から拝借したレシピです。のんびり食べているうちにトロトロと湯豆腐がとろけてくる、愉快で心も身体も温まる湯豆腐。
週末のお昼にちょっと食べ過ぎてしまった日の夜、胃ににじんわりやさしい。とても簡単なメモ的レシピなので、ここでお披露目したいぐらいなんだけど・・・ノンノン!他にもおいしいお料理の種やお惣菜がたくさん紹介されているので、ぜひ本を手にとってみてください。

10年ぐらい前、吉祥寺の映画館でアルバイトしていた頃、よくご飯を食べに行っていたクウクウという今はないレストラン。そのクウクウの厨房で高山なおみさんと一緒にお仕事されていた瀬戸口しおりさん。もしかしたら挨拶ぐらい交わしたことがあるのかもしれません。(もしそうだったらうれしいな~)

クウクウがあった場所は今では韓国料理やさんになっていて、時々ビビンバを食べに行きます。
『キッズルーム有り』という張り紙を見て、お子さんがいる友達に教えてあげようと思い「ねえ、昔東急の裏にクウクウっていうレストランがあったのわかる?」って言ってみたら「ミオ犬ちゃんクウクウ大好きで良く一緒に行ったじゃない!」って返されちゃいました。
実はあんまり記憶にないんだけど、わたしはそのひと言にじわ~っと懐かしくなってしまったのでした。

「随筆 人生エンマ帖」-佐々木邦-

“人生エンマ帖”なんていうとちょっと大げさだけど、これまでの人生で経験した出来事や思うことを、思いつくままにつづったもので、エンマ帖というほどの告白や秘密にしてきたことが書かれているわけではないです。佐々木郁邦の本を初めて読む私にとっては、そんな告白を書かれてもちょっと困ってしまうので、気楽に書かれたくらいでちょうどいいんですけどね。
佐々木邦といえば、「いたづら小僧日記」や「のらくら倶楽部」、「心の歴史」といった児童文学・ユーモア小説の一人者として活躍した人、というくらいしか知りません。ユーモア小説といえば、個人的にはコーリイ・フォードとかジェームス・サーバーなんかを思い浮かべてしまうんだけど、日本の作家としては誰になるんだろう?筒井康隆とか星新一とかか?それはそれでなんか懐かしい。

週末は急に暖かくなって風が吹いたせいで、くしゃみが止まらなくなってしまいました。花粉もそうだけど、温度差が激しい季節の変わり目はつらいです。先週何が原因か分からないけれど、結膜下出血で目が赤くなってしまい、眼科に行ったばかりだったのだけれど、今じゃそのせいで目が充血しているのか、花粉のせいなのかわからず。まぁこういうときは何をしても治るわけでもないので治まるの待つしかないです。幼稚園の頃からアレルギー性の鼻炎で毎日耳鼻科に通っていたわたしとしてはもうなれっこ、というわけでもないんだよねぇ‥‥。用事があって近々に二宮の実家に帰らなくては行けないのだが、箱根の杉花粉がちょっとこわい。

ところで、毎朝、わたしは、TVKのサクサクを見ながら朝ごはんを食べたり、会社に行く準備をしたりしているのだけれど、年が明けてからサクサクにゲストがまったく出てない!あえて例は挙げないけれど、基本的に2組に1組はなんだかな~というゲストなので、別にゲストなんていなくてもいいのですが、ここまでゲストが出ないと単に内輪のどうでもいい井戸端話になってしまっていて、いかがなものかと思ってしまう。ニュースとか見ているとテレビ局も不景気で厳しいみたいだし、ゲストを呼ぶ予算がないのか?
と思っていたら、今週はアンジェラ・アキがゲストだった‥‥。それはそれで‥‥なのだが。あぁやっぱりカエラちゃんとかゴイゴイさんが出ていた頃がよかったなぁ~

「ドイツの執念」-獅子文六-

獅子文六が戦前から戦後にかけて、主にパリでの生活での出来事や出会った人について書きためたものをまとめた本。基本的には事実がもとになっていて、誇張はあってもウソはないと、あとがきに書いてありますが、戦前のパリの小さなコミュニティの中にこんな個性的な人がいたのか、と思うくらいおもしろいです。時期的にはヘミングウェイやピカソが活躍していた時代で、言うなれば、獅子文六版「移動祝祭日」なのだけれど、スケールの小さい中で、夢を描き、時に孤独な気持ちになり、日本に対しての愛憎を抱え、周りの日本人に対して虚勢を張り、それでも異国の開放感の中で楽しく過ごしている遠いアジアの国から来た異邦人たちの様子のおもしろさは、「移動祝祭日」に勝るとも劣らないと思います。
それから、そういう意味とは少し違いますが、ドイツに留学した友人との交流を軸に、ドイツ人の女性と結婚したその叔父と友人、そして友人の母、妹の運命を描いた「ドイツの執念」の、良質な短編小説のようなストーリー展開と構成がすばらしい。この題材だけで長編小説が書けるのではないだろうか。

今までも、例えば金子光晴の「ねむれ巴里」とか藤田嗣治の「腕一本・巴里の横顔」、山田稔や堀江敏幸の本‥‥など、パリの生活を描いた作品が好きでよく読んでいましたが、これからはもうちょっと意識してチェックしてみたいと、この本を読んでいて思いましたね。週末にでもさっそくリストを作ってみよう~っと。

話が変わりますが、相変わらずエレクトロニカ系のCDをよく聴いていて、最近は、sonigやKaraoke Kalk、raster-noton、Morr Music‥‥など、ドイツのエレクトロニカ系のレーベルをチェックしているのだけれど、先週末、ジャケットにひかれて、ついButcher The Barの「Sleep At Your Own Speed」を買ってしまったせいで、Sam Prekopの昔のアルバムをiPodに入れて聴き返してしまったり、The Sea And Cakeの新しいアルバムが欲しくなってしまったりしています。このあいだ、春が近づくこの季節になると、ソフトロックやギターポップが聴いている、なんてことを書いたのがいけなかったのか?自分で自分の暗示にかかってしまった感じになってしまってます。
ジャケットに貼ってあった紹介文にはフォークトロニカって書いてあったのですが、ぜんぜんエレクトトニックなところがないどころか、バックで弾いてるのバンジョーだよね、って感じなんですけど。いや、フォークトロニカというのはそういうもので、わたしの認識が間違ってただけですかねぇ~?う~ん、とにかくジャケットを含めて、Morr Musicはちょっと要注意。こういうのが好きなだけに、心が揺れてしまいますね。それでなくても自転車とか乗ってると、つい「ペパーミントブルー」とか「Velvet Motel」とかが頭に浮かんで来ちゃう季節なんだからさぁ‥‥。

「冬の花」-大佛次郎-

大佛次郎の随筆集を読むのは5、6冊目になると思うのですが、新聞小説を一日分書くために一日5時間きちんと仕事し、旅行に出かけるときはその間の仕事をこなしてから出かけるなど、大佛次郎にしろ池波正太郎にしろ歴史小説を書く作家は、きちんとしているというか、職人的だなぁと思う。ほかの作家の知らないし、この二人についても小説は随筆だけで小説はまったく読んでいないので、一概には言えませんが‥‥。

しばらくあいだ行けなくなりそうなので、今のうちに行っておきたい、と思ってるところがいくつかあって、今日は下北のチクテカフェに行って来ました。2時半くらいに下北に着いたのですが、予想通り満席で、レジの横で待っている人が3組くらい。いつもだったらここであきらめるところだけれど、まぁ今日はそれが目的なのでしょうがない。結局30分くらい待つことになってしまいました。
それにしても待っているあいだも次々と人が来るし、ゴハンを食べて出た4時過ぎまで常に満席で、待っている人がいるという状態でした。まわりに何もないのでここまで来たら待つしかないのかも知れないけれど、すごい。
そもそも普通だったらこんな場所でカフェを開こうとは思わないと思うんですよ。それが、開店してどのくらいになるのか分かりませんが、ずっと、いつ来てもこういう状態というのは、お店の人のこだわりと思いの強さなんだろうなぁと思う。ほんとに店内の隅から隅まで、メニューの一つ一つ、お店の人の接客‥‥と、どれをとってもこだわっているのがわかります。個人的には、それがちょっと窮屈な感じを受けてしまうときもあるけれど、このくらいの思いがないとお店なんてやっていけないのかもしれません。う~ん、お店を構えるってのはたいへんなんだなぁ。

さて、チクテカフェでゴハンを食べた後は、木曜館へ行って、船長の格好をしたアンクルトリスのノベルティグラスを購入。よく見かける線画のものではなくて、ちゃんと色が付いているのがうれしい。昔のノベルティグラスは、ガラスがうすくて小さめのものが多いのだけれど、これはちょっとガラスが厚め、サイズも大きめなので、普段、普通に使えそう。
この店もお店の人のこだわりが感じられるお店ですね。向かいの露崎館は取り壊されて新しくなるみたいだけれど、木曜館はこの建物でずっとやっていって欲しいです。わたしは下北という街に特別な思い入れはないけれど、何年かしたらほんとに違う街のようになっているのかもしれない。

「未見坂」-堀江敏幸-

いつも古い本ばかり読んでいるので、久しぶりに新しい本を手にとるとカバーをめくった後の本体の白さにはっとします。どうでもいいですけど。
帯に「雪沼とその周辺」に連なる連作短編集とあるように、どこか架空の地方都市(?)を舞台にそこに住む人々の暮らしを切り取った作品集。年代も現在なのか、ある程度近い過去を想定しているのかなんだか微妙。敢えて言うのであれば、現代なのにどこか過去に取り残されたような人々、という感じですか。
「雪沼とその周辺」のときも書いたような気がするけれど、それぞれの短編に関わりはあまりないです。それが長所なのか短所なのかはわかりませんが、全体的に淡い雰囲気が漂っている作品集なので、あからさまに関連があるよりも、このくらいのつながりのほうが似合っているような気もします。

気がつけばもう2月。1月はだんだん寒いほうに向かっていくような感じなのであまり好きではないけれど、2月は、寒い日でももう少し我慢すれば月が終わるころには少し暖かくなるはず、と思えるところがいい。実際この頃になると春になったら何しようかなぁとか思ってみたり、いきなりギターポップやソフトロックを聴きたくなったりします。去年はイギリスのハーモニーポップを聴いてましたし。特に今年の春は楽しみなことがあるので、早く桜の咲く頃にならないかな、と待ち遠しい気分。ふう~。
いや、とくに書くようなこともないのでごまかしてみただけなんですけどね。

「酒との出逢い」-文藝春秋編-

永井龍男、富士正晴、入江相政、白石一郎、開高健、山田風太郎、田中小実昌、常盤新平、大岡昇平、山口瞳‥‥など、有名人93人が、酒との出逢いについて語った本。まぁ読む前から内容が何となく想像できるような気もしないでもないけれど、それはそれでまたよしといった感じで軽く読めます。表紙の馬場のぼるの「11ぴきのねこ」もいいしね。
文春文庫は、「巻頭随筆」「おしまいのぺーじで」「もの食う話」など、そんないい意味でよい暇つぶしができそうなアンソロジーが割とあって、こまめにチェックするようにしてます。機会があれば「想い出の作家たち」「美食家列伝」「無名時代の私」「なんだか・おかしな・人たち」あたりも読んでみたいと思っているのですが‥‥。

私の「酒との出逢い」といえば、よくわからないというのが正直なところで、高校の時文化祭の打ち上げで飲み過ぎて停学になった、なんてこともないし(そもそも文化祭のとき、出席を取った後、映画観てて学校に行ってない)、大学に入ったあとサークルの新歓で先輩にめちゃくちゃ飲まされた、なんてこともなくて、なんとなく酒を飲み始めて、なんとなく気がついたら飲む機会が多くなっていたという感じです。
飲みに行く回数で言えば今が一番多いかもしれないですね。最近は、年末年始だったせいか、それとはまったく関係ないのか分からないけれど(いやほんとは後者なんだけれど)、このところ飲む機会が多い。できれば一週間に一度くらいにしたいと思っていたら、会社のコスト削減の一環で、週に2日はノー残業デー、ほかの日は8時までに帰るようにと、アナウンスが出たりして、うれしいやら、困ったものやらの今日この頃。
そんなわけで、自分は、飲み行くとに言っても、多くて週三回か4回だし、とりあえずちゃんと終電前に帰ってきてるし、普通のほうだよなぁ、なんて安心するために、ときどきこういう本を読んでみたりしてるわけです。