「Talking About」-n100-

◆今年もよろしくお願いします。
2012年、年が明けてからもう1週間も過ぎていますが、明けましておめでとうございます。今年もカヌー犬ブックスをよろしくお願いいたします。
今年初めての雑記は、n100というアバレルブランドから新しく出た雑誌。元クウネル編集長の岡戸絹枝が編集&ライターを担当し、スタイリストの吉場幸江、伊藤まさこ、マガジンハウスの木滑良久、作家の石田千、元オリーブ編集長で現在はフラダンサーの遠山こずえといった人たちがおしゃれについて語っています。が、一番「おお!」と思ったのは石田千の写真のバックにあった山口瞳の書だったりして‥‥。

吉祥寺の百年とかに行くと 「マーマーマガジン」とか雑誌とミニコミ・リトルブレスの間くらいに位置するような雑誌がたくさんあっていいなあと思うのですが、だいたい女性向きなので買うことはほとんどない。こういう本で男性向きのものというとビームスから出ている「ln The City」くらいしか思い浮かばないけれど、どうなんでしょう?男性向けのミニコミってなんとなく専門誌的なものになってしまうというイメージはあります。年末に取り上げた「BOOKISH」とかね。「ln The City」は、片岡義男とか小西康陽、中原昌也‥‥など、執筆者もいいしおもしろそうではなるんだけど、ビームスってのがね、という気持ちもあり迷ってるうちに、気がついたら4号まで出ていて余計買いにくくなってしまった感じです(笑)。

あーそんなこと書いてるうちに久しぶりに「finger poppin」とか「Summer Store」とか「Grass Roots」とかを読みたくなって真夜中に本棚や積み上げられた箱の中を捜しててしまってる2012年の年の初めでした。

「BOOKISH第9号-特集:山田稔の本~小説とエッセイの間で~-」

◆今年もありがとうございました。来年もよろしくお願いします。
発売当時買おうと思っていたら本屋さんからすぐになくなってしまいそのままになっていた本。
2005年9月発行、わたしがちょうど山田稔の本を読み始めた頃だったので、個人的にはかなり盛り上がった記憶があります(そのわりにはずっと手に入れてなかったというところもわたしらしいが)。
そしてそれから6年も経っているのに、2005年に5冊読んでからは年に1、2冊読むくらいでなかなか手に入れられてないです。古本屋でもあんまり見かけることがないし、新刊も気がつくと見かけなくなってしまっている感じだし、このままだといつまで経っても手に入れられないままになりそうなので、これをきっかけに一回、本腰入れて探さないと。

ちなみにこれは西荻にある盛林堂さんで購入しました。府中に引っ越してからは西荻に行く機会もほとんどなくて、行ったとしても会社帰りにちょっと音羽館とかに寄る程度だったので、何年ぶりかに盛林堂に行ってみたら取り扱っている本がガラッと変わっていてびっくり。最近では古本イベントで活躍する人たちによる古本ナイアガラという常設のコーナーもできたり、都下で暮らし始めて子どもと遊んでるうちに世の中はどんどん変わって行ってるんだなあ、なんて遠い目になったりしてます。
あんまり行けてないけれど、ここ1、2年で中央線沿いの古本屋さんがかなり増えてるし、しかも個性的なお店が多い。そしてどのお店も古本に対しての情熱がすごくて、今までみたいにのんびりとやっていける時代でもないんだろうなあと考えさせられます。

来年はどんな一年になるのだろう。個人的には古本屋としての活動に関してまだまだ制約されそうですが、できる範囲でいろいろ工夫してやっていきたいと思います。

皆さま、今年もありがとうございました。そして来年もよろしくお願いします。

「百花園にて」-安藤鶴夫-

◆2011年に読んだ本、雑感
単なる偶然なんですが、丸岡明、安住敦、そして安藤鶴夫と久保田万太郎を師と仰ぐ人の本が続きました。丸山明は同じ慶応大学出身、三田文学を通じて、安住敦は俳人として、安藤鶴夫は演劇・落語などの芸を通じてと、それぞれ久保田万太郎の違う面での師というところも興味深いです。まあ戦後の久保田万太郎は「長」がつくものが好きでなんでもひきうける、みたいな揶揄もあったみたいですけどね。

12月は浅草や銀座など昔の東京についての本をもう少し読みたかったけれど、あっという間にクリスマスが来て、もう年末。多分、この本が今年最後に読み終わる本になりそう。雑記もこれ書いてそのあと、久しぶりに買った雑誌(?)を取り上げておしまいって感じですね。で、それを合わせると今年買った本は51冊。ちなみに去年は61冊、一昨年は46冊なので、ここ最近としてはまあまあ普通(去年は一昨年の持ちこし分が数冊あったはず)。数が少ないのでなんですが、鈴木信太郎、柳宗悦、片岡義男、山川方夫、獅子文六、安藤鶴夫が2冊ずつであとは1冊のみ。写真集やデザイン本に回す予定たっだはずだった煙草代もあんまり使ってなくって、最近買ったボブ・ギル、ソウル・バス、バーニー・バブルズ、マーク・ゴンザレスくらい。あーわたしの煙草代はどこに消えてるのか‥‥。

それから雑誌はまったく買わなくなりましたね。ツイッターなどでつぶやかれているのを見ているとコーヒーや本、音楽のいい特集もあったみたいだし、わりと「ブルータス」の特集がよかった記憶があるけれど、実際に喫茶店をまわったりするわけではないし、本も自分で読む本は限られてるし、と思うと、いまいち買うまでにはいたらず。
なんか雑誌って10代の頃から買ってきてけっきょく手元に残ってるのってほんの少しってことを考えるともういいやって気持ちになりがちだけど、自分の知らない分野のことや、わざわざ本を買うまで興味のなかったことを知りたくなるきっかけとして、来年はもう少し買うようにしたいかな。

そんな風に今年を振り返りつつ、実は来年は写真に関する本をちょっとまとめて読んでみたいと思っているところだったりするのでした。

「Bob Gill So Far」-Bob Gill-

◆12月28日に閉店してしまう「静岡おでんROKU」に行ってきました
ボブ・ギルは、軽妙でユーモアあふれるイラストやデザインが特徴的なニューヨーク生まれのグラフィックデザイナー、イラストレーター、コピーライター‥‥。
1950年代からデザイナーとして活動を始め、1960年代にイギリスにわたりアラン・フレッチャー、コリン・フォーブスとともに「フレッチャー・フォーブス・ギル」というデザイン・グループの立ち上げに参加しています。1967年にグループを離れ、1970年代にニューヨークに戻ったあとは、ブロードウェイミュージカルのディレクションを手掛けたり、絵本や雑誌の表紙、ロゴデザイン、ポスター、広告‥‥といった制作活動を続けるかたわら教育活動などにも積極的に行っているようです。
今回初めて知りましたが、ジョージ・ハリスンの「不思議の壁」のジャケットのイラストもボブ・ギルなんですね。
前にアラン・フレッチャーについて調べているときに知って、いつか買おうとリストアップしていた作家だったのですが、集大成的な本が出たということで先日取り上げたソール・バスの本と一緒に購入。こちらも厚さが3cm以上もある大判の本です。絵本も何冊か復刊されているようなので、それも含めてクリスマスのプレゼントにもぴったりだと思いますヨ。

今年最後の飲みは(多分ね)渋谷にある静岡おでんのお店ROKUへ。ここは昔からの知り合いがやっているお店なのですが、今年いっぱいで閉店してしまうのです。11月の終わりくらいから常連さんを中心にクロージングパーティを毎日のようにやっていて、改めてあの小さなお店の磁力の強さを感じました。わたし自身は年に寒い季節になると1日回か2回くらい行く感じで、漣くんが生まれてからはかなりご無沙汰気味だったのですが、居心地の良い店内で友だちと話しながらおでんを少しずつ食べながらお酒をのむのが好きでした。
休日前の22日は9時半くらいからDJイベントになっていて、いつも行っているときとは違う雰囲気だったのですが、かかっている音楽もよかったですし、来ている人もフレンドリーで初めての人でも普通に話しをしたりできて楽しかったです。お客さんが多かったせいで大野さんや渡辺くんとほとんど話ができなかったのがざんねんでしたが‥‥。まぁそれは仕方ないです。開店してから6年、おつかれさまでした~!

「春夏秋冬帖」-安住敦-

◆横尾忠則、公開制作@府中市美術館
安住敦は逓信省に勤めながら久保田万太郎らと俳句雑誌「春燈」を主宰したりしていた俳人。この本はその「春燈」の編集後記をまとめたもので、タイトルのとおり1月から始まり12月で終わるという構成で日々のできことや交友のある人々についてなどがつづられています。
また収録順を再構成するにあたって、年代よりも取り上げられている内容を重視しているため、1950年代に書かれた文章と同じ題材を取り上げた1960年代のものが並んでいたりします。大げさに言うと元気だった人が次の文章で亡くなっていたりすることもあり、最初はちょっと違和感がありましたが、読み進めて行くうちに意外とこの流れのほうが一年を感じられてよいという気になってきます。

府中市の広報を見ていたら、府中市美術館の公開制作室で12月10日から横尾忠則の公開制作が行われているとのことだったので、さっそく行ってきました。
1時からのスタートだったのですが、出遅れてしまって美術館に着いたのは2時半くらい。平日にもかかわらず、制作室の前は人だかりで、絵のほうもかなり進んでいる様子。もちろん特に解説とかなく、横尾忠則がひたすら絵を進めて行くという感じなのですが、1回目ということもあり、大きなキャンバスにどんどん絵が広がっていく感じがおもしろい。実際、筆が進み過ぎて、3時くらいには終了して質問タイムみたいな感じになってしまったのですが、このあとどういう風に作品が出来上がっていくのか続けて見てみたくなりますね。ちなみにこの後の公開日は、20日、22日、23日。さすがに平日はもう行けないけれど、23日とかまた行ってみようかな、なんて思ってます。

府中市美術館では今、「石子順造的世界一美術発・マンガ経由・キッチュ行」という展覧会もやっていて、石子順造が評論の対象したマンガや演劇、芸能、具体的にはつげ義春の「ねじ式」原画全一話分が公開されていたり、水木しげる、林静一、赤瀬川原平などの作品(?)が紹介されているみたいでかなり気になってます。まぁ現実的には漣くんを連れて美術館には入れないので難しいかな。図録だけでも買っておきたいかな。この図録がちょっとヴァラエティブック的な要素もあって、これで2000円は安いかも!?という感じなのです。

しかしそんなわけで今、府中市美術館のミュージアムショッブは、横尾忠則・石子順造関連の書籍やグッズがたくさん並んでいて、いつもと違う雰囲気になっておりますヨ。

「ひともと公孫樹」-丸岡明-

◆お早よう市@吉祥寺クイーンズホテル
老年の佐藤春夫が若い女性に恋しストーカーに近い執念を剥き出しにする「ひともと公孫樹」、戦後から晩年までの久保田万太郎を描いた「詩魂流転」、能の世界を題材にした「石の叫」の3篇を収録した本。「ひともと公孫樹」と「詩魂流転」は実名小説で、「石の叫」はフィクションとなるのだろうか。ちょっと変則的な収録になっているけれど、晩年に近い時期の作品なので仕方ないところなのかもしれません。

お早よう市は偶数月の2週日の週末に吉祥寺のクイーンズホテルでやっている朝市。夏に行ったときは朝市ではなくで夕方開催の夕市で、昼間古本屋さんやギャラリーを巡った後、重い荷物を持って汗を流しながら、吉祥寺から丼の頭通りを歩きましたが、気がつけば冬。そして今回は歩かない漣くんを抱っこして行くことになるという‥‥。数年前まで三鷹台→久我山→富士見ヶ丘と井の頭線沿いに住んでいたとき、自転車でクーインズホテルの前をよく通ったものだけれど、歩いてみるとけっこう遠いですよね。

-お店は井の頭通り沿いにあって、表は狭い歩道になっているのですが、お店の後ろがちょっとした裏通りとなっていて、エバジャムやアグネスパーラーがお店を出していて、横に椅子や机が置いてあってそこで食べたり、話したりできます。
また置いてある椅子やお店で使っている台、グラスやお皿などの食器などは、クイーンスホテルで売られているアンティークが使われてていい感じです。日曜は晴れていてそれほど寒いという天気ではなかったので、陽のあたっているところで座って暖かいカフエオレを飲んだり、さつまいもと小豆のお焼きを食べたりしていたら、かなりポカポカした気持ちになりました。

次回は2012年2月11日と12日、今回はクリスマス直前大作戦だったようですが、ヴァレンタイン直前スペシャル、だそうです。

「A Life in Film & Design」-Saul Bass-

◆殿ヶ谷戸庭園の紅葉
前々から出ると言われていてなかなか出なかったソール・バスの作品集が、ようやく発売になったのでさっそくアマゾンで注文。今までソール・バスの作品集というとgggのシリーズかアイデアのものしかなかったというのが不思議くらいですが、大判で厚さも4cmくらいあるハードカバーで、企業のロゴ、CIといったグラフィックデザインや映画のタイトルデザイン、広告・ポスターなどが1400以上(って書いてあった。もちろん数えてはいない)収録されており、まさにソール・バスの集大成という感じです。クリスマスのプレゼントにもいいと思います。

こんな本が届くと、昔の映画のサントラを聴きながらココアとかチョコチップクッキーとか食べたりしながら、真夜中にずっと眺めて過ごしたいな一なんて学生時代みたいなことを夢見ちゃいますね。
もっとも学生時代は、こんな洋書高くて買えなかったけど‥‥。何かの雑誌のインタビューでカジくんが「写真集は未来の自分への投資なのでできるだけ買うようにしてる」って言っててうらやましかったもんな。その頃はアマゾンもなかったしな~
まあ実際はゆっくり眺めている暇もなく、年末の楽しみ、みたいなことになってしまってますが‥‥。いや、ただでさえ年末年始のお休みが少ないのに、年末の楽しみとして心の中でとってあるものがすでに多すぎ、という気も‥‥。

-土曜は、国分寺にある殿ヶ谷戸庭園に行ってきました。前回行ったのが冬だったので、あまり気にしていなかったのですが、この時期は紅葉はものすごくきれいで、12月にもかかわらずカメラを持った人たちが多く来ていました。2週間前くらいに来たら一番きれいだったのかもしれません。

庭園なので芝生に入ったりして遊ぶことはできないのですが、起伏のある地形に合わせて、庭園が作られているので、ちょっとした山道と登っているようなところやゆるやかな坂があったり、場所によって木や石など違うもので作られた階段を上がったり降りたり、池に橋がかかっていたり、飛び石が置いてあったりして、漣くんぐらいの小さな子どもにとってはぐるっと回るだけでも楽しそうでした。「赤いね~」とか「きれいね~」とか大声で叫びながら走り回るので、ちょっと周りには迷惑だったかも!?

年々、一年が過ぎるのが早くなっていくような感覚はすでに慣れっこになってしまっていて、今さらどうとも思わないけど、子どもと一緒に過ごしていると、ふと、この子もあっというかに大きくなって、こんな風に一緒にはしゃいだり遊んだりすることもなくなるんだろうな、と思う瞬間があったりします。
多分、20代や30代の初めの頃に子どもがいたとしたらそんな風には思わなくて、30代後半からの時間のスピードの速さを感じた後だからこそのように思う。ある程度歳をとってから子どもができた人が親バカになってしまうのはそんなとこるからくるのかもしれません。適当、かつどうでもいいことですが。あーそんなこと思うのも、誰のせい?それはあれだ!12月のせいだ!

「焼物雑記」-井伏鱒二-

◆年末恒例!20%オフキャンペーンをやってます~
骨董についてつづった随筆をまとめた本。別で単行本になっている「海揚り」をはじめ、青柳瑞穂の掘り出し物の話、庄野潤三と水甕の話など、前に読んだことのある随筆が多いので、テーマに合った作品をあとから編纂しなおしたものなのだろうと思う。とはいうものの、丼伏鱒二の随筆は何度読んでもおもしろい。一つのテーマでまとめなおしてるので印象が変わるってこともありますけどね。
全体的な構成や話のすすめ方もよいのですが、ちょっとしたやりとりや一言が妙におかしかったりすします。これ読むとついでにまた「珍品堂主人」を読み返したくなってきますね。ほかに井伏鱒二が骨董についてつづった随筆をまとめたものってないのかしらん。

あと、どうでもいいはなしですけど文化出版局と丼伏鱒二という組み合わせがいまいちわたしには結びつかない。ほかに文化出版局から出ている井伏鱒二の本はあるのかな。

12月に入ったので週末にクリスマスツリーを出しました。去年もつぶやいたりしてましたが、クリスマスツリーって、早く出しちゃうと自分が浮かれてるようでいやだし、かといって、気を抜くとクリスマスの一週間前とかになってしまったりしてなんとなく出すタイミングが難しい。いちおうわたしの中では12月の第一週日の週末をクリスマスツリー出す日と決めてるんですけど、アドベントカレンダーがだいたい12月1日から始まることを考えると、ほんとうは11月中に出すのが正しいのかも?なんて思ったりもしてます‥‥。

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うちにある電飾は、昔ながらのプラスチックのカバーがついたいろいろな色が混ぎったやつなので、全体的にオーナメントも含めて統一感がなくて完全に子供向け。電飾をつけると「きらっきらっ」とか言いながらツリーのまわりを回ったりして、けっこう楽しそう。
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色合い的に合っていたので会社からもらったおとうさん犬のつけてみた。しかしすぐに漣くんによってはずされてしまった。

ついでにクリスマスのCDも少しずつ買っていこうかな、と思ってます。ビーチボーイズとかフィルスペクターとか、シナトラとか、50年代の女性ボーカルのやつとか‥‥定番のものを毎年3、4枚ずつ買っていく感じで、漣くんたちが小学生になる頃までには、ある程度枚数が増えてるといいかな、なんて気長に思ってます。なんとなくまとめて買っても聴く期間が短いのであんまり聴かない気がしますしね。

あ、それから年末と言えば、カヌー犬ブックス恒例の20%オフキャンペーンを行ってます。17日(土)までですのでよろしくお願いいたします。

「安南の王子」-山川方夫-

◆半年ぶりくらいにニチニチ日曜市に行く
続けて山川方夫の「安南の王子」を読んでみる。あとは講談社文芸文庫から出ている「愛のごとく」とエッセイ集「目的をもたない意志」が手に入りやすいよう。2冊くらいならついでに読んでみて、あとは古本屋での出会い待ち、ってところかな。

この本では、バンド仲間で王子様的な存在の男の子を、亡命中の異国の王子に仕立ててパーティに繰り出すという都会の遊民の姿を描いた「安南の王子」や、父親の亡ぎ後、祖父と母親の壮絶な争いに挟まれる長男の心境を描いた「最初の秋」、子どもの頃に近所に住んでいた精神薄弱の少女に慕われ、好きになってしまうという 「千鶴」といった短編5篇を収録されてます。
山川方夫の作品の全体が伝わるように、寓話的なものから私小説的なものまでバラバラな作風の作品を意図的に選択しているのかもしれませんが、なんとなく捉えどころがなく、どこに感情を置いていいのか分かりにくくなってしまっている気がしますね。「夏の葬列」含めて、もう少し収録する作品の選択や並びを変えたら印象が変わるんじゃないかな。まあまだ2冊しか読んでいないので分かりませんが‥‥。

-週末は久々にニチニチ日曜市&籠太でバイキング、という我が家の定番コース。ミオ犬が、いつものようにTAIYODOのお菓子やスコーンを買ったり、ベトナム雑貨のお茶わんやフリマを見たりしているあいだ、わたしと漣くんは泡山さんの絵本を読んだり、ゆるひのシフォンケーキを試食してみたり、通りで遊んだりという感じ。
泡山さんは、前回会ったとぎに、お互いに奥さんのお腹が大きくていつ生まれるのかみたいな話をしたので、もう生まれたのかな、なんて思っていたら、なんと15日生まれたばかりとのこと。しばらくしたら赤ちゃん連れでニチニチに来たりするようになるのかな、ちょっと楽しみ。
そんなわけで夜のおやつはTAIYODOのチョコくるみスコーン。これチョコも自家製なんですよ。チョコって手作りって言っても基本溶かして成形しなおすというイメージですが、カカオから選んで作ってるって聞いてちょっとびっくり。

実際にどうやって作るのかよくわからなかったので検索してみたら、デイリーポータルZでやってました。おそるべしデイリーポータルZ!

 →デイリーポータルZ:完全手作りチョコレート

「夏の葬列」-山川方夫-

◆山川方夫の「二宮」は別な他の世界への入り口という感覚はなんとなくわかるな
山川方夫の本を読むのは初めて。なんで読もうと思ったかと言えば、先日「『洋酒天国』とその時代」を読んでいたら・山口瞳のあとに「洋酒天国」に関わっていた編集者として紹介されていて、それだけでも読んでみたくなるところなんですが、加えて“住んでいた二宮駅の国道でトラックにひかれて亡くなった”なんていう記述があったから。もうこれは読むしかないという感じで本屋さんに行ってみたら、意外と簡単に見つかってちょっと拍子抜けでした。タイトルとなっている「夏の葬列」は中学の教科書に載っているらしいですね。

それに合わせてかこの本自体も中高生が読むことを想定して、「疎開児童」「畦道」「ウクレレ」「納戸」といったかなり平易な言葉まで細かい注釈がついていたりします。でもそもそも疎開していた海岸の小さな町で空襲に会い、主人公をかばおうとした少女を動揺した主人公が突き飛ばしてしまい、少女は銃撃されて死んでしまう。それから何年か経ち成長した少年が思い出の町に戻ってくる‥‥という話は、結末は書きませんがかなり残酷。ほかにも夫婦げんかを題材にした話や幼い子供を亡くした夫婦がそれをきっかけに別居するという話、無個性な団地に住んでいたことに気づいた男の反乱を描いた話など、これは中高生向きなのか?中高年じゃないのか?というテーマの作品が収録されてるんですけど、どうなんでしょ。

わたしとしては海岸の小さな町(二宮)を舞台にした作品がいくつか収録されているのがちょっとうれしい。小学校の時、引っ越してきたばかりの頃(1970年代)の二宮の様子を、ぼんやりと思い出しながら読んでました。木造で銃撃された跡がまだ残ってる駅舎だとか、小学校の木造校舎だとか、舗装されていなくて岩肌がそのまま出ているトンネルだとか、山のてっぺんまトンネルが続いてた防空壕だとか、もちろん海岸の様子だとか‥‥ね。
山川方夫がなくなったのは1965年なので10年以上後の町の様子なんだけれど、たぶんそれほど変わっていないと思う。いや、ある意味、今でもそんなに変わってないのかも?実家に帰っても家のまわりから出ないので、今の二宮の様子なんてぜんぜん分かんないんですけどね。