「立腹帖」-内田百けん-

なにがきっかけでなんでそうなっちゃうのか、自分でもよく分からないのだけれど、2月の終わりにティン・パン・アレイの周辺の音楽について、「いつになくはまってしまっていて、このまま夏前くらいまで聞き続けようと思ってます。」と書いたときは、本当にそう思っていたのですよ。それなのに3月に入ってから、買ったCDといえば、Little Barrie、The View、Maximo Park、The Rifles、Milburn。ティン・パン・アレイなんて、ぜんぜん聴く気もなくなってしまってしまいました。いや、まじで。UKロックなんてもう10年くらいちゃんと聴いてなくて、そもそも、もう一生聴かない類の音楽だろうなぁ、とさえ思っていたんですけどねぇ‥‥。ちなみ今、チェックしているのは、Little Man Tate、Jet、Kaiser Chiefs、Kooks、Cribs‥‥といったところですかね。

さて、小学校6年の時の先生が定年退職を迎えると言うことで、週末は、卒業して初めて行われた同窓会に行って来ました。25年ぶり、ということは、わたしたちを教えていたときは、34、35歳だったというわけで、あの頃の先生の歳をすでに越しているのだなぁと思うと少し感慨深い。はがきが来たときは、二宮まで行かなくちゃいけないし、なんだか面倒だなぁ、なんて思っていたのですが、実際に会ってみると、思っていた以上に盛り上がってしまい、家に帰ったのは、日曜日の朝8時という‥‥。
しかも昔は近くにある保養所を通り抜けられたのに、いつの間にか抜けられなくなったせいで、金網をよじ登って帰るというありさま。でも芝生越しに見えた青空をバックにした富士山がとてもきれいでした。

「頭の洗濯」-吉田健一-

吉田健一の本を読むのも久しぶりだなぁ、なんて思っていたら、前回読んだのは去年の2月でした。一年ぶりですか。そうなると、急いで読むのがもったいなくなってしまって、一日ゆっくりと、一篇か二篇ずつ、なんて感じになってしまいがちます。こう言うときは何冊か平行して本を読めばいいのかな。どうでもいいことですが‥‥。

週末は、阿佐ヶ谷住宅の一画にあるトタンギャラリーに行って来ました。阿佐ヶ谷住宅は、南阿佐ヶ谷から歩いて5分くらいの場所に、50年くらいに前に建てられた集合住宅。知ったときは、昔住んでいたアパートの近所にあった牟礼団地みたいな小さめの団地が並んでいるのかな、と想像していたのですが、実際は、中にはそういうものもあるけれど、半分以上は、その形や色合いがどこか福生の米軍ハウスを思わせるような2階建てのテラスハウスで、小さな庭がついていたり、公園や芝生の植えられた共有部分が大きく取られていて、都心とは思えない素敵で、かつ贅沢な場所でした。こんなところと分かっていたら、ちゃんとしたカメラとたくさんのフィルムを持ってくればよかったとか、ベーグル屋さんでサンドウィッチでも買ってくればよかったとか、いろいろ後悔してしまうもの。物件のほとんどは立て替え後の企業が押さえてしまっていて、窓やドアには板が張られてしまっていて、予定では4月頃から取り壊し作業が始まってしまうみたいなので、(住民の反対で取り壊しが延期されたという情報もあり)近いうちに、また行かなくちゃ。

阿佐ヶ谷住宅も含めて、老朽化によって、ふるい建物がどんどん壊されてしまうのは、ある意味、しょうがないことだけれど、代官山や表参道の同潤会アパートを例に取るまでもなく、たいていは壊される前の建物よりも醜悪なビルやマンションが建てらることが多いこともあって、やはり寂しい気分になります。逆に目黒川沿いは、古い建物をうまく利用したお店が多いので、まだ散歩道として楽しめるのが救いですね。新しいお店でもなんとなく周囲にあった雰囲気の建物が多いような気がするしね。
先日、ランチを食べに行った和菓子や日本茶の専門店、HIGASHIYA SABOもそんなお店の一つで、外装はそのまま蔦のはった木造の建物なのだけれど、中はもとの素材をうまく使いながらも、ガラリと違うモダンな雰囲気になってます。目の前の窓の向こうに、文字通り切り取られたようなさくらの木が見えのもまたいい感じで、あとひと月ぐらい後には、さくらの花が窓いっぱいになるんだろうな。そんな時期にまた行ってみたいけれど、3月の終わりからは予約を受け付けないらしいので、花見の頃の目黒側沿いの人出を考えると、まぁ入るのは無理ですね。
昼の懐石ランチは、量としてはちょっと物足りないような気がするけれど、味がきちんとついていたり、漬け物がたくさん出てくるので、ついご飯がすすんでしまい、気がつけばお腹いっぱい。いや、ご飯はいいからお酒が飲みたい、という気分でした。
目黒川沿いにいろいろなお店やカフェができはじめたのは、ここ10年くらいのことだと思うのですが、そのきっかけとなったのは、やはりオーガニックカフェということになるのかな。けれど、前にスウェーデンのジャズレーベルをやっている人のインタビューが載っている雑誌を読んでいたら、日本にもリスナーがたくさんいるので、日本に事務所をつくりたい、事務所の場所は中目黒がいい、なんてことを言っていたのは、コーネリアスの影響が大きいかも、なんて強引に話を続けてみる‥‥

from Nakameguro to Everywhere

金曜日に行ったリキッドルームでのコーネリアスのライブは、ダイブやモッシュが絶対にないと分かっているからか、「これでもかっ」ってほど人を詰め込んでいて、帰りの満員電車よりもひどいくらいでした。まずわたしのチケットの整理券が580番という時点でおかしい。ライブの内容がよかっただけにもう少し、ゆったりと、できればもう少し大きな、椅子のある場所で聴きたったです。音楽的にそういう場所のほうがあってると思うし、お客のほうもコーネリアスのライブで騒いだり、暴れようなんて考えていないと思うしね。そういうことをされると、しょせん音楽うんねんよりも金儲けなわけね、なんて思ったり。
そもそもリキッドルームは、たいてい人を詰め込みすぎている感じがするのは気のせいだろうか。会場費が高いのだろうか?

「草野球必勝法」-山口瞳-

普段、野球を見るわけでもなく、草野球に参加するわけでなく、競馬も将棋も麻雀もやらないし、絵も下手、さらに飲みに行けば、たいてい終電間際でサクッと帰ってしまう。そう考えると、趣味・嗜好的には山口瞳とわたしの接点ってまったくないですね。だからこそおもしろく読める、ということもあるのだろうけれど。青柳瑞穂や青山二郎を読んでいるからといって骨董収集の趣味があるわけではなく、内田百けんを読み始めたからといって鉄道好きなわけでもなく、井伏鱒二が好きだからといって釣りに行くわけではない、と同じことですかね。

さて、ちょっと前のことになりますが、ソフィア・コッポラの「マリー・アントワネット」を観てきました。ソフィア・コッポラの映画は、「ヴァージン・スーサイド」しか観てなくて、個人的には、スチール写真を含めて、映し出されるシーンの一つ一つや小道具、音楽の使い方など、イメージ的にはわりと好きなのだけれど、ストーリーを語るという意味ではちょっとどうなのかなぁ、という思いこみがあったので、この映画については、ちょっとスケールを広げすぎなのではないか、もっとミニマムなストーリーの方があっているのではないかと思っていて、正直あんまり期待はしてませんでした。でも、実際は、いわゆるベルバラ的な世界でも歴史物語でもなく、純粋に一人の女の子の青春映画としてよかった。
ストーリーを含めて、歴史的な背景、国同士の外交的な駆け引き、さらには旦那のルイ16世を初めとした男性たちの心象やキャラクターなど、余計なものをすべて省いてしまって、マリー・アントワネットとその周りの女の子たちによる贅沢三昧と、恋愛のうわさ話、他愛もないおしゃべり‥‥が描き出されてます。映画の中で一番心に残っているのが、18歳の誕生日に夜通し遊んで、そのあとみんなで朝日を見に行くシーンというのも、ソフィア・コッポラらしい。Gang Of FourやSiouxsie & The Banshees、Adam & The Ants、Bow Wow Wow‥‥など、使われている音楽が音楽なだけに、衣装も18世紀フランスというよりも、1980年代初めのヴィヴィアンのように見えてきたりするし‥‥。

その「マリーアントワネット」が、夢の世界のような青春物語とすれば、その青春の終わり時期の女の子の悩みをストレートに描いたのが、小日向しえ主演の「ジョブ&ベイビー」。結婚間近の主人公が、仕事もしなくちゃいけないけれど勤めている保育園は閉園だし、子どもも生まれるし、彼ははっきりとしないし、そもそもこの仕事がわたしに向いているのかもわからない‥‥といった感じ。どちらも出てくる男には、まったくスポットが当てられないのは同じか。
「ジョブ&ベイビー」のほうは現実的な分だけ、男のわたしには、「う~ん?」と思ったり、「女の子はいろいろたいへんだなぁ」なんて思ったり。所詮人ごと?というわけでもないけどさ。舞台初日と言うこともあって、終演後は演出家の赤間麻里子と小日向しえのミニトークショーがあったりしてなかなか楽しかったです。スペシャのプレゼントでチケットが当たったので、まったく予備知識なしで行ったのだけれど、ちょっと得した気分。

「間抜けの実在に関する文献」-内田百けん-

この本の解説は、堀江敏幸。ある作家の本を読み始めたばかりの時に、好きな作家がその本の解説を書いていたりするとなんとなくうれしい。でも、たまたま買ったCDをあけてみたら、小西康陽が解説を書いていた、というのはちょっとがっかりしてしまう、のはなんでかな。

ようやく「ハリー細野 クラウン・イヤーズ 1974-1977」を買った。「トロピカル・ダンディ」も「泰安洋行」もアナログではもっているのだけれど、気軽に聴けるCDでそろえたいと思っていたところだったし、それよりも中華街でのライヴが全部収録されているというのがうれしい。映像も全部入ってたらなぁ、と思うけれど、それは残っていないのだろう。今年は新春放談をきちんと聞いたことや、このボックスの発売の影響か、年が明けたくらいから、ティン・パン・アレイ周辺のCDばかり買っていてます。気分にまかせてついバラバラとCDを買ってしまうので、改めて聴こうとすると意外とCDを持っていなかったりします。鈴木茂の「バンドワゴン」でさえ、高校の時レンタルレコード屋で借りだけで、買ってなかったりするし‥‥。というわけで、iPodの中は、小坂忠や鈴木茂、吉田美奈子、松任谷正隆、久保田真琴、大貫妙子、ブレッド&バター、西岡恭蔵、南佳孝‥‥といったアーティストの曲ばかりになってます。
聴き始めた頃は、2月の終わりくらいまでこの路線を聴いていこうと思っていたのだけれど、いつになくはまってしまっていて、このまま夏前くらいまで聞き続けようと思ってます。でもティン・パン・アレイ周辺といいつつも、吉田美奈子とか大貫妙子のファーストとか聴いていると、やはり山下達郎のアレンジのセンスの良さを改めて気づかされます。

ところで、ちょっと自慢なのですが、うちには細野晴臣、鈴木茂、林立夫、ジョン山崎、吉田美奈子、小坂忠のサインが入ったティン・パン・アレイの色紙があります。詳しくは知らないのですが、友だちのおじさんが北海道に住んでいて、若いときにそういうバンドを何組か呼んで、今で言うフェスみたいなもの開いたことがあって、そのときにもらったもの、らしい。でも、そのおじさん自身はティン・パン・アレイのことをほとんど知らなかったらしいのだけれど‥‥。吉田美奈子のサインの「子」の横棒の先にハートマークが入っているのがちょっと微笑ましい。
で、このボックスのブックレットには、1974年10月から1977年9月までの細野晴臣の活動記録が詳細に記載されていたので、この色紙が、いつ行われたどんなイベントのときに書かれたものなのか調べてみたのですが、どうも記載がない。細野晴臣のサインの前に「泰安洋行」と書かれているので1976年。北海道の野外イベントなのでその夏ではないかと予測はしていたのですが、ないんですよねぇ~。1976年は「パラダイスツアー」で札幌に行ってるだけだし、1977年の夏は「札幌ロック祭」に参加しているのですが、ティン・パン・アレイではなく、夕焼け楽団+細野晴臣と書かれているし、謎は深まるばかり‥‥。
ちなみに、この年譜を書いているのは長門芳郎。10代から20代の初めの頃は、この人の書いたレコードの解説に出てくるグループやアーティストをメモって、中古レコード屋にいくたびにチェックしたものです。その辺は、今、好きな作家の随筆の中に出てくる作家の本を手帳にメモって、古本屋でチェックしているのと変わらない。なにが変わったと言えば、わたしが音楽を聴くということに、昔ほど情熱がなくなったということだけか?

「現像・焼付・引伸の実際」-師岡宏次-

3月に参加するモノクロ写真の引き伸ばしのワークショップの前に、一応手順などを予習しておこうと思って購入。1カ月くらい前から本屋さんに行くたびにチェックはしていたのですが、あまり置いてないものですね。カメラコーナーは、基本的にデジカメの操作の仕方とか、撮影の仕方についての本しか置いてないような気がします。あと、今流行りのおもちゃというか雑貨ぽいカメラの本、もしくはライカやハッセルなどのヴィンテージものの本といったところか。
だからといって1956年発行のこんな古い本じゃないてもいいんじゃないかという気もしますが、カメラ本体の性能や機能に比べて、写真の現像や引き伸ばしの技術はあまり進化していなくて、50年前のものでもそんなに変わらないんじゃないかな。わからないけど。実際はいろいろな技法が出てきているのかもしれないけれど、それは写真のプロの現場のことで、素人がちょこっとやってみようという感じではないのだと思うのですが、どうなのだろう?逆に、本の印刷技術が進んでいないせいか、例にあげられている写真がシンプルでわかりやすいです。ワークショップに参加するのはこれで最後にして、その後は、1年に1度か2度、自分で暗室を借りて、そのあいだに撮りためた写真の引き伸ばしや全体の色調を補正などして、きちんとした形でまとめていければと考えてるのですが、どうなることやら‥‥。

金曜日は、会社の引っ越しだったので、6時ぴったりにあがって、我々のライブを見に新大久保アースドムに行ってきました。我々については、昔書いたような書いていないような‥‥気がするのだけれど、忘れた。友だちのコマツくんがやっているバンド。高円寺の無力無善寺というところで定期的にライブをしているのだけれど、場所的になんとなく気が乗らないなぁ、なんて思っているうちに、前回、見に行ったのがいつだったか分からないくらい時間が経ってしまいました。というわけで、ライブで演奏してた曲も知らない曲ばかり。でも相変わらずひねくれた、というかねじれた感じなんだけれど、それがわざとらしくなく、素直に曲書いて、詞をつけて、演奏したら、こうなった、という感じが健在でよかった。今年はアルバムも出るらしいので(8年ぶりくらいか?)ちょっと楽しみです。そんなわけで、久しぶりに「アイスクリームマン」とか聴きたくなって、「SONIC COMIC LOC」をiPodに入れようかな、と思ったりしています。
イベント自体は、パラダイス・ガラージとか、ほか知らないバンドとか(でぶコーネリアスや坂本移動動物園など)何組が出演していて、バーカウンターがあるフロアは、フリマみたいになっていたり、サブステージもあって、お客さんの中には、ロリっぽいかっこをした女の子がたくさんいたりして(ポップルのぬいぐるみのリュックを背負っていたりする‥‥)、というなんだか不思議な雰囲気でした。

「阿房列車」-内田百けん-

内田百けんは、読んだらおもしろいんだろうなぁ、と思いつつ、黒沢明の映画のせいでなんとなく敬遠してきた作家なのだけれど、高橋義孝と山口瞳の対談を読んでいたら、やはり読んでみるべき、という気持ちが強くなった。希望としては、ここは旺文社文庫でそろえたい、ところなのだが、どうみても簡単にそろいそうもないので、ちくま文庫の内田百けん集成で我慢することに。全24巻、1カ月に2冊ずつくらい読んでいけば、年末くらいに全部読めればという計画です。今年の目標の1つですね(ほかにどんな目標が?と言われると。「‥‥」ですが)。
内田百けんの“けん”は、正しくは“もんがまえの中に月”なんだけれど、“百間”“百聞”“百門”と表記されたり、“百けん”とひらかれていたりします。こういろいろ表記されると、ネットで検索するとき、なにで検索するればいいのかわからなくて困ります。ちなみにグーグルで検索してみたら、内田百間:65300件、内田百けん:44300件、内田百聞:11000件、内田百門:193件の検索結果が表示されました。わたしは、ちくまに合わせてひらく形で書いておこうと思っているのだけれど、内田百間が一般的なのかも知れません。いや、名前なんだから“一般的”とか“多数決”とか、そういう基準で決めてしまってはいけないと思うのだけれど‥‥。
でも、内田百けんのように、複数の表記で表されてしまう日本の作家は、それほど多くないと思うのですが、外国の作家に関しては、時代や翻訳者によってかなり表記の違いがありますね。この辺は、翻訳者のこだわりなどが出てしまったりして、統一させようとということもあまりしていないのではないだろうか。一応、このサイトは、趣味ではなく本屋なので、サイトに載せるときは、その本の表記に合わせるようにしているのだけれど、そうすると、作家一覧とか検索とかさせようとすると、なかなかむずかしいです。古本の検索サイトなどはどうしているかなぁ。変換辞書を別に作っているのかな。

「Cartoon Modern」-Amid Amidi-

こちらもアマゾンで注文した本。著者は、「ANIMATION WORLD MAGAZINE」や「ANIMATION JOURNAL」「ASIFA MAGAZINE」といった雑誌に関わり、1996年に創刊されたアニメーションについての専門誌(1998年以降はWeb)「ANIMATION BLAST」を主宰している人物らしい。現在はこの本に連動した1950年代カートゥーン専門の「Cartoon Modern」や、「Cartoon Brew」といったブログを運営したりしているようです。もし英語が読めたとしても、内容が理解できないサイトのような気もするけれどどうなのだろう。

写真展も終わってようやくいつもの生活に戻りました。ほんとは途中で、展覧会の様子などを書こうと思っていたのだけれど、そんな余裕もなく、といった感じでした。いや、パーティを含めて当番で行くたびに、単に飲み過ぎてただけなんですけどね。それから近くにヘキサゴンカフェがあったので、ご飯を食べてから会場に行ったり、途中でちょっと抜けて古い雑貨や洋書が置いてあるお店に行ったり、クリップインターメディアは、恵比寿の住宅街の真ん中にあるのですが、古い家なども周りにたくさんあったので、今度、ゆっくり周りを散歩してみたいです。個人的には3月には写真美術館のワークショップもあるので、もう少しモノクロフィルムをカメラに入れて持ち歩きたいなぁ、とは思ってます。開催中はたくさんの人に来ていただいて、ありがとうございました。

「Penguin by Design」-Phil Baines-

年始めに青山ブックセンターの洋書バーゲンに行ってなに買わず、帰ってきてアマゾンに注文した本がようやく届きました。ペンギンブックスが誕生した1935年から2005年までの本の表紙と、それらに対しての考察を掲載したもの。著者は、有名なタイポグラファーで、美術大学でも教鞭とっているらしい。といっても内容については読んでないのでわかりませんけどね。
ペンギンブックスといえば、昔、友だちが、「“P”から始まる言葉は、読み手にかわいい(だったかな)印象を与えるので、ペンギンブックスから出ている本のシリーズは、“P”から始まる動物になっている」と言っていたのを思い出したりします。でもちゃんと調べてないので、ほんとうかどうかいまだにわかりません。どうなのでしょうか。そのとき、「それと関係があるのか分からないけど、ギターポップ、ネオアコ関係のバンド名は、“P”からはじまるものが多いよねぇ」なんて話もしたな。Pastel、Prefab Sprout、Pooh Sticks、Pale Fountains、Push Kings、Pearlfishers‥‥とか。その辺のCDやレコードを買っている人のラックは、“P”のコーナーが普通の人より広いはずで、買うときも他のアルファベットよりもわりと詳しく“P”のコーナーを見ているはず(わたしだけか?)。そんなわけで、当時わたしが作っていたフリーペーパーやイベント名は、「Pastel Paper」や「PickwickPaper」など、たいてい“P”から始まるようにしていて、PCがなくて、フリペやフライヤーを切り張りで作っていた頃は、レタリングシートの“P”が、すぐになくなってしまって困ったものですよ(もともと少ないのにぃ~)。もう10年以上も前の話。

さて、明日から始まる写真展の搬入に行って来ました。いろいろと考えつつも、結局あまり考えずに、気に入ったものを4枚選んで、大きさに合わせて3つの額に入れたので、統一したテーマもないし、撮った時期も異なるし、そもそも焼き方が違うので一枚一枚の写真の大きさも微妙に違ったりするので、壁に並べてみると、統一感のない、いかにも素人っぽい展示になってしまい、いまさらながら少し後悔してます。まぁ所詮素人なわけだし、これでせいいっぱいって感じか。
会場のクリップインターメディアは、バーカウンターがあったり、大きなおとなしい犬が二匹いたり、今の時期は外に出るのは寒いけれど板張りのテラスがあったりとオフィスっぽくないので、会社の帰りに、写真を眺めながら軽く一杯飲んで‥‥とか、最近会ってない友だちと待ち合わせてちょっとおしゃべりする‥‥なんて感じで遊びに来てもらえるとうれしいです。

「落穂拾ひ・聖アンデルセン」-小山清-

小山清の作品を読んでいると、主人公(≠小山清)がものすごい不幸な目に合わされるのでは、あるいは、誰かにだまされて嫌な目に合ってしまうのではないかと思ってしまって、なんだかどきどきしたり、はらはらしたりしてしまう。実際に小説で描かれている主人公は、貧しく、孤独ではあるけれど、どちらかといえば気楽なイメージさえが漂っているというのに。
小山清の人生は、悲運と不遇の繰り返しで、作品の大部分が自らの生い立ち、日常生活や体験を題材とした「私小説」なのだけれど、そういう「戦前の文学青年窶れをしたものの典型」としてだけでなく、その中にそっとつづられる「誰かに贈物をするやうな心で書けたらなあ」といった言葉が、読み手に素直に響いてくるところに、小山清の純粋さや本質があるような気がします。いや、そういうところも含めて「戦前の文学青年窶れをしたものの典型」と言えるのかもしれないけれど‥‥。

ここ何年かは、昔のように雑誌に載っているようなカフェを回ったりすることが、さすがになくなったけれど、前にちょっと書いたDADA CAFEやmois cafe、ロバロバカフェに行った帰りに寄ったcura、阿佐ヶ谷にあるカルカッタ・カフェ、井の頭公園の近くにあるマンションの一室を改装したRoom-1022と、このところ、行ったことのないカフェに初めて行くことが多い。
土曜日に行ったカルカッタ・カフェは、前に勤めていた会社で、一緒に働いていた人がやっている「インド風ゆるいかふぇ~」。会社を辞めることが決まってから派遣で入ってきた人なので、実際は1カ月くらいしか一緒に働かなかったのですが、近くに住んでいることもあって、お互いに会社を辞めてからも、吉祥寺や西荻で偶然に会うことがあります。カルカッタ・カフェのことも、去年の3月、三越のウッドデッキで行われていた吉祥寺おもちゃ市場で偶然に会って、いい物件が決まりそうなので、近いうちにカフェを始めるということを聞いたんだったと思う。そのあと何かの雑誌に載っているのを立ち読みしたりして、開店当時から行きたいな、と思っていたのだけれど、近いわりにはなかなか阿佐ヶ谷に行く機会もなく、年が明けてしまいました。
メニューはカレーやチャイなど、インド風なのだけれど、お店の感じはインド風というわけではなく、とてもきれいなので、インド好きというわけではない人でも違和感なく入れると思います。カレーも思っていたよりも辛くなくて、いろいろな具がたくさん煮込まれて入っいておいしかった。普段は行かないような住宅街の方にあるので、散歩するのにもいい。暖かくなったら自転車で行けるかな~

「師弟対談/作法・不作法」-高橋義孝・山口瞳-

ここで告知するのもどうかと思うのだけれど、友だちが主催する写真展に参加することになりました。30代半ばの7人によるモノクロ写真を展示するグループ展で、クリップインターメディアという恵比寿にある会社を会場にして、2007年 2月5日(月)から11日(日)のあいだ、平日は夕方から、土日は昼間、10日は19時からレセプション・パーティーも開く予定です。詳しくはこちらをご覧いただければと思います。
「時代の狭間で若い感性を失いつつ、確固たる価値の完成系にも辿り着いていない30代半ばの迷える男性達が見ている『心の風景』」なんてという、なんだかすんごいテーマが掲げられていますが、わたしは1月の初めに急に誘われたので、去年、高浪さんのお店で焼いた写真や、何年か前に写真美術館のワークショップで引き伸ばした写真から何枚か選んで出展しようと思っています。この写真展には間に合わうかどうか分からないけれど、3月に写真美術館で行われる写真暗室入門ワークショップを申し込んだこともあって、年が明けてから、モノクロフィルムを入れたカメラを割と持ち歩いていたので、1月に何本か撮ったモノクロ写真から何枚か出せたらなぁ、という感じ。
前にワークショップに参加したときは、全然用意ができていなくて、昔に撮った写真をかき集めて持っていって、なにも知らないまま、教えてもらうままに作業をしただけだったのですが、今度は事前に写真を撮っておいて引き伸ばしたいものをきちんと選んだり、作業の手順などを再度予習しておきたいです。で、その後は、年に一度か二度でいいから、自分一人で暗室を借りて引き伸ばしができるようになりたいですね。そんなことしなくても、デジカメ買ってフォトショップでやればいいじゃん、という意見もありますが‥‥。