「すれちがい夫婦」-獅子文六-

◆病み上がりにカフェスローへ
結婚してみたもののさまざまな理由で生活のパターンがずれてしまい、一緒に過ごす時間がほとんど取れなくなってしまった夫婦を何組が紹介する「すれちがい夫婦」や、父親が子どもが自分にそっくりな性質を持っていることに気がついた瞬間を描いた「因果応報」、学生時代に吉原に通っていた学生が学校の卒業を機に、吉原通いも卒業し結婚することになるが、そのナジミだったおいらんがその家庭に女中として働くことになるという「おいらん女中」など、夫婦や家族をテーマにした作品を収録した作品集。

獅子文六には、いろいろな夫婦の形をレポートする形で、自身の夫婦論や雑誌の読者から寄せられたちょっと変わった夫婦の姿を描いた「夫婦百景」という作品もあり、戦後の夫婦の多様化にかなり興味を抱いていたようです。ただこの本は、「夫婦百景」ほど強く日本の夫婦について調べ、描いてみようという主旨ではなさそう。どちらかというと短編集を組むにあたって作品をピックアップしてみたら、夫婦や家庭を題材にしたものがいくつかあったのでそれをまとめてみた、という感じでしょうか。まあ、あくまでもわたしの印象なので、実際はどうかわかりませんが。

-木曜の夜から熱を出しまして、金曜、土曜と一日中寝込んでいたのですが、日曜になってようやく治ってきた感じだったので、気分転換も兼ねて国分寺に出てカフェスローに行ってきました。ちょうどカフェスローではゆっくり市が開催されていて、中庭(?)もにぎやか、お店のほうも満席に近い感じでした。ここはお店自体も広いし、机と机の間がゆったりしているので、満席に近くてもそれほど人がいる感じがしなくて、普通にベビーカーをお店に入れられるので家族で行くにはちょうどいいです。意外と漣くんも玄米のおにぎりやチリビーンズをのせたパンなどぱくぱく食べますしね。
でも、できれば次回は空いているときに行って、奥の野川が眺められる(のかな?)席に座りたいです。

ゆっくり市のほうは、毎月第1日曜にやっていて無農薬野菜やフェアトレードのスパイス、紅茶、国産の蜂蜜、天然繊維を草木染めしたもの、石鹸‥‥などが売られていて、ちょっとしたライブなども行われたりしていました。ニチニチ日曜市でもおなじみの古本泡山さんも出店していて、なんとなくあいさつを交わしたりして‥‥。

屋外にこのくらいのスペースがあって、そこにいくつものお店が集まるとまさに“市”という雰囲気になりますね。このくらいの規模で、ある程度テーマが決まってるけど売ってるもの種類は違うというお店が集まる市が、いろいろなところで定期的に開かれたら楽しいかも。などと思いながらゆっくりごはんを食べていたら、風邪がぶり返してきたのか頭痛がひどくなってしまい、そそくさと家へ帰ることに‥‥。あぁ今週末はせっかくの梅雨の中休みだったのに無駄に過ごしてしまいました。また来週も晴れることを願ってますっ!

「作家の食卓」-コロナブックス編集部-

◆作家の食卓がおいしそうなのは文章の力なのかもしれない
永井荷風、壇一雄、色川武大、澁澤龍彦、立原正秋、内田百けん、谷崎潤一郎、池波正太郎、開高健、山口瞳‥‥といった作家たちの日常の食卓の再現したり、行きつけのお店や好んだおやつを紹介した本。それぞれのメニューなどに対して、その作家の作品から関連する箇所が引用されていたり、近親者のエッセイが収録されるなど、「作家の酒」「作家のおやつ」‥‥とその後に続くシリーズに引き継がれる構成になっています。

ただシリーズで最初に出た本ということもあり、取り上げられている内容に焦点が絞られていないような、いろいろ詰め込んでしまっていて、全体的に緩慢になってしまってるような気がしますね。
元々コロナブックスは、大型サイズでも厚い本でもないので、内容を盛りだくさんにするよりは、いかにテーマに沿った内容をいかにコンパクトにまとめられるかが重要だと思うので、こういう広げようと思えばいくらでも広げられるテーマだと難しいのかもしれません。そういう意味でその後、「酒」「おやつ」とテーマを絞っていった正解。実際、その二冊のほうがおもしろかったですしね。

あと、こう言ってはなんですが、再現された食卓にいまいち華がないような気もしないでもない、かな。もちろん、全部ではないけれど。豪華と言っても日常の食卓なので、そもそも「みせる」ためのものではないですし当然なんですけどね。逆にこういう日常の食卓を、いかにおいしそうに表現するかが、作家としての文章の力なのかもしれません。

そんなことを言ってみたりもしますが、有名な作家がひと通りおさえられているので、前に読もうと思っていてすっかり忘れていた人を思い出したり、以前に読んだ本をもう一度読み返したくなったりします。料理関係の本は定期的に読み返したり、新しい本を読んだりしておかないといけないなと思っているので、そのためにもこういう本を読むことは大切。
まぁ現実は、月に読む本が少なすぎて、読みたい本のリストが増える一方なんですけどね。多分、月に10~15冊くらい本を読めたら、いろいろな分野の本を読めて、さらに新しい本との出会いも増えて楽しくなるんじゃないかと思うんですよ。今は月に4冊くらいか本を読めていないので、ちょっと古本屋に行って、読もうと思っていた本を買って読むだけで終わってしまいます。
同じように月に20枚くらいCD買ったらもっといろいろなジャンルの音楽が聞けるようになるんじゃないかと思ってる。

しかも歳をとればとるに従って読みたい本も、聴きたい音楽もどんどん増えていくんですよ。若い頃も「あれも読みたい、これも読みたい、あれも聴きたい、これも聴きたい‥‥」って感じだったけれど、今になるとそれも狭い世界だったんだなーと思ってしまいます。
いつまで本を読んだり、音楽を聴いたりし続けるのか分からないけれど(できればまた映画も観に行きたい)、そうやって広がって行く一方で、これからは読まない本や聴かない音楽を決めて、読むべき本、聴くべき音楽を絞るということがより大切になっていくのかもしれません。まあそれが大人の節度ってことなんですよ。‥‥多分

なんてことを、小西康陽の「これからの人生」を聴きながら書いていたら、昔のアジアや日本の歌謡曲が流れてきて、ジャンルで聴く音楽を絞るなんて無意味なことなんじゃないかと思ったりして、節度を失いかけてます。

「心づくし」-芝木好子-

◆電子音楽/ノイズ音楽の耐久レースライブイベント+ポーチでふるまいバーベキュー@セプチマ
「作家生活30年、ますます円熟味を加えた著者が初めて世に送る随想集。川端康成、鏑木清方、壺井栄、林芙美子など心に残る想い出の人々との交友を通じて得た数々のエピソードやこばれ話を的確な目でとらえてつづる珠玉のエッセー集」(帯より)

中でも近所に住み毎日のように会い、会わない日は電話で話し、夏には軽井沢で過ごしたという壺井栄や何かあるたびに銀座で買い物に行ったという佐多稲子といった親しい作家との思い出話が興味深い。男の作家の交友録は、たいていの場合、酒の話が中心になるのでちょっと新鮮でした。

また浅草三社祭、ほおずき市、羽子板市といった生まれ育った浅草をはじめとした昔の東京の様子や風俗、青磁や焼きもの・染色などの伝統工芸にについてなどについてつづったものも収録してしていて、都下生活のわたしとしては、浅草のほおずき市とか行けるときがくるのかな、なんて思いながら読んでました。まぁ西東京もゆるい感じのイベントがたくさんあって楽しいんですけどね。

週末は、立川にあるギャラリーセプチマでやっていた電子音楽/ノイズ音楽の10組の出演者のライブ聴きながら、ポーチで七輪で肉や野菜を焼いてみんなで食べるというイベントに行ってきました。

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実際には最後までいなかったので数組しか聴けなかったし、漣くんがすぐに大きなしゃべりだしたりするので、ほとんどギャラリーの中にいられず、どんな人がどんな音を出しているのかまったくわからなかったんですけど、電子音楽/ノイズと言っても、絶え間ないドローンが響きそれにかぶさるような電子音のノイズの中を不協和音や威嚇するようなパーカッションが鳴り響く、というようなことはなく(どんなイメージだよ)、総じて聴きやすいものが多かったです。意外とバーベキューのBGMに合ってるような気さえしました。

また来ている人もみんなフレンドリーで漣くんがはしゃぎながら庭を走るのを暖かく見守ってくれ、七輪を囲みながらいろいろ話をしたりしてセプチマらしいいい雰囲気のイベントでした(話した人の名前とかぜんぜん聞かなかったけどまたどこかで会えるかな?)。

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しかしこういうイベントに子どもを連れて行くとたいていほかの子どもに声をかけられて、結果的に一緒に遊んでる、という感じになりがちですね。遊ぶ子どもの人数が増えると漣くんも楽しそうだし、それはそれでいいんですけど‥‥

夏のあいだにもう一回くらいセブチマで昼間のイベントやらないかなぁ~

「一本の茎の上に」-茨木のり子-

◆カヌー犬ブックスも9周年を迎えました。ありがとうございました。
山之口貘、吉野弘、山本安英、木下順二‥‥と著者にとって師とも言える人たちの思い出や、50歳を過ぎて習い始めた韓国語を駆使しながらの韓国旅行、そして詩や散文などについてつづったエッセイ集。
茨木のり子の本を読むのはこれが初めてなんですが、やっぱり詩も読んだほうが、エッセイももっと楽しめるのかも、って思ったりします。室生犀星とかは随筆を読んでいるときに、強く詩ということ意識しないで楽しめるのですが、茨木のり子は、随筆(散文)と詩がそれぞれ独立しているのではなく、互いに影響を受けあって一つの世界を作ってるような気がしましたが、どうなんでしょうか。
かといって室生犀星の随筆と詩(と小説)がまったく別物というわけでもないし言い方が難しいですね。文章全体から醸し出す雰囲気みたいなものなんですよね。まぁこれだけしか読んでいないのでなんとも言えないですけど。

さて、6月10日でカヌー犬ブックスは9年になります。
前にも書いていると思うけれど、2003年の春くらいに急に自分の持っている本を商品にして古本屋のサイトを作ってみようと思いたち、当時、趣味のサイトとしてやっていたPickwickWeb内にコーナーを作って数十冊アップしてみたのがはじまり。それが4月くらいだったと思うんですが、アップしていない本を含めても在庫は200冊くらいしかなかったし、ものすごいスモールスタート、というか思いつきだけで始めた感じでした。さすがにこれはないなと思い、古本屋としての新しいサイトを作り直して、2か月、6月10日に本スタートしました。

それから9年のんびりとやってきて思うのは、いまだに古本屋としてはアマチュアだってことですね。それは自分の気合の入れ方や勉強が足りないこともあるし、単に会社勤めをしながらという状況もあるかもしれないし、そのほかいろいろな理由がありますが、やっぱり一番の理由はわたし自身がどの分野でも専門家になりきれないという性格にあるような気がしてます。

多分、ここ数年は、会社勤めもあるし、漣くんや暁くんも生まれてそんなに古本屋に時間や手間をさけるわけではないという状況で、ブロに近づくにはどうしたらいいんだろう、という感じでいろいろ中途半端になっていたのかな、と。春くらいからそんなことを考えながら、毎日の更新やはけのおいしい朝市や東京蚤の市の準備をしていたのですが、ここにきてふと“このままアマチュアでもいいんじゃないか”って結論に落ち着きました。ははは。

アマチュアとしてもっと楽しんでできればいいと思うし、仕入れなどもかなり制約があるけれど、その制約の中でどういう本をセレクトしていって見せて行くかって余地もまだまだあるのかな、と。レア盤ばかりかけるのがDJじゃないぞ、と(別にわたしはDJでもないんですけどね)。

こんな風にして9年間ほんとに行き当たりばったりでやってきましたが、ここまで続けてこられたのも皆さまのおかげです。ほんとうにありがとうございました!
そんなわけで、9周年記念、日ごろの感謝を込めまして、6月10日 (日)から24日 (日)まで、全品20%オフセールを行います。前から欲しかった本や買い逃していた本、あるいは買うかどうか迷っていた本などがありましたら、この機会にぜひご利用ください。よろしくお願いします~

「みつまめ随筆」-秋山安三郎-

◆ゴーグリーンマーケット@京王フローラルガーデシアンジェ
タイトルの「みつまめ随筆」は、自分の書くものには駄菓子の味がするという人に言われることから駄菓子に縁のある「蜜豆」を題にしたとのこと。なので内容としては、お菓子や食べものの話というわけではぜんぜんなくて、小学校を卒業した後、職を転々をしながら新聞社で働くようになるまでのことがつづられてます。若い頃の話を中心とした自伝的な随筆集って感じでしょうか。

一週間経ってしまいましたが、先週末は京王多摩川にある京王フローラルガーデシアンジェでやっていたGo Green Marketへ行ってきました。ゴーグリーンマーケットは、生活をシンブルに、環境に対して各自が小さな事から始めることで、“RE-USE(再利用)”“RE-DUCE(軽減)”“RE-CYCLE(資源再生)”の3Rを実行するという”GO GREEN”精神をもった全国各地のアンティークやクラフト、植物、食べものなどのお店が集まったマーケット。会場となったフローラルガーデシアンジェのイングリッシュガーデンもちょうどバラをはじめとしたいろいろな花が咲いている時期だったので、庭の様子とお店のたたずまいがマッチしていて、会場を歩いてるだけでも楽しかったです。

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まぁ実際は、ミオ犬がチクテベーカリーのパンを買っただけで、アンティークのおもちゃとか雑貨、多肉植物とかいろいろ気になるものはありましたが、、わたしはなにも買わなかったし、そのあとに行くところもあったので会場でなにか食べたりすることもできなかったんですけどね。

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偶然にも、東京蚤の市に続いてなんとなく似たようなイベントが開かれて、二週連続で京王多摩川に通ってしまいましたが、どちらもそれぞれの主催者や出店者の個性が出ていてこういうイベントがたくさんあって毎週のように楽しめたらいいのに、なんて思いますね。

「随筆 硝子の女」-室生犀星-

◆東京蚤の市、ぶじ終了しました。皆さまありがとうございました!
女性にまつわる随筆をまとめた「随筆 女ひと」(正・続)に続いて発表された随筆集。「随筆 女ひと」はまだ未読なんですが、この本でも室生犀星の女性崇拝そして無類の女好きとして老作家の日常に関わってくる女性たちとのやりとりや女性観がつづられています。よくわかりませんが、出版社の担当者をはじめとして、室生犀星に関わってくる女性が多かったのかなという印象を受けるのですが、実際はどうだったんでしょうか?

さて、週末は東京蚤の市でした。2日とも天気に恵まれ、たくさんの人に来場していただき、そしてカヌー犬ブックスのブースにも足を運んでいただきありがとうございました。
わたし自身は漣くんと2人だけで参加したので、あまりお店をまわったりできなかったのですが、朝、ちょっと早めに会場に行ってみなさんがお店の準備をしてるのを見てみたり、終わってから会場を歩きまわったり、またお店から前を行き来する人たちを眺めてるだけでも蚤の市の雰囲気を味わうことができました。
それからわたし自身の友だちもたくさん来てくれたのですが、「もう帰っちゃったかな」と思っていたら、しばらくしてまたブースに寄ってくれるなど、長い時間、蚤の市を楽しんでいたみたいでよかったです。

お店のほうは基本的には料理本を中心に本を選んで持っていったのですが、一日目の様子をみて二日目は本を一部入れ替えたり、余裕を持って見れるようにラックを追加したりしました。前回の雑記でうちは什器がないんですよね、なんてことを書きましたが、それ以前に来てくれた人がゆっくり見れるようなレイアウトだったり、人と人がぶつからないように本を配置したり向きを変えるなど、考えるべきことがたくさんあることを知り、勉強になりました。
帰ってきて酔った勢いでツイッターにはつらつらと書いてしまいましたが、いろいろな意味で考えることも多かったし、これからはこういう風にしていきたいなぁということも漠然と思い浮かんできたりして、これからカヌー犬ブックスをやっていくのがまたちょっと楽しくなりそうです。ふふふ。

そして、こんな悩みながら細々と続けているカヌー犬ブックスを、東京蚤の市に誘っていただいた手紙社のみなさん、そしてイベントを支えてくれたスタッフのみなさん、ありがとうございました!

東京蚤の市
2日目のカヌー犬ブックスのブース、改めて人がいない状態で見ると見ると地味ですね

「作家の酒」-コロナ・ブックス編集部-

◆いよいよ週末は東京蚤の市!
こんな本を通勤時間に読んだりしてると、そのままパスや電車に乗ってどこかに行ってしまって適当な場所で降りて、目についたお店に適当に入ってお昼からのんびり飲んだりしたいという気分になってしまいます(コミマサさんか?)。少なくてもお休みの目の前の夜とかお休みの日の午後とかに軽く飲みながら読むべき本。

前回「作家のおやつ」を紹介したときに、「実際にそこで食ぺたと思われる仕事部屋や机などと一緒に撮られた写真や、そのおやつについての作家自身の文章の引用が掲載されていたりして本全体としていい雰囲気になっています。やっぱりおやつは色合いがきれいだったり形がかわいかったりするので、基本的には落ち着いた雰囲気の作家の仕事部屋と一緒だと映えますね。」なんてことを書いてみたけれど、この酒のほうは、それぞれのなじみのお店と家で飲む時の料理の写真が主になっていてこれはこれでいい感じです。

紹介されているのは、井伏鱒二、山口瞳、吉田健一、田村隆一、中上健次、池波正太郎、立原正秋、三島由紀夫、田中一光、赤塚不二夫、福田蘭堂、秋山十三子、稲垣足穂、小津安二郎、宮脇俊三、高田喜佐、黒澤明、草野心平、種村季弘、大籔春彦、埴谷雄高、田中小実昌、長新太、田辺茂一、山田風太郎の26名。
つぶれるまで飲まないと気がすまない感じの人や朝からほぼ一日中飲んでたんじゃないかという人、酔いつぶれることもなく常に礼儀正しく飲んでいた人、家ではまったく飲まなかったという人‥‥、また一人で大勢で、あるいは文学談義に花咲かせる人、文学のことはまったく話題にすることがな人、飲みと下ネタを言うようになる人、はたまた場末の飲み屋をはしごしたり、料亭のようなところで静かに飲んだり、老舗のバーでバーテンと話したり‥‥と、酒との関わりは人それぞれ、そしてひとりの人でも時と場合によってさまざま。その作家のイメージや作品を思い浮かべながら読んでると楽しいです。しかしみなさん高そうなお店で飲んでマス。

文章のほうは、基本的な構成として、その作家が酒やつまみ、写真で紹介している飲み屋について書いたものを抜粋したものと、奥さんや子ども、あるいは友人がその作家の飲んでいるときのエピソードなどを書いたものの2つが掲載されてます。その中で気になったのは、吉田健一について娘さんの吉田暁子が書いていること。そして吉田暁子は翻訳家なのですね。ちょっと調べたらサガンの「厚化粧の女」やロジェ・ヴァディムの「我が妻バルドー、ドヌープ、J.フォンダ」、フランソワーズ・マレ=ジョリスの「ダイエット」といった作品の翻訳をしているようです。
「作家の娘」好きとしては、エッセイ集とか出してたら読んでみたいのだけれどまとまったものは出てなさそう。吉田健一の本のあとがきなどはときどぎ書いているみたいですけどね。

このシリーズは最近出た「作家の旅」もまた違う見せ方ができてそうでちょっと期待。今度本屋さんに行ったときにチェックしたい。

さて週末は東京蚤の市です!
ゴールデンウイークくらいから少しずつ準備を始めたいな、と思っていたにもかかわらず、けっぎょくほとんど進まず。テスト前の学生みたいな感じで今週になってあわててます。本の選択や値札付けもそうですが、オンラインショッブということもありお店を作るための本棚などの什器がほとんどないのってのがさみしい。こういう時のために普段から一つ一つ小さな本棚とか本を飾るためのものとか集めて行かないとだめだなと実感してます。漣くんも3歳になったしこれから一箱古本市のようなイベントにも少しずつ出店していきたいと思っているので本だけではなくそういったものも意識して集めるようにしないとね。

昔、「クーネル」のインタビューでチクテカフェの人が「二十歳になったときに親からどんなお祝いが欲しいか聞かれ、多分、親としては成人式に着て行く着物などを予想していたのだろうけれど、将来カフェを開ぎたいと思ってて、そのとぎに使えるイスとテーブルをもらうことにした」みたいなことを言っているのを見て、すごいな、と思ったものだけれど、それってほんと大切なことですよね。40過ぎたおっさんが今ごろなに言ってるんだって気もしないでもないですけど。いや、40過ぎたおっさんだからこそそういうことを後回しにしがちなので、ちゃんと心に留めておくようにします。
とはいうものの、でぎる範囲で納得できるすてきなお店が作れるようにがんばります。めずらしくプレッシャーのかかる状況でいろいろ悩んでますが、いろいろやりたいこともあって今から楽しんでます。

本のほうは、うちは基本、料理と暮らしの本しかないですし、古本屋として在庫も多いわけではないので、作家の食べもの随筆や古めのレシピ本がなんとなく多めになるのかなといった感じで、新しめのものも持っていくつもりですし、サイトの様子から大ぎく変わるような感じではないです。
なので、ほかに出店する古本屋さんには、料理本とかレシピ本とかを持っていくのをできるだけ避けていただけないかと心からお願いします(笑)。ふふふ。

「ケトル VOL.06 -サブカルじゃない!最先端の中央線特集-」

◆5/26日、5/27に京王閣で行われる東京蚤の市に参加させていただきます。
「ケトル」は創刊準備号が本屋特集で、しかも麻生久美子の「私の本棚」とかもあってちょっと買おうかな、なんて思ってたんですけどけっきょく買わず、気がつけぱそれから一年、もう6号まで出てるのですね。時間が早くてぜんぜん追いつけなくなってるなー

そんな6号は中央線特集。しかもありがちな中野から吉祥寺、三鷹ぐらいまでではなく、立川まで掲載しているのがうれしい。もう、個人的には中央線って言ったら、東小金井くらいから立川までくらい中心で、中野とか高円寺なんてまったく生活の視界に入ってないんですよ。
といっても、東小金井のインド富士とか国分寺のROOFとかクルミドコーヒーとか立川のシンボパンとか‥‥、前々から行こうと思いつつもなかなか行けなかったところがやっぱり気になってしまいます。もちろん新しく知ったお店もありますけどね。
武蔵小金井では、先日、はけ市でお世話になった中村文具店や近所にあるカフェ、スプンフルなどが載ってます。たまにはこういう雑誌を眺めつつ、週末にどこかに行くかねぇ~!

ところでツイッターなどですでに告知をしてしまっていたので、すっかりこちらでも告知した気になっていましたが、調布にある京王閣で5月26日、27日に行われる東京蚤の市に参加させていただきます。
東京蚤の市は、手紙社さんの「古いものの美しさを知ってほしい」「ヨーロッパの都市で行われている蚤の市の雰囲気を楽しみたい」という気持ちから生まれたイベントで、家具や暮らしの道具、古書、ファブリック、カメラ‥‥など「古いものを扱うお店」が全国から集まります。またライブやトークショー、ワークショップなども行われるようです。

サイトで紹介されている参加店を毎日チェックしていると、大切に古いもののよさ大切にし、それらに愛着を持っている個性的なお店ばかりで今からため息が出てしまいます。なんとなく普通のしかもオンラインで細々と行っているうちみたいな古本屋が参加してもよいのかな?という気分になってしまいますが、来ていただけるみなさんが少しでも興味を持ってくれそうな本を持っていきたいと思っていますのでよろしくお願いします。
お店として参加させていただくのも楽しみですが、当日わたしもいろいろなお店をまわってみて蚤の市の雰囲気を味わえたら、とも思ってます~!

 ■第一回東京蚤の市
  日程:5月26日(土)、27日(日)
  時間:11:00~17:00
  開催場所:東京オーヴァル京王閣 東京都調布市多摩川4-31-1
  入場料:300円
  ホームページ:http://tokyonominoichi.com/

東京蚤の市

「本郷菊富士ホテル」-近藤富枝-

◆奈良原一高と堀野正雄と口ベール・ドアノー
「田端文士村」と合わせて前々から読もうと思いつつもなんとなく読むきっかけがないままになっていた本。陽気もよくなってきたし、ゴールデンウイークは本郷とか根津とか散歩したいなぁなんていう妄想ついでに読んでました。

本郷菊富士ホテルは、1914(大正3)年に創業された東京大学に程近い所にあったホテル(高級下宿屋?)で、開業当初は外国人客が多かったようですが、次第に谷崎潤一郎や竹久夢二、坂口安吾、宇野浩二、直木三十五、広津和郎‥‥といった文士や左翼活動家などが泊まり込み、活動の拠点となっていたというユニークなホテル。この本では、そんな作家たちの本郷菊富士ホテルの生活ぶりを中心に描きつつ、菊富士ホテル、そして創業者の羽根田幸之助ときくえ夫婦の浮かび上がらせています。まぁ基本、男女関係の話が多いですけどね。大正から昭和の初めにかけて、、この本郷や田端、馬込、阿佐ヶ谷、早稲田
、鎌倉‥‥など、いわゆる文士村と呼ばれた文士が集まっていた地域がいくつかあるけれど、それぞれ特色があっておもしろい。阿佐ヶ谷の作家なんて酒とか将棋の話ばかりで女性関係とかお金とか思想の話なんてほとんどでてこないですものね(あ、太宰治くらいか)。

話変わって、もう終わってしまっていますが、4月の終わりの金曜はフレックスで会社をあがったりして、夕力・イシイギャラリーフォトグラフィー/フィルムでやっていた奈良原一高展、写真美術館で「幻のモダニスト 写真家堀野正雄の世界」「生誕100年記念写真展 口ベール・ドアノー」を見てぎました。

タカ・イシイギャラリーフォトグラフィー/フィルムは会社の近くにあって、ラリー・クラークやアーヴィング・ペン、植田正治、森山大道といった写真家の展覧会を行っているのでチェックしているギャラリー。気が向いたときにお昼休みなどに見に行けるので次にどんな展覧会があるのか毎回楽しみにしてます。

今回の奈良原一高展は肖像をテーマに選定した前期(3月30日-4月14日)と、街をテーマに選定した後期(4月17日-4月28日)と分かれていたのですが、まだ炭鉱として人が働き・暮らしていたときの軍艦島や修道院、刑務所などちょっと特異な場所で撮影されている作品が多いせいもあるかもしれませんが、どちらも独特で力強い世界観が確立されていて、昼休みに気軽に見る感じではなかったかも、なんて思ったりしました。

続けて会社をあがってから写真美術館で「幻のモダニスト 写真家堀野正雄の世界」と「生誕100年記念写真展 口ベール・ドアノー」。写真美術館は木・金が20時まで開館しているのがうれしい。
堀野正雄の写真は、写真そのものよりも雑誌に掲載したグラフモンタージュがおもろしかったです。戦後、写真家としての活動をやめてしまうのですが、50年代、60年代以降の印刷技術が発達して、かつ報道写真として撮るべきものが明確に存在した時期に活動していたらどんな作品を残したのだろうかと思ってしまいました。前にも書きましたが、安井仲治や野鳥康三、中山岩太など戦前の写真家の写真を前衛芸術としてとらえた活動が最近気になります。

最後の口ベール・ドアノーは、先日も書いたようにわたしの中でちょっと再評価しようと思っているところだったのでついでに見た感じ。あらためて作品をまとめて見てみると、すごく自然に撮られた作品と、やっぱりあざといというか恣意的なところが気になってしまう作品と両方ありますね。でもスナップ写真とはこういうものなんだ、ということがよくわかって勉強になりました。もちろんそれによって自分の撮る写真がうまくなるかどうかというのは別問題ですけど。

「氏神さま・春雨・耳学問」-木山捷平-

◆冬から春にかけて聴いてたCDをいくつか
講談社文芸文庫からでている木山捷平の本もようやくそろって、これでおしまい。木山捷平は作品数もそれほど多くないので、全作品をカバーしてくれれぱいいのに、なんて思ったりしますが難しいのかな。文芸文庫は短編集に関してはオリジナルに編纂したものも多いし(最近はそうでもない?)、網羅性という意味ではちょっと弱い。
あと、すぐに品切れになるものと増判されてわりといつまでも残っているものと分かれる気がするけれど、その区別はどこでつけてるんでしょうかね。単に売れてる売れてないだけではないような気がしますが。

さて最近よく聴いているCDをいくつか。(しかし前回もそうだったけど、このテーマで何か書こうとすると放置状態になって更新が遅れますね)

ざっくりと言って、今年に入ってからはイギリスのソフトロック~ハーモニーボップばかり聴いてます。去年の終わり頃に、来年は60年代の音楽をちゃんと聞きなおしてみようかな、なんてことをなんとなく思っていたら、年の初めのサンデーソングブックでバタースコッチの「そよ風の二人」がかかったので、一気にイギリスへ行ってしまった感じですね。「そよ風の二人」は1970年のヒット、というツッコミはなしで。あ、でも60年代って1961年から1970年までですってことで。

やっぱり、イギリスのポップスは、カラッと晴れわたってない分(偏見)、冬から春にかけての時期がよく似合う。まぁ今年は、3月になってもダッフルコートが手放せないくらい、いつまでも寒くてなかなか春になってくれませんでしたが。

-■「Don’t You Know It’s Butterscotch」-Butterscotch-
工ジソンライトハウスをはじめ、バリー・マニロウやクリフ・リチヤードなどに曲を提供しているソングライターグループ、アーノルド、マーティン&モローのグループ。このCDのほかに最近、このチームがぽかの歌手に提供した曲を収録した作品集「Cant Smile Without You-1966_77」も出ています。イギリスだけではないけれど、60年代後半から70年代初めはこういう作家たちによるグループが多い。モンキーズの影響なんでしょうかねぇ。でもこの流れがキャロル・キングなどのSSWにつながっていくのかも、とか適当に言ってみたりして。で、このバタースコッチ、無理のない自然できれいなメロディとハーモニー、弾むような適度なピート感、そしてそれらを盛り上げるストリングスなど、バンク/ニューウェイヴ以降では考えられないストレートなサウンドのポップス。ヒットした「そよ風の二人」はもちろん、「Constant Reminder」「All On A Summers Day」や「Cows」などどれも名曲ばかり、なにげにインストの「Theme For A Theme」とかもちょっとヨーロッパの映画音楽風で気に人っていたりします。

-■「You’ve Got To Be Loved」-The Montanas-
1965年から1969年にかけてパイ・レーベルから出したシングル曲と未発表曲を網羅したペスト盤。このほかにMCAからシングルを1枚出しているだけでアルバムは残していないようです。拙い感じのR&B的な曲が数曲ありますが、トニー・ハッチがプロデュースを手掛けているだけあって、洗練したサウンドとコーラスがすばらしい。タイトルにもなっているトニー・ハッチ作の「You’ve Got To Be Loved」と董頭に、いま聴くと60年代にしか生まれようがなかった60年代的な名曲ではあるのだけれど、60年代後半のイギリスでこれが売れる感じはしないのはなぜだろう?もしかしたらロジャー・ニコルスで一番好きな曲かもしれない「Let’s Ride」のカバーも、原曲の雰囲気を残しつつ、自分たち(なのかな?)の個性もさりげなく主張(とまではいかないか)していてロジャー・ニコルズ&ア・スモール・サークル・オプ・フレンズよりもいいんじゃないかと思ったり、思わなかったり。しかしこのさりげなさがモンタナスのよさでもあり、弱みだったのかもしれない、とか思ったり、思わなかったり。

-■「Looking Back」-West Coast Consortium-
トニー・マコウレイのことを調べてる時に知ったグループで、1967年から1970年にかけてPyeからリリースしたシングルのA面B面に未発表音源を加えたコンピ盤。「All The Love ln The World」という曲がイギリスでヒットしているのみでThe Montanasと同じでアルバムは出していないようです。この辺のイギリスのグループってシングル盤だけ出して解散しちゃったバンドが多いですね。というか、名義的にはWest Coast ConsortiumだったりConsortiumだったりROBBIEだったりしているとはいえ、 PYEだけで7枚のシングルを出してる段階で曲数的にはアルバム作れちゃうって気がしますが。まあアルバムよりもシングルが重視されていたってことなんでしょう。トニー・マコウレイ関連でたどり着きましたが、収録されてるのはメンバーによる曲が多く、これがソフトサイケだったり、フォークロックぽかったりGSぽかったりとさまざまですが、どれもポップでしてよいです。ちなみにこの後メンバーはAlRBUSというプロジェクトに発展するらしいのですが、こちらはまだ未聴。

-■「The Very Best Of」-The Casuals-
1968年に全英で2位となった「Jesamine」や「Toy」(30位)を収録したベスト盤。ジャケットがかなり‥‥な感じなのですが、ロジャー・ニコルス/ポール・ウィリアムズ作の「Someday Man」やニルソン作の「Daddy’s Song」、アソシエーションの「Never My Love」といったカバーが収録されていて、いかにもこういった曲をカバーしそうなサウンドのバンド。一瞬「Hello lt’s Me」も?とか思ったけれどそんなわけはない、ですよね。「Jesamine」はバイスタンダーズの 「When Jesamine Goes」をタイトルを変えたカヴァー。また前述のアーノルド、マーティン&モローやロイ・ウッドによる曲などもあり、曲自体のある程度のクオリティを保ってます。でもこういうバンドを続けて聴いていると、バンドの個性ってなんなんだろう、という疑問が頭をかすめてしまうのも事実。その点、アメリカのコーラスグループだったりソフトロックと呼ばれるグループは、売れたかどうかは別としてそれぞれのバンドで個性と出すことに成功しているような気がします。この辺は層の厚さの違いなのだろうか。

-■「Flying Machine」-Flying Machine-
ほんとはPickettywitchの「That Same Old Feeling」を聴きたいと思っているのだけれど、CDが見つからなくて代わりにこれが見つかったという。Flying Machineも長いこと行方不明だったのでうれしいけれど、「That Same Old Feeling」はPickettywitchのバージョンのほうが好きかな。とはいうもの「Smile A Little Smile For Me」「Send My Baby Home Again」「Marie Take A Chance」と冒頭で続くトニー・マコウレイの3曲でノックアウトなアルバムです。