今さらという気もしないでもないし、「2」や「改訂版」が出ていることを考えると、実際今さらなんだろうとも思ったり、この本が出てから、かなりCDの再発盤が出ているので、ひととおり聴くだけなら、ディスクガイドなんて必要のないかな、とも思ったりする。でも、なんだかんだ言っても、こんなレコードあったのか、なんていう発見もあるし、これは手に入らないんだろうな、なんてあきらめも含めて、ディスクガイドを眺めているのは楽しい。反面、ディスクガイドによって奪われた楽しみや発見も大きいような気もしてしまうけど。まぁ必要悪とも言えますね。
ブラジルものは、何年かごとにブームがくるのだけれど、どうものめり込めないのはなぜなんだろう。ちょっときれい目なカフェやお店に入ると、必ずと言っていいほどボサノバの曲がBGMになっていたりするのも、なんだかどうにかならないものか、と思う。そういう意味では、好き嫌いは別にして、小西康陽が選曲をしていた頃のアフタヌーンティのBGMは気合いが入ってましたね。まぁそういう時代だったとも言えるか。そもそも、これだけいろいろな音楽が、クローズアップされては消えていく中で、選曲という行為がすでに煮詰まっているとも言えなくもないか。いや適当。
発売から8カ月にして山下達郎の「ソノリテ」を買った。コーラスがあまり入っていないのと、バンド編成の曲が少ないので、全体的にパーソナルなヴォーカル(あるいはメロディ)を中心に添えたサウンドになっているためか、ラップをフィーチャーしたものから、スカっぽいもの、カンツォーネ‥‥など、本人が言っているように、いろいろなアプローチを試した五目味のアルバムではあるけれど、それほどバラバラな感じはしない。むしろ前作の「コージー」のほうが、いろいろなタイプの曲が入っていたような気がします。もちろん、とうにゴールを過ぎているのも、あとは好きなことやっていくのをファンとしては見守るしかない、ということも分かってはいるのだけれど、このアルバムを聴いていると、つい「前はこんなもんじゃなかった」と思ってしまう。そんなわけで、今年は達郎の過去のアルバムを、CDで買い直したいですね(アナログでは、ほぼ全アルバムあるんですけどね)。
どちらかというと、すぐに影響を受けやすいタイプなので、たてまつるで暗室を借りて、紙焼きをしたせいで、モノクロ写真を撮りたくなってしまった。今回は特に、高浪さんの写真を見せてもらいつつどのように焼いているか、とか、知り合いの写真家がどんなことをしてるか、といったことを話してもらったりしながら、作業をしたので、前の写真美術館でのワークショップと違って、ものすごく楽しかった。
“短篇集”と副題がついているけれど、これはエッセイなのだろうか?フィクションなのだろうか?私小説なのだろうか?‥‥よく分かりません。「そういうことはどうでもいいことじゃないか」なんて声も聞こえてきそう。でも実際には、みんな主人公にコミマサさんを思い浮かべながら読むのだろうな、と思う。そしてそんな風にして、コミマサさんのイメージが人それぞれにどんどん広がっていく。本当のことは分からない。でも「そんなことはどうでもいいじゃないか」と。
こちらは、純粋な書評集。グルニエやグランヴィルといったフランスの作家はもちろん、パワーズ、オースター、クンデラ、そして村上春樹や保坂和志、伊井直行‥‥など、国もジャンル的もバラバラの84冊の書評が収録されてます。まぁ自分からというより依頼を受けて読んだのかな、という感じもないわけでもないし、実際、分量が短いこともあって、さらりとこなした、という感じは否めない。個人的には、この本を読んで、取り上げられている本を、実際に読んでみようという気にはあまりならないかも。同じように本を取り上げたものでも、エッセイだとおもしろいのに、ちょっともったいない気がします。
一冊の本やある作家をきっかけとして、対象についての考察はもちろん、過去における著者とのつながりや、関連する事柄が、ある時は堰を切ったように次々と、ある時はなかなかたどり着けないいらだちをそのままに表しつつ描かれていきます。ある意味取り上げられる本や作家は一つのきっかけに過ぎなくて、まるで山田稔の脳内を散歩しているかのような、時間や空間を行き来する森の中をさまよっている感じがするのは、この本に限ったことではないのかもしれません。山田稔の本を読んでいると、なんとなくアントニオ・タブツキの「レクイエム」を思い出すのは私だけでしょうか。さまよっている感や空気の密度みたいなものに共通点を感じます。
ゴールデンウィーク中はすっかり怠けてしまって、ここもまったく更新せず、この本を読んだのは、いつだっけ?という感じになってしまってます。もっとも、お休み中はほとんど本を読まなかったし、5月の初めの一週間はなかったことにして、今週からまた再開、なんて、まだお休み気分の抜けない頭で、ぼんやりと考えたりもしてます。
最近、なんとなくバスで通勤するようにしている。ときどき時間がかかったりもするけれど、乗り換えもないし、遅刻ぎりぎりに会社に行くわけではないのでかなり楽だったりする。暖かくなってきたからバス停でバスを待っている時間もつらくない。
木山捷平はいい。木山捷平はおもしろい。としか言いようがないような気がする。なんやかんやと理屈をこねてみてもしょうがない、静かに繰り返して読む、そんな作家だと思う。いや、私の語彙が足りないだけなんですけどね‥‥。
「てんやわんや」「自由学校」に続く終戦三部作の三作目。戦後米軍が進駐して一時活況を呈するが、その進駐軍が横浜を引き上げるという時期の横浜、進駐軍の兵士との混血児のための慈善養護施設「双葉園」が舞台となっている。その元財閥の未亡人が設立した双葉園で、働く亮子と、戦後ふぬけのようになってしまい、まったく働かず、家でごろごろしているだけの夫を中心に、産児制限運動に携わる女性、プロ野球選手、シューマイの売り子、作家、そして横浜に滞在する外国人など、戦後を象徴するような登場人物がが絡み合い話が進み、もちろん最終的には大団円を迎える。
ここのところ新しい出会いもなくちょっと倦怠期。