◆一人飲みの金曜日
7月に横須賀、鎌倉に行ったときに持っていった吉田健一の「作法・無作法」を品川で読み終えてしまい、読みたい本もあんまり置いてなかったので、軽く読めるかなと思い購入した本。
平松洋子さんの食エッセイは、カヌー犬ブックスにもたくさんあるので、ちょこちょこ斜め読みはしていたけど、きちんと読むのは初めて。知っているところもいくつか出てきたりして楽しいし、何より平松洋子さんの“食べる”ということに執着する姿勢が心地よい。いや執着というとちょっと重いというか、もっと軽やかな前のめり加減が読んでいてちょうどいい。あと、おいしいものを特別なこととしてとらえてなくてあくまで日常の中の楽しみであって、それならそれをとことん楽しんじゃおうという感じが伝わってきます。
といいつつ、そのあとも気が向いたときに斜め読みしかしてないんですけどね。料理エッセイってほんとはじっくりと読む本ではなくて、斜め読みまでいかなくても、出かけるときに普通の本と料理エッセイの2冊持って行って、2対1くらいの割合でかわりばんこに読んでみたり、家に帰ってきて、ビール飲みながらとか寝る前とか毎日2、3編ずつ読んでいくとか、そういった読みかたが合ってるような気がします。
毎週、金曜は会社帰りに古本屋とかレコード屋とかに寄り道して帰ってるのだけれど、最近は、いろいろ回った後に、荻窪とかで一人でちょっと飲んで帰ることが多い。と言っても、たいていお店に入る時間が10時半はまわってるので、中瓶1本とつまみと2、3くらい頼んで、本を読んだりツイッターのTLを眺めたりする感じです。前は一人でどこかに入って飲むなんてことはほとんどなかったんだけどねぇ(というか会社の人と週に2、3回は飲みに行ってたからな)。
なんとなく一人でなにかをするようになったら、ほんとに自分が好きなものなんだなぁと思う。美術館や映画館とか最初は友だちと行ってたと思うんですよ。それがだんだん一人で行くようになったりすると、身軽な分、行く頻度が多くなっていくというね。あるいは旅行とかクラブとか、もっと言うとキャバクラ(わたしは行かないけど)とかもそうなんじゃないかと‥‥。
そんなわけで、金曜の夜はたいてい荻窪のガロネロとかヴィレッジバンガードダイナーとかその辺の中華屋さんとかグラブとかで飲んでるんですけど、一瓶のビールでちょっとだけいい気分になりつつ、「あーここ平松洋子の『焼き餃子と名画座』に出てきたなぁ」なんて思いながら、まぁその頃は当然閉店してしまってる北口の川勢の前を通ってます。(まぁさすがに一人で鰻は食べません~)