旅についての本だの交友録だのいろいろと考えたり、実際に本屋を回ってみたりしたものの、けっきょく旅行に持っていったのは堀江敏幸の本で、以前読んだ「回送電車」と「ゼラニウム」に加えて新しく「一階でも二階でもない夜―回送電車2」を買った。堀江敏幸のきれいな日本語をゆっくりと読み返してみたいと思ったのだ。
実際、旅行中は雨の日が多かったりしてホテルで過ごすことが多かったので、本ばかり読んでいたような気がする。
堀江敏幸の本のいいところは、もちろんレコードプレーヤー、トロンボーン、レモン石鹸など、ものに関する偏愛を書いたエッセイや身辺雑記ともフィクションともつかない掌編も好きなのだけれど、自身の専攻がフランス文学であるにもかかわらず、永井荷風や小沼丹、田中小実昌、島村利正・・・・など、日本の作家の名前が多く出てくるところで、特にこの本では、獅子文六の本が手に入らなくなってしまった、という文章が出てきて、飛行機の中でひとり大きくうなずいてしまった。ここでは新潮文庫から出ている「てんやわんや」や中公文庫の「海軍」「食味歳時記」「私の食べ歩き」など、文庫されていた多くの本が絶版になってしまい、獅子文六の本を読もうとしたら、昭和40年代に刊行された全集を手に入れるしかなくなってしまった。ということを書いている。
私などは、「てんわやんわ」さえも、新潮文庫で出てたし、割とどの本屋にもおいてあるからと思っていたら、いつの間にかさえも絶版になってしまって、どの本屋にも置いてないし、ブックオフなど見かけることもなくなってしまい後悔しているくちで、ついでに書くと、最近、「うさぎのミミリー」や「せきれい」など、庄野潤三の文庫化が進んでいるなぁ、と並んでいる本を横目で見ていたら、唯一欲しいと思っていた(そしてもしかしたらこの旅行に持っていこうと思っていた)「文学交友録」だけがいつのまにか絶版らしく、どの本屋に置いていないという状態になってしまっていて、くやしい思いをしていたばかり。
旅行のほうは、取り立てて書くこともない。先に書いたように雨が降ってしまったこともあるし、雨が降らない日でも、ほとんどホテルでだらだらしたり、アフタヌーンティを楽しんだりしつつ、夕方になる頃から町をふらついて、ご飯を食べて帰ってくるといった毎日。
本やレコード、雑貨などを探しまわる旅でもないし、観光地を巡るような気ははじめからなし。いや、これこそヴァカンス、なんて思いつつ、たばことコーヒー、そして本とカメラ片手のちょっと遅い夏休み。
旅行中に旅の本でも読もうと思って、まだアップしていない旅の本からこの本を取りだしてみたのだけれど、けっきょくそのまま読んでしまった。
1996年に発表されたエッセイ集。なので、取り上げられている出来事や映画など、私の記憶にあったりして、「私もこの映画を観に行ったなぁ」とか「このとき~してたなぁ」などと、思い出してみたり、私が読む本で、そんなことを考えながら読めるものもめずらしい。相変わらずいい感じのタイトルは、小津安二郎の映画のことを書いた文章から。
会社の帰りにタワーレコードによってHALFBYの「Green Hour」を買う。我ながらミーハーだなと思うのですが、6月から連続リリースしていたFREDOの「SMACK!」、HANDSOMEBOY TECHNIQUEの「ADELIE LAND」とあわせて、セカンド・ロイヤルのCDを続けて買ってしまった。
読んだことのない作家の本をはじめて読むときは、ちょっとドキドキする。もちろん闇雲に知らない作家の本を買っているわけではなくて、たいてい好きな作家が随筆などで言及しているのを読んだりして、その作家を知るわけだけれど、好きな作家が褒めているからといって、自分が気に入るかどうかの確証はないわけで。
週末は、その週に更新する本の準備におわれてしまってなかなか雑記まで手が回らない。準備といっても、タイトルや出版社など本の基本情報を打ち込むのと、表紙をスキャンしておくだけで、後は平日にコメントをつけてから更新する、という形でアップしているので、作業的にはそれほどたいへんなことではないのだが。
前に読んだ「目まいのする散歩」よかったので、武田泰淳のほかの本も読んでみたいと思っているのだけれど、私は「三国志」とか中国史について、ぜんぜん興味がないので「司馬遷」とか「十三妹(シイサンメイ)」といった本にはどうも触手がのびないし、戦時中の左翼的な人々の話もどうも苦手だ。
「あまカラ」に「食べもののでてくる話」という題名で連載されていたものをまとめた本。「雪まろげ」とは、漢字でだと「雪丸げ」と書き、雪の小さい固まりを頃がしてだんだん大きくしてゆく遊びのことらしい。題名も食べものとあまり関係ないけれど、内容も食べものをテーマにしているわけでもなく、身辺雑記を中心に、落語家や俳優、演出家、作家などの話が収録されている。
井伏鱒二が、「作品」という同人誌に参加していた頃から、機会がある度に発表していた、「知人についてのゴシップ風の短文」を集めたもの。発表された時期も昭和5年から昭和42年まで、掲載誌も「同人」から「早稲田文學」、「文藝春秋」「新潮」「日本経済新聞」「東京新聞」などと幅広い。取り上げられている知人は、太宰治、上林暁、三好達治、有島武郎、河盛好蔵、堀辰雄、小林秀雄、永井龍男・・・・など。
去年、ロシア、キルギス、ウズベキスタンなどを旅行したときに撮った写真の展覧会を開いた友達が、18日(日)から24日(土)まで下北沢にあるadd Cafeで行われている、“Summer goes by”をテーマしたグループ展に参加している。いや、参加していると言っても今回は作品を出しているわけではなく、オープンニングパーティや展示の配置決め、告知ページ制作などの企画をやっているらしい。個人的にはadd Cafeかぁ、という気持ちもないわけではないけれど、そんなことはどうでもよくて、日曜日、とりあえずオープンニングパーティに行ってきました。