「12ヶ月のための絵画」-近藤恵介-

■近藤恵介の12か月連続で新作を発表する「12ヶ月のための絵画」というプロジェクトで制作された作品ををまとめたもの。9月にNADiff Galleryで行われた近藤恵介の個展で購入したものなのでけっこう前になってしまってますね。このプロジェクトでは、近藤恵介の絵画とともに、佐山由紀、冨井大裕、古川日出男、丹羽良徳、平山昌尚、佐々木敦、柴原聡子といったキュレーターや芸術家、批評家、ミュージシャン12人が、それぞれの視点から近藤恵介について記述したテキストも作品と一緒に掲出されており、この作品集でも絵画とそれらのテキストが掲載されています。うすいホチキス止めの小冊子という体裁なので、なんとなく持ち歩くのは気が引けてしまい、夜寝る前とかに、さらっとページをめくって絵を眺めてみたり、テキストを一人二人分読んでみたりしています。お気に入りの喫茶店に置いてあって、コーヒーを飲みに行くたびに眺めてみる、そんな風に接したらいいだろうなぁ、なんて妄想してしまうような本。スプンフルさんかシャトー2Fに閲覧用として置いてもらおうかしらん。
しかし描かれている世界は日常的なのに生活感がまったくしないこれらの作品を見ていると、この人は普段どんな生活をしてるのかな?という気がしてきてしまいます。

-■来週末11月29日、30日に京王閣で行われる東京蚤の市に今回も出店します。今回で6回目。回を追うごとに盛況さを増していて、それだけにプレッシャーを感じてしまいますが、おいしい本をたくさん持っていこうと思っていますので、よろしくお願いします。いつもよりもちょっと遅い時期なので、野外のイベントに行くのはどうしても億劫になってしまいますが、暖かい服装で遊びに来ていただければと思います。外が寒いようでしたら屋内の古本街にいらしてください(いや、古本街があるかどうかも、それが屋内になるかどうかも今のところ分かりませんが)。
今回、ご近所のカフェ、スプンフルさんも出店するので、エデュコさんとともに小金井仲間が増えてちょっとうれしいです。

【第6回東京蚤の市概要】
 日程:2014年11月29日(土)、30日(日)
 時間:29日(土)10:00~16:30、30日(日)9:30 ~16:00
 開催場所:東京オーヴァル京王閣
 入場料:400円(小学生までは無料)

「父の時代・私の時代」-堀内誠一-

■商業美術家、多田北烏の弟子だったという図案家の父親のアトリエでの話から、戦後、カメラメーカーのPR誌「ロッコール」のデザインを担当した時代や「アンアン」などの雑誌のエディトリアルデザインを担当した時代、そして絵本についてなど自身のことをつづったエッセイ。父親や周りの人の影響が大きかったとはいえ、堀内誠一がいかに早熟だったってことがわかります。そしてこれが書かれたのもまだ40代だしね。

■堀内誠一の名前を意識するようになったのはいつだったのか、はっきりとは覚えてません。子どもの頃好きだった「くるまはいくつ?」や「たろうのおでかけ」そして「ふたごのでんしゃ」といった本が堀内誠一と知ったのもかなり大人になってからだし、ちゃんと絵本を集め出したのも、子どもが生まれてからになります。多分、子どもたちが大きくなったら、また買う機会もなくなってしまう気がするので、今のうちにいろいろ見つけておきたいと思う。本によって画風が変わるので、子どもたちが気に入るかどうかについてはわりとわかれるんですが、いつかこれらの本が同じ人によって描かれたものということに気づいてくれるのだろうか。

-■今年は何年かぶりに近所の農工大の学園祭に行ってきました。農工大の学祭は、野菜の直売があったり、学生の出している出店の食べものも鹿の肉の串とかあったり(写真は牛肉です)、大学で作っている食材を使ったお菓子があったりして、なんとなく大学を歩き回りながら、ビールを飲んだり、食べ物を食べているだけで楽しい。今回は確認しませんでしたが、大学内で作った日本酒とかもあったはず。校内なら子どもたちを勝手に遊ばせていてもある程度安全だし、アメリカンミニチュアホースの馬車に乗ることもできるし‥‥
と思っていたのですが、実際は、子どもたち、とくに上の子が、昆虫や動物の生態についての展示やプラネタリウムなどに夢中で、校内と歩き回るのに忙しく、そんなにのんびりという感じでもなかったです。幼稚園くらいになるといろいろ興味が出てくるんだなと思った次第。展示の周りにいる学生も、たいしてわかっていない子ども対してに星についてゆっくり説明してくれたり、顕微鏡の見方を教えてくれたりやさしい人が多かったですね。

-■春くらいからなんとなく週に2回くらい、6時くらいに起きて8時くらいに会社に行くようにしていたのですが、最近は、6時に起きるとちょっと薄暗くなってきました。駅まで自転車で行くのも寒くてなんだか億劫になるし、そろそろ朝早く家を出るのもおしまいかなと思う。そして今年もクロード・ソーンヒル楽団の「Snowfall」が似合う季節になってきたなと思う。ギル・エヴァンスが編曲をした穏やかなテンポの洗練された曲で、1941年の曲なのにスウィングでもイージーリスニングでもなく、独自の雰囲気を持っているところがいい。アナログ盤でチリノイズが入ったりするとまたいい雰囲気なんだろうなぁ。

-■で、この曲を聴いているとアルビン・トレッセルトとロジャー・デュボアザンの絵本「しろいゆき あかるいゆき」を見たくなります。雪が降ったその一日を雪が降る前、降っているとき、降った後の情景や人々の様子を静かに描写している作品。1948年の本なので「Snowfall」と年代も近い。
ロジャー・デュボアザンは、スイス、ジュネーヴ生まれで、パリで仕事をした後、アメリカに渡ったイラストレーター。子どもにお話を聞かせたりしているうちに、夫婦で童話を書き始めたことがきっかけで、「ごきげんならいおん」や「がちょうのペチューニア」のシリーズや「はる・なつ・あき・ふゆ いろいろのいえ」「クリスマスにはおひげがいっぱい!?」など多数の絵本を出しています(ちなみにアルビン・トレッセルトはおくさんではありません)。
デュボアザンの本は昔から好きで、子どもが生まれる前から少しずつ集めていたのですが、最近になってまた集める速度が速まってきました。でも、わりとテキストが多い本が多いので、寝る前に読むのが面倒であまり読み聞かせとかしてません。いや、この本で言えばわたしが持っているのは英語版なのでそもそも読み聞かせできませんが。

「アンソロジー カレーライス」

■子どもの頃食べた懐かしい味のカレー、これまでに食べた中で最もおいしいカレー、自分の得意なカレーのレシピ、旅先で食べたまずいカレー‥‥と、当たり前の話ですが、カレーの話ばかり。よく考えたら前に読んだ「おやつ」はじめ、お酒やお茶など食べもの随筆のアンソロジーに取り上げられているテーマって、一つのものというよりもあるジャンルについて集められたものが多い。なので、この「カレーライス」のように一品について書かれた文章をまとめて読むと、なんだか勢いに押されてしまいます。いや、カレーだからこそなのかもしれません。カレーだからこそどの人も思い入れがあり勢いに押されつつ、勢いで読んでしまうのだろう。これがサラダだったらこうまで濃密な雰囲気のアンソロジーにはならないのではないかと。

-■気がつけば11月。先週の三連休は小金井周辺で満喫。昔は毎年楽しみにしていた神田古本市なんてすっかり忘れるほど。連休に入って気がついて、なんだかいろいろ変わったなぁなんて思いつつちょっとショックを受けました。(悪い意味ではないですよ)

■さて、小金井の11月と言えば、小金井のウッドストック、はらっぱ祭り。今年は11月1日、2日に行われました。1日の土曜は幼稚園がお休みだったので、2日間続けて朝から遊びに行こうと思っていたのですが、あいにくの雨、でした。日曜は雨も止んでまぁまぁ天気もよかったので、フリーマーケットで子どもたちの洋服やおもちゃをチェックするために、午前中から出かけてきました。まぁ基本的に幼稚園のお父さんやはけ市のメンバーと、出店しているお店の食べものを食べながら昼間から芝生の上でビール飲んで、なんとなくライブを見たりしているだけなんですけどね。子どもたちも勝手に友だちとどこかに行ったりしてすぐに行方不明になるし‥‥。
-うちはまだ子どもたちが小さいので、わりと早めに行って早めに帰ってきてしまうのだけれど、夜になると街灯もなく真っ暗の中、ステージを中心にところどころに灯りがついている中でライブも盛り上がっているようなので、来年、再来年あたりは、夜まで楽しみたい。

■シャトー2Fのカフェが11月から店長が変わるということで、日曜はプレオープンのイベントもあったので、はらっぱ祭りからシャトー2Fへのはしご。こちらも子どもたちをすみっこの部屋で勝手に遊ばせつつ、おいしい食べ物を食べながらビールを飲む。4時くらいに行ったときは、あまり人もいなくて出てくる食べものを食べ放題のように食べてました。今までとこれからではキャラクターがまったく違う人が店長になるので、これからどんな風に変わっていくか楽しみです。そしてこれからも引き続き、カヌー犬ブックスの本を置かせてくださいね。(なかなか入れ替えられなくて申しわけありません)

-■ちなみに雨が降った土曜日は、はけ市のメンバーによる atelier tempoの開店記念もあり、東小金井駅の高架下で行われていたはけのおいしい朝市へ行ってきました。まずはあたらしい日常料理 ふじわらのランチプレートでごはん。カレーがおいしい。
普段はちょっと辛かったりすると、すぐに「辛すぎる」という子どもたちももぐもぐと食べる。食べている途中で次々とお店に友だちが入ってきて、いろいろ話したり、子ども同士で遊んだりする。もちろん近隣に住んでいる人なのだけれど、もともとはいろいろなところで知り合った人たちで、気がついたら同じところにいるというめぐり合わせの妙。中にはわたしが90年代の中ごろに調布でDJイベントをやっていた時に知り合った人もいたりするしね。
などと思ったのは、お店を回っていたら、わたしが15年以上前に勤めていた会社で一緒だった人が、出店していたHOT BAGLESで、ベーグルを売ってたから。その友だちの家の近所にHOT BAGLESがあるらしく、通っているうちにバイトするようになったらしい。いや、近くに住んでいてはけ市などで会ったりしていたけど、まさかそんな風にいるとはね。いつかタイミングが合って、同じときに一緒にお店を出すほうではけ市に参加することになるかも?たのしみ。

■連休の最後は、やぼろじのcircle gallery&booksで行われたshunshunと宮内優里のライブ。
宮内優里がいつものようにさまざまな楽器を使い曲を演奏している横で、shunshunが即興で絵を描いていくというもの。まず一つの楽器の音が響き、それがループされ、続いて次楽器のフレーズが演奏され、ループされていた音と響き合う‥‥という宮内優里のライブと、一枚の紙の上で、一本の線から始まって、最終的には一つの世界が描かれるというshunshunのドローイングは、どこか似てる。それが演奏のテンポに合わせて描かれたり、音に合わせて絵が描かれたり、絵に合わせて音が変わったりする時もあって、耳と目、両方の刺激を受けました。

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ロケーションも蔵を改装したcircle gallery&booksのちょっと暗くて屋根裏っぽい狭い空間で、20人くらいしか観客もいなくて、かなりぜいたく。周りの雰囲気も含めてここでしか味わえないいいライブでした。
宮内優里のライブはよく考えたら江戸東京たてもの園、ミッドタウンの21_21、そしてcircle gallery&booksとちょっと変わったところばかりで見てますね。

「アンソロジー おやつ」

■作家の食べものについて随筆を多いものとしては、お酒関連の話と旅先での話があると思いますが、家で仕事しているということや来客が多く手土産が多いということもあって、おやつに関しての随筆もわりと多いと思う。お酒関連は、食べ物やお酒そのものよりも酒場での出来事だったり一緒に飲んでいる作家仲間の話だったりと交遊録的な部分も含まれるし、旅先での話も当然、旅の出来事がつづられるということを考えると、おやつの話はわりと「おやつ」そのものについて書かれていることが多いような気がします。

■ちょっと前の話になりますが、9月18日に川口で行われていた「川口暮らふと」に行ってきました。大学時代の友だちの奥さんがスタッフをしていることもあって前々から気にはなっていたのですが、やはり川口は遠い。というわけで、今回も行けないかなと思っていたのですが、前日にその友だちから、もう20年くらいあってない別の大学時代の友だちも来るというメールが来たので、行ってみることに。
イベント自体はイトーヨーカドーの前の広場で行われていて、午後から行ったので食べものとかはすでに売れきているところが多くかなりにぎわっていました。久しぶりに会ったせいもあり、ビールを飲んだりしながら、芝生の上でちょっとしたライブを聴きながらずっとしゃべってました。なので、きちんとお店を見ることができず、はけのおいしい朝市にも出ているsafujiさんとコッペさんに挨拶をしたくらい。
ちなみに二人とも4歳の男の子の子どもがいて、わりとおとなしい感じの子だったので、うちの子たちが会っていきなり兄弟で殴り合いを始めたりしたせいでかなりひいてました。なんだかなぁ~しかし、20年ぶりに会った同年代の友だちの子どもも同じくらいの歳というのも不思議。これを機にまた会ったりできれば、と思う。

-■帰りは、川口の駅の近くにあるたぬきという居酒屋でみんなで食事。昔からあるような古い建物で、お店の人も出てくる食事も素朴な感じでよかった。2階が座敷になっていて、早い時間だったので途中までほかにお客さんもいなかったしね。

■次の19日は調布飛行場祭り。これも10年以上ぶりかな。たくさんの出店や飛行場の人たちのフリマっぽい飛行機などに関するものを出しているお店が出ていてなかなか楽しかった。小型飛行機の席まで売ってましたよ。ただ飛行機自体にはあまり乗ったりできず、滑走路の一部に出て、いつもよりもちょっと近くで見れるくらいだったのが残念。まぁ個人のものだったり商用機なので仕方ないんでしょうけど、子連れとしてはいろいろ乗せてみたかったかな。近いこともあって家でお昼ごはんを食べてから散歩がてら自転車で行ってみたのですが、午前中から行って、お店をぐるぐる回ったり、お昼ごはんを食べたり、がっつり楽しむ感じで行くべきだったかもしれません。

「小僧の神様」-志賀直哉-

■この本は同じ新潮社文庫版で中学生くらいの時期に読んだ記憶があります。タイトルにもなっている有名な「小僧の神様」と「城の崎にて」くらいはなんとなく内容を覚えているけれど、ほかについてはすっかり忘れてました。いや、ちゃんと読んでなかったような気もします。特に後半の「山科の記憶」「痴情」「晩秋」あたりの40歳過ぎた後の自身の浮気をモチーフにした作品なんて、中学生にとってどうよんでいものやらと思う。逆に40歳過ぎた今読むと妙にリアルに感じてしまう(いや、わたしが浮気してるとかではないですよ)。
とはいうものの「小僧の神様」なんかも、短い作品なのに途中で語り手が変わって、描かれている情景などが前半と後半で違うものになり、さらに最後には作者ができてきたりして、ストーリーを追うだけではこの作品のおもしろさはわからないので、それを当時のわたしが理解していたかというとかなり疑問。おそらくまったく気づいていなかったと思います。
このほかにもわたしが気づかず、さらりと読み飛ばしてしまった中に文章の工夫などがあるのだろうな、と思う。そして読むたびに少しずつ気づくのかもしれません。

■昨日のはけのおいしい朝市も無事終了しました。ものすごいたくさんの人で神社の境内が賑わっていて、カヌー犬ブックスにもたくさんの人が本を見に来てくれてありがとうございました。ときどき広いほうを眺めながら、ステージから聞こえてくる音楽を聴いたりしていました。しゃがんで絵本を子どもたちに見せているお母さんやお父さんが多く、毎回、ちゃんと本を読む場所を作れたら、と思いつつもなかなかスペースの問題や什器の搬入ができなくて実現できてません。次回までにはいろいろ考えたいと思ってます。今回も中古レコードのハイフェデリティさんと一緒に出店させていただいたのですが、うちの子+ハイフェデリティさんのお子さんで男の子4人ということで、いつものことながらバックはかなり騒がしいことになっていましたが、子どもたちがどこにいってもわりと心配せずにほっておけるのもはけ市のいいところです。来ていただいた皆さま、はけ市の実行委員の皆さま、ボランティアスタッフの方々、ありがとうございました!

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-■で、話は遡りますが(これ以下はけっこう前に書いて放置してました)、先月末で暁くんも3歳を迎えました。暁くんが生まれたと聞いて新幹線で長崎まで行ったのが、ずいぶん前のことのような、つい最近のことのような‥‥前にも書いたかもしれませんが、漣くんが3歳になった時は、大きくなったな、と思ったものですが、暁くんを見ていると、まだまだ小さいなぁと思う。単に比較対象があるかないかの違いですが、なんか不思議。実際は、下の子は上の子のまねをするので、しゃべるもの3歳のときの漣くんより達者だし(というか幼稚園のおにいさんたちのまねをして言葉遣いが悪い)、動きも早い。興味を持つ対象もとっくにアンパンマンやトーマスは卒業してるので、成長は早いんですけどね。
当日はミオ犬手作りのシフォンケーキを食べて、近くのホーマーというレストランで食事。ホーマーは引っ越してきた時から気にはなっていたのですが、なかなか行く機会がなかったんですよね。日曜の夜ということもあって子ども連れのお客さんもたくさんいて、気楽だったし、食事もおいしいし、機会があったらまた行こうと思う。
お客さんでお父さんと男の子の子どもの二人というパターンが妙に多かったのは、日曜の夜にお母さんが出かけて、男二人でごはんなのでちょっと外食しようかという家庭が多かったんでしょうか。食事をしているときの二人の会話とかも含めてなんだかいろいろ想像してしまいました。

■その前の日は一人で出かけて高円寺の古書会館に行ったので、アムレテロンで開催していたの「幻のレコードジャケット」展を見ました。
死んだ伯父さんの遺品の中にあったジャケットのない傷だらけの10インチのレコード、よくわからない言葉の手紙が添えられており、音を聴いてもいったいなんなのか、わからない。でも伯父さんがたいせつにしていたことだけがわかる‥‥そんな設定で制作されたレコードジャケットが展示されていて、シチュエーションのおもしろさもさることながら、それぞれのレコードジャケットからそれぞれの音楽が聞こえてくるようでおもしろかったです。中でも平木元さんの細部まで凝った世界観の作り込みがすごかったです。展覧会に合わせていろいろな人が選曲したお店のBGMもよかった。アムレテロンでは、ルーシー君が選んだレコードを販売していて、気になるジャケットのレコードもいくつかあって試聴したかったのですが、BGMを妨げて、お店の雰囲気を壊しそうだったので遠慮してしまいました(試聴せずに買えよ、と)

■恵比寿のMA2 GalleryとNADiff Galleryでやっていた近藤恵介の個展を見る。MA2 Galleryでは、2013年9月からはじめた、12か月連続で新作を発表し続ける「12ヶ月のための絵画」というプロジェクトで発表された作品が展示されており、NADiff Galleryでは、それらをまとめた作品集「2ヶ月のための絵画」の印刷物を素材に作られた新たな作品と、いくつかの絵画作品が展示されていました。過去の作品と比べても大きく作風が変わっているわけではないので、2つの個展に大きな差はないけれど、オリジナルの作品とじっくり見るという形と、印刷物をもとに新たな作品を作るという試みとで、自分で意識しなくても作品の接し方が変わってしまうのが興味深い。
で、なんとなく同じように日本画専攻しながらアニメ的手法で有名になった村上隆のことを思い出してみたり‥‥

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■恵比寿のNADiff Galleryに行くのは初めて。表参道にあった頃はよく行ってて、カフェでお茶したり、個展に合わせたイベントに行ったりしてました。移転したNADiff Galleryは、店内に螺旋階段があったり、1階が本屋さん、地下と2階がギャラリーとなっていて、思ったよりも大きく、きれいなお店で、並べてある本もどれもセンスのいいおもしろそうな本ばかり。こんな本屋さんが近くにあったらなぁと思ってしまう。やっぱり毎日アマゾンを見るよりも、週に1回でもいいから、実際にいろいろな本屋に行ったほうが、視界も広がるし、勉強になるな、と実感。レコメンドって結局似たような人の「傾向」を見ているだけなので、「お!」という驚きがないんですよね~。

「清兵衛と瓢箪・網走まで」-志賀直哉-

■志賀直哉の小説をきちんと読んでみようと思って、明治37年の「菜の花と小娘」から大正3年の「児を盗む話」まで、初期の短編小説18編を収録した短編集。無知をさらけ出してしまうと、志賀直哉というと私小説というイメージがあったので、「剃刀」「濁った頭」「范の犯罪」「児を盗む話」といったミステリっぽい作品にちょっとびっくり。それらもトーンとしてはわりと淡々とした筆致で状況や心境が描かれていて、短い中でひきこまれつつも、最後にはちょっとした余韻が残るという感じですかね。やはり「祖母の為に」といったストレートに自身の経験をもとにした作品にひかれつつも、全体のバランスとしてさまざまなタイプの作品が収録されているので、単調にならずに読み進められます。そういう意味では。自身の父親との確執を背景にフィクションとして描いた表題の「清兵衛と瓢箪」は秀逸(ってちょっとエラそう)。

■なかなか雑記を更新できないので、終わってしまったものも含めて告知をいくつか。

■前回(っていつだ?)、渋谷のロフトで開催されているどうぶつのほんやさんについて書きましたが、期間中一回だけ会場に行くことができました。円形の柱に本が並んでいていい感じで、その周りをまわりながら、ほかの本屋さんの本を眺めたり、お店の名前の由来に「そうだったのか!」とうなずいてみたり、メインのブックカバー展、空の本屋さんの、架空のブックカバー展、旅する古書ノ市と閉店ぎりぎりに行ったのについ歩き回ってしまいました。前にこぐま社のパンフレットで見た馬場のぼるのかえる手ぬぐいをミオ犬のおみやげとして購入。

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-■9月20日配布のメトロミニッツの「100年後まで残したい料理本」特集で2冊料理本を選ばせていただきました。わたしが選ばせていただいた「17人の100年後まで残したい料理本」から高畑充希や小宮山雄飛種村弘が選ぶ料理本、近代文学における食、東京の料理本の専門店の紹介や温泉旅と料理本、そして日本の料理本の歴史まで、フリーペーパーですが、なかなか充実した内容となっていて必見です!ってもう置いていない駅が多くなってしまってるみたいですが。
ほんとはじっくりと本を選んで、できればもう一度ちゃんと読んだうえで書きたかったのですが、会社の仕事が立て込んでいいたりどうぶつのほんやさんの準備があったりする時期で、記憶を頼りに書いているので、内容に関してはあまり自信はないです。もしかしたら間違ったこと書いてるかもしれません。(いいわけ)

-■で、今週末10月12日は、はけのおいしい朝市に出店します。去年に引き続き小金井神社での開催!antiques-educo、safuji、SPOONFUL、dogdeco HOME、中村文具店、PETAL.、珈琲屋台 出茶屋、YUZURIHA、といったレギュラーメンバーに加え、A.K.Lab、北川ベーカリー、ケーニッヒ、天然酵母パン ゼルコバ、六甲山といった食べもの屋さんからatelier coin、coupe、世界のかご カゴアミドリヨシタ手工業デザイン室といった手仕事のもの、そしてワークショップや音楽イベントなど盛りだくさんです。
カヌー犬ブックスは去年の小金井神社、今年3月の江戸東京たてもの園での開催に続き、中古レコード屋のHigh Fidelityと一緒に出店させていただきます。High Fidelityのレコードもよいセンスでいいレコードが多いんですよ~
台風が近づいていますが、晴れるといいなぁ~よろしくお願いします-!

はけのおいしい朝市 vol.62 in 小金井神社
日時:2014年10月12日(日)9時~16時(雨天決行・荒天中止)
会場:小金井神社 東京都小金井市中町4-7-2

「CREA 2014年9月号 食の本大特集 おなかがすいたら おいしい読書」

■「CREA」なんて買ったこともありませんでしたが、特集が「食の本大特集 おなかがすいたら おいしい読書」ということだったので初めて買ってみました。
細川亜衣×平野紗季子×勝屋なつみの対談に始まり、伊藤まさこや長尾智子らによるおすすめ料理本、橋本愛へのインタビュー、少女小説やパンの絵本、マンガ、そして「昭和の名作家を味わう」として獅子文六も登場するなど、なかなか盛りだくさんの内容で、満足。紹介されている本を見つつ、「これは今うちにあったはず」とか「あれは売れちゃったなぁ」とかつい思ってしまうところがあさましい。
そして久しぶりに雑誌を読むとおもしろい。普段、テレビも見ないので限られた情報にしか触れてないしね。ただ、電車の中でしか本を読まないので、通勤で使っているバッグが小さくせいで、持ち歩けない雑誌をいつ読んでいいのかわかりません。もし持ち歩いたとしても、通勤の満員電車の中で雑誌を読むのは難しい気もしますが‥‥。ところで最近、電車の中で雑誌を読んでいる人をあんまり見ないような気がします。だいたいがスマホを見ている人で、朝は新聞を見てる人がちらほら、文庫本や単行本がときどき、という感じ。漫画の週刊誌を見てる人も昔ほどいないかも?

-■読書の秋というわけではありませんが、秋にいくつかイベントに参加します。まずは今週末9月13日~30日まで渋谷のLOFTで行われる「旅する約100人のブックカバー展フィナーレ in 渋谷ロフト」のふろく企画として開催される「どうぶつのほんやさん」に参加します。
「どうぶつのほんやさん」は、名前に「動物の名前」が入っている本屋さんや出版社が8店が集まります。それぞれ「動物の名前」店名にしたきっかけなど、興味深い(?)紹介があったり、14日には架空の本屋さんいか文庫さんによるトークショウも予定されています。わたしは直接お店に立ったりしませんが、時間を見て何回か遊びに行こうと思っています。
このほかにも「架空の本屋さんの店主おすすめの1冊」「旅する古書ノ市」「レトロ印刷JAMさんのワークショップ」といったイベントも開かれているので、是非チェックして遊びに行っていただければと思います。よろしくお願いいたしますー!

「マイナスゼロ」-広瀬正-

■1945年の東京。空襲のさなか、主人公の少年は、隣人の先生18年後の今日、ここに来てほしいという奇妙な頼まれごとをされる。隣人の先生はそのまま息絶えてしまい、どういう意味か分からないまま、18年後の約束の日、約束の場所に行ってみると、そこには先生が密かに開発したと思われるタイムマシンが現れる‥‥
戦後の世界から戦前にタイムトラベルする話。日本のタイムトラベルもののSFとしては基本中の基本なのかな?日本のSFを読むのは読むの中学生くらい以来なので、よくわからない。ただタイムトラベルした先の戦前の東京(特に銀座)の街並みの描写が細かくて(何屋の隣は何屋でとか、何のビルが建設中とか、また年代の記述も詳しい)、また、タイムトラベルの醍醐味である過去に戻ったことによる未来ののつじつま合わせも絶妙で引き込まれてしまいました。

■著者の広瀬正は、1950年代にはジャズバンドのサックス奏者だったそうで、その後、クラシックカーの製作を行いながら、タイムトラベルものの作品を中心に発表した作家とのこと。1972年に心臓発作で47歳で急逝してしまったので作品自体はそれほど多くないし、これを機に日本のSFを読んでみようかな、とか無責任に言ってみる。いやいやその前に広瀬正とスカイトーンズの音を聴いてみたい(YouTubeにはないみたいだ)。

-■8月の最後の日は、前日までいろいろ動いて疲れたので近場の小金井公園へ。帰り際に入口にある手作りの顔出しパネル(正式名称不明)が先月とは変わっていることに気づき、とりあえず記念撮影。小さいころから顔出しパネルがあるたびに子どもたちに顔を入れさせて写真を撮っているだけあって、最近はわたしよりも早く見つけてノリノリで顔を出す。いつか嫌がる日が来るんだろうなぁと思うけれど、それまでは楽しみたい。小金井公園のものは頻繁に変わるらしいので要チェックだ。
そもそも大人になって顔出しパネルを気にするようになったのは、大滝詠一のせい。1990年代後半、Ami-go Gara-geが頻繁に更新されていたころに、大滝詠一が全国の(というと大げさか!?)顔出しパネルに顔を出しているコーナーがあったのです。あの頃の大滝詠一はものすごい勢いでサイトを更新していていつも楽しみにしてた。で、気がついたらコンテンツが全部消えてしまって、更新も止まってしまって、ダウンロードとかしておけばよかったと後悔したものです。あー「いつまでもあると思うなナイアガラ」
2012年3月の「アメリカンポップス伝」の裏話が最終更新のままになっていて哀しい。まだ亡くなってから半年ちょっとしかたってないけど、ときどきね、「あーもうほんとに大滝詠一の新しい音楽もラジオ番組も聴くことができないなんだ」って思います。

-■小金井公園に行ったついでエデュコさんに寄って、FBに上がっていたフレッドくんグッズをチェック。実際にクッキーを作ることができるよう、顔の部分がボールになっていて、頭は粉を振り掛けるように穴が開いていて、足のところにはクッキーの方、手には生地をのばす綿棒を持っているというもの。本来はもう片方の手に何かを持っていたらしいです。最近、キャラクターもののグッズを買ってなかったこともあり、めずらしく即買いしてしまいました。ソルト&ペパーや小麦粉入れと並べるとかなり大きいです。
しかしそんなグッズも家に帰って荷物と子どもたちを置いてから、一回外に行って自転車を自転車置き場置いて戻ってきたら、フレッドくんの頭の部分ににブロックを入れて「ガガガ~」とか言いながら「何味のスムージーがいいですかぁ?クッキーもありますよぉ~」などと子どもたちの遊び道具になってて驚愕。すぐさま取り上げました。君たちに買ったんじゃない!

「星を撒いた街」-上林暁-

■布クロスの造本でていねいというか、作り手の著者への愛着がうかがえる。収録された作品も一冊目だけに考えに考えられたんだろうなぁ、と思う。とはいうものの、ベストアルバムよりを聞くよりも、その当時出たオリジナルな形で音楽を聴きたい人間としてはやはり遠回りだとしても、作者が組んだオリジナルの作品集で読みたいと思ってしまいます。たとえ当時の本が、単に発表順に収録だれたももだとしてもね。いや、ちょっと違うかな。どちらかというと、選者の思い入れを作品選びの視点から考えると、ベスト盤というよりもフリーソウルのシリーズに近い感じなのかもしれません。
そういう意味では、古本のことや作家との思い出などを中心とした「故郷の本箱―上林暁傑作随筆集」やはっきりとテーマを絞った坪内祐三の「禁酒宣言―上林暁・酒場小説集」といった本のほうが好きですね。とはいえ、収録された作品はどれも素晴らしいのには変わりなく、表題の「星を撒いた街」など読んでいて、その病者の美しさにぐっときてしまいます。

-■夏の終わりに家族で鎌倉に行ってきました。走り出したと思ったらすぐに立ち止まって、抱っこをせがむ2歳児に振り回されて、鎌倉の街を歩き回るというという感じではありませんでしたが、何年かぶりでディモンシュでランチをしたり、鎌倉をちょっと散歩したり、海で貝殻を拾ったり、大仏に見に行ったり‥‥と、久しぶりの鎌倉を満喫。
ディモンシュでは、ムケッカを食べる。多分5年、6年ぶり。店主の堀内さんがいろいろ活動の輪を広げている反面、ディモンシュ自体は、あまり変わらなくて、なんとなく安心してしまう。その辺が20年続いてきた重み、なのかもしれないとか思ったり‥‥
しかし、ディモンシュの隣ってボーネルンドなんですよねぇ。もうディモンシュに入る前からボーネルンドに引っかかってしまい、子どもが生まれる前は特に気にしてなかったのですが、メニューが出てくる間とか食べ終わった後とか、すぐにそっちで遊びたかってしまい、ゆっくりコーヒーも飲めず、まいりました。そしてお店を出たり入ったりして、ほんとにすみませんでした~

-■あと、先日の雑記にも書きましたが、6月に開店したばかりの古本屋、ウサギノフクシュウにも行ってきました。落ち着いた雰囲気のお店で、気になる本がたくさんあって、子どもたちをそっちのけで小栗さんと話したり、事前にサイトを見た時に欲しいなという本がいくつかあったので、それをチェックしたり楽しんでしまいました。で、天野祐吉(著)、大社玲子(イラスト)、後藤田三朗(写真)による「のぞく」を購入。写真の絵本(?)が好きで、普段、古本屋に行くたびに探しているのだけれど、意外となくて、なかなか集められてなかったので、うれしい。そうそう鎌倉に遊びに行く機会はないけれど、次回行くときにはまた寄りたいです。

■鎌倉から帰ってきた後は、友だちの結婚パーティへ。幸せそうにニコニコ笑う新郎新婦を音楽好きな仲間がDJで盛り上げたり、ライブをしたり、シングルレコードをモチーフにしたウェディングケーキを食べたりと楽しいパーティでした。お二人ともお幸せに~!

■そんなわけで、週末遊び疲れてぐったりして、9月に突入。月末で暁くんも3歳。漣くんも七五三と、秋はイベントがたくさんあるし、あっという間に涼しくなって、寒くなって、年末になってしまうんだろうなぁ。

「燃焼のための習作」-堀江敏幸-

■運河沿いに建つ雑居ビルの一室で探偵のようななんでも屋の主人公とその助手、そして依頼人の3人による会話だけで話が進む。過去を手繰るうちに探偵と依頼人の過去の接点が明らかになったりしつつも、そしてそれぞれが勝手に思ついたことを話すので、横道に逸れたり、飛んでしまったりする。その一方でお腹の調子が悪い依頼人を看病(というほどでもないか)したり、お腹がすいた助手がご飯を作り始めたりと行動のほうも、何か結末に向かって進んでいくわけでもなく、永遠に続くかのような錯覚に陥ってしまいます。そんなつかみどころのないやり取りを「ん、ん、ん」などと思いつつ読み進めていくと、特にきちんとした謎解きがあるわけではないけれど、最後に「ひゅっ」と心を奪われてしまう、そんな不思議な感覚の堀江敏幸らしい小説。
登場人物の会話が中心に話が進んでいくところやとりとめのないところ、会話の内容が急に専門的になったりして、狭まったり広がったり深くなったりしていくところは、どことなく吉田健一の小説に似ているといえるかもしれない。いや、単にわたしが自分の好きな作家を結び付けようとしているだけですが‥‥

■(前回からの続き)泥酔ファンクラブから酔っぱらって戻ってきた次の日は、普段、渋谷のエッジエンドでやっているインザパシフィックの仲間と、調布の京王多摩川アンジェでバーベキュー。きちんとしたテーブルに人数分の椅子が並べられ、その横にはバーベキューコンロというシチュエーション。そして持ち込み禁止でドリンクは飲み放題、3時間制、とくれば、バーベキューというよりも焼肉パーティみたいなもの。まぁ何も持たずに行けるし、普段は夜遊びばかりというこのメンバーでやるにはちょうどいいかもと思っている。3時間はまぁまぁあっという間に過ぎてしまうので、遊んだりする時間もなく、その辺がちょっと物足りない。

■そんなわけで夕方からは居酒屋で2次会。日曜は調布の花火大会だったので、当初の予定では、暗くなったら多摩川のほうに行くつもりだったのですが、2次会から座敷で横になる人が出たりして、歩いて川まで行く感じではありませんでした。ということで、時間が来て店から出されると、そのまま3次会。結局、9時くらいまで飲んでました。漣くん連れての飲みだったのですが、花火大会中ということもあり、それほどお客さんもいなくてよかった。漣くん自身も去年よりうるさくしたりしなくなったしね。途中でジュース飲むのにも飽きてきたみたいだったけど。当然、帰宅後は何もする気もなく、漣くんをお風呂に入れて、そのまま一緒に寝ましたよ。

■夏の最後の週に入っていきなり涼しくなって、もう夏も終わりという感じ。今年はよく働いな、と思う。行きたかった目黒美術館の「ジョージ・ネルソン展」にも行けず、近くなのに小金井のはけの森美術館の「猪熊弦一郎展」にも行けず、子どもも連れて行こうと思ってたちひろ美術館の「いわさきちひろ×佐藤卓=展」にも、八王子夢美術館の「11ぴきのねこと馬場のぼるの世界展」にも行けず、そのほか開催している展覧会を調べる余裕もあんまりなかった、そんな2014年の夏、でした。とはいうものの、毎週何かしら遊びに行く予定があって、近くがほとんどだけどいろんなところに遊びに行ってました。