「小僧の神様」-志賀直哉-

■この本は同じ新潮社文庫版で中学生くらいの時期に読んだ記憶があります。タイトルにもなっている有名な「小僧の神様」と「城の崎にて」くらいはなんとなく内容を覚えているけれど、ほかについてはすっかり忘れてました。いや、ちゃんと読んでなかったような気もします。特に後半の「山科の記憶」「痴情」「晩秋」あたりの40歳過ぎた後の自身の浮気をモチーフにした作品なんて、中学生にとってどうよんでいものやらと思う。逆に40歳過ぎた今読むと妙にリアルに感じてしまう(いや、わたしが浮気してるとかではないですよ)。
とはいうものの「小僧の神様」なんかも、短い作品なのに途中で語り手が変わって、描かれている情景などが前半と後半で違うものになり、さらに最後には作者ができてきたりして、ストーリーを追うだけではこの作品のおもしろさはわからないので、それを当時のわたしが理解していたかというとかなり疑問。おそらくまったく気づいていなかったと思います。
このほかにもわたしが気づかず、さらりと読み飛ばしてしまった中に文章の工夫などがあるのだろうな、と思う。そして読むたびに少しずつ気づくのかもしれません。

■昨日のはけのおいしい朝市も無事終了しました。ものすごいたくさんの人で神社の境内が賑わっていて、カヌー犬ブックスにもたくさんの人が本を見に来てくれてありがとうございました。ときどき広いほうを眺めながら、ステージから聞こえてくる音楽を聴いたりしていました。しゃがんで絵本を子どもたちに見せているお母さんやお父さんが多く、毎回、ちゃんと本を読む場所を作れたら、と思いつつもなかなかスペースの問題や什器の搬入ができなくて実現できてません。次回までにはいろいろ考えたいと思ってます。今回も中古レコードのハイフェデリティさんと一緒に出店させていただいたのですが、うちの子+ハイフェデリティさんのお子さんで男の子4人ということで、いつものことながらバックはかなり騒がしいことになっていましたが、子どもたちがどこにいってもわりと心配せずにほっておけるのもはけ市のいいところです。来ていただいた皆さま、はけ市の実行委員の皆さま、ボランティアスタッフの方々、ありがとうございました!

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-■で、話は遡りますが(これ以下はけっこう前に書いて放置してました)、先月末で暁くんも3歳を迎えました。暁くんが生まれたと聞いて新幹線で長崎まで行ったのが、ずいぶん前のことのような、つい最近のことのような‥‥前にも書いたかもしれませんが、漣くんが3歳になった時は、大きくなったな、と思ったものですが、暁くんを見ていると、まだまだ小さいなぁと思う。単に比較対象があるかないかの違いですが、なんか不思議。実際は、下の子は上の子のまねをするので、しゃべるもの3歳のときの漣くんより達者だし(というか幼稚園のおにいさんたちのまねをして言葉遣いが悪い)、動きも早い。興味を持つ対象もとっくにアンパンマンやトーマスは卒業してるので、成長は早いんですけどね。
当日はミオ犬手作りのシフォンケーキを食べて、近くのホーマーというレストランで食事。ホーマーは引っ越してきた時から気にはなっていたのですが、なかなか行く機会がなかったんですよね。日曜の夜ということもあって子ども連れのお客さんもたくさんいて、気楽だったし、食事もおいしいし、機会があったらまた行こうと思う。
お客さんでお父さんと男の子の子どもの二人というパターンが妙に多かったのは、日曜の夜にお母さんが出かけて、男二人でごはんなのでちょっと外食しようかという家庭が多かったんでしょうか。食事をしているときの二人の会話とかも含めてなんだかいろいろ想像してしまいました。

■その前の日は一人で出かけて高円寺の古書会館に行ったので、アムレテロンで開催していたの「幻のレコードジャケット」展を見ました。
死んだ伯父さんの遺品の中にあったジャケットのない傷だらけの10インチのレコード、よくわからない言葉の手紙が添えられており、音を聴いてもいったいなんなのか、わからない。でも伯父さんがたいせつにしていたことだけがわかる‥‥そんな設定で制作されたレコードジャケットが展示されていて、シチュエーションのおもしろさもさることながら、それぞれのレコードジャケットからそれぞれの音楽が聞こえてくるようでおもしろかったです。中でも平木元さんの細部まで凝った世界観の作り込みがすごかったです。展覧会に合わせていろいろな人が選曲したお店のBGMもよかった。アムレテロンでは、ルーシー君が選んだレコードを販売していて、気になるジャケットのレコードもいくつかあって試聴したかったのですが、BGMを妨げて、お店の雰囲気を壊しそうだったので遠慮してしまいました(試聴せずに買えよ、と)

■恵比寿のMA2 GalleryとNADiff Galleryでやっていた近藤恵介の個展を見る。MA2 Galleryでは、2013年9月からはじめた、12か月連続で新作を発表し続ける「12ヶ月のための絵画」というプロジェクトで発表された作品が展示されており、NADiff Galleryでは、それらをまとめた作品集「2ヶ月のための絵画」の印刷物を素材に作られた新たな作品と、いくつかの絵画作品が展示されていました。過去の作品と比べても大きく作風が変わっているわけではないので、2つの個展に大きな差はないけれど、オリジナルの作品とじっくり見るという形と、印刷物をもとに新たな作品を作るという試みとで、自分で意識しなくても作品の接し方が変わってしまうのが興味深い。
で、なんとなく同じように日本画専攻しながらアニメ的手法で有名になった村上隆のことを思い出してみたり‥‥

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■恵比寿のNADiff Galleryに行くのは初めて。表参道にあった頃はよく行ってて、カフェでお茶したり、個展に合わせたイベントに行ったりしてました。移転したNADiff Galleryは、店内に螺旋階段があったり、1階が本屋さん、地下と2階がギャラリーとなっていて、思ったよりも大きく、きれいなお店で、並べてある本もどれもセンスのいいおもしろそうな本ばかり。こんな本屋さんが近くにあったらなぁと思ってしまう。やっぱり毎日アマゾンを見るよりも、週に1回でもいいから、実際にいろいろな本屋に行ったほうが、視界も広がるし、勉強になるな、と実感。レコメンドって結局似たような人の「傾向」を見ているだけなので、「お!」という驚きがないんですよね~。