「限界集落」-梶井照陰-

“限界集落”とは、「過疎化などで人口の50%が65歳以上の高齢者になり、冠婚葬祭など社会的共同生活の維持が困難になった集落のこと」。この本では、著者自身が現在暮らしている新潟県・佐渡ケ島をはじめ、山梨県・芦川、新潟県・鹿瀬、熊本県・球磨村、長野県・栄村、東京都・桧原村、和歌山県・高野町など13の集落が取り上げられています。
必要以上に状況のひどさを訴えたり、感傷的になることはなく、そこに住むおじいさん、おばあさんの話を冷静に聞き、そのまま簡潔に伝えるというスタンスなのは、やはり著者自身が、佐渡ケ島に住んでいるから、なんでしょうか。写真のおじいさん、おばあさんもいい表情をしています‥‥。

さて、カヌー犬ブックスも今日から6年目、普通、古本屋さんに5年間勤めたら、ある程度、古本屋さんとして一人前になっているんだろうなぁ、とか、古本屋に限らず、会社を辞めて独立したとして5年も経ったら、ちゃんと安定した仕事ができているとか、これから仕事を大きくしていくために、会社組織にしていこうとか、考える時期なんだろうなぁ、なんて考えると、5年もやっていて進歩してないなぁと。同時期にネットで古本屋を始めた人でも、組合に入って一所懸命やっている人もいるし‥‥。
ここにカヌー犬ブックスの状況などをほとんど書いてないので、のんびりと楽しそうにやってそうって思われることが多いけれど、正直そんなことないです。そもそもものすごく軽い気持ちではじめてしまったので、開店当初はなんと、100冊くらいしかアップしてなくて、そこからスタートしたことを考えると、5年経ってようやくスタートラインに立てたかな、という気がします。これからどうなっていくかわかりませんが、基本、なるようにしかならないし、できることしかできない、と思っているので、あんまり変わらないのかもしれません。まぁそんな感じですが、6年目、7年目もよろしくお願いします。
というわけで、今日から20日までの10日間、5周年記念全品30%セールをやります。今まで買おうか迷っていた本などがありましたら、この機会にぜひご利用ください。

今週のボサノヴァCDは、女性シンガーのファーストアルバムを2枚、特にコメントなし、備忘録して‥‥
[7]「ナラ」-ナラ・レオン-
[8]「ヴァガメンチ」-ヴァンダ・サー-

「僕のアルバム」-植田正治-

没後発見されたネガの束から、奥さんを被写体とした未発表写真を編纂した写真集。結婚式の当日までお互いに顔も知らなかったという2人が一緒に暮らしはじめて、写真店を営みながら、閉店後のスタジオで写真を撮っているときの暖かな雰囲気や、お互いの距離が縮まっていく感じがものすごく伝わってきます。もちろんもともときれいな人だったということもあるけれど、写真から浮きたってくるかわいらしさは、それだけではなくて、この時期の二人のだからこその瞬間がおさめられているような気がします。

年が明けたくらいから、会社で仕事をしているときに使っているメッセンジャーの画像を、その週に食べた甘いものの写真をしているのだけれど、半年経って画像がたまってきたのではてなにあげてみました(→今週の甘いもの)。基本的には携帯で撮った写真なので、あまりきれいに撮れてませんが、携帯でちょこっと撮るくらいにしておかないと続かないと思うので、まぁこんなもんでしょ、と。ほんとはここにもいろいろ画像を載せたりしたいんですけどねぇ~
こうやってまとめるとなんだか甘いものばかり食べてる気がして、このままでは体に悪いんじゃないかと思ってしまいます。ここにアップしているもの以外でも、会社帰りにコンビニで買ったシュークリームとかアイスとかプリンとか‥‥考えてみると毎日のようにそんなものばかり食べている気が‥‥。これに加えて、週に2回くらい飲みに行ったりしてるし‥‥。40ももうすぐそこ、これからはちょっと気をつけなくては‥‥。

「大陸の細道」-木山捷平-

「長春五馬路」の前の話。先日リブロに行ったら「木山捷平全詩集」が再刊されていたので、この機会に手に入れておきたいと思う。

先日、会社のPCが新しくなったので、何かいい壁紙がないかと思っていろいろ探しているときに(今まではチチヤスのチー坊の壁紙でした~)、今年スマーフが生誕50年になるということを知りました。
ウィキペディアによると、ペヨが雑誌「ル・ジャーナル・ド・スピルー」で連載していた、漫画「Johan & Pirlouit(ジョアンとピルルイ)」のなかで、1958年10月23日にスマーフは初めて登場したらしい。そのわりにはスマーフ盛り上がってないのが、ちょっと寂しいです。
10年くらい前は、ちょっとした雑貨屋さんでもスマーフのフィギュアが売られてたし、何年か前に、セーラー出版からコミックが再刊されたときも、いろいろな本屋さんの絵本コーナーにスマーフのポスターが貼ってあって、本よりもポスターが欲しいと思ったりしたのにね。という私ももうほとんど、スマーフグッズは買ってません。フィギュアじゃないものが欲しいと思っているのだけれど、フィギュア以外で欲しいものは高いんですよね。その辺も含めて、50周年記念ということで、秋にかけてケアベアみたいに展覧会やったり、新しいグッズが出たりしないかなぁ~と思っているのだが。

今週のボサノヴァコーナー‥‥

[5]「オーリャ・ケン・シェーガ」-タニア・マリア-
う~ん、懐かしい。ただ懐かしいとしか浮かばない。15年くらい前、サバービアが流行っていた頃、ジョイスとかフローラ・プリムなどと一緒によく聴いてましたね~。この辺も自分では持っていなかったりするので、手に入れておきたいです。
[6]「Embalo」-テノーリオ・ジュニオル-
テノーリオ・ジュニオルのピアノを中心に、サックスやトロンボーンといったホーン、ドラム、パーカッション、ヴィオラォン‥‥など、ビッグバンド編成のジャズ・サンバ。どちらかというとジャズ寄りのサウンドなのだけれど、全体的に軽やか感じなので、デューク・エリントンやギル・エヴァンス、ミッシェル・ルグランといったレコードではなくて、プーチョ・アンド・ヒズ・ラテン・ソウル・ブラザーズとかと一緒に聴きたいかも。ファニアにような純粋なラテンともちょっと違うしね。テノーリオ・ジュニオルは、1970年半ばにアルゼンチンに向かったきり消息不明で、アルゼンチンの軍事政府に暗殺されたともいわれているらしい‥‥。

「枝豆は生意気だ」-池田弥三郎-

先日書いたダニエラに置いてあった雑誌によると、双子座のラッキーメニューはそら豆らしい。そら豆の旬が、4~6月頃の初夏までで、店頭に出回る期間が短いのに比べて、枝豆の旬は、春から4、5カ月と長く、いつまでも食膳にあがる。しかも枝豆は、食べられもしない“さや”のまま出てきて、さやと薄皮2枚むかなくてはいけない‥‥というのが、「枝豆は生意気だ」というタイトルの由来。
今ちょうど、そら豆の旬の時期ということもあってか、そのときに食べたランチのスープが、偶然にもそら豆のスープ(ラッキーメニュー!)だったし、居酒屋のメニューなどでもよく見かけます。そしてそら豆の旬が佳境を迎える頃、梅雨に入って、じめじめした日々がやってくる・・・・。今年は4月、5月と雨が多くて、もう梅雨に入ってるんじゃないの?という雰囲気が漂っちゃってますけどね‥‥(特に週末)。

ギンザ・グラフィック・ギャラリーで、の5月の企画展は「アラン・フレッチャー:英国グラフィックデザインの父」。日曜日がお休みなので、なかなか行く機会がないギンザ・グラフィック・ギャラリーだけど、ちょうど土曜日の夜、友だちと銀座で飲む約束があったので、雨の中、ちょっと寄ってみました。アラン・フレッチャーは、デザイナー集団ペンタグラムの創設者の1人であり、1960年代からロイター、マンダリン・オリエンタル・ホテル・グループ、ヴィクトリア&アルバート美術館、ロンドン・ロイド社、ダイムラー・ベンツ、アーサー・アンダーセン&Co.などのクライアントの仕事を携わってきたグラフィックデザイン界の重鎮(らしい)。若い頃には、ソール・バスの元で働いたこともあるらしいです。
展示されていたポスターを見ると、ソール・バスやポール・ランドといったアメリカのデザイナー、スイスの構成的ポスター、そしてフランスのポスターにおけるユーモア‥‥がうまくブレンドされたような作品という感じですかね。全体のなかのほんの一部分でしかないにしても、例えばドイツだったバウハウスとか、ロシアだったらロシアアバンギャルドとか、そういうデザインの代表的なムーブメントがイギリスにはないので(私が知らないだけ?アーツ・アンド・クラフツとか?)、イギリス的なデザインというのが、どういうものを示すのかわからないですけど。個人的に、イギリスのデザインというと、スインギン・ロンドンとかパンクとかニューウェイヴとか、音楽と結びついたイメージが強いですね。

「献立帳」-辻嘉一-

GWに便乗して一日お休みをとろうと思いつつ結局とらなかったこともあって、19日に有休をとって3連休。人とずらしてお休みをとるとなんだか休んでばかりいるような気になりますね。といっても、下北をぶらついたり、吉祥寺を歩いたり、神保町に行ってみたり、特にどこかに行くということもないです。でも、平日に神保町を歩くというのはいいよ(私だけか?)。月曜はちょっと雨が降ったりしたけれど、久しぶりに週末いい天気が続いてよかった~

そんなわけで、土曜日はミオ犬が髪を切りに行くというので、下北に出て美容院の近くのダニエラというレストランでごはんを食べる。外から見ると普通のカジュアルなイタリアンレストランなのですが、料理ももちろん、ライスにしなくてよかったと思うくらいパンもおいしかったし、駅前から離れた住宅街なので静かだし、家の近くにこんなお店があったらいいかもね、と10人いたら7、8人は思うんじゃないかな、という感じのお店でした。適当。店の前のケースの中には、ハムの固まりやチーズ、イタリアン食材が置いてあって、ワインも充実しているようなので、気分的には夜行ってみたいです。でも下北で飲むこともめったにないし、駅からちょっと離れてるのがね~。

その後、普通にレコード屋さんとか、古本屋さん、雑貨屋さんなどを見て回ったりしていて、QUEの前を通ったときに何気なく看板を見たら、なんと「VIVA YOUNG!」と書いてあってびっくり!10年くらい前、このイベント主催していたマーブル・ダイヤモンドのメンバーが、たまたま会社にいたこともあって、よく遊びに行っていたのが懐かしい。普通に会社で働きながら、バンド活動もして、10年以上もライブイベント続けるなんて、普通の人間にはできない。マーブル・ダイヤモンドは、当時は歌謡ソウルっぽいサウンドだったのだが、今は、24/7(TWENTY FOUR SEVEN)というバンド名になってスカっぽいサウンドになってるらしいです。
思えば、ナンバーガールの東京での初ライブも「VIVA YOUNG!」だったし、出演したときはまだ二十歳そこそこで食パン投げてたポリシックスももう結成10周年だもの、いやー光陰矢のごとしだわー。

さて今週のボサノヴァは‥‥

[3]「イメージ・オン・ギター」-バーデン・パウエル-
1971年にMPSよりリリースされた作品。ギタリストとしてのストイックな面と、ところどころに聴かれるリラックスした感じのフレーズのバランス絶妙で、何年後かに聴いてもまた新しい発見があるような気がします。しかし最近はどんな音楽を聴いてもMPSにたどり着いてる気がしますね。
[4]「僕と彼女たち」-カルロス・リラ-
カルロス・リラとかマルコス・ヴァーリは、ボサノヴァの歴史の中では、2世代目になるのだろうか?両方に共通しているのは、1代目が築いた土台の上で、肩肘はらずに自由に音楽を楽しんでるというところ。いいメロディとそのメロディを引き立てるアレンジ、それだけあればOK。そしてそれだけで聴かせることができる才能を持っている人は、意外と少ない。

「植草甚一自伝」-植草甚一-

“自伝”というタイトルではあるけれど、もちろん順序立てて書かれたものではなく、少年時代のことや10代、20代のことが書かれたバラバラのエッセイをまとめたもの。なので、普通に本のことが主として書かれているのに、導入として昔の思い出話が書かれているだけものも収録されていたりします。まぁそれはそれなんですけどね。それにしても、植草甚一の文章ってこんなに脱線を繰り返していたのかな。

週末は、天気が悪かったせいもあって、ガス・ヴァン・サント監督の「パラノイド・パーク」を観に行ってきました。前に観た映画が「マイ・ブルーベリー・ナイツ」だったから約1か月半ぶり。最近は観たい映画があまりない、ともうずっと言い続けてるような気がします。ほんとは連休中に久しぶりにラピュタで一日映画を観てみようかな、なんて思ったりもしたんだけど、「ピンク映画」特集だったんですよね~。
「マイ・ブルーベリー・ナイツ」は、基本的には、ロードムービーだと思うのですが、映像的にはカフェやダイナー、バーなどの室内のシーンばかりという不思議な映画でした。ある意味ウォン・カーウァイらしい?ウォン・カーウァイは「恋する惑星」のイメージが強すぎますね。そのあと木村拓哉主演の映画を撮ったりして、醜態をさらしちゃったし‥‥
話がそれてしまいましたが、ふとした偶然から鉄道警備員を死なせてしまったスケボーに夢中の16歳の少年の、その後の日常と不安を描いた「パラノイド・パーク」、追いつめられていく主人公の葛藤の描き方が、大げさにならず淡々としていて、でもどこかに心理的な救いの手をさしのべるような暖かさが垣間見れてよかった。これをラリー・クラークとかケン・ローチが撮っていたら、見終わったあとやりきれない気持ちになってしまうだろうなぁと思う。昔の映画音楽やミュージカルから、ロックンロールやリズム&ブルース、そしてエレクトロニカまでをつないでコラージュした音楽も、そんな主人公の気持ちや映像とマッチしている。また話がそれるけれど、積極的なせいかしっくりとこない恋人に別れを告げるシーンで、「アマルコルド」のメロディが言葉のかわりに流れるのを聴いて、「マイ・プライベート・アイダホ」に出ていたリヴァー・フェニックスとフェデリコ・フェリーニは同じ日に亡くなったんだった、なんてことを思い出したりしました。次の日くらいにフェリーニが死んだことをバイト先で友だちと話してたら、フェリーニに全然興味なさそうな人が話に入ってきて、しばらく映画の話をしているうちに、「もしかして違う人のこと話してる?」みたいなことになったのがなつかしい。
あと、スケボーのシーンもそれだけで成立するくらいかっこよかったですね。と思って調べてみたら、撮影監督は、クリストファー・ドイルでした。う~ん。

「金色青春譜」-獅子文六-

今週買ったボサノヴァCD‥‥

[1]「ブラジリアーナ」-ルイス・ボンファ&マリア・トレード-
ルイス・ボンファと当時奥さんだったマリア・トレードとの共演盤。口笛やスキャット、大げさではない適度なストリングス、そして大きく前面に出たり、テクニカルな奏法を披露することのないギター‥‥など、ギタリストのアルバムと言うよりも編曲家、アレンジャーのアルバム。そんなにいろいろ聴いているわけではないので、勝手な思いこみに過ぎないのですが、ルイス・ボンファは、ギターはうまいんだろうけれど、どちらかというと、そういう道を極めるというタイプではなくて、趣味人というイメージがあって、このアルバムもそんな感じがしますね。
[2]「ポップコーン」-ルイス・エンリキ&ワルター・ワンダレイ-
ワルター・ワンダレイのオルガンというと、どうもエレクトーン教室?みたいなイメージがあるのですが、このアルバムでは、曲によっては、ちょっとハモンドに近い音色や、8ビートのちょっとファンキーな演奏もあったりする。ルイス・エンリキの影響なのだろうか?ルイス・エンリキのアルバムを聴いていないのでわからない。でも他のボサノヴァのヴォーカリストよりも線が太いので、いつものオルガンの音色だとちょっと合わないような気がします。

ゴールデンウィークは、もともとそんなに予定もなかったのだけれど、天気もあまりよくなかったので、結局、特にどこに行くわけでもなく、ちょっとだけ鎌倉に行って、いがらしろみさんのRomi-Unie Confitureで、ゴールデンウィーク限定のクレープを食べたり、市場のケーキ屋さん、鎌倉しふぉんでシフォンケーキを買ったり、御成通りを歩いたりしました。自分のボサノヴァブームが来ているので、ここはディモンシュに行って気分を盛り上げちゃおう、なんてことも考えたけど、鎌倉駅から小町通りの人混みをみて断念。いやこんなに混んでる鎌倉始めてです(まぁ初詣の時はこんなものではないんでしょうが‥‥)。

「人生劇場」-小堀杏奴-

テレビの音楽番組を見ていると、“featuring‥‥”という曲がやたらと多くて、なんだかなぁと思う。私のまったくの偏見なのですが、共演と言うには、曲自体にお互いの個性とか持ち味が活かされているようにも思えないし、どうも“featuring”するほうも、される方も、その後ろにいろいろな打算とか計算が隠れているような気がしてしまいます。
共演している方はいかにも「友だちのりでやってます」みたいな、親しげな感じを演出しているけど、実際はどうなのか。どっかのバンドみたいに、バンド結成のきっかけは“事務所での衝撃的な出会い”みたいな感じなのではないのだろうか。
ついでに書いちゃうと、“事務所での衝撃的な出会い”と言われると、単に事務所に組まされただけでは、なんて思ってしまうくせに、「マイク・オールウェイによって紹介され、エヴリシング・バット・ザ・ガールを組むことになったトレイシー・ソーンとベン・ワット」と書いてあるのを読んだりすると、いい話のように感じてしまうのも、私の偏見ですね。
ところで、“featuring‥‥”というパターンが定着したのはいつからなんだろう~と書きながら思い出したけれど、「今夜はブギー・バック」は、小沢健二featuringスチャダラパー(あるいは、スチャダラパーfeaturing小沢健二)という表記だったな。1994年、遠い昔ですね。あのときはソニーと東芝EMIの折り合いがつかなくて(?)2バージョン出てたけど、今はそういう会社のしがらみがあまりないのだろうか?

なんていう前振りは、今年ボサノヴァを聴くにあたって、ルイス・ボンファ&マリア・トレードの「ブラジリアーナ」というCDを一番はじめに買おうと思っていたのだけれど、これを含めてボサノヴァのレコードは、やたら共演盤が多いってことが書きたかっただけだったりします。
「イパネマの娘」で有名な「ゲッツ/ジルベルト」は、アメリカ人とブラジル人が演ってます的なアピールをするためだと思うのですが、ほかにもちょっと考えてみるだけでも「ドミンゴ」(カエターノ・ヴェローゾ&ガル・コスタ)や「ザ・サウンド・オブ・イパネマ」(ポール・ウィンター&カルロス・リラ)、「アフロ・サンバ」(ヴィニシウス・ヂ・モラレス&バーデン・パウエル)、「エドゥ・ロボ&マリア・ベターニア」「ブラジルの水彩画」(エリス・レジーナ&トゥーツ・シールマンス)‥‥など、すぐに浮かぶ。
その辺のノリがボサノヴァの中産階級のサークル的な性格をあらわしているような気がするし、逆にそれぞれの個性が強いので、きちんとしたグループを組むにはいたらない、という理由もあるのかもしれない。いや適当。さて、どうでもいい話が長くなってしまったので、今週買ったボサノヴァCDは次回に持ちこし‥‥。

「長春五馬路」-木山捷平-

日曜、八王子の古本屋さんで「大陸の細道」を買ったので、講談社文芸文庫の木山捷平の本も「木山捷平全詩集」を残すのみです。と思ったら、「氏神さま・春雨・耳学問」もなかった。なんとなく読んだ気がして買わなかったのだけれど、一緒に買っておけばよかった。何年か前までは、ちょっと大きな本屋さんなら普通に並んでいたのに、気がついたらなくなっていて、しかも古本屋さんでもぜんぜん見かけないので、なんとなく悔しい。この本もちょっと背が焼けている古本だけれど、値段は定価だったしね‥‥。
レジのところで店員のおじさんが「おっこれは定価でつけたんだった~」言うので、自分で付けたんでしょ、と思いながら、「木山捷平の本って、講談社文芸文庫でもなかなか出てこないですよねぇ」なんて答えたら、「いや、昨日単行本も入ったよ、その辺にあるはず‥‥」と言うので、いちおうお金を払ったあとに見に行ったら4000円だった~。4000円の本は買えないな~。
この「長春五馬路」は、比較的最近文庫になったばかりだし、敗戦直後の満州での話なので、まぁいつか買おうという感じだったのだけれど、たまたま安い値段で単行本を見つけたので、つい買ってしまいました。でも安いだけあって、函はかなり焼けていて、背のタイトルとかまったく読めません。本自体はキレイなんだけど‥‥。
前述したように敗戦直後の満州で日本に帰ることもできず、知り合いの朝鮮人の配下でボロ屋をやって生計を立てる主人公の日常を描いた作品。太平洋戦争が終わったといっても、中国では、ソビエト軍が南下し、また中共軍と国府軍による戦闘が行われていたりして、戦況は不安定なのだが、主人公の生活は飄々としてつかみどころがなく、ある意味軽やかで、どこか放浪小説のような雰囲気さえ漂っている。かなり厳しい現実を目の前にし、それを描きながらも、どこか現実離れをした浮遊感がたまらない(読みながらよく考えると、かなりきわどいことを書いているときもある)。こんな風に人生を捉えることができるということ自体がすごいことだと思う。

さて、八王子の古本屋から始まって、中央線をうろうろしたあと、夜は、吉祥寺にのHun Lahunをいうカフェでやっている「One plus One」というイベントへ。日曜の夜でも、次の日一日働いたらお休みと思うと、なんだか気がゆるむ。「One plus One」は、イラストレーターの原子高志さんと、井の頭通りにある雑貨屋「Round About」の小林くん、昔「Uppers!」というイベントやっていたイツキくんの3人がやっている基本的にはモッズ~ジャズ系のマニアックな音楽がかかるイベント。私にはジャケットを見てもぜんぜんわからないレコードばかりなのだけれど、それをBGMにしながら、お酒を飲んだりごはんを食べたりするだけで楽しい(Hun Lahunのごはんはおいしいし)。最近会っていなかった友だちが、たまたま遊びに来てたりするのもうれしい。
というか、DJのかけているレコードをチェックして、自分でも探してみるという、意欲がもうまったくないので、個人的にはかかっているレコードよりも、その場の雰囲気の方が重要かも。でもときどき会話についていけない時もあるけどね。いや、小さいながらも古本屋をやっているくせに、自分で読む本に4000円はな~なんて、こっちは思っているのに、普通に1万、2万のシングル盤を買った話とかしてるんだもん。

「時をたたせる為に」-吉田健一-

去年の今ごろは恵比寿でイベントをやっていたし、その前の年は“一箱古本市”に参加したし、その前は、東麻布でイベントをやったし‥‥と、近年、ゴールデンウィークの前くらいのこの時期は、毎年なんとなく慌ただしかったのだけれど、今年はそういった予定がなにもないので、わりと、ひま。で、時間があると結局、会社帰りにレコード屋か古本屋の寄ったり、飲みに行ってしまうわけで、週末は目が覚めるとお昼前、なんてことになってしまい、どこかに行く気も出ず、夕方近くになって吉祥寺とか西荻とかにちょっと出ると、もうあたりは暗くなり始めてる、なんてことになってしまってます。ゴールデンウィーク前にこれでいいのか?話を戻すと、イベントついては、気分的には、やるなら前回のイベントに何かプラスαしたものにしたいと、漠然と思っているのだけれど、それが何なのかわかんない、という感じ。ついでに「やりたい!」という気もあまりない、かな。古本屋ということにはまったくこだわってなくて、単におもしろいことができれば‥‥ってことだけなんですけどね。まぁ今年は、イベントなんかよりも、6月で5周年なのでなにか記念グッズを作りたいと思ってます。といっても、まだなにも決めてないので、オープンした6月10日までにできるかどうかわかりませんが‥‥。

さて、話は変わりますが、この季節になると、毎年、今年こそはボサノヴァのCDを集めてみようと思うのだけれど、たいていほとんど聴かずに夏が終わっていて、去年も確か、5月の連休が終わった頃にディモンシュに行って、フリーペーパーを読んだり、店長の堀内さんに西荻にあるブラジルバーの場所を教えてもらって、その後、友だちとそこに飲みに行ったりしたのだけれど、けっきょくほとんどCDは買わなかったですね。というわけで、今年は、夏が終わる頃までに買ったボサノヴァのCDを、ここで簡単に紹介していきます。いや、なんでそんな義務を自分に課してまでボサノヴァのCDを聴かなくちゃいけないのか、理由がまったくわかりませんが。基本、中古レコード屋さんでたまたま見つけて買ったCDに、備忘録程度のメモをつけるだけなので、これからボサノヴァやブラジル音楽を聴こうとしている人の参考にはならないですけどね。