「パリの女」-アンドレ・モーロア、ニコ・ジェス-

◆明日は山下達郎の「サウンドクリエイターズファイル」の最終回
8月の終わりは、大滝詠一のポップス伝を聞いたり、小西康陽のこれからの人生を聞いたりしていた。ここ何十年もラジオなんてサンデーソングブックをたまに聞くくらいだったのに、iPhoneを使うようになってからよく聞くようになったのは、まあ不思議な感じ。録音できるアプリも入れちゃったので、単純作業な仕事をしながら何度もポップス伝聞いてしまいました。

9月は山下達郎がマンスリーで出ているクリエイターズファイルを録音して、通勤やカヌー犬ブックスの作業中に聞いてます。ベスト盤の発売に合わせて、35年のキャリアを振り返る内容で、初めて聞くエピソードも多く、おもしろい。エピソードとしては初期のほうがやっぱりおもしろいんだけど、けっこう知ってる話も多い。で、中期になると知らない内容が多くなってくるのは自分の思い入れの強さなのか、そもそもあまり語られていないのか、どっちなんだろう。そういう意味ではあまり期待していなかった今週末の後期も楽しみになってきてます。ちなみに第三回目のゲストは東山紀之です。

しかし山下達郎だけじゃなく、桑田佳祐とか松任谷由美とか、パッケージがなくなる前にあからさまにベスト盤で稼いでおこうというリリースが続いていてなんだかなあと思ってしまうね。ほんとはベスト盤で時間をつぶしてしまうのなら、ライブ盤とか企画ものを出してほしい。「オン・ザ・ストリートコーナー」はもう無理なのだろうか?

-このアンドレ・モーロアとニコ・ジェスの「パリの女」は、シュガーベイブの「songs」に描かれたイラストの元ネタの写真が収録されていることで有名な(?)本。元ネタというかまあそのままです。いや、よく考えたらバンドのデビューアルバムのジャケットでなんでこの写真をイラストにして使おうと思ったのかがなぞ。音を何度も聴いてるとジャケットと合っていると思ってくるんだけど、デビューアルバムぽいフレッシュなインパクトはないですよねぇ~
ちなみにこのイラストを描いたのは「ADD SOME MUSIC TO YOUR DAY」と同じ金子辰也という人らしい。てっきりWORKSHOP MU!かと思ってました。というか、調べてみたらこの金子辰也って人、今ミリタリー系のプロモデラーで、TVチャンピオンでモデラー選手権でチャンピオンになったりしてるんですね。う~ん。

本の内容は、女学生、市場のご婦人、お針子、バレリーナ、女優・…など、1950年代のパリに生きた女の人を写したニコ・ジェスの写真に、アンドレ・モーロアのパリの女性に関する文章が添えられている。なぜ今になってこの本が再版されたのかわからない。まさか訳者が芥川賞を受賞した朝吹真理子のお母さんである朝吹登水子だから、というわけでもないだろう。

なんだかいろいろ不思議な本だ。

「暮しの手帖第4世紀59号」

◆月一ドライブ9月はこどもの国まで
辰己芳子や飛田和緒、野崎洋光、上田淳子、堀井和子、大川雅子、ホルトハウス房子、岡尾美代子‥‥といった料理研究家や料理上手な著名人39人の座右の料理本を紹介した「私の好きな料理本」というページにひかれて購入。ページ数はそれほど多くないけれど、みなさん素敵な本を紹介していて、いろいろな意味で見入ってしまいます。

料理本はヴィジュアルもきれいだし、昔の本はイラストなどもかわいいものが多いし、いろいろな人がおすすめの料理本を紹介する本があったらおもしろいと思うのですがどうなんでしょう。そんなに多くの本を載せなくてもいいし、本の厚さも薄くていいのでオールカラーで、できればハードカバーだとちょっとうれしい。和書と洋書の2部構成になっていて、それぞれ数ページずつちょっとしたテーマにあった本を紹介して、そのあいだに料理家を紹介するコラムや本を作ったときのエピソードが掲載されているとか‥‥などなど、と妄想。

さて、話が変わりますが、ここ10年間くらい車の運転をしない生活をしてきたのですが、子どもが二人いると車で移動できるほうが便利かなと思い、去年の9月にペーパードライバー講習を受けて車生活を復活させました。でも今のところは別に車を買う気(余裕?)もないので、また運転しない期間が長くならないように、月一くらいで車を借りて、練習がてらどこかに行くようにしています。

先月は逗子まで行ってbeach mufrinでごはんを食べたり、わかなぱんでパンを買ったりしました。ほんとは泳がなくても海に降りて砂浜でちょっと遊べたら、と思っていたのですが、beach muffinを出たらどしゃぶりになっていて、外に出られずちょっと残念な結果に。

-今月は、こどもの国へ行ってきました。特に理由もないんですが、車を借りた時に行こうと思っていたところがダメになったので、適当にはなれた場所で漣くんが遊べそうなところという感じですね。
こどもの国はわたしはまだ横浜に住んでいた頃に何回か行った記憶があるのですが、なんせ小学校上がる前のことなので、ポニーに乗ったというくらいでほかに何をしたという記憶はないです。あとはうちの親が留守の間に近所の友だちの親につれてもらって行って帰ってきたら大騒ぎになってたってことかな。もう40年近くのことなので記憶があったとしても今でも同じようなものがあるかどうかはわかんないすけどね。

そんな記憶があやふやなこどもの国ですが、改めて行ってみるとけっこう広い。9月とはいえ、30度を超えている中、歩きまわるのはちょっと辛かったです。そんなわけで、今回は牧場を中心に遊具で遊んだり蒸気機関車の形をした園内バスに乗ったりするだけでなんとなく親が疲れてしまった次第。
-でも動物園はそれほど広くはないのですが、実際に柵の中に入って触れるのがよかったです。こわがりな漣くんも動物に関してはあまりこわがらずに、うさぎや鹿の赤ちゃんとかを触ったりしてましたしね。

ちょっとした乗り物や水遊び、バーベキュー、ボート、冬ならスケート場など、園内でできることがたくさんあるので目的を絞って遊びに行くか、レンタサイクルもあるので、自転車に乗れるようになってから行くといろいろなところに移動できて楽しいのかもしれません。

帰りは、こどもの国を出たすぐ近くにあるコメダ珈琲でお茶。シロノワールとクリームソーダで初コメダ!って別に元の会社の本社が名古屋になったからといってコメダに思い入れがあるわけではないですけど。でもまたこどもの国に行くことがあったら、コメダでお昼ごはん食べるかも?

「d design travel TOKYO」

◆ナガオカケンメイ×嶋浩一郎@B&B
もう先週の話になってしまいますが、ナガオカケンメイと嶋浩一郎のトークショーを聞きに下北のB&Bに行ってきました。B&Bはビール片手に本が楽しめて、夜になると毎日さまざまなイベントが行わるという7月に開店したばかりの本屋さん。もちろん行くのは初めてなんですが、ちょっと古めのシンプルな本棚やテーブル、イスなどが置かれた落ち着いた店内で、棚ごとにテーマに合わせた本や文房具などが並べてれているという素敵なお店でした。まぁイベントの時間なので人もいっぱいしたし、トークショー用のイスが並べられていたりして実際はゆっくり本を見るという感じではなかったんですけどね。

B&Bに関しては、トークショーで嶋浩一郎が、「本屋でビールを飲みたかった」ってことと、「街の本屋さん」ということをすごい強調していたけれど、こういう本屋さんが街の本屋さんとして機能するのって下北ならではなのかなって思います。街の雰囲気や集まってくる人の性質もそうですけど、大型の本屋さんも三省堂くらいしかないということも大きいのでは‥‥適当。

-さて、対談のほうは最近刊行された「d design travel TOKYO」で紹介されているお店や人に関する取材時のエピソードや、これまでに出た「d design travel」を含めた雑誌の作り方、取材方法などについての話、そしてこれからの予定などをナガオカケンメイが話す横で、その話題に関する小ネタや豆知識を、嶋浩一郎がちょこちょこと披露するという内容でなかなか楽しかったです。
ほんと、二人ともほんとうにいろいろなところに行っていて、かつ、たくさんの知り合いと交流し、豊富な知識を持っていて、ただ感服するのみです。なんかひさしぶりにパワーを持っている人の話を直接聞いた気がします。

実を言うと、行く前は本屋さんのイベントなんで2時間じゃなくて1時間くらいのカジュアルなものにして、チケットも1500円だとちょっと高いので800円くらいにしてもらえると会社帰りに気軽に行けていいんだけどなぁ、チケットが800円だったらビール3杯飲みますって、などと思っていたんですよ。
でもけっきょく、1時間じゃちょっと物足りない気分になるんじゃないというくらい2時間たっぷり話が聞いて楽しんだうえに、入り口でトークショーのテーマになっている「d design travel TOKYO」や資生堂パーラーから出ているソーダ水をもらい、料金的にもものすごく得した割には1杯しかビールを飲まなかったっていう‥‥。あぁぁ、次回行く時はもっと飲んで本も買って帰ります!

「おふくろの妙薬」-三浦哲郎-

◆三鷹 星と森と絵本の家
三浦哲郎の初めての随筆集。なのに、なんだか故郷の母親や姉の話が多いなぁと思って読んでいたのですが、途中でタイトルが「おふくろの妙薬」ということに気がつきました‥‥。
ちなみに「おふくろの妙薬」は三浦哲郎の母親が若い時に湯治に行ったときに、親切してくれたお返しにといって寺の住職に教わった目ボシに聞く薬のこと。この薬はたばこのヤニから作るため、三浦哲郎がパイプからヤニを集めている様子などが描かれている。

と、そんなことよりも、この本を読んで、三浦哲郎が大学では小沼丹に習い、小説も書き始めの頃から井伏鱒二に読んでもらい師と仰いでいたということを初めて知り、なんでもっと早く読まなかったのかと後悔してます。ここでも木山正平や庄野潤三といった作家が出てきたり、阿佐ヶ谷文士の様子をまた違う視点から読めておもしろかったです。こういう阿佐ヶ谷文士の交友録的な話を読むと、これらを横串にしたアンソロジーを組んでみたいと思いますね。「将棋についての話」とか「●●という飲み屋について」など切り口としてはいろいろありそう。

日曜日は、前々から行きたいと思っていて、周りにも行ったら絶対楽しいとすすめられていた三鷹の星とと絵本の家に行ってきました。

星と森と絵本の家は、国立天文台の敷地内にあり、絵本との出会いやさまざまな体験を通じて自然や科学への関心につながることを目的としたところ、らしい。大正時代の古い、でもきれいに保存された建物の中に絵本が展示されていたり、広い庭には自然のものを使った遊び道具が置いてあります。星と森と絵本の家自体はそれほど広い場所ではないし、絵本もものすごくたくさんあるわけでもないけれど、家の中の長い廊下を歩きまわったり、ちょっとしたおもちゃで遊んだり、外に出てみたり、緑の多い天文台の敷地内を散歩したり、もちろんソファに座って絵本を読んだりしているだけで、子どもも飽きずに楽しめます。

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すだれがかかっているので建物の様子が分かりにくいのが残念

わたしが行ったときは、まだ暑かったけれど、午後からかき氷屋さんが出て来て、太陽系の惑星に合わせた色のシロップのかき氷を縁側で食べたりできたのもよかった。見た目はなんてことのない色のついたシロップだったのですが、ちゃんとその果物の味がしておいしかったです。どこかにシロップが売っていたら欲しい!
天文台のほうで別に受付をしたら天文台の見学もできるそうなので、次回は天文台にも行くつもりです。

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こんな足踏みミシンやオルガンなども置いてありました

「たべもの草紙」-楠本健吉-

◆約1か月ぶりの雑記だけど書いてる内容も1か月前の話。ボリショイサーカスに行ってきました
特に忙しいわけでもないし、書くことがなにもないというわけでもないのですが、なんとなく雑記を書くのが億劫になってしまってます。ツイッターをチェックしてみたら、この本を読み終えたのが7月26日だったので1か月以上も経ってる。7月の読んだ本について書くとか、1か月のあいだに何したんだっけ?なんて思いながら雑記を書いてるなんて、なんだか夏休みの宿題の日記を8月の終わりにまとめて書いている小学生みたいな気分。なんてことを言っているうちに9月になってしまってるんですけどね。

三月書房から出ている小型本。俳人らしく季節ごとに、旬だったりその時期に行われる行事で食べるような食べものについて、作者の経験談なども交えつつ紹介しています。基本的にはその食べもの自体を紹介することに主眼をおいているので、わたしとしてはちょっともの足りない。でも、さまざまな食べものをわりと短い章で分けて紹介するという構成も文章の内容も小型本にあっていると思う。だからといって普通に身辺雑記をつづったような随筆集が小型本に合っていない、というわけではないですが。

さて8月は、夏休みをとってどこかに行くということもなく、1日だけ有休をとってボリショイサーカスに行ってきました。ボリショイサーカスは、昔、東京ドームでやっている時に見たことがあるのですが、わたしもミオ犬も、サーカスというとフェリーニの映画や「二十世紀少年読本」などを思い浮かべてしまっていたので、わりと現代的なその内容に肩透かしな気分になってしまった記憶があります(もちろんシルク・ド・ソレイユみたいなアクロバティックなショーに比べたらかなりノスタルジックですが)。そんなわけでそのあとしばらく経って、味の素スタジアムでやっていた木下大サーカスにも行きました。こちらはイメージ通りのサーカスでしたね。今住んでるところは、味の素スタジアムまで自転車で行ける距離なので、またやってほしいなぁ~

10年ぶりくらいに見たボリショイサーカスは、子どもと一緒ということもあり家族4人でかなり盛り上がりました。いや、家族4人はウソです。暁くんは分かってないです。まぁたぶんサーカスに限ったことではないと思うのですが、小さい子どもと一緒に見ると、ステージで起こっていることを説明したり、質問してみたり、いろいろ話しかけながら見ることになるので、どうしても自分もテンションが上がってしまうということろがありますね。

わたしとしては、ステージの上のほうでBGMを演奏している人たちを見ているのがおもしろかったです。ドラム、ベース、キーボードの3ピースに録音されたものを組み合わせて、演目に合わせたアップテンポだけれどちょっとノスタルジックなメロディを、おじいさんが演奏していました。上のほうで客席からみにくいところにいるせいか特に楽しそうな振りをするわけでもなく、逆に冷めた感じでもなくたんたんと演奏している様子が“らしく”てよかった。もちろん動物たちの動きに合わせたブレイクもやり慣れている感じでピッタリ、なんだけど、それも特にどうということもない。
なんかステージが終わったあとは楽器なんか放り出して、三人で話に盛り上がるわけでもなく言葉も少なく静かに飲んでるイメージだよな、なんて想像してしまいましたね。そう、サーカスってのは、ステージの上だけでなく、それが終わったあとのストーリーを(たとえありきたりなものだとしても)想像できる余地があるところがいいんじゃないかと。それは人と人の関係だけではなくて、ステージ上での人と動物のちょっとした仕草からも浮かびあがってきますよね。

そんなことは大人の楽しみに過ぎないけれど、現代的とはいえ演目もどちらかというと素朴だし、アクロバティックなものはそれほどないし、動物もたくさん出るし、小さい子どもが楽しめる内容なので、暁くんが漣くんくらいになったらまた行ってもいいかも、なんて思ってます。