「Gallery of Regrettable Food」-James Lileks-

40年代から60年代にかけて出版されたアメリカの料理本やレシピ本を紹介した本。もちろんこんなコテコテの料理を自分で作って食べようとは思わないけれど、昔の荒い写真の雰囲気やイラストがかわいいのでときどき開いてはページをめくってみたりしてます。
って、これを書くにあたって“Regrettable”をちゃんと調べてみたら、辞書で調べてみると「残念な、遺憾な、悲しむべき、痛ましい」という意味なので、その時代の“やりすぎた最もひどい”レシピを集めた本だったことが判明。文章もかなり辛辣なコメントになっているらしいです。ちょっと読んでみたい‥‥。

今日のおやつは、マクビティのチョコクッキー。クッキーの定番ですね。前は明治から出ているもののほかに、輸入のものも売っていたけれど、いつからなくなってしまったのでしょうか。明治から出るようになってからなくなくなったのかな?分かりません。クッキーと重ねて包んだだけの円筒形のパッケージが気に入っていたのと、レモン・ジンガーとか日本では出ないようなものもあって、調布のパルコの地下とかでよく買ってました。
ところで、神奈川生まれの私としては、輸入菓子といえば、ソニプラやカルディよりも、伊勢佐木町通りのいせ一がなつかしい‥‥。まっ、ただそれだけなんですけど‥‥。横浜にもソニプラあったし‥‥。

「世相講談(上)」-山口瞳-

小説の題材として使える話がきけるのではないかと、どこか後ろめたい気持ちを引きずりつつ昔の知り合いや同級生のところに行き、会ってすぐに「小説の題材を探してるんだろう?」と言われてしまう。そんなことが延々と繰り返され、全体的に疲労感、悲壮感に覆われているような作品集。
これをどう取ったらいいのだろうか?20代までのわたしだったら、そういうことは作品に出すべきではない、とか、わざとらしいポーズがうざいとか、かなり反感を持ったのではないかと思う。かといって、今のわたしが、それに同情したり共感することもなくて、ただ困ってしまうばかりという感じ。そもそも共感を求められているのかも分かりません。でもこの作品が「オール読物」に連載されたのは、昭和40年から昭和44年にかけてなので、山口瞳は1926年生まれということを考えると、連載が始まったときは39歳!ちょうど今のわたしの歳と同じなんですよね。あああ‥‥。山口瞳の才能があれば、そんなに自分を追い詰めなくても作品が書けるのではないかと、凡人のわたしは思ってしまうのですが‥‥。

続けて書くこともないので、最近よく聴いている「John Baker Tapes Volume 1」を紹介。英国BBCの電子音楽制作部門である“BBC Radiophonic Workshop”で、1960年代から専属コンポーザーとして活躍したジョン・ベイカーが手がけた、テレビ、ラジオ番組用やCM用に制作したミュージック・コンクレート、電子音楽を収録したCD。身も蓋もない言い方としてしまうと、レイモンド・スコットの「Manhattan Research Inc」のイギリス版ですね。レイモンド・スコットより後なので、実験的な部分がそれほど強くなくて、ちょっとゲーム音楽的な曲もあったりしてかなりポップです。同じように日本の国営放送の電子音楽制作部門だったNHK電子音楽スタジオの作品は、どちらかというと実験音楽的な側面が多いイメージだけれど、こういう作品も残されているのでしょうか?
ちなみにこのCDが出ているTrunk UKは、こういう電子音楽やモンド、サイケなどの復刻をしているレベールらしいので、ちょっと注目してみようと思ってます。
といいつつも、このところ電子音楽ばかり聴いてきたので、暖かくなってきたことだし、もう少し爽やかで耳に優しい音楽を夏に向けて聴こうと思っている今日この頃だったりします。

今日のおやつは、たねやの「近江ひら餅 よもぎ餅」。ミオ犬の実家に和菓子を送ろうと思って、会社帰りに渋谷の東急のれん街を歩いていたら、自分でも和菓子が食べたくなってしまったのでした。最近なぜか和菓子をよく食べているような気がしますね。特に理由はないけど、なんか和菓子の“よもぎ”って好きなんですよねぇ~。

「ジス・イズ・ホンコン」-ミロスラフ・サセック-

前回書いた「新緑古本大市」で買ったもの。英語版は持っているのだけれど、日本語版だったし、せっかくイベントに行って何も買わない(交換しない)のもなんだな、と思って購入。帯に「100万ドルの夜景~」って書いてありますが、最近、あんまり聞かないフレーズのような‥‥。今でもパッケージツアーのコピーなどに使われているのだろうか?

今日はミオ犬が検診だったので、会社を休んで子守りの一日。昨日の夜、朝の5時くらいまで起きていたらしいので(3時くらいまでつき合っていたけど、その後寝ちゃった)、昼間はずっと寝ていて何もすることもなくて、来週アップする本のデータを入力したり、本の表紙をスキャンしたり、たまっていた領収書の整理をしたりして(ある意味仕事か!?)、3時くらいにベビーカーを押して近くを散歩。
今までは別段気にもしてなかったけれど、こうしてのんびり歩いていると、小さな公園が周りにけっこうあることに気がつきますね。小さい子を連れたお母さんたちと、学校帰りの小学生、営業途中らしいスーツを着た会社員‥‥がいるような、そんな小さな公園のベンチに坐って、その前にベビーカーを置いて、缶ジュースかなんか飲みながら、チョコレートとか食べている無精ひげの中年男。かなりあやしい風景。誘拐まではいかなくても、なんか不況でリストラにあって主夫になったか?という感じがしないでもない。休憩ついでに一服、と思ったけれど、さすがにそれはやめました。

今日のおやつは、ミオ犬が渋谷西武の地下で買ってきた石村萬盛堂の塩大福。特に期待とかしていなかったのだが、やわらかいお餅と餡の甘さと豆の塩加減のバランスが絶妙でおいしかったです。

「辻静雄コレクション1」-辻静雄-

週末はバスに乗って阿佐ヶ谷住宅の一室でやっていた「新緑古本大市」に行って来ました。“古本市”と言っても、読まなくなった本を持っていくと“交換チケット”を換えてくれるので、そのチケットを使ってほかの人が持ってきた本を買う、というシステムなので、どちらかというと、古本“交換会”といったほうが近いかもしれません。本だけでなくオトノハのお弁当や瀬戸口しおりさんのクッキーなども売っていて、どちらかというとわたしは、そちらが目当てだったんですけどね‥‥。
日曜日は各地で5月の最高気温を記録するほどのいい天気で、そんな青空の下、阿佐ヶ谷住宅の芝生の上にシートを敷いて、お弁当を食べたり、ビールを飲んでいると(生ビールも売っているのだ!)ちょっとしたピクニック気分になれてたのしい。もっともそんなにいつまでの外に出ているわけにもいかないので、1時半には阿佐ヶ谷住宅を出て、2時には家に着いて、ビールを飲んだせいかソファーベッドの上でうとうとしながら、「サンデーソングブック」を聞いてました。
このあいだまでは、日曜日といえば、11時くらいに起きて、国分太一をケンタロウの「男子ごはん」なんかを見ながら朝ごはんを食べて、のんびりしているうちに山下達郎の「サンデーソングブック」がはじまってしまい、慌てて出かける用意をしたりしてたんですけどねぇ。すっかり生活のリズムが変わってしまってます。

そんなわけで、今日のおやつは古本市で買った瀬戸口しおりさんのクッキー。瀬戸口しおりさんは、前にミオ犬が「私の手料理」という本を紹介していましたが、Kuu Kuuの元スタッフだった人です。
Kuu Kuuで売っていたクッキーは、わたしの思いこみとイメージのせいかもしれませんが、“Kuu Kuu”というお店の個性がはっきりと出ていた感じがするんだけれど、これは、どこがどうというわけではないのだけれど、とてもおいしいくて、食べた後にまた食べたいなぁと思ってしまうようなクッキーです。
阿佐ヶ谷住宅のその家では、「暮らしの教室」という小さな教室を不定期にやっていて、それはたいてい平日だったり、女の子向けのイベントだったりして、わたしがそれに参加することはないと思うんだけど、またお休みの時にふらりと立ち寄れるようなイベントやってほしいですね。

「パリその日その日」-平岡篤頼-

今日のおやつは、シェ・リュイのカヌレ。カヌレなんて食べるの何年ぶりでしょうか。お休み中に孫の顔を見に来たうちの親が買ってきてくれたもの。帰った後に箱を開けてみたらたくさん入っていたので、ここ3日間続けて、おやつにカヌレを食べてるのでした。帰りに妹のところに寄ると言ってたので、その場で開けて分ければよかったです。すまぬ。やっぱりおみやげものはもらったその場で開けるべきですねぇ~

さて、たまにはちゃんと本の紹介を‥‥。
平岡篤頼は、アラン・ロブ=グリエ、クロード・シモン、ナタリー・サロートといったヌーヴォー・ロマンの作家を日本でいち早く紹介した翻訳家。作家として活躍していて、「消えた煙突」「赤い罌粟の花」といった作品が芥川賞候補になってます。
ヌーヴォー・ロマンについては、実のところ私は余り詳しくないです。この本でも、名前は忘れてしまったけれど、「最近、私たちの作品があまり日本で紹介されない。もっと訳してくれ」みたいなことをフランスの作家に言われて、「ヌーヴォー・ロマンの作家の作品を日本語に置き換えるのは難しい」と平岡篤頼が答える場面があるのだけれど、1980年代以降、ヌーヴォー・ロマンの作品はあまり翻訳がされてなくて、しかもそれ以前に翻訳された本は絶版という状況のような気がするので、私みたいなただの本好きが読み込むにはちょっと敷居が高い。
ただこの本自体は、作家論ではないので、それらの作家の本を読み込んでなくても楽しめます。もちろん作家の名前などは出てくるので、ある程度、作家の名前が分かっていればより楽しめるって感じでしょうか。また、平岡篤頼が、翻訳家としての地位を確立した後、1980年代後半の渡仏なので、パリ滞在記にありがちな貧乏留学とは違って、余裕を持っているため、ジュネーブやヴェネチアなどを旅行(?)したり、大学で大学生に混ざって講義を聞いたり、講師として講義をしたり、フランス人相手に書道教室を開いたり、親戚の書道家のパリでの展覧会をコーディネートしたり‥‥と、さまざまな出来事があり、しかも時系列にただ記述するのではなく、読みやすいように整理されているので(おそらく)、日記をしてはかなり読みやすい。初めから日記文学として読み手をかなり意識しているので、読み手を意識するあまり架空の女性などが登場させるなど、ときどきわざとらしいところも見受けられますが、その辺はヌーヴォー・ロマンの翻訳家としての“欲”なのかな、と。
ちなみに、平岡篤頼には、1970年代前半(1960年代後半?)に渡仏した際の滞在記「パリふたたび」という本もあるので、こちらのほうも読んでみようと思ってます。

【追記】
これを書くのに平岡篤頼で検索していたら、命日が2005年5月18日ということを知り、この雑記を書くのを10日遅らせばよかったと思った次第。

「ある美人の一生」-獅子文六-

今日のおやつは‥‥って、シリーズ化しようとしているわけでもないのですが、別にどこに行くというわけでもないので、何か食べた時くらいは書いておこうかなと。
というわけで、今日は子どもの日なので、近所の和菓子屋さんで柏餅を買ってきて食べてます。ほんとうに普通の商店街の和菓子屋さんなのですが、普通においしいのと、日曜日の夕方くらいにお店の前を通ると、白衣(割烹着?)を着たおじさんが店の前をうろうろしていたりして、この人が和菓子を作っているんんだなぁと思ったりすると、和菓子を買うときは、なんとなくここで買うようにしようと思ってしまいます。昭和24年の商店街の絵が飾ってあったりするので、お店自体は昔からあるのだろうか。その絵を見ると小さな駅がぽつんとあって、あとは畑だけって感じですけどね。
さて、ほんとうならば、初節句なのだろうか。検索してみたら「生まれてすぐなどの場合(生後1か月以内)は翌年でもかまいません」って書いてあったけれど、4月4日生まれなので、かなり微妙。連休は1か月検診やらお宮参りの写真を撮ったりしたので、初節句は来年にしたい。ってもう数時間で5月5日も終わりですが‥‥。

その1か月検診に行くために5月1日会社を休んだので、ゴールデンウィークは6連休。先に書いたように、特にどこに行くわけでもないし、行ったとしても用事をすませて、さっと帰ってくるという感じなので、どことなくのんびりしていて、「おー明日もまだお休みなのかぁ~」という気持ちになってます。
年末年始とかだと、大晦日とかお正月とかあるうえに、何日はどこどこに行って、何日は友だちと飲みに行って、何日は友だちが遊びに来て‥‥といった風にたいだい予定が入ってしまうものだったりするので、6連休をのんびり過ごすってことってなかなかないので、貴重かも?まぁどこかに行かなくても、家の中はてんやわんやなんですけどねぇ。

「ばあやん」-上林暁-

上林暁の作品は、基本的には身辺雑記を中心にして、フィクションを交えてまとめたような作風なので、厳密には私小説とは言えないのかもしれないけれど、その分、作品としてカチッとまとまっていて、だらけるところがないので、読んでいても、一つ一つを一気に読んでしまいたくなります。尾崎一雄とか庄野潤三とか、身辺雑記を小説の題材にした作品を読んでいると、なんとなく途中で「もういいかな」と思ってしまう瞬間があるんですよね。単に私の集中力の問題かもしれないけれど‥‥。

さて今日のおやつは、ミッドタウンのB1にあるネインのドーナツ。ヨーロッパ風の手作りドーナツということらしいのですが、“ヨーロッパ風のドーナツ”というのが、そもそもわたしには分からなかったりしますが、見た目はドーナツと言うよりケーキっぽくてかわいいですね。ソフィア・コッポラの「マリー・アントワネット」に小道具として出てきても違和感ないかも、なんてちょっと思ったりもします。
わたしが食べたのは、今年の春限定の「スプリング」。ケーキ系のドーナツにホワイトチョコレートをコーティングして、キャラメルをかけた上に、カシューナッツとドライいちごをおいたもの。いやなんか書いているだけで、すごいですね。なにがすごいのか分からないけど‥‥。

で、夜、こんなドーナツを食べながら、ホテル・ニュー・トーキョーの「2009 spring / summer」を聴いるんだけど(ギャング・オブ・フォーじゃないのかというつっこみはなしで)、もちろん赤ちゃんの泣き声が響いたりして、そんなお洒落な雰囲気にはなってません。そんな雰囲気を演出しようとしているわけではないんですけどね。
「2009 spring / summer」は、ゆったりとしたリズムの中を軽やかにすり抜けるようなエレピや、決して熱く鳴り響かないホーンセクション、そして主張しないコーラス‥‥など、ある意味、まとまりすぎて没個性となりそうなギリギリのラインを狙っている感じがすごい。そして彼らの音楽を「おしゃれ」のひとことで片づけられてもぜんぜん気にしないくらいの潔さがいいと思う。
まぁその辺は、聴く人の趣味の分かれるところかもしれません。正直これ聴くんだったら、●とか●を聴いた方がいいのでは、という●をいくつもあげられると思うし、●をあげていくことの無意味さもあるわけで‥‥。
ひとつ言えるのは、そんなことは、ドーナツを食べながら考えることではないってことですね。