今日のおやつは、シェ・リュイのカヌレ。カヌレなんて食べるの何年ぶりでしょうか。お休み中に孫の顔を見に来たうちの親が買ってきてくれたもの。帰った後に箱を開けてみたらたくさん入っていたので、ここ3日間続けて、おやつにカヌレを食べてるのでした。帰りに妹のところに寄ると言ってたので、その場で開けて分ければよかったです。すまぬ。やっぱりおみやげものはもらったその場で開けるべきですねぇ~
さて、たまにはちゃんと本の紹介を‥‥。
平岡篤頼は、アラン・ロブ=グリエ、クロード・シモン、ナタリー・サロートといったヌーヴォー・ロマンの作家を日本でいち早く紹介した翻訳家。作家として活躍していて、「消えた煙突」「赤い罌粟の花」といった作品が芥川賞候補になってます。
ヌーヴォー・ロマンについては、実のところ私は余り詳しくないです。この本でも、名前は忘れてしまったけれど、「最近、私たちの作品があまり日本で紹介されない。もっと訳してくれ」みたいなことをフランスの作家に言われて、「ヌーヴォー・ロマンの作家の作品を日本語に置き換えるのは難しい」と平岡篤頼が答える場面があるのだけれど、1980年代以降、ヌーヴォー・ロマンの作品はあまり翻訳がされてなくて、しかもそれ以前に翻訳された本は絶版という状況のような気がするので、私みたいなただの本好きが読み込むにはちょっと敷居が高い。
ただこの本自体は、作家論ではないので、それらの作家の本を読み込んでなくても楽しめます。もちろん作家の名前などは出てくるので、ある程度、作家の名前が分かっていればより楽しめるって感じでしょうか。また、平岡篤頼が、翻訳家としての地位を確立した後、1980年代後半の渡仏なので、パリ滞在記にありがちな貧乏留学とは違って、余裕を持っているため、ジュネーブやヴェネチアなどを旅行(?)したり、大学で大学生に混ざって講義を聞いたり、講師として講義をしたり、フランス人相手に書道教室を開いたり、親戚の書道家のパリでの展覧会をコーディネートしたり‥‥と、さまざまな出来事があり、しかも時系列にただ記述するのではなく、読みやすいように整理されているので(おそらく)、日記をしてはかなり読みやすい。初めから日記文学として読み手をかなり意識しているので、読み手を意識するあまり架空の女性などが登場させるなど、ときどきわざとらしいところも見受けられますが、その辺はヌーヴォー・ロマンの翻訳家としての“欲”なのかな、と。
ちなみに、平岡篤頼には、1970年代前半(1960年代後半?)に渡仏した際の滞在記「パリふたたび」という本もあるので、こちらのほうも読んでみようと思ってます。
【追記】
これを書くのに平岡篤頼で検索していたら、命日が2005年5月18日ということを知り、この雑記を書くのを10日遅らせばよかったと思った次第。