「旅の誘い 大佛次郎随筆集」-大佛次郎-

今、大佛次郎はブームなのだろうか?そんな気がするのだけれど、なぜと言われるとよくわかりません。なんとなくいろいろなところで大佛次郎の名前をみるような気がするのは、単に自分が気になっているからだけではないような‥‥。この本は、随筆集「屋根の花」収録されていた43編に、歴史紀行「義経の周囲」から10編を追加したもの。講談社文芸文庫を買うたびに、できるなら再構成などしないで、そのまま出版して欲しいと思うのだけれど、そういうわけにもいかないのだろうか。「屋根の花」はいずれ読み直すことになるんだろうなぁ~。まぁ巻末の著作リストの中から欲しい本をリストアップするつもりで購入しているので、しょうがない。でも、題名だけでは自分が読みたいと思っている随筆と横浜を舞台をしたものがどれなのかまったく分からず。簡単にリストに頼らずに、もう少し自分で調べる必要があるみたいです。じゃ、この本の意義はなんだったのか、と。

ちょっと前になりますが、アンリ・サルバドールの訃報がニュースになってましたね。わたしは、フランスの音楽をそれほど聴いてるわけではないのですが、去年の夏に、ブエナビスタ関連やサンバなどのおじいさんの音楽ばかり聴いていたときに、アンリ・サルバドールの新しいCDもよく聴いていて、その後に、来日もしていたので、「えっ?」という感じでした。しばらくはまたアンリ・サルバドールを聴く日々が続きそう‥‥。

「回想」-小堀杏奴-

2月に入ってからずっと、中国の農薬入りギョーザのニュースが流れ続けていますが、雑誌などでは普通に“餃子”と書かれているのに、ニュースではギョーザがカタカナで表記されているのがちょっと気になります。なぜ?いつから?チンジャオロースやホイコーロー、バンバンジーなどは読みにくいのでカタカナなのは分かるし、シューマイやチャーハンなどもなんとなくわかるのですが、ギョーザは逆になんとなく馴染めない気がするのは私だけでしょうか。
ちなみに杏仁豆腐の“杏”は、この使い方だと表外漢字になるらしい。当て字だから?と言っても、もちろん小堀杏奴は普通に表記できます。内田百けんのように[門構えに月]みたいな注意書きも当然いらない。でもいくら森鴎外の娘といえども、1909年(明治42年)生まれで“杏奴”と名付けられた女の子というのは、子どもの頃どういう扱いを受けたのだろうか、なんて余計なことを思ってしまいます。旅館で“あんずやっこ”と呼ばれたこともあるらしいし‥‥。まぁ、父親のことをかなり尊敬していたみたいなので、あまり気にせずに育った感じではあるし、子どもの頃の環境がわからないので、何とも言えませんが‥‥。
ついでにもう一つ、先日、社会保険庁で、派遣労働の中国人が、漢字読み違えや名字と名前の区切りを間違えて、転記ミスをするというニュースがありましたが、逆に、森鴎外の本名、森林太郎は、日本人だと知っていてもつい「もりばやし/たろう」と読んでしまいがちですよね。

ハーモニー・コリン監督の8年ぶりの映画「ミスターロンリー」を観る。と言っても「ガンモ」も「ジュリアン」も観ていなくて、観たものと言えば脚本を手がけた「KIDS」ぐらいなので、8年ぶりもなにもないですが。
パリの道ばたでマイケル・ジャクソンの物まねをして生計を立てている青年が、マリリン・モンローのものまねをする女性に恋をする。そして彼女と仲間たちが暮らす、物まね芸人だけが集まる共同体に招待されるのだが‥‥というストーリーで、他人を演じることでしか生きられない男の不思議で不器用な恋、そして葛藤が繊細に描かれています。ストーリーだけ取り出すと、ある意味普遍的でありがちなテーマを、奇をてらった設定で描いたものという感じではあるけれど、全体を覆う物まね芸人たちの哀しみ(どの人もあまり似てないし‥‥)や、主人公の心のうちが丁寧に描かれているのがよかった。
登場人物たちが舞台で歌う歌の内容など、多分、私が気がつかない(分からない)裏の意味もたくさん込められているような気がするので、何年かして観たらまた違う印象を受けるような映画です。

連休前の金曜日は、小学校の同級生と飲みに行くつもりだったのですが、相手が体調を崩してしまい延期になってしまいました。仕事中に倒れて救急車で運ばれたらしい。メールには、原因も分からないし年を取ったかなぁと書いてあったけれど、年も取ったけど、これからもまだ長いので原因がちゃんと分かって、全快とまで行かなくても元気になって欲しい。
昨年の3月に小学校の同窓会があってから、2、3回何人かの人と飲みに行ったりしているのだけれど、もちろん今はみんなバラバラで、それぞれ違う環境で生活していても、本質的なところでは小学校の頃とあんまり変わってないな、と思うことがときどきあります。同時に、今自分が仕事をしたり、日々暮らしたりしながら「こういうところは直していなくちゃ」とか「こういう風になりたいけれど、なかなか難しい」などと思っていることが、実は小学校の頃、先生や周りの友だちに言われていたことだったり、当時のクラスの中での役割が、そのまま会社の中での役割になっていることに気がついて、ちょっとびっくりします。そう思うと、20代から今までの自分は無理してきたのかもしれない。いや、そんなことはないって声も聞こえてきそうですが。「三つ子の魂百までも」ってところだろうか。

 「モーにあったよ。彼女はまあまあ元気な様子。
 彼女が言うには、人なんてそんなに変わるものじゃない」(アズテックカメラ)

そして一つ言えることは、生まれたときにマイケル・ジャクソンだったという人は、マイケル・ジャクソンだけってことですかね。いくらその後、マイケル・ジャクソン本人がどんな風に変わろうとも‥‥。そしてマイケル・ジャクソンや小堀杏奴という名前が一つの記号でしかないにしても‥‥。

「極楽寺門前」-上林暁-

土曜日は、近江屋へ行ってきました。毎年、寒い季節になるとボルシチ目あてに近江屋に行ってるような気がしていたけど、ちょっと調べてみたら、前回神田のほうの近江屋に行ったのは、2005年12月で、2年前でした。ということは、本郷の近江屋に行くのはは何年ぶりなんだろう?どうでもいいけど‥‥。
近江屋にはちょうど3時くらいだったので、私たちがいる間はずっと満席で、中には席がなくて帰っていく人がいたほどなのに、なんとなく、行くたびに店内が寂しげな雰囲気になっているような気がするのはなぜだろう?もともと席も少なく天井が高かったりスペースに余裕があるせいか?商品の種類も減っているわけでもないのにね‥‥。(むしろ週末はいつもないと思われる、お総菜パンが土曜日はありました)

で、本当なら本郷三丁目から東大前や後楽園くらいまで古本屋をのぞいたり、裏道の建物を眺めたりしながら、のんびりと散歩したいところだけれど、寒い時期なのでそういう元気もなく、スコスと駅前の大学堂に寄るくらいで帰ってきてしまうのもちょっともったいない。「本郷菊富士ホテルの跡」の碑も一度は行ってみたい場所の一つ。正宗白鳥・真山青果・大杉栄・竹久夢二・直木三十五・坂口安吾・宇野浩二・三木清‥‥といった作家が滞在したことで有名なこのホテルについては、近藤富枝が「本郷菊富士ホテル」という本を出していて、前々から読んでみたいと思っているのだけれど、なんとなくその機会がないままになってしまってます。
上林暁も本郷菊富士ホテルの近くの旧菊坂町に住んでいたことがあって、この本でも、そこで暮らしていた頃のことがが「菊坂二丁目」「駒込アパートメント」の2編に描かれてます。下宿先で一緒だった人たち、本郷菊富士ホテルに宇野浩二に会いに行った時の話、「ジョン・クレアの詩集」にも出てきた英詩人のブランデン先生‥‥など、次々を当時であった人たちについて、熱くもならず完全な客観的にもならずに、走馬燈のように次々とつづられているこの2編は、この本の核となっていると言えるのではないだろうか。

「江戸前食物誌」-池波正太郎-

東京は、朝から雪で、一日家から出ずテレビを見たりして過ごす。
前回、中途半端に(つづく)なんて書いてしまったけれど、正直2日しかなかったし、市街をMUNIやバスで移動しながら、買い物をしたり、古本屋を回ったりしただけなので、サンフランシスコについて特に書くこともなかったりする。しいて観光的な場所といえば、「アメリカの鱒釣り」の表紙になっていたワシントン・スクウェアくらい。気持ち的にはCity Lightsも観光ですけど。

そんなわけでサンフランシスコで行った古本屋について。

■Books & Bookshelves(99 Sanchez St San Francisco)
お店の名前通り本棚と本が置いてあります。行く前に調べていたときはリストに入っていなかったのですが、松浦弥太郎が本であげているのを見て行ってみたのですが、どちらかというと本棚が主で、入り口から中ほどまでシンプルな木の本棚がさまざまなサイズごとにたくさん置いてあり、本は奥の方に詩や小説のペーパーバックを中心に置いてある。という感じでした。ちゃんと題名を読んでないからはっきりとは言えませんが‥‥。

■Aardvark Books(227 Church St San Francisco)
店の広さなども含めて、いろいろなジャンルの本が一律に置いてあるところからも、多分、サンフランシスコの平均的な古本屋なのではないかと思います。

■Adobe Book Shop(3166 16th St San Francisco CA)
大きなソファーが置いてあったり、天窓があって店内が明るかったりしてのんびりできることもあり、今回回った古本屋では一番居心地がよかったです。写真集や絵本、料理関係の本もたくさんあったので、そんな本を抱えてきてはソファーに座って読んだりして、けっこう長居したかも。いや、そもそも店員がずっと店の入り口付近にあるソファーに座っておしゃべりしてました。

■Dog Eared Books(900 Valencia St San Francisco)
前にミオ犬が、もらってきたサンフランシスコ、ロサンゼルス特集の小冊子に載っていた古本屋。ネットで調べたらRed Hill Books、Phoenix Booksと3つの古本屋が同系列であるらしいです。こっちでいうと象のあし書店、ねこの手書店、たらの芽書店、キノコノクニヤ書店‥‥みたいなものか、適当。この周辺には、Forest Booksとかいくつか古本屋並んでいましたが、そこはちょっとパス。Red Hill Booksは、バスに乗っているときに見かけましたが、なかなかいい感じの店構えでしたが、駅からかなり離れている場所だったので、急にバスから降りるわけにも行かず断念。

■Green Apple Books(506 Clement St San Francisco)
Golden Gate Park周辺にある古本屋で市街からはちょっと離れているのですが、前述の小冊子に出ていた写真がよくてわざわざ足を伸ばしてみました。でも。バスから降りたら目の前にあって思わず入ったのですが、なんだか写真と様子が違って「??」。本もコミック系、小説が主だし、併設されているレコード屋の方に音楽・映画関係の本があるだけだし‥‥せっかく遠くまで来たのになんだかな~なんて思って店から出たら、一つ違う店を挟んだ通り沿いにもう一軒あり、そこが写真に載っていた方だったという‥‥。こちらは3階まであって見応え充分。しかーし、なんとクロージングセールやってました。ほんとか?。店員にちゃんと聞かなかったし分かりません。でもぎりぎりで行けてよかったです。

あとは蚤の市に置いてある本屋リサイクルショップみたいなお店の本コーナーとかくらいですね。Black Oak Booksは絶対近くを通ったはずなので、ちゃんと探して行きたかったなーとは思う。そもそも調べてる段階で2軒あるとは知らなかったんですよね~