「極楽寺門前」-上林暁-

土曜日は、近江屋へ行ってきました。毎年、寒い季節になるとボルシチ目あてに近江屋に行ってるような気がしていたけど、ちょっと調べてみたら、前回神田のほうの近江屋に行ったのは、2005年12月で、2年前でした。ということは、本郷の近江屋に行くのはは何年ぶりなんだろう?どうでもいいけど‥‥。
近江屋にはちょうど3時くらいだったので、私たちがいる間はずっと満席で、中には席がなくて帰っていく人がいたほどなのに、なんとなく、行くたびに店内が寂しげな雰囲気になっているような気がするのはなぜだろう?もともと席も少なく天井が高かったりスペースに余裕があるせいか?商品の種類も減っているわけでもないのにね‥‥。(むしろ週末はいつもないと思われる、お総菜パンが土曜日はありました)

で、本当なら本郷三丁目から東大前や後楽園くらいまで古本屋をのぞいたり、裏道の建物を眺めたりしながら、のんびりと散歩したいところだけれど、寒い時期なのでそういう元気もなく、スコスと駅前の大学堂に寄るくらいで帰ってきてしまうのもちょっともったいない。「本郷菊富士ホテルの跡」の碑も一度は行ってみたい場所の一つ。正宗白鳥・真山青果・大杉栄・竹久夢二・直木三十五・坂口安吾・宇野浩二・三木清‥‥といった作家が滞在したことで有名なこのホテルについては、近藤富枝が「本郷菊富士ホテル」という本を出していて、前々から読んでみたいと思っているのだけれど、なんとなくその機会がないままになってしまってます。
上林暁も本郷菊富士ホテルの近くの旧菊坂町に住んでいたことがあって、この本でも、そこで暮らしていた頃のことがが「菊坂二丁目」「駒込アパートメント」の2編に描かれてます。下宿先で一緒だった人たち、本郷菊富士ホテルに宇野浩二に会いに行った時の話、「ジョン・クレアの詩集」にも出てきた英詩人のブランデン先生‥‥など、次々を当時であった人たちについて、熱くもならず完全な客観的にもならずに、走馬燈のように次々とつづられているこの2編は、この本の核となっていると言えるのではないだろうか。