読んだことのない作家の本をはじめて読むときは、ちょっとドキドキする。もちろん闇雲に知らない作家の本を買っているわけではなくて、たいてい好きな作家が随筆などで言及しているのを読んだりして、その作家を知るわけだけれど、好きな作家が褒めているからといって、自分が気に入るかどうかの確証はないわけで。
中には読み始めてすぐに「!」となる作家もいるし、最初は「どうなのかなぁ?」なんて思いつつ、2、3冊読んでみたら急にはまってしまう作家もいる。それは人も同じで、初めて会ってですぐに友達になる人もいるし、何回か会っているうちに気が合うということもある、そういうこと。
富士正晴に関して言えば、たまたま古本屋で気になっていたのと、山田稔が寄稿していた「VIKING」という同人誌の会員だったということがきっかけだったので、言うなれば、山田稔という近所の人の仲介で見合いをした、という感じかな。で、第一印象は悪くないので、また何回(何冊)かデートして(読んで)みて決めたい、という感想にしておきます。
さて、来週初めくらいにトップページに告知しますが、15日から20日までバリに行ってきます。北欧、イギリスと物欲の旅が続いたので、今回はなにもせずにのんびりと過ごす予定。
バリに行くのは5年ぶりで、前の時は、出発の飛行機が8時間も遅れて、そのあいだ成田空港のなかで時間をつぶす羽目になり、結局、ホテルに着いたのが午前4時になってしまったり、ミオ犬がホテルのプールでおぼれたり、最終日に私が39度の熱を出して空港の医務室に運ばれたり・・・・いろいろありました。
とりあえず今は、旅行にどんな本を持っていくか思案中。いちおう一人の作家の本だとか、同じテーマの本をだとかをまとめて持っていこうと思っているのだけれど、なかなか決まりません。今のところ交友録か、あえて旅の紀行文にするか、それとも木山捷平か小沼丹の本を読みかえす・・・・などと、迷ってます。けっきょくは、旅行に本を持っていっても意外と読めなかったりするんですけどね。それでも本を持っていてしまうのは、旅行中にあいた空白を本で埋めようとするさもしい精神の現れか、もしくは旅行中という非日常に日常を持っていくことのパラドックスを楽しむためか、なんて大げさに考えてもしょうがない。それよりも、先週、バリで爆破テロがあって、日本人の死者も出ているというのに、そんなふうにのんびりと構えていて大丈夫なのか、無事に帰ってこれるのか、ちょっとシムパイ。
週末は、その週に更新する本の準備におわれてしまってなかなか雑記まで手が回らない。準備といっても、タイトルや出版社など本の基本情報を打ち込むのと、表紙をスキャンしておくだけで、後は平日にコメントをつけてから更新する、という形でアップしているので、作業的にはそれほどたいへんなことではないのだが。
前に読んだ「目まいのする散歩」よかったので、武田泰淳のほかの本も読んでみたいと思っているのだけれど、私は「三国志」とか中国史について、ぜんぜん興味がないので「司馬遷」とか「十三妹(シイサンメイ)」といった本にはどうも触手がのびないし、戦時中の左翼的な人々の話もどうも苦手だ。
「あまカラ」に「食べもののでてくる話」という題名で連載されていたものをまとめた本。「雪まろげ」とは、漢字でだと「雪丸げ」と書き、雪の小さい固まりを頃がしてだんだん大きくしてゆく遊びのことらしい。題名も食べものとあまり関係ないけれど、内容も食べものをテーマにしているわけでもなく、身辺雑記を中心に、落語家や俳優、演出家、作家などの話が収録されている。
井伏鱒二が、「作品」という同人誌に参加していた頃から、機会がある度に発表していた、「知人についてのゴシップ風の短文」を集めたもの。発表された時期も昭和5年から昭和42年まで、掲載誌も「同人」から「早稲田文學」、「文藝春秋」「新潮」「日本経済新聞」「東京新聞」などと幅広い。取り上げられている知人は、太宰治、上林暁、三好達治、有島武郎、河盛好蔵、堀辰雄、小林秀雄、永井龍男・・・・など。
去年、ロシア、キルギス、ウズベキスタンなどを旅行したときに撮った写真の展覧会を開いた友達が、18日(日)から24日(土)まで下北沢にあるadd Cafeで行われている、“Summer goes by”をテーマしたグループ展に参加している。いや、参加していると言っても今回は作品を出しているわけではなく、オープンニングパーティや展示の配置決め、告知ページ制作などの企画をやっているらしい。個人的にはadd Cafeかぁ、という気持ちもないわけではないけれど、そんなことはどうでもよくて、日曜日、とりあえずオープンニングパーティに行ってきました。
山田稔の本なんて早々手に入らないだろうなぁ、なんて思いながら古本屋を回っているのだけれど、「コーマルタン界隈」に続いて「幸福へのパスポート」も発見。もちろんオリジナルではなく、後に再版された選書です。先日、よく行く古本屋さんに8冊くらい山田稔の本が入荷されていて、「これはまとめ買いするしかない!」と思って値段を見てみると、8冊全部買ったら、iPodが買えちゃうよ、という値段でした。
もう何年もブリティッシュ・ビート・バンドのレコードなんて聴いていないけれど、60年代のイギリス、スウィンギン・ロンドンを写した写真集は好きだったりする。Ronald Treagerとかね・・・・。実を言えば今さらと思いながらも、今でもときどき本屋で「Mods!」を手に取ってみたりしている。
テレビや雑誌などで「池波正太郎が通った店」というフレーズはよく使われるけれど、「小島政二郎が絶賛した店」というのは聞かない。もちろん池波正太郎と小島政二郎では知名度に大きな違いがあるわけですが、それよりも、この本が出た1954年からもう50年以上も経ってしまっているので、小島政二郎が褒めた店がもう存在しない(少なくてもそのままでは)ということもあるので話題にしてもあまり意味がないのかもしれない。逆に、「戦後になって東京の店はだめになってしまった」とか「震災が東京を壊してしまった」といったことが書かれていているけれど、関東大震災でさえ1923年なので、この本が出た時を基準にすれば31年しか経ってない。その31年間の変わりようの嘆きを読んでいても、その後の変わりようのほうが大き過ぎて、その実感がわかないというのが、正直なところでもある。
日曜日は、ちょっと用事があって横浜に行ってきた。桜木町~関内~石川町周辺には、適度に古本屋もあるし、レコードも東京で買うよりちょっと安かったり、掘り出し物があったりしたし(ディスクユニオンでBorder BoysやGroovy Little Numberの12インチを400円で買ったりしましたね。それが掘り出し物と言えるかは人によるが・・・・)、アメリカものの雑貨をあつかうお店もあったりしたので、昔は暇があれば歩き回っていたものだけれど、ここ何年かは、なにかしら用事がなければ行くことはない。だから今回、横浜に行かなくてはいけなくなったときに、絶対に行っておかなくては、と、まず思い浮かんだのは、ランドマークタワーにあるメイドイン・ヨコハマというお店。なぜなら、ここは赤い靴チョコレートとか横濱カレー、横浜かすてら・・・・といった横浜グッズを売っているお店で、いうなれば観光地のおみやげ屋さんと変わらない、普段ならまったく用事のない店なのだけれど、最近ここにスノードームがあることを知ったから。