「Peep Paper Vol.2」-トリトンカフェ・パブリッシング-

トリトンカフェは神戸にあるカフェで、2年くらい前に一度だけ行ったことがあります。開店と同時に入ったせいもあってお客さんもほとんどいなくて、比較的広い店内にアンティークっぽい木のテーブルと椅子がゆったりと置かれていて、居心地の良いカフェだったという記憶があります。
このときは京都に行ったついでに一日神戸まで足をのばしてみたのだけれど、カフェアンティークゴヤ(閉店してしまったみたいですね)やFabulous OLD BOOK・・・・などにも駆け足で回りましたね。すぐに名前は思いだせないけれど、また行きたいところがたくさんあります。
この「Peep Paper」はそのトリトンカフェなどの人たちが出している本で、毎回テーマを決めて、それに合った自分たちの好きなものを並べていったという感じの雑誌のようなムックのような(という言い方はあまり好きではないが)本。この号のテーマは「時間」。ちなみにVol.1は「旅」でした。Vol.3も最近2年ぶりに出たようですが、まだ私は本屋で見てません。というか、これが出てから2年も経ってしまってるんだ、という気持ち。Vol.1は発売されてすぐに中目黒のブックオフで見つけて手に入れたのですが、こちらに関してはなかなかそういう出会いもないし、出版元だったギャップ出版が破産申告をしたというニュースを聞いたりしていたのであきらめてたのです。

夏の前までに買おうと思っていたbonobosの「Hover Hover」をやっと手に入れた。夜、コンポのスイッチを入れると、ゆったりしていて心地よいリズムと暖かなメロディが流れ出してすぐにやっぱり夏前に買えば良かった、と思った。予定のない夏の休日にぴったりの音楽。そしてこれはあくまでもbonobos独自のグルーヴであり、bonobosの音楽だ。もうフィッシュマンズにどうのこうのというのはやめよう。
今年の夏の終わり、というか秋の日々のマイ・サウンドトラック・オブ・リヴィング。それにしてもまだ真夏日の日が続いている。いつになったら秋になるのだろうか。

「巻頭随筆II」-文藝春秋 編-

先日、中央線巡りをしたときにIIとIIIを手に入れたので、これで巻頭随筆も4冊そろったことになる。実際は6まで出ているのだが、5と6は1980年代も後半になってくるので今は読む気はなし。もしかしたら何年かして読みたくなるときがきて、そのときになったら全然手に入らなくなってしまう、なんてことになるかもしれない。でもそのときはそのときということで。先のことは分かりません。
作家はもちろん大学教授から大企業の社長、医者、省庁の役人まで、各分野でかなり大きな功績を残したと思われる人が自身の思い出や知り合った人について語っているので、どれも読んでいて興味深い。でもまったく興味のない、あるいは難しい分野だったりすると、読んでいて文字の意味が全然頭に入ってこなかったりする。これが「おしまいのページで」だったら何人かの作家が交代で書いている分、日常の雑記みたいな回があったり、つまらない話題でも文章のおもしろさで読ませてしまうが、「巻頭随筆」の場合は本職ではないだけに分からない人にもおもしろく読ませるという文章ではないので、私などはつい退屈してしまうわけです。どちらがいいということもないですけどね。

土曜日に先週からパルコギャラリーで始まった「ブラニフ エアライン エキスポ」を見てきました。
ブラニフ・エアラインはアメリカの航空会社で、1960年代から~70年代にかけて、ハーマン・ミラー社のテキスタイル部門長だったアレキサンダー・ジラルドを筆頭にエミリオ・プッチ、アレキサンダー・カルダーといったデザイナー、クリエイターを迎い入れ、最新トレンドを乗せた飛行機と言われた伝説の航空会社。展示品を見ているとその徹底ぶりになんだか実在の航空会社のものというより、雑誌の特集で、デザイナーたちを集めて「自分ならこうする」というテーマのもと、架空の航空会社を作ってみました、といった感じでした。

ここまでやるとなんだか自由すぎておもしろみがちょっとなくなってしまうような気がする。というのは企業のロゴやノベルティに関するデザインのおもしろさって、やはり会社としてのイメージとかデザインにかける予算とかとユーザーにとっての使いやすさ、機能面、そしてデザイナーのやりたいことなどがせめぎ合った結果、「おぉ!」と思うようなおもしろいものができたり、ときには「なんだこりゃ!?」というものになってしまったりするのがおもしろいのではないかと。
特にエアラインもののおもしろさって、飛行機という先端の工業製品ということと、ロゴ、機内食やスチュワーデスの制服、チケットなど幅広いノベルティがあるということ、海外旅行というある意味“夢”売る会社なのでデザインを含めイメージをある程度重要視していること、世界各国の会社が同じようなものを作っているのでそれぞれ比較できること・・・・なのではないかと思うのですが、ブラニフの場合飛び抜けすぎててほかの航空会社と比較できません。まぁそこがブラニフのブラニフたる所以でもあるわけなんですけどね。

「Summer Store -Last Summer Holiday-」

「Summer Store」はディモンシュに行くたびに買っていて最初の号から持っているし、夏のイベントにも初めのときから行っていたのだけれど、去年の夏の最後の時には行けなくてこの最終号も手に入れそびれてました。その後も鎌倉に行く機会がなかったので、1年以上ぶりに行ったディモンシュにまだこの本が残っているのを見て嬉しくなって即買いです。
「Summer Store」に関しては、割と同世代的なシンパシーを感じつつ、いまだに好きなレコードの紹介でロジャー・ニコルスやオレンジ・ジュース、ジャムなどをストレートに載せたりするところがいいなぁと思っているのです。皮肉じゃないですよ。ほんとはねもっと今ではいろいろ違う音楽をたくさん聴いてると思うんですよ。でもあえてその今の自分の元となったそれらの音楽をそのまま愛してるってことを恥ずかしがらずに素直に出せるというのはすごいことだと思う。そしてそういう仲間がいるってことも素敵なことです。
「Summer Store」の冊子やイベントがなくなってしまって少し寂しいけれど、またいつか違う形で何かをしてくれるんじゃないかと期待してます。

去年、鎌倉に来たときにドイスで一目惚れしたコーノのコーヒーサーバーが割れてしまったので、「また買おうかな、でも高いの買ってまた一年くらいで割れたらもったいないしなぁ」なんて思いながら、いつものようにディモンシュでオムライスを食べて、線路を渡ってはちみつ屋さんを横目で見ながらドイスへいくと、ドロップも透明ではなくてちょっと厚めの黄色のプラスティック、そしてサーバーのほうは取っ手が黄色のコーヒーセットが!知らなかったんですがお店の人が言うには限定で発売されていたらしい。あぁなんてタイミングなんだろう!ある意味見透かれますね。
さて、ドイスのある道をもう少し歩いていくといがらしろみさんのジャムお店、Romi-Unie Confitureがあってまた鎌倉の楽しみが一つ増えたという感じ。おいしいフランスパンや食パンを買ってお休みの日にゆっくりと食べたいです。

「田中一光」

このギンザ・グラフィック・ギャラリーのシリーズも気がつけばもう10冊くらいになってます。気持ち的にはもう少し大きな判でページ数もあって3000円くらいだといいのにな、と思う。でもこういうデザイン関係の本で3000円くらいの本って以外となくて、たいてい1000~2000円くらいの小さな薄い形で(小冊子を含む)そのデザイナーの主な仕事をさらりとまとめたものか、5000円以上の詳しいもののどちらかな気がします。コスト的に3000円くらいのデザイン本って難しいのだろう。
ところでこのシリーズはギンザ・グラフィック・ギャラリーで行われた展覧会の図版みたいな形で出版されていて、展覧会の方も行ってみたいものがときどき開催されるのだけれど、実はまだ一度も行ったことがない。たいてい1カ月くらい開催されているのだが、日曜・祭日がお休み、平日は7時に閉館になってしまうので、実質土曜日の4日しか行く機会がないのだ。
ちなみに今開催されているのは「Graphic Wave 2004 工藤青石×GRAPH×生意気」で、10月は「疾風迅雷―杉浦康平の雑誌デザイン半世紀展」です。両方とも私は知らない人です。

明日から3連休ですね。さすがに今週は晴れていてもそれほど暑いという感じでもなくなってきて、風が吹いたりするとちょっと涼しかったりして、まさにお出かけ日和。たまには本のこともレコードもことも忘れてどこかに遊びに行くのもいいのではないかと・・・・。

「片岡義男 本読み術・私生活の充実」-片岡義男-

架空のインタビューで、どんなところで本を読むか、最近おすすめの本はなにか・・・・といった質問に片岡義男が答えるという形式で書かれているのだが、質問の内容があまりにも次の話題にうまく持っていくための導線になっているので、読んでいるとちょっと自己完結的な、白々しいような印象を受けてしまいます。前に読んだような気がするのは、この形式のせいなのか、それとも違う本に採録されているのを読んだのだろうか。調べてないのでわかりません。

年代的にいうとビートルズよりもプレスリーに一番影響を受けた世代ということと、子供の頃からアメリカの文化に直接触れてきたということからか、60年代のカルチャーに対して冷静に理論的に分析できるところが、私が思う片岡義男のよいところなのだけれど、インタビューという形式のために、その論理の流れがとぎれてしまっている気がします。本人は気楽に書けて楽しかったのかもしれませんが。あとやはり本をそのまま写真に撮るっていうのはねぇ、難しいですね。

そういえば先週、買い取りを始めることにしました。ページの方はトップページからリンクしていないのでわかりにくいですが、こちらになります。扱っている本のジャンルが限られているので、本をまとめて処分なんて時には買い取れないものが出てしまってあんまり役に立たないかもしれませんが、もし「これはもう読まないだろうなぁ」なんて本が何冊か本棚で眠っていましたら、ご連絡いただければと思います。

「居酒屋兆治」-山口瞳-

「礼儀作法入門」「居酒屋兆治」「血族」「家族」「人殺し」、そのほか競馬、将棋関連・・・・これらは、山口瞳の本で後回しにしようと思っているもので、前者はそのタイトルや映画のイメージが悪いのでちょっとさけているという感じで、後者はタイミングをみて(なんのタイミング?)ちゃんと気合い入れて読もうと思っているんだけれど、なかなか読むことができない状態。
でも先日ムックを読んでいるうちに、高倉軒健や函館という映画のイメージよりも、「わが町」のような国立の街の片隅を描いた本として「居酒屋兆治」に興味がわいてきました。

日曜日、たまには足をのばしてみようと思い立ち、荻窪から中央線に乗って八王子へ。去年八王子→国立→国分寺と歩いたのは9月14日だったのでちょうど一年ぶり。今回も結局、古本屋をを中心に回って、立川、国立といったところで暗くなってしまったので、国分寺はパス。

レコード屋といえば大通りを歩いていたらRAREの看板が目に入ったのでつい横道に入っていったら、隣にはロージナ茶房が。「居酒屋兆治」の文庫本を持ってロージナ茶房でコーヒーを飲むなんてちょっと趣味悪いなぁ、でも次回いつ国立に来るかも分からないしなぁ、なんて思いつつ中に入ってみました。さすがに「居酒屋兆治」はなんなので買ったばかりの井伏鱒二の本を読んでましたけどね。
お店の中は想像していたよりも広くゆったりとしていて、大学生と思われる7、8人の団体がいたり、老夫婦が静かにコーヒーを飲んでいたり、おじさんがスポーツ新聞広げていたりする。隣のカップルはアジアの留学生みたいでかたことの日本語で村上春樹の話をしてました。
山口瞳に関係する場所を歩いてみる、なんて趣味は私にはないけれど、近いうちにレコード屋とか雑貨屋なども事前にちゃんと調べてまた国立、国分寺だけでいろいろ歩いてみたい。

「角鹿の蟹」-稲垣達郎-

稲垣達郎は1901年福井県生まれの。大学時代には同人誌に参加したり演劇活動を行っていたが、後に母校の早稲田大学にて教職に就き森鴎外を軸に日本近代文学についての研究を主に行った人。「作家の肖像」「夏目漱石」「森鴎外の歴史小説」などの著作、「森鴎外」「斉藤緑雨集」「近代文学評論大系」などの編著があります。
この本は、家族やその身辺のこと、坪内逍遥、岩本素白、會津八一、尾崎一雄、外村繁、山口剛といった早稲田ゆかりの文学者や作家の思い出が綴られたエッセイ集で、その後、編集者や専門家の間で評判になり、筑摩書房から編成を変えて1980年に刊行された本。
私は作家に対してどこの大学出身か、ましては早稲田出身なんてことは気にしたことありませんでしたが、ここに出てくる尾崎一雄や岩本素白、あついは小沼丹や井伏鱒二、横光利一なども含めて、ちょっと気になってきてます。どうでもいいけれど村上春樹も早稲田出身ですね。

このところ、土曜日はなんだか目が覚めると昼前で、つい嵐の番組なんかだらだらみて、気がつけば3時近くなっていて、お腹も減ってきたしちょっと出ますか、なんて感じで吉祥寺や西荻に出る、なんて感じで一日が過ぎてしまう。
今日も結局、西荻に出てそれいゆでシフォンケーキを食べて、古本屋や雑貨屋を回って帰ってきました。もちろんがちまいやでクッキーも買ってきましたよ。閉店まであと1カ月とちょっとなので西荻に行ったときは絶対に寄っておかなくてはね。店の中の棚や椅子も売りに出していたみたいで、端に「売約済み」のシールが張ってある。中には店で使っていたものではなくて、家で使っていたらしい家具もあって、ほんとに東京でのいらないものを捨てて田舎(たしか奄美大島)に帰るんだなぁと思う。
そういう店がどんどんなくなって、気がつけば西荻も大きなマンションばかりになってしまうんだろう。

家に帰ってテレビを見てたらアド街で錦糸町特集とやってた。先週「残しておきたい東京の風景」なんて言って、昔の面影が残る街角を「やっぱりいいねぇ。こういう風景がなくなるのは寂しいねぇ」なんて散々言い合っていたのに、今週は今度錦糸町にできる六本木ヒルズみたいなビルに大歓声をあげている。テレビのこととはいえ「なんだかなぁ」と思う。

「KAWADE夢ムック 山口瞳」

去年、発売されたときは「絶対に買わないぞ」と思っていた本。特集がいいといって雑誌やムック本を簡単に買っていると、いつのまにかそういう本がたまってしまって置き場に困ってしまうのが目に見えてるから。そうは思いつつも本屋で久しぶりに見かけたので、また立ち読みしていたら、山口瞳と木山捷平の対談が載っているではないですか。
よく考えてみれば山口瞳の小説って主張は強いけれど、自分のことや自分の周辺のことを描いた私小説がほとんどだし、後年、温泉や競馬場、あるいは絵に描きたい風景のあるところなど、いろいろなところに出かけては紀行文のようなものを書いているところなど、木山捷平と似てると言えなくもない。
これで永井龍男全集の冊子に掲載されていたという永井龍男についての文章が、単行本未収録のものとして収録されていたりしたら歓喜の嵐なんですけどね。「吉田秀雄さんや吉田健一さんが先生をしていた鎌倉アカデミアに入学して・・・・」なんて発言にいちいち反応しながら読んでます。

それにしてもこの「KAWADE夢ムック」って・・・・。名前もすごいけど、白州次郎、色川武大、武田百合子、小林秀雄、渋澤龍彦、梅図かずお、岡崎京子、押井守、クィーン、ボブ・ディラン、ポール・マッカトニー・・・・というラインナップもすごい。一貫性がまったくない。このシリーズのこの安易さがイヤで「絶対に買わない」と思っていたのですよ。ちなみにもう一冊、ミオ犬が買ったやまだないとの特集号がうちにあったりします。

「丘の明り」-庄野潤三-

庄野潤三の本は好きだけれどどうも読んでいると個人的につらい気分になるので、読まないようにしているのだが、帯に永井龍男の推薦文が書かれていたのを見てつい買ってしまった。
電車の中で夫婦者と小さい男の子を連れた母親が話している内容をスケッチしたようなものから、戦時中に中国を旅行した時のエピソードをまとめたものなど、1963年から1967年に発表された短編を収録した作品集で、庄野潤三としてはヴァラエティに富んでいる(という言い方は似合わないけど)といえるかもしれません。
どれも日常的な断片を紡ぎ合わせたような穏やかで静かな作品で、こういう作品を読んでみると機会があれば60年代くらいまでの作品は読んでみようかな、と思ってしまう。

その庄野潤三が監修を手がけている小沼丹の全集が今、未知谷という出版社から刊行されている。全4巻で現在の時点で3巻まで出ている。
私は一人の作家の全集なんて買ったこともないけれど、小沼丹の本は講談社学芸文庫でしかほとんど手に入らないだけにちょっと欲しい、と思って調べてみたら、A5判の752ページもあるかなり豪華な、見た目には辞典のような本で、1冊12000円もしました。う~ん、ちょっと私には無理か。いやたまには清水の舞台から飛び込んでみるか!?見るべきか!?

「ゼラニウム」-堀江敏幸-

台風が近づいているせいで今週も週末は雨が降ったり止んだり、という天気。2日続けて近所から出ませんでした。
ほんとは巣鴨の三百人劇場でやっている「進め!ジャガーズ 敵前上陸」を観に行こうと思っていたんですけど、朝起きてカーテンを開けた途端そういう気もなくなってしまいました。一応昨日の夜、ネットで巣鴨周辺の古本屋なんかも調べておいたのに・・・・。ここのところ週末は福生も含めて中央線沿いしか出かけてません。来週はどこかに行きたいです。

とはいうものの、先週久しぶりに仕事で徹夜をしたら、普段割ときちんと寝ているためか当日はそれほど疲れを感じなかったのですが、やはりいつまでもだるさが抜けなくて、首から背中がどんより重い感じが続いていたので、2日間ゆっくりしてようやく楽になったのでそれでよしとしよう。
来週、堺正章主演の「喜劇 昨日の敵は今日も敵」でも観に行こうかな。どうなるのやら。