■19歳の時に書いた「遠い園生」も収録されているが基本は70年代初めに書かれた短編をまとめたもの。悲劇の要素が強い「秋の朝 光のなかで」「サラマンカの手帖から」「風越峠にて」の3篇がよかった。久しぶりにフィクションを読んだ気がする。
■暑い日が続いているのでこういう日は涼しい美術館に行こう、と思って、週末は、神奈川県立近代美術館 葉山と原美術館に行ってみたのですが、2つとも最寄駅から離れているのでそこまで行く間がめちゃくちゃ暑かったという‥‥
■神奈川県立近代美術館 葉山では、展示ではなく蓮沼執太が主催の葉山アンビエントというイベントを見ました。葉山アンビエントは、展覧会と展覧会の間のなにも展示されていない美術館で、5つある展示室で蓮沼執太、イトケン、比嘉了、千葉広樹、和田永という5人のミュージシャンがそれぞれ電子音楽を奏でるというもの。
アンビエントという言葉から静か目の音で音楽がなるがらんとした展示室を歩き回る感じをイメージしていましたが、かなり大きな音で音楽がなっており、BGMという感じはなく、5つのライブを同時に見ているようでした。それぞれの演奏(?)の手法も、テープを使うものやコントラバスを弾いたりするもの、Mac単体を操作しているものなど異なっていて興味深かったです。隣の展示室で奏でられている音に合わせて、演奏を変えたり、微妙に影響しあいつつ、それぞれの展示室だけでなく、美術館全体でも一つのライブを見ているみたいな雰囲気もありました。
そして、観客は展示室を歩き回ったり、床に座ったり、中には寝転んだりして、演奏を聴いているという自由な雰囲気も近代美術館にあっていてよかったです。美術館の床に寝転ぶなんて最初で最後の経験になるかもね。
■原美術館でやっていた「サイ トゥオンブリー:紙の作品、50年の軌跡」展は、前に日曜美術館で紹介されていたのを見て、機会があれば言ってみようと思った展覧会。サイ・トゥオンブリーを見たいというのが半分、カフェで中庭を眺めながらビールでも飲みたいというのが半分ってところか、と思っていたのだけれど、カフェのほうは満席でした。ザンネン。まぁこれだけ暑いとゆっくり休みたくなりますよね。
サイ トゥオンブリーは、アメリカ抽象表現主義を代表するアーティスト。この展覧会では、ドローイングやモノタイプ、紙を切りあわせたものなど、紙に描かれた作品にフォーカスし、1953年から2002年までの約50年間で制作された作品が展示されています。時代によって作風や表現の手法も変わっているけれど、どれも一目見ると落書きのような絵なんですが、使われている手法もその絵にぴったりと合っているし、作品全体として調和がとれていて、ちょっといろいろ考えてしまった(何を考えたかは書かないけど)。