◆「田中一光とデザインの前後左右」@21_21 DESIGN SIGHT
去年、最後に読んだのは、高橋みどりさんの「私の好きな料理の本」。通勤の電車の中で読むのがもったいなくて、昼休みにひとりでごはんを食べている時に、これうちにあるなぁとか、これ前にうちにあったけどすぐに売れちゃったなぁとか、こういう本を扱いたいなぁ、なんて思いながらページをめくってました。
夏に「暮しの手帖」で“私の好きな料理本”という特集とした時に、
「料理本はヴィジュアルもきれいだし、昔の本はイラストなどもかわいいものが多いし、いろいろな人がおすすめの料理本を紹介する本があったらおもしろいと思うのですがどうなんでしょう。そんなに多くの本を載せなくてもいいし、本の厚さも薄くていいのでオールカラーで、できればハードカバーだとちょっとうれしい。和書と洋書の2部構成になっていて、それぞれ数ページずつちょっとしたテーマにあった本を紹介して、そのあいだに料理家を紹介するコラムや本を作ったときのエピソードが掲載されているとか‥‥などなど、と妄想。」
などと書いてみたけれど、この本でだいたい実現された感じになっていてうれしい。もちろんいろいろな人のおすすめの料理の本が載っているわけではなく、あくまでも高橋みどりさんの好きな本が主に紹介されています。でもその本に関連する人にインタビューをしていたり、インタビューしている人に関連するほかの本やその人がすすめる本なども紹介されているので、テキストも紹介されている本を補足しているだけではなく読み物としてもおもしろい。
インタビューでは、それぞれの本が単にいろいろな料理やそのレシピを紹介するだけでなく、その時代背景や料理の種類によって見せ方を工夫していたり、取り上げた料理自体の歴史や作者との関わりなど、レシピをさらっと見ているだけでは分かりにくい試行錯誤があったことが語られており、これから料理の本を読む時に、そういうことを頭においておくと、いままで気がつかなかったことに気がついたりして、また違う角度から料理の本を楽しめるようになりそうです。
それからその本に掲載されているレシピも別に掲載されていて、本だけでなく実際の料理の写真も掲載されているので、ページの見た目もちょっと華やかになってます。
去年の9月からミッドタウンの21_21 DESIGN SIGHTでやっていた企画展「田中一光とデザインの前後左右」がもうすぐ終わってしまうので、金曜日、会社帰りに見てきました。21_21 DESIGN SIGHTは、ときどき前を通るけれど中に入るのは初めてで、受付から階段を降りて展示会場まで行く構造になっていることにちょっと驚いたり‥‥(設計は安藤忠雄)。
田中一光については特に好きというわけではなく、一連の西武や無印良品のポスターや広告や印象的にタイポグラフィを用いたデザインといったくらいの知識しかないのですが、作品をまとめてみてみると、大きなサイズのポスターが多く展示されていることもあってインパクトがあるなぁと思いました。まぁやっぱり見たとこのあるデザインのものが多いんですけど、一つ一つを広告としてさまざまな場所で見ているだけでは分かりにくい工夫や作風の違いが分かったりして認識を新たにしました。
日本の伝統文化のデザインを取り入れたものや日本語をもとの文字が分からなくなるくらい崩したものもおもしろかったし、ロゴや河出から出ている「今日の海外小説シリーズ」や山口瞳の「血族」「家族」といった単行本の装丁、雑誌のエディトリアルデザインも気になりましたね。
最近、会社の人に田中一光の本ももらったので、今読んでいる本を読み終わったら読んでみようと思ってます。
ちなみに21_21 DESIGN SIGHTの次回の展覧会は「デザインあ展」。2月8日から6月2日までと会期は長いですが、できるだけ早めに見ておきたいところ。