「正弦曲線」-堀江敏幸-

◆最近よく聴いてるCD(と言っても1か月も放置していたわけですけど)
普段、すでに亡くなっている人の本ばかり読んでいるので、堀江敏幸の本くらいは新しく出たらすぐに読もうと思っているのだけれど、気がつけばこの本も出てから2年も経ってしまってます。
今年に入って刊行されている回送電車シリーズの最新刊「象が踏んでも」や育児をテーマにしたという今までの作品とはちょっ違う趣向の長編「なずな」ももちろんまだ未読のまま。本に限らず音楽に関してもそうなんだけど、新しい作品が出るのが待ちきれない思いをして、発売されるのを待って本屋やCDショップに行く、という楽しみを味わうのが苦手らしい。いや、すごく読みたかったり聴ぎたい気持ちはあるんですけど、なんででしょうね。単に本もCDも中古じゃなぎゃ買わ(え)ないという貧乏症なだけか、新刊の本屋とかに行くとたくさんものあって選択できなくなってしまうという優柔不断な性格のせいなだけなのかもしれないけれど‥‥。

そんなわけでいまだにネットで本やCDを買うこともあまりなかったりします。もうアマゾンとかでCDとか本をチェックし出したらあれも欲しいこれも欲しいというい感じになってしまってきりないんですよ。
基本的には週に一回か二回、古本屋や中古のCDショップに寄って、そこにあるものから、そのとき読みたい本だったりそのとき聴きたいCDを3枚とか4枚くらい買うというのが性に合ってる。

さて、たまには最近よく聴いているCDをいくつか紹介します。

夏の間はめずらしくAORばかり聴いていたのですが、ちょっと涼しくなったころから男性のジャズヴォーカルばかり聴いてます。それは、高円寺のCafe DRAPERIEでパスペールエールを飲みながらフィッシュ&チップスを食ぺていたときに、バックで流れていたバカラックの曲をカバーしたジャズボーカルが心地よかったから。BGMがよかったのか、お店の雰囲気が良かったのか、真夏の昼間から飲むパスペールエールがよかったのか、なんとも言えませんが‥‥。60年代から70年代くらいで、微妙にポップスやロックに傾倒しちゃったサウンドのジャズヴォーカルが今年の秋のテーマになってます。

-■「Right Now!」-メル・トーメ-
メル・トーメほどどんなことをやフてもさまになってしまうシンガーも珍しいんでじゃないでしょうか。このアルバムではサイモン&ガーファンクルの「Homeward Bound」やサークルの「Red Rubber Ball」、マンフレッドマンの「My Little Red Book」といった曲をカバーしています。単なるイメージでしかないのかもしれませんが、気負ったところがまったくなくて誦々とした軽やかなジャズになっているところがいいです。

-■「Lonely Is the Name」-サミー・デイヴィスJr.-
こちらはロジャー・ニコルスの「Don’t Take Your Time」が収録されていることで有名なアルバム。曲としてはアレンジがかっこいい「Up Up And Away」のほうが好きかも。サウンドもヴォーカルも真っ向勝負というか、オレが歌ったらこんなにかっこいいんだぞ、という自信たっぷり感が清々しい。一方「Lonely Is The Name」などのミドル~スローテンポの曲もなかなかよいのですよ。その辺のメリハリがこのアルバムの魅力かもしれません。

-■「Your Mind is on Vacation」-モーズ・アリソン-
モーズ・アリソンの76年のアルバム。ファンキーなピアノで始まる「Your Mind Is On Vacation」がまずかっこいい。この曲はコステロもカバーしているのですがわたしはまだ未聴。「King of America」のボーナストラックに収録されているようです。実を言うとどこどなく“気の抜けた”ようなモーズ・アリソンのヴォーカルが今までちょっと苦手だったのですが、今聞くとその“力の抜けた”感じがいい。改めて50年代60年代のアルバムを聴いてみようと思ったりしてます。

-■「THIS IS ERNlE ANDREWS」-アー二ー・アンドリュース-
アーニー・アンドリュースはジャズというよりもブルースやソウルに近いのかな。1曲目とかもうノーザンソウルですし、オルガンをパックにした曲があったり、曲によってはビッグバンドをバックに歌っていたりして、それも含めてポピュラー歌手という感じなんでしょうね。そういうなんでもあり的なところがまたかっこいい。そう昔はそんなにはっきりとジャンルわけがされてなかったんだよなぁ、なんて当たり前のことを思い出したりしてます。

-■「Tell Me The Truth」-ジョン・ヘンドリックス-
コーラスグループで有名なランバート、ヘンドリックス&ロスのメンバーのソロ。ランバート、ヘンドリックス&ロスを思い浮かべてしまうコーラスが特徴的な「フラット・フット・フルージー」から始まり、ファンキーな「ノー・モア」、ボサノヴァテイストの「テル・ミー・ザ・トゥルース」、ラテンな「アイル・ベット・ユー・ソウト・アイド・ネヴァー・ファインド・ユー」など、洗練されたモダンな演奏と洒脱なヴォーカルが心地よいアルバム。