◆「ジョセフ・クーデルカ プラハ1968」@東京都写真美術館
昭和3年、11年と二回わたるアメリカ・ヨーロッパの旅行、また昭和10年に樺太、中国などを訪れた際に書かれた随筆などをまとめた本。
全体的に行く先々の風景やそこで出会う人たち(特に現地で暮らす日本人)の様子が冷静な視線で描かれているだけれど、微妙に否定している国と持ち上げている国があって興味深い。文章が感情的でない分、それがどこから来ているのか本当の理由がわからないんですよね。いや、単にわたしの読解力が足りないとか、もしくは正宗白鳥の本を読むのは初めてという知識不足が原因なのかもしれませんけど‥‥。正宗白鳥の本は前々から読んでみたいと思ってはいるんですが、実際どれから読んでいいのかよくわかんないんですよね。と言っていては何にも進まないので、近いうちに何かしら読んでみることにしたい。
さて、話が変わりますが、5月から写真美術館で、チェコスロバキア出身の写真家、ジョセフ・クーデルカの展覧会が開かれていて、ポスターなどを見るたびにちょっと行きたいなと思っていたんですけど、週末はなかなか出かけられないし、開催時期も7月18日までだったのであきらめてました。
でも前日とりあげた「歩くキノコ」を読んでいたら、チェコに行ったところでクーデルカの話が出てきたので、やっぱり見ておきたくなってしまって、ちゃんと調べてみたところ、写真美術館は木曜、金曜は8時まで開館しているので、早めに会社を出れば見に行けそうな感じではある、ということが判明。知らなかった~うそ、知ってた。
まあそれで、ちょうど期末の余裕のあるときだし、金曜日あたりに行こうかな、行けるかな、なんてと思っていたら、友だちがチケット手に入れたんだけど行けなくなったのでくれるとのこと。いやーなんかクーデル力展に引き寄せられてますよ、運命ですよ。なんて、ひそかに盛り上がりつつ、早めに、っつうかフレックス使いまくりの早さで写真美術館ヘレツツゴー!
今回の展覧会では、1968年8月のワルシャワ条約機構軍のプラハ侵攻「チェコ事件」の写真を収録した写真集「lnvasion 68 Prague」からの写真が展示されています。ソ連を中心とした軍隊が街の中で市民と対立する様子が、至近距離から切り取られていて、写真の力強さや勢い、そして兵士や市民の表情などの臨場感がすごかったです。これはどこからどうやって撮ったのだろうと思うものもたくさんあって、よく軍に拘束されるんじゃないかともう40年以上前のことなのにドキドキしてしまいました。
ただ、オリジナルプリントじゃなくて、パネルに印刷した感じで、写真展としてはどうなんだろうという疑問はありました。開催されている場所が小さなギャラリーとかだったら許せるけど、写真美術館ですから。パネルとプリントではー枚の写真から発散される情報量が絶対的にちがうと思うんですけどね。写真に交じって展示されていたポスターもモノクロのコピーみたいな感じで無造作に壁に貼り付けられてたし、その辺は演出としてこういう形での展示にしたのだろうか?そうとしてもー枚のパネルに何十枚もの写真を並べたものとかはちょっと安易な気がしましたが‥‥。
報道写真や戦争写真をじつくりと見るのは、前に何を見たか思い出せないくらい久しぶりなんだけど、街角のスナップ的な写真に比べて情報量と訴えようとする力が圧倒的に違ってて、見ているとクラクラしてしまいます。好き嫌いにかかわらずこういう写真を定期的に見ておくべきだなということを実感、まあそれだけに‥‥だったらもっと‥‥(何度繰り返さないっ!)