昨年、最後に読んだ本。年末ののんびりした時期に、東京の奥さんを置いて脚本を書くため国府津に滞在する売れない作家とそれほど美人というわけでもない芸者の駆け引きの話なんて読まなくても‥‥なんて思ったことを覚えてます。
この作品は、三人称で書かれていますが、自身をモデルとした私小説に近い作品で、いわゆる5部作と呼ばれている「発展」「毒薬を飲む女」「放浪」「段橋」「憑き物」という連作の2作目となります。この後、岩野泡鳴は、文学を放棄し北海道に渡って蟹の缶詰工場を作るという事業を始めるのですが、事業が軌道に乗ることもなく、北海道でも色町には遊びに入り浸って、そこで芸者といい関係になったりしてと、どうしようもない話が続くんですけど、もし手にはいるようだったらほかの作品も読んでみたい。それにしても昔の作家は、ほんといろんな意味で“ろくでなし(ほめ言葉)”ばかりだったのだなぁと。
土曜日は、「マザーディクショナリー春の会」へ。今回の会場は、新宿御苑に隣接した「ラミュゼ de ケヤキ」という一軒家。もともとはピエール・バルーご夫妻の住居だったのを、現在は夫妻が中心となってレンタルスペースとして貸し出したり、コンサートを行ったりしているらしいです。マザーディクショナリーのイベントは前回の森のテラス(仙川)といい、会場のチョイスがとてもよくて、ワークショップに参加したり、コンサートを聴いたりしなくても、その場所に行って、アートマーケットを眺めたり、ご飯を食べたりするだけで楽しい。
マザーディクショナリーのイベントだけあって、子どもや赤ちゃんを連れたお母さんや夫婦が多いのだけれど、最近はうちの子も、同じくらいの赤ちゃんを見ると近づいてって、手や顔を触ったりするようになってきたので、こういうイベントがあると、家では見れない行動や仕草が見られたりするのもいいですね。