「小津安二郎の食卓」-貴田庄-

多分、何に対しても「質」より「量」をこなすってのが大切で、吉田健一も言っているように、おいしいものだけ少しずつ食べるのはありえず、おいしいものもまずいものも全部含めてたくさん食べないと、本当においしいものはわからない。そういう意味では、1回の食事の量が多くないわたしは、ほんとうにおいしいものを食べることはないのかもしれないんだろうなぁと思ったりします。いや、小津安二郎が大食漢だったなんて話はここにはほとんど出てこないんですけど‥‥。
でも、食べものにかぎらず、音楽や本とかもそうで、いい音楽だけ聴いたり、おもしろい本だけ読むなんてことがありえなくて、たくさんの音楽を聴いたり、本を読んでいくうちに、自分の好きな音楽が分かってくるというものです。そもそもあんまり音楽を聴かずにいいものだけって、その「いい」は誰が決めるのさ。とか思うわけですよ。なんていいつつ、「量」のほうが大事とは思うけれど、どんなものでも「量」をこなすのは、体力や執念、経済力‥‥といったものがいるもので、なかなか難しい‥‥なんてことを思いつつこの本を読んでいたのは去年の終わり。最近ほんと雑記の更新が遅いので、いまだ去年読んだ本を取り上げているありさま。次の本で、去年の分が終わって今年に入って読んだ本に入ります。