「まあだかい」-内田百けん-

この本を題材にした黒澤明の「まあだだよ」がなかったら、もっと早く内田百けんの本を読んでいたように思う。そういう意味では、遠回りしてしまった気もするけれど、本質的に天の邪鬼なので、そんなことが多すぎて最近では、どうも思わない。まぁ今、この本を読んだり、この音楽を聴いたりするのは、必然的な巡り合わせだった、と、よいように考えてしまうのは、元来の楽天的な性格のためか。それにしても常盤新平から山口瞳、高橋義孝と師匠をさかのぼって、ようやく内田百けんにたどりついたというのは、遠回り過ぎるというものか。高橋義孝の本をそれほど読んでいないので、摩阿陀会に出席していたのかどうかはわからない。この本を読んでいると教え子だけが出席していたようではないようだが、いつか高橋義孝による摩阿陀会の様子を読んでみたいものだ。

連休中は、予定通り、印刷博物館でやっている「キンダーブックの80年」展を見に行ってきました。博物館ではなくギャラリーでの展示だったので、昭和2年からのキンダーブックの展示が主なものだったのだが、さすがに80年分ともなると圧巻。個人的には戦前から戦後の表紙がやはり気になりました。武井武雄が描いた日の丸の国旗の周りを子どもたちが囲んでいる絵がいろいろな意味で印象的だったかな。他にもいいなぁと思う表紙があって、こういうときにきちんと作者をメモして、後で調べるようなマメさがあれば、いろいろなものをもっと深く知るようになるんだろうな、と思うけれど、そういう性格でもないのでしょうがない。って済ませられるものでもないが‥‥。
そんなことを書きながらも、実は私はキンダーブックを子供の頃読んでいたわけではなくて、20歳過ぎに何かのきっかけで知った後追いなのです。親もわりと本好きだったし、子供の頃も絵本とかよく買ってもらっていたのに、なんでかなーとずっと思っていたのですが、キンダーブックは、幼稚園などを通して販売されていたということを、今回はじめて知って納得がいきました。わたしは幼稚園に行ってないんですよね。これまで幼稚園に行かなかったことで、実際に困ったことはあまりなかったけれど、ときどきそういうことがあります。みんな普通に知っている童謡とか童話を知らなかったりとかね。