「断髪女中 獅子文六短篇集 モダンガール篇」-獅子文六-

-■ついに出たという感じの獅子文六の短編集。しかも女性が活躍する作品を山崎まどかがセレクトしたモダンガール篇と、男性が主人公の作品を千野帽子がセレクトしたモダンボーイ篇の2冊が同時刊行。これまで出た作品もまぁまぁ売れてるみたいだけれど、ちくま文庫の獅子文六推しがすごいですね。ほかの出版社からも何冊か食べものに関する随筆なども出てるので、今、獅子文六を読もうと思ったらある程度はわりと簡単に手に入るような気がします(作品数も多いのでそれでも一部なんだけどね)。
家政仕事はテキパキできて完璧なんだけれど、髪型がモガ風の断髪という女中が主人公の「断髪女中」をはじめ、主人公が大学時代に吉原で馴染みだった花魁を自分の家庭の乳母として雇い入れる「おいらん女中」、夫が買ってきたキュリー夫人伝記を読んで、急に賢夫人になろうとはりきりだす「胡瓜夫人伝」など、ちょっと変わった、そして自分の意見を持ちつつも、その論理がどこか間が抜けているような憎めない愛すべき女性たちが、次々と出てきます。「えっ?これはありなの?」などと思うような展開もあるけれど、その辺を許容できるとストーリーも楽しいし獅子文六の小説はおもしろくなります。逆に許容できないと「なんだ?これ?」という感じになってしまうんでしょうね。

■ただ個人的には、このシリーズの表紙の絵が、小説の雰囲気とあってないような気がして、いまいち好きになれないので、古本で見つけられるものは、できるだけ当時の本を探したいと思ってます。でも最近の文庫本の表紙って、AKB48の人だったり、アニメ風のイラストだったりするので、まだ作品の雰囲気を活かしているほうと言えるかもしれません。子どもが買ってる名作の本の表紙を見ると、子どもの頃に読んだときのイメージとぜんぜん違っていてびっくりするけど、子どもの頃からこういう表紙の本を買って読んでたら、大人になってAKB48の人が表紙でも違和感ないだろうなと思う。まぁうちの子が大人になる頃は紙の本なんてほとんど読まれなくなってて、電子書籍になってしまうんだろうから、表紙なんて関係なくなるのか。その頃は本の装丁というなんてものもなくなってしまうのだろうか?ああ。

■週末は東京蚤の市でした。2日とも天気もよくたくさんの人に来場していただき、また古書展街まで足を運んでいただきありがとうございました。個人的には、回を追うごとに忙しくなってなかなか外に出てお店を回ったり、ライブを見たりということもできなくなってきて、帰ってきて来てくれた人がツイッターやインスタにあげている写真を見ながら、すごい人だなぁとかライブ盛り上がってたんだなぁなどと思ってます。2日目の朝、まだ開場していないときに30分くらい会場を回るのを毎回の楽しみにしてます。(1日目はお店の設置をしているので余裕がないのです。特に今回は、本と会場ぎりぎりまで本を並べてました。)
あ、でも2日目の昼にちょっと外に出たら、堂島孝平のライブの時間で、こち亀の曲を歌ってて、「おっ!」って思いましたね。

■続いて今週末は、国分寺の武蔵国分寺公園で開かれるてのわ市に出店します。2週続けて出店するのは初めて。蚤の市や3days bookstoreで一緒のまどそら堂さんや、一緒に出店したことはないけれどよくイベントであって話したりする泡山さんといった古本屋さんをはじめ、金工の関田くん、地域雑誌「き・まま」など、近所なだけに知っているお店もたくさん出てるので、東京蚤の市とは違った形で楽しみたいと思っています。今のところ天気もよさそうなので、国分寺~西国分寺を散歩しながら、遊びに来ていただければと思います。国分寺だし音楽関連の本を多めに持っていこうかな、などと思っていましたが、そんなになかった~

 【てのわ市】
 ◆開催日 :2018年6月3日(日) ※雨天中止
 ◆開催時間:10:30~16:00
 ◆開催場所:武蔵国分寺公園 こもれび広場
 ◆武蔵国分寺公園オフィシャルブログ:【開催予告】てのわ市