「皿皿皿と皿」-永井龍男-

◆三連休はバーベキュー三昧(ってほどでもないか)
二つの家族の暮らしの一場面を、2~3ページ程度の短い文章で切り取った連作長編。それぞれの文章が直接つながっているわけではなくて、独立しつつも関連しているという趣向になっていて、読者は行間ならぬ「章」間を読むことで一つの物語を組み立てていく感じになっています。
一つ一つの章の切り取り方や描いているものへの焦点の当て方がうまいので、ストーリーや文章自体はあっさりとしているのに、つい引き込まれてしまいます。また会話が多いので、タイトルではないけれど「さらさら」読み進めてしまって、あとからもう少しゆつくり読めばよかったと後悔したりしました。一日にちょっと時間があいた時に、二章くらいずつ読み進めるような形で読みたい。もちろん電車の中とかではなくてね。

一つの章で大きく場所が変わったリストーリーが動くということがないので、それを一場面と考えると、ある意味、シナリオ的な本とも言えるのかもしれません。単純に考えるとそのまま映画化できそうな気がするけど、文章だからおもしろいのであって、映像化したらそれはそれで退屈な感じになってしまうんでしょうかね。

さて、三連休は、ガラにもなく2日間バーベキュー。

14日は会社の人と有明にある新しくできたそなエリア東京バーベキューガーデンに行ってきました。ここはみんな集まることを考えるといい場所だし、利用料金だけでテーブル・イス・コンロセットなどの機材も借りられるのでかなり便利。まぁうちからは遠いですけど…。できたばかりということもあって機材もきれいでした。

今回は、お肉もちゃんと下味をつけたものを持っていったり、当日に築地に寄って魚介類を仕入れたりして、みんな普段はバーベキューなんてしなさそうな人たちばかりなのですが、かなり本格的になりました。ただ3時間という時間制だったのであまり長居ができず、ほんとうに焼いて食べて終わりという感じになってしまったのが残念。時間があれぱもっと遊んだり、休憩しながら第二弾の食材を焼いたりできたんでしょうけどね。
ただ場所的に大きな木があるわけではなく、単に芝生が広がっているだけなので木陰がなく、一応ターブを借りていたのですが、夏場は一日いるとかなり暑くなりそうです。

16日は、はけのおいしい朝市のメンバーに誘われて武蔵野公園で朝食会。こちらは基本的には参加者がそれぞれ料理を持ち寄ってみんなで外で食べよう、という感じ。それぞれが持ち寄る食事もおいしいのですが、武蔵野公園はバーベキューもできるので、何人かの人がコンロや小さなバーベキューセットを持ってきて、お肉や野菜はもちろん焼き鳥を焼いたり、ダッチオーブンで野菜のラタトゥーユ(?)を作ったりしてもしました。
大人も子どもも20人くらいで合わせて40人以上という朝食会で、初めて会う人もいたりしましたが、なんとなく普通にみんな話したりしていい雰囲気でした。こういう雰囲気がはけのおいしい朝市にもあらわれてるんだろうなと思います。誘っていただきありがとうございました~!

そんな風に続けてバーベキューや朝食会など外でごはんを食べてると、バーベキューの器材を買いたくなってしまいますね。とりあえず小さめで手軽なものから手に入れたいと思って、なんとなくネットで調べたりしてみてるんですけど、そもそもクーラーボックスとかテーブルとかイスとかもないですから、まだまだ先は遠いです。

しかし考えてみれば、あと2、3年したらバーベキューとまでいかなくても、近くの公園にちょっとした器材を持っていって、いろいろ焼きながらごはん食べたりってことを、家族だけでできるんですよね。なんか不思議な気分になってしまいますが、そういう意味では子どもたちの成長というかできることに合わせて少しずつ集めていければって感じでしょうかね。

「店じまい」-石田千-

◆今年、前半の後半によく聴いたCD
手芸屋、文房具店、銭湯、自転車屋、居酒屋といった個人商店から大型デパートまで、閉店したお店の思い出を軸に、現在と過去の風景や心情が交差する石田千らしいエッセイ集。この前に読んだ「きんぴらふねふね」は、「食」をテーマにしていて、石田千のエッセイのテーマとしてはちょっと広いかなと思った記憶がありますが、今回は全体の世界観が際立っていていい塩梅です。一つのエッセイの中で時間の移動がわりとあるので、空間的に動かないものをテーマにしたほうがおもしろくなるのかも?なんて適当なことを思ったりしますね。
あと、全体的な文章の雰囲気も、文章にひらがなが多く使われてるのもあまり変わらないけど、なんとなく読みやすくなったような気がするのはなんでだろう?

今年の前半は、1960年代のイギリスのハーモニーポッブ、ポッブサイケばかり聴いていたけれど、後半は、アメリカのグループを中心に聴こうと思っています。こんなに60年代の音楽ばかり聴いてるのはひさしぷり。聴いているつもりで持ってなかったCDとか、いつのまにかCD化されていたものなど、今年は60年代のポップスにこだわって聴いていくつもりです。

そんなわけでこの間もちょっと紹介しましたが、今年前半によく聴いたCDをいくつか。前半の後半はほんとポップサイケの定番といったCDばかり聴いてました。

■「Tomorrow」-Tomorrow-
-トゥモロウに限らず、ニック・ロウが在籍していたというキッピントン・ロッジや「ティーンエイジオペラ」「ラテン・ア・ゴー・ゴー」といったソロなどマーク・ワーツ関連のCDをけっこう聴いてましたね。マーク・ワーツはCD化されてないイージーリスニング~ラウンジ系のソロアルバムなどもたくさんあるみたいなのでそれらも機会があれば聴きたいところ(高そうだが)。で、このトゥモロウですが、テープの逆回転やインド風味なテイストなどをサイケデリックな要素をうまく取り入れつつも、プリティッシュビート~スウィンギソロンドン的なポッブなサウンドマナーをしっかり守っている感じが気に入ってます。

■「an Apple a day」-Apple-
-キンクスのプロデューサーとして知られるラリー・ペイジによるレーベル、ペイジ・ワンから1969年に発売された唯一のアルバム。オリジナル版はン十万円もするらしいです。グループ名とジャケットからなんとなくビートルズのアップル関連のグループなのではないかと思ったりしてましたが、どうやら違うらしいです。サウンド的にはビートルズの影響は大きいですけど。いや、ビートルズの影響を受けていないイギリスのポッブサイケのバンドなんてないんじゃないかと。メロディやサウンドもポッブで聴きやすいのですが、何回か聴いていると意外とハードなギターが鳴っているのに気がついたりして、それが聴き飽きないアクセントになっています。

■「Tangerine Dream」-Kaleidoscope-
-力レイドスコーブという名前のバンドは、アメリカにも日本にありますが、ジャケットもサウンドもアメリカからは出てこないバンド。サイケとフォーク(イギリスのね)とブログレ的な要素がまじりあって、なんとなくつかみどころがないサウンドになってる気がします。いや、端的にサウンドを説明すると直球のサイケなのですが‥‥。加えていい意味でも悪い意味でも強い個性を持ったメンバーがいないため、ポッブなんだけど地味な感じは否めないです。そういう部分も含めて、すべてがイギリスぼいスタイルで統一されているところがよかったりするんですけどね。あとマイナーなメロディがわりと多いんですが、メロディがマイナーになると一気に日本のGSぽい雰囲気になりますね。

■「The Huge World Of Emily Small」-Picadilly Line-
-男性二人によるデュオによる1967年のアルバム。二声のコーラスで歌われる柔らかなメロディに、繊細なオーケストラが全体を覆う優しいサウンドで、トリップ感や妖しい感じはまったくなく、ポッブサイケというよりソフトロックに近いです。アメリカのバンドのような開放感はなく箱庭的なせいか、初期のドノヴァンとかアル・スチュアートなどの音を思い出したりします。あとニック・ドレイクとか。あそこまで繊細じゃないか。この後、二人はエドワーズ・八ンドと改名し、ジョージ・マーティンのプロデュースのもと、英国的な叙情性を持ち合わせたトラッドなアルバムを発表することを考えると、時代的な影響でこういうサウンドになったという感じなのかもしれません。

■「Tinkerbells Fairydust」-Tinkerbells Fairydust-
-バッ八の「誓いのフーガ」が日本だけでヒットしたというグループ。クラッシックをもとにした曲って日本人好きですよね。これは当時録音はされたもののお蔵入りとなったアルバムにシングルトラックをカップリングしたもの。スパンキー&アワ・ギャングの「Lazy Day」やアソシエイションの「Never My Love」のカバーなどが収録されていたり、ビーチボーイズ風のコーラスが聴ける曲があったりとソフトロック度はかなり高め。でも油断して聴いているとヴァニラ・ファッジのバージョンをベースにした「(You Keep Me)Hangin’On」やヤードバーズのカバーなどハードな曲がはじまったりしてびっくりします。

しかしカレイドスコーブでアルバム二枚。そのほかは一枚とかお蔵入りと、なんか裏道にひっそりと開店して、ちょっとだけ固定客がついたと思ったらすぐに閉店してしまったお店みたいですね。強引にまとめると。

「すれちがい夫婦」-獅子文六-

◆病み上がりにカフェスローへ
結婚してみたもののさまざまな理由で生活のパターンがずれてしまい、一緒に過ごす時間がほとんど取れなくなってしまった夫婦を何組が紹介する「すれちがい夫婦」や、父親が子どもが自分にそっくりな性質を持っていることに気がついた瞬間を描いた「因果応報」、学生時代に吉原に通っていた学生が学校の卒業を機に、吉原通いも卒業し結婚することになるが、そのナジミだったおいらんがその家庭に女中として働くことになるという「おいらん女中」など、夫婦や家族をテーマにした作品を収録した作品集。

獅子文六には、いろいろな夫婦の形をレポートする形で、自身の夫婦論や雑誌の読者から寄せられたちょっと変わった夫婦の姿を描いた「夫婦百景」という作品もあり、戦後の夫婦の多様化にかなり興味を抱いていたようです。ただこの本は、「夫婦百景」ほど強く日本の夫婦について調べ、描いてみようという主旨ではなさそう。どちらかというと短編集を組むにあたって作品をピックアップしてみたら、夫婦や家庭を題材にしたものがいくつかあったのでそれをまとめてみた、という感じでしょうか。まあ、あくまでもわたしの印象なので、実際はどうかわかりませんが。

-木曜の夜から熱を出しまして、金曜、土曜と一日中寝込んでいたのですが、日曜になってようやく治ってきた感じだったので、気分転換も兼ねて国分寺に出てカフェスローに行ってきました。ちょうどカフェスローではゆっくり市が開催されていて、中庭(?)もにぎやか、お店のほうも満席に近い感じでした。ここはお店自体も広いし、机と机の間がゆったりしているので、満席に近くてもそれほど人がいる感じがしなくて、普通にベビーカーをお店に入れられるので家族で行くにはちょうどいいです。意外と漣くんも玄米のおにぎりやチリビーンズをのせたパンなどぱくぱく食べますしね。
でも、できれば次回は空いているときに行って、奥の野川が眺められる(のかな?)席に座りたいです。

ゆっくり市のほうは、毎月第1日曜にやっていて無農薬野菜やフェアトレードのスパイス、紅茶、国産の蜂蜜、天然繊維を草木染めしたもの、石鹸‥‥などが売られていて、ちょっとしたライブなども行われたりしていました。ニチニチ日曜市でもおなじみの古本泡山さんも出店していて、なんとなくあいさつを交わしたりして‥‥。

屋外にこのくらいのスペースがあって、そこにいくつものお店が集まるとまさに“市”という雰囲気になりますね。このくらいの規模で、ある程度テーマが決まってるけど売ってるもの種類は違うというお店が集まる市が、いろいろなところで定期的に開かれたら楽しいかも。などと思いながらゆっくりごはんを食べていたら、風邪がぶり返してきたのか頭痛がひどくなってしまい、そそくさと家へ帰ることに‥‥。あぁ今週末はせっかくの梅雨の中休みだったのに無駄に過ごしてしまいました。また来週も晴れることを願ってますっ!