「江分利満氏の優雅なサヨナラ」-山口瞳-

まだ何冊か残っているけど、とりあえず山口瞳の文庫本もひと区切りにしようと思って、最後に読もうと前々から買ってあったこの本を読んでみました。
思えば、山口瞳の本もかなり読みましたね。この雑記で取り上げている本だけでも、59冊。ちょうどカヌー犬ブックスをはじめるちょっと前くらいから読み始めたような記憶があるので、全部で65冊くらいですかね。今まで海外文学ばかり読んでいたせいもあるけれど、一人の作家の本をこんなに読むのは初めてですね(内田百けん集成の24巻に何冊分の本が収録されていたのか分かりませんが‥‥)。
といっても、読み始めてから今までだいたい7年かかっているので、1年で約10冊、月に1冊と考えるとそれほど多くもない。一時期は山口瞳と永井龍男ばかり読んでいたような気もしますが‥‥(最近、永井龍男も本が見つからずあまり読んでない)。
次回のステップとしては、単行本の「男性自身シリーズ」を“揃え”で買って発表された順番に読むこと、ですかね。まぁ“揃え”で買えれば、ですけどね。山口瞳はあんまり主張にブレがないので、年代によってどうこうというのはあまりないのですが、連載の期間が長いだけにやはりきちんと年代順に読んでみたい、というのはありますね。

「酒食生活」-山口瞳-

買うときに所収一覧を見たら、「酒飲みの自己弁護」や「江分利満氏大いに怒る」「木槿の花」「迷惑旅行」「行きつけの店」‥‥など、読んだことのある文庫本からの再録が多かったので、買うかどうか迷いつつも、とりあえず読んでみることに。
で、やっぱりわざわざ買わなくてもよかったかなという感想です。再録でもいいんだけれど、もう少しなにか工夫が必要じゃないのかな、と思いますね。同じシリーズの「美酒礼賛」も同じようなものなのかな。あんまり期待はしてないですけど、どこかで見つけたら買っちゃうかもしれません。

うちのマンションは、もともと大学の敷地だったらしく、すぐ横にはマンションのほかに同じ頃に建てられたと思われる一戸建ての家が並んでます。会社の行き帰りや近くのドラッグストアに行くときなどに、その一画を通るのですが、意外とクリスマスの飾り付けをしている家が多くなくて、なんとなくほっとするような、物足りない気分のような、感じですね。
前に住んでいた久我山は、競うように家の周りを飾り付けていたけれど、あれは一軒がやりだすと隣の家もつられてやってしまう、みたいな連鎖的なものなのだろうか?なんてちょっと思ったりします。クリスマスに限らず飾り付けって、ちょっと隙間があると埋めたくなってしまって、最終的には過剰なものになりがちで、第三者としてはその過剰な部分が面白かったりするところもあります。飾り付けの基本としては隙間をどう活かすか、ってことが重要だと思うんですけどね。
といいつつも、うちでも11月の終わりの週末にクリスマスツリーを出しました。去年、今まで使っていた小さなツリーを買い換えて大きめなものにして、自分たちの中では、かなり大きなツリーがあると思っていたのですが、引っ越してリヴィングが広くなったのと、ものを置かなくなったせいで、出してみたらそんなに大きくなくて、肩透かしな気分。
しかも大きくなった分、飾り付けるものが少なくて、見ていると、もっといろいろぶら下げられるな、なんて思ったりして、ほっておくと過剰になりそうで怖い。でも会社から帰ってきて、クリスマスツリーの電飾がピカピカしているのを見ると、なんとなくクリスマスっぽい気分になります。そもそもクリスマスっぽい気分というのもいまいちどんな気分なのか、クリスチャンでもない日本人のわたしには、よくわかってませんけどね‥‥。
ところで、クリスマスツリーっていつ出すのが正しいんでしょうね。いまいち分かりません。街のライトアップは年々早くなってるし‥‥。何日後にしまうとか決まりがあったりするのでしょうかねぇ~??

「彼女のいる背表紙」-堀江敏幸-

過去に読んだ本に出てくる女性についてつづった随筆集。もちろん本に出てくる女性の主人公が作者と近い存在だったりすることもあるわけで、かつ、それを初めて読んだときの状況などを交えたタペストリーのような構成や言葉づかいはあいかわらずです。ただ「クロワッサン」に連載されただけあって堀江敏幸の本としてはかなり読みやすい。
基本的にこの人は翻訳家の文体なので、けっして読みやすい平易な日本語ではないし、内容についても難しい部分や偏狭な部分が多々あるので、好みがわかれるのではないか、と思う。だから、「クロワッサン」の読者が、この本を入り口に堀江敏幸に興味を持って、ほかの本を読んだりするのかどうかは、わかりません。
わたしも昔だったら巻末の取り上げた本のリストを見ながら、全部読むくらいの気合いがあったものですが、いまはそういう気持ちもあまりないですねぇ。カヌー犬ブックスで「彼女のいる背表紙」特集とかを組んでみたいな、という気持ちはちょっとありますが、集める気力もないし、そもそもそれが売れるのかという疑問もあったりします。

さて、今年もあと1か月。
去年の後半、半年間休んでいたこの雑記を1月に再開して一年ですが、今年はなんか慌ただしくて、あんまり本も読んでないし、前に比べて、あまり出歩くこともなくなってしまったので、なんとなくだらだらと続けているような気がします。というわけで、12月の雑記は2009年を振り返りつつ、来年に向けてどうするか、考えていこうと思います。まぁ、なんにも考えてないっていえば考えてないんですけど‥‥。