「彼女のいる背表紙」-堀江敏幸-

過去に読んだ本に出てくる女性についてつづった随筆集。もちろん本に出てくる女性の主人公が作者と近い存在だったりすることもあるわけで、かつ、それを初めて読んだときの状況などを交えたタペストリーのような構成や言葉づかいはあいかわらずです。ただ「クロワッサン」に連載されただけあって堀江敏幸の本としてはかなり読みやすい。
基本的にこの人は翻訳家の文体なので、けっして読みやすい平易な日本語ではないし、内容についても難しい部分や偏狭な部分が多々あるので、好みがわかれるのではないか、と思う。だから、「クロワッサン」の読者が、この本を入り口に堀江敏幸に興味を持って、ほかの本を読んだりするのかどうかは、わかりません。
わたしも昔だったら巻末の取り上げた本のリストを見ながら、全部読むくらいの気合いがあったものですが、いまはそういう気持ちもあまりないですねぇ。カヌー犬ブックスで「彼女のいる背表紙」特集とかを組んでみたいな、という気持ちはちょっとありますが、集める気力もないし、そもそもそれが売れるのかという疑問もあったりします。

さて、今年もあと1か月。
去年の後半、半年間休んでいたこの雑記を1月に再開して一年ですが、今年はなんか慌ただしくて、あんまり本も読んでないし、前に比べて、あまり出歩くこともなくなってしまったので、なんとなくだらだらと続けているような気がします。というわけで、12月の雑記は2009年を振り返りつつ、来年に向けてどうするか、考えていこうと思います。まぁ、なんにも考えてないっていえば考えてないんですけど‥‥。