井伏鱒二は生涯にどのくらいの本を出しているのだろう。文庫本で読めるものだけでも読んでおきたい、と思って、文庫についてはリストを作ってみたりしていたのだけど、いつの間にか単行本を買うようになってしまった。この本もそうですが、井伏鱒二の単行本は、普通の単行本のサイズよりも少しだけ横幅が広くて、正方形に近い形が多い。違う出版社から出ているものでも同じような形なので、井伏鱒二自身のこだわりだったのだろうか?よくわからないけれど、個人的には、なんだかちょっとだけ豪華というか、ちょっとだけ違う感じが出ていて、この形が気に入っていたりする。この「ちょっとだけ」というのがポイントです。ただしうちにあるスライド式の本棚の奥の棚に入れると頭が出てしまうので、手前のスライドが動かなくなってしまうのが難点。当たり前の話だけれど、スライド部分は容量が少ないんですよね。
「早稲田の森」は、1972年に刊行された本で、第23回読売文学賞を受賞しているらしい。内容は、井伏鱒二が早稲田周辺に下宿し、大学に通っていた頃、近くに“箱根山”と呼ばれた東京都内で一番高い森があって、それが消えてなくなってしまった、ということを中心に、その頃の早稲田の町や地形、よく通ったお店、学友などの思い出話がつづられている。このほかには、相変わらず釣りに関しての昔話や日経新聞に掲載された「私の履歴書」(この本に収録されるにあたり「半生記」と改題)、木山捷平の詩碑の落成式の様子を書いたものをなどが収録されている。
これに限らず、井伏鱒二の文章からは育ちの良さがにじみ出ている。実際にはどのくらい本が売れていたのか、生活的に厳しかったのか楽だったのか・・・・など、よくわかりませんが、どんな場面でも、気持ちにも行動にも、常に余裕が感じられる。「半生記」を読むと父親を早くに亡くしているようだけれど、母親や兄弟、祖父や祖母に愛され、かわいがられながら育っていったのだろうな、と思う。井伏鱒二の文学には、反抗とか自分を追いつめた切実さ、ガツガツした上昇志向・・・・といったものはない。その辺が、金持ちだったけれど、自分を追いつめていった太宰治と評価の大きく分かれるところなのかもしれない。適当です。
話は変わりますが、私が住んでいるマンションでは7月からケーブルテレビが見られるようになりました。そのせいで、もう家にいる時はほとんどスペースシャワーTVだとかMUSIC ON! TVだとかMTVばかり見てます。もうニュースもぜんぜん見てない。地上波で見てる番組といえば、「サクサク」くらい。それで最近の音楽に詳しくなったかといえば、よくわからない。ずっと見てると、どの局でも、いつでも、同じような曲ばかりかかっているような気もする。それじゃ、どんな番組や音楽が聴きたいのさ?、と聞かれてもよく分からないけれどね。
で、今日はヘアカット100のライブを見ました。懐かしすぎ。ラテンなのになぜか盛り上がりに乏しいリズムが、今聞くと逆に新鮮だったりする。レコードさえももう何年も聴いていないのに、なぜか口ずさめてしまうのは、さすがに10代の頃に聴いた音楽だけのことはある。ニック・ヘイワード若いのにオヤジだなぁ、なんていいながら、盛り上がってしまった。・・・・・・・・のだが、ライブが終わって最後のクレジットを見ていると「ライヴ1983」というタイトルが!あれ?????1983年ってすでにニック・ヘイワード脱退してません?というか、もうソロ出してるはず。私が中2のときですよ。というわけで番組表をネットで調べてみたところヴォーカルはマーク・フォックスでした。残念。
生前、交流があった多くの人たちに、死後これほど愛情を持って語られる作家というのも例がないんじゃないだろうか。担当した編集者、作家仲間から行きつけの飲み屋の主人、近所の住民・・・・など、誰もが機会を与えられれば(いや与えられなくても?)懐かしそうに山口瞳との思い出を語る。ほんとうに不思議な作家だと思う。でもその反面、誰もがその作品と山口瞳の生き方や信念、そしてそれを読んだ自分自身の気持ちが抑えられなくて、この作家の作品を純粋に、あるいは客観的に批評するといったことが行われにくくなっているのかもしれないとも思う。もしかしたら1990年代以降、オヤジの小説・エッセイとして黙殺されてきた(それは私か?)、山口瞳の作品が純粋に批評・評論していくのは、このブームのような再評価の後、これからなのかもしれない。
この本は、著者が日本語教師として二年間パリに滞在したおりに、ギリシアやモロッコ、スコットランドに赴いた際の紀行文。予約などせず、ショルダーバッグひとつ肩にかけ、Cランクのホテルでその不便さを楽しむ。そして「旅のなかの平凡な日常、そしてその日常と空想、妄想のからみあいを描く、というのがわたしの狙いであった。」とあとがきで書かれているように、旅における平凡な日常と、各地で遭遇するちょっとしたトラブル、さまざまな国籍の人々との交流やすれ違い、さらにそこから広がる作者の妄想が混じり合いつつ、旅先での出来事などがユーモアたっぷりに描かれている。前述したように、ギリシアやモロッコ、スコットランドの3カ国の旅の様子が収録されていて、一つ一つ読みがいはあるのだが、できることなら、あと2、3カ国多く話が収録されていたらなぁ、とも思ったりする。
予定ではPickwickWebのほうに書くつもりだったのだが、小さすぎて私のデジカメではきれいに撮れなかったのでここに書いておくと、西荻にある音羽館が開店5周年記念のピンバッジをもらった。500円以上買うともらえるとのこと。図柄は看板や袋のスタンプに使われている、本を読んでいる女の子の絵で、黒縁のものと金縁のものがあります。かわいいです。
初めてカリプソを聴こうと思ったのは、いつのことだったのだろうか。結婚前に長崎に行ったときに、マイティ・スパロウのレコードを買った記憶があるので、仮にその前の年の夏としても1999年なので、もう6年も経っている。なのに、いまだに数えるほどしか集まっていないのは、単に中古屋にあまり置いていないから、という理由に過ぎないのだけれど、あまりにもいつまで経っても進まないので、今年はコンピレーションCDを買ってしまおうかと思っている。幸い、ここ2、3年、静かなカリプソブームが起きているらしく、カリプソのコンピCDが再発されているようだし・・・・。というわけで、まずは「Calypso Awakening」と「Trojan Calypso Box Set」を購入。ラテン音楽にもかかわらず、押しつけがましくないので、それほど暑苦しくなくて、適度にハッピーなリズムと素朴な流れるようなメロディが心地よいのと、なんとなく朝昼晩、いつ聴いてもその場になじむような気がするところがいい。もちろん社会問題を取り上げているという歌詞については、まったくわかりませんけどね。
この本を出版している三月書房は、タテ15.5cm×ヨコ11.5cmの大きさ、函入・糸綴り・箔押の「小型愛蔵本」といわれる本を、1961年から出版し続けている会社。なんと社員は2人だけらしい。サイトを見たら限定70部定価10500円、なんていう限定特装本も出してました。
もちろん私は骨董収集なんていう趣味はなくて、骨董に関する本もこの青柳瑞穂と青山二郎の書いたものくらいしか読んだことはない。どちらかというと青山二郎の方が、骨董にのめり込んでいると同時に、逆にどこか粋でかつスマートというイメージなのだろうか。それは単に阿佐ヶ谷と港区の違い、あるいは甲州の田舎と山の手という育ちの違いからくるイメージなのかもしれない。ただ文章的には、青山二郎よりも青柳瑞穂のほうが、やわらかく随筆っぽいくて私は好きだ。
私が勤めている会社の本社は名古屋にあるので、東京にいる人でも、単身赴任してきた人や週に3日だけ東京に来て残りを名古屋で仕事をするなんて人がいたりする。私は、営業でもないので、基本的にテレビ会議とメールでやりとりするだけで名古屋に行くことはほとんどないのだけれど、久しぶりに名古屋にいくとなるとちょっとウキウキしてしまう。特に今回は説明会と懇談会だけなので準備したりするものもないし、頭のなかはちょっと早めに行ってどこでお茶しようか、ということと、新幹線の中でどんな本を読もうかということだけだったりする。
みすず書房の「大人の本棚」シリーズで小沼丹と出会ったことが、私の読書生活に大きな変化と収穫をもたらしてくれた、といっても過言ではない。「素白先生の散歩」もおそらく元の本が手に入りにくいだけにうれしかったし、佐々木邦の「心の歴史」や小津安二郎の「『東京物語』ほか」戸川秋骨の「人物肖像集」などもいつか手に入れて読んでみたいと思ってる。思っているものの、なかなか買う機会がないのは、1冊2400円という値段のせい。だから“大人”の本棚なのかもしれないけど。大人だったら2400円くらいの本をさっと買えるようになりなさい、ということなんだろうなぁ。でも、古本屋に行くたびに、100円均一のコーナーを隅から隅まで探しているような私には、なかなか“大人”になるのは難しい・・・・。
PickwickWebのほうを調べてみたら、私がポラロイドカメラを手に入れたのは、2003年の2月でした。コツコツとページを更新しているとこういうときに便利。といっても、前回、京都に行ったときに買ったので、わざわざ調べるというほどでもない。そのあと、北欧旅行やイギリス旅行に持っていって、旅の雑記帳を作ったりしたけれど、普段はそうそう持ち歩くこともなくて、去年は旅行にも行かなかったので、棚の下に入れっぱなしの状態になってしまってる。やはりモノがモノだけに普段の生活の中でちょっと撮って・・・・というわけにはなかなかいかないですね。来月は京都や神戸に行く予定なので、そのときは持っていっていろいろ写してみようと思ってます。今から楽しみ。その前に、練習をかねて、たまには家の中のや周りのものをポラロイドで写してみよう。