「倫敦巴里」-和田誠-

■「暮しの手帖」のパロディ「殺しの手帖」や、横山泰三、長新太、小島功風の画風で007を描いたり、「兎と亀」をヒッチコックやゴダール、ベイルマンなどの有名な監督が脚本を書いたらどうなるか、川端康成の「雪国」を書き出しを野坂昭如や植草甚一、星新一といった作家の作風で書いたものなど、「話の特集」に掲載されたものを中心に収録したヴァラエティブック。
作風を的確に真似ていておもしろいのだけれど、一つのテーマが長いのでもう少しいろいろなコーナーがあってもよいかなと思う一方、一つのネタでこれだけかき分けられるというところがすごいとも思う。もちろんパロディなイラストもたくさん収録されてます。

■先日のIn The Pacificでも大きな音で聴きたくて最後に強引にかけたけれど、7月に入ってウワノソラ’67の「Portrait in Rock’n’Roll」ばかり聴いている。ばかりというか、一日に4、5回は聴いているんじゃないかと思う。「一昨年亡くなってしまった敬愛なるミュージシャンの一人に追悼の意を込めたものにもなっております」と説明されているように、「A LONG VACATION」以後に確立された大滝詠一、ナイアガラサウンドへのオマージュにあふれた作品。
-1曲目の「シェリーに首ったけ」などは、まさに「君は天然色」を2015年に再現したサウンドで、わくわくしてしまいます。YouTubeにあがっているPVを見るとドラムはツインだし、ほかの楽器もかなりオーバーダビングもしているしているようで、その凝り方が半端ない。歌詞の最後に月に吠えたりするところもGood!続く「年上ボーイフレンド」は「恋するカレン」や「Tシャツに口紅」を思い浮かべるし、「1969年のドラッグレース」的なセカンドラインのリズムと歌詞が楽しい「Hey×3・Blue×3」など、書き始めるときりがなくなってしまう。でもそれだけでなく、どこか「カップルズ」の頃のピチカートファイヴっぽい「傑作映画の後で」や、山下達郎の曲を思い起こさせる「レモンビーチへようこそ」、80年代のアイドルっぽい「Station No.2」など60年代のポップス全体、そして80年代の日本のポップス全体を視野に入れているところが、このアルバムが単なる真似に終わらず、普遍的なポップスの輝きを放っている所以なのではないだろうか。とかね。
あと、やっぱりいえもとめぐみのヴォーカルも大きいと思う。感情をこめて歌うわけではないんだけど、声に表情があるので、聴いてて飽きない。誰とはいわないけれど女性ヴォーカルでこの手の60年代ポップスをやってる人たちって90年代からわりといるけれど、だいたいヴォーカルの女の子が声はかわいいけど平坦すぎて繰り返し聴くって感じにならないんですよね。
しかしこんなアルバムを20代前半の人が、インディーで作ったというのがすごい。逆に若い人だからこそ作れたサウンドなのかもしれませんが‥‥
いまだに「A LONG VACATION」を聴き続けているとはいえ、自分はほんとのこの手の音楽が好きなんだなぁと今さらながら思い知りました。このアルバムもこれから30年聴き続けるんでしょうか?って、あ、あと30年も生きられないか。

-■さて、話変わって連休の後半は、奥多摩にある百軒茶屋というキャンプ場に、漣くんの幼稚園の友だち3家族で行ってきました。キャンプ用品とか持ってないのでバンガローですけどね。百軒茶屋は大学の頃によく行ってバーベキューをしていたところ。最近はずっと行ってなくて15年ぶりくらいだったのですが、川の様子も変わってなくて、ちょっと懐かしかった。
前日まで雨が降っていたせいで川の水かさが増えていて、子どもたちが泳いだりすることはできませんでしたが、スイカ割りをしたり話をしたり、いろいろ食べたりして楽しかったよう。ほんとになんにも用意していかなかったので、着火剤などもなく最初から炭に火をつけるのも久しぶり。なかなか火がつかなくてあたふたしたりしてしまったこともなんとなく懐かしい経験でした(最近は着火剤とバーナーで火をつけちゃうものね)。
夜は子どもたちとお母さんが早々に寝てしまったので、お父さん3人でコーヒー焼酎を飲みながらだらだらと話したりしてました。こういうところに来ると用具をそろえたくなりますねー次回に向けていろいろキャンプ用具をチェックしておこうー!