「残光」-吉田健一-

■気を抜くと雑記の更新もほとんどしてしない状態になってしまいますね。年の初めに比べ読書量も減ってきているので、冊数としてはそれほどたまってない気がしていたけれど、この本を読んだのは6月の終わり。もう2か月以上前のことで内容も忘れ始めてる感じ。いや、そもそもあんまり集中して読めてなくて、読み終わったすぐ後でもぼんやりとした印象だったような‥‥吉田健一の本はある程度、時間を取って集中して読まないとだめですね。それとは別に、随筆と小説をもう一度リストアップして、残りの本をきちんとチェックしていくようにしたい。なかなか手が出せない評論はそのあとかな?

■もう終わってしまいましたが、先日、昼休みを利用してIMAギャラリーで行われていたグループ展「THE STREET GOES ON」を見に行ってきました。海外からはスティーブン・ショアやピーター・サザーランド、ロレンツォ・ヴィットゥーリ、国内ではホンマタカシ、北島敬三、春木麻衣子といった写真家のストリート写真が展示されていました。スティーブン・ショアの新しい写真集「WINSLOW ARIZONA」に関連した展覧会だと思うのですが、ちょっと人数が多かったかな‥‥わたしとしては過去のものも含めてスティーブン・ショアの写真を見たかったかも。いや、ほかの写真家の写真もよかったんですけどね。

-■ちなみに「WINSLOW ARIZONA」は、ニューヨークから南西部を通ってロサンゼルスを経て終着点をサンフランシスコとする「アート列車」で全米を横断するという、現代美術作家のダグ・エイケンによる「Station to Station」というプロジェクトで発表した作品の一部を収録したものとのこと。このプロジェクトでは、スティーブン・ショアのほかにアーティストやライター、映像作家やパフォーマーらが参加し、あらかじめ決めていた停車駅に到着するたびに、彼らは、ダグが「ハプニング」と呼ぶ、各地に用意した会場で作品を展示したり、パフォーマンスを行ったらしいです。

■写真集では、タイトルにあるようにそのプロジェクトの最中に撮影された写真の中からアリゾナ州・ウィンスローで撮られた写真がおさめられています。荒涼とした風景をあまり感情的にならず、そのまま写していているところがよくて、写真集も買おうと思ったのですが、まぁこれまでのスティーブン・ショアの写真をよく見ているわけではないので、これを買うなら過去の写真集が欲しいと思い保留にしました。

-■ついでに同じ建物にあるタカイシイギャラリーでやっていた小平雅尋、原美樹子、吉野英理香という3人の写真家による「グループ展」も見てきました(こちらもすでに終わってますが‥‥)。吉野英理香は以前、移転する前のタカイシイギャラリーでの個展を見たことがあって気になっていた写真家。ほかの二人の作品は初めて。
普段は淡い感じの色彩の写真に惹かれることが多いのですが、吉野英理香の作品はわりと暗め画面構成でどことなく内省的で、何気ない日常的な風景や壁に貼られたポストカードを写したものでもどこか心にひっかかって立ち止まって見つめてしまいます。もともとはモノクロフィルムでストリートでのスナップを撮っていたらしく、最小限の色が抑えられている感じがいい。逆の意味で淡い色合い、とも言えるのかもしれません(かなり強引)。

■原美樹子も街角ですれ違った人々を被写体としたスナップで、独特な“間”というか雰囲気のある作品でした。記憶があいまいなののですが、西東京の風景が多かったような気がするのと、後で調べたらイコンタシックスを使ってるそうで、ちょっと気になってきてます。
一転、小平雅尋のほうはモノクロの端正な作品で、ほかの二人とは作風が異なる感じ。会場を入口から右回りに吉野英理香→原美樹子→小平雅尋と見ていくと、吉野英理香→原美樹子の流れがスムーズなだけに、この写真展での小平雅尋の作品の違和感が際立ってしまう気がします。単独で見たら違う印象になりそうだけどどうなんでしょう?