「あさめし・ひるめし・ばんめし」-大河内昭爾 選-

■芥川龍之介、草野心平、水上勉、安藤鶴夫、吉村昭、色川武大、向田邦子、瀬戸内晴美、種村孝弘‥‥といった作家の食に関する随筆を収録したアンソロジー。編者の大河内昭爾は「味覚の日本地図」や「味覚の文学散歩」「粗食派の饗宴」といった食に関する本を多数出している評論家。サブタイトルが「アンチ・グルメ読本」となっているので、1980年代後半に福武文庫から出ていた本だと思う。これは読んだことがなかったけれど、1980年から1990年初めのころの福武書店はいい本出していて、好きだったんですけどね。海外文学もおもしろい本をたくさん出してました。バルガス=リョサ、ミルハウザー、ニール・ジョーダン、ジム・ダッジ、エリクソン、ジョン・クロウリー‥‥などあげればきりがないほど。それが今ではしまじろうだもんねぁ~
で、この本ですが、今読むとわりと手堅いラインナップになってます。吉田健一、子母澤寛、小島政二郎、永井龍男、池田弥三郎など自分にとっておなじみの作家の随筆はほぼ読んだことがあるような気がするしね。でも当時はたとえば吉田健一の随筆とかどういう感じで受け入れられていたんだろう。わたし自身はまだ10代だったし、翻訳文学にどっぷりつかっていた時だったし、よくわかりません。定番な作家を集めた感じだったのか、逆にマニアックな路線で組まれたものだったのかちょっと気になります。

-■先週の日曜はは渡邉知樹くんの個展「水のことだけ考えていた」を見ににじ画廊へ。抽象的な水彩画(?)や鳥オブジェが展示されていていたのですが、知樹くんの絵は抽象画といってもきれいで光があふれるような絵で、外に開かれているところが好き。なんかリビングに飾ってあったら、毎日がちょっと明るくなりそう。
鳥のオブジェのほうは、個展に行くたびに一つずつ買っていて、4つ目になりました。前回の時に漣くんに選ばせたら、それがうれしかったらしく、今回もにじ画廊に着く前からどんな鳥があるのか楽しみにしてました。今回選んだのは青い鳥。帰ってきて「これがおとうさん、これがおかあさん、これがおねえさん、で、きょうかったのが弟」と説明していましたが、多分、後付け。

-■【今日の一枚】「vox populi」-vox populi-
セルジオ・メンデスを起点するようなブラジル音楽に欧米のロックやポップスを取り入れた感じのサウンド。端的にいうといろいろなところで書かれているようにブラジリアンソフトロックってことになるのかな?そもそもソフトロックって(特にA&Mサウンド)欧米のポップスにボサノヴァの洗練さを取り入れたという要素が大きい気がするので、なんとなくブラジリアンソフトロックって言葉は自分の中ではしっくりときませんが。
ポップな楽曲に男性7人+女性からなる厚いコーラスがたたみかけてくるサウンドはわたしにとってはど真ん中。バックの演奏もアタックの強いリズムセクションに跳ねるようなピアノを基本にがっちりささえていて、歌がなくてもジャズボサ、ジャズサンバとして成り立つんじゃないだろうか?
と思って調べてみたら、ボサリオのメンバーだったフェルナンド・レポラーセ、ミナスの名門音楽一家に生まれ、グルーポマニフェストに参加するアマウリー・トリスタォン、テンポトリオに参加するエウヴィウス・ヴィレーナ、のちにセルジオ・メンデス&ブラジル77やシカゴで活躍することになるロウディ・デ・オリヴェイラといったミュージシャンが在籍していたらしいです。

■あと、これも先週のことになってしまいますが、6月の泥酔ファンクラブはヘヴンのメキシコさんを迎えての「パパパソング&ハンドクラップソング」特集でした。次々とかかるパパパソングを聴きながら、普段、さらっと聞き逃してしまっている曲に「パパパ」が入ってることに気が付かされたり楽しかったです。
もともと「パパパソング」って言い方がもともとギターポップのイベントで使われたものだったり、メキシコさんがゲストで回していたので、ついそっち方面の曲ばかり気にしてしまってましたが、ふと思えば、ブラジル音楽やジャズヴォーカルってスキャットが入ってる曲が多いし、パパパソングっていっぱいありそう。もちろんこのvox populiにもパパパあり。