「せんべの耳」-三浦哲郎-

◆ピアニカ前田クリスマスコンサート、そして国立のぶどう園を知る
1975年に出た2冊目の随筆集。基本的には身辺雑記、過去の経験をつづったものがほとんどなんですが、構成がしっかりしていて言いっぱなしにもなっていないので、心地よいテンポで読むことができます。こういう文章を書きうつしとかするとすごく勉強になりそうな気がしますがどうでしょうね。

週末は、今私が住んでいるマンションでクリスマスコンサートが行われたので家族そろって見に行ってきました。普段、マンションで行われるイベントなんてそんなに参加する方でもないし、クリスマスコンサートも去年、どんな人が演奏を行ったのか分からないくらい印象が薄かったのですが、今年はピアニカ前田が来るとあって我が家は大盛り上がり。しかもギターは石井マサユキ。誰がブッキングしたのだろうと思うくらい渋い人選。ふつうにちょっとした居酒屋で2000円くらいのチャージでも見に行きたいくらいです。
といっても、コンサートのほうは4時から子どもの部、7時からおとなの部と分かれていて、わたしが行ったのは子どもの部のみ。演奏される曲もジブリ映画の曲やクリスマスソングのみでしたが。子どもの前でもかなり慣れた感じで話しかけたり演奏したりしていて、年季を感じました。

ピアニカ前田と言えば、ダブマスターXとの「Tokyo Duv Storyby」とかソロの「PIANICAN SUMMER」「DOUBLE DREAM OF THE SUMMER」しか聴いたことがなかったので、改めてピアニカ前田のことを調べていたら、CDよりもピアニカ前田が昔、住んでいたという国立にあったというぶどう園が気になりだしてしまいました。

そのぶどう園は、戦後、「農業科学化研究所」という名目で澤登晴雄という人が土地を買い取り、ぶどうやキウイなど果樹の育種を行っていたとのこと。そこでの育種の研究や澤登氏の教えにより「十勝ワイン」などのいくつもの国産のワイナリーが誕生するなど国産ワインの愛好家にとってはわりと有名らしい。そんなところになんでピアニカ前田が住んでいたかというと、ぶどう園のなかに風呂なし共同トイレのプレハブのアパートが立ち並んでいて、主に音大生向けに貸していたらしいのです。

で、ちょっと調べただけで、そのアパートにはピアニカ前田のほかに小玉和文も住んでいて、松永孝義と小玉和文を結びつけたのがピアニカ前田だったという話や、忌野清志郎や当時RCサクセションのドラマーだった人が夜中に大騒ぎしていたという話など、おもしろいエピソードがどんどん出てくるんですよ。ほかにも遠藤ミチロウや梅津和時、工藤冬里といった人もすんでいたらしいし、特に後年有名なミュージシャンにならない人でも、四畳半の部屋にグランドピアノを置いてその下に寝ていた人がいたとか、夜になると部屋越しにセッションが行われるとか、もうて興味はつきません。当時のことをつづった本とか出てないのだろうか?こうなったらピアニカ前田に書いて欲しいくらいです。
ちなみに現在は澤登キウイ園として残っているよう。10月から11月の時期はキウイ狩りもできるみたいです。

いやー国立ってすごわ。なんたって山口瞳が、国立に引っ越してきた頃、まだよばいの風習があってびっくりした、みたいなこと書いてたくらいだしね(まぁ真偽は疑わしいけどね)。

そんなわけで今日のBGMはThe CHANGの「今日の雨はいい雨だ」。最近、月曜に雨降ること多いですね。