◆植田正治が生きてたらデジタルカメラについてなんて書くのだろう
植田正治が、1974年から1985年の間に写真雑誌などに発表した文章を、金子隆一が再構成した本。植田正治がこれまでに使ったカメラについてや撮影や月例、展覧会といった自身の体験談からオリジナルプリントや現像・引き伸ばしなど専門的なものまで、基本的には思いつくままの内容がつづられているのだと思う。でも写真雑誌に連載されていたものだけあって、読者であるアマチュア写真家を叱咤激励するような文章があったりして、意外と熱い。いやかなり熱い。各章の最後に金子隆一によって付記されているその文章と植田正治の作品の関わりやその文章が書かれた時代背景も、知識を補完する意味で興味深かったです。
そういえば最近モノクロフィルムをカメラに入れてないな。漣くんが動き回るようになってからあまり使わなくなってしまったオリンパスOM1にモノクロフィルムを入れてみますかね。
しかしコダックが経営破綻したのでフィルムは富士フィルムが頼みの綱になってしまった感じですね。わたしとしては子どもの写真を頻繁に撮ったりするのって小学校くらいまでと思っているので、あと10年くらいはちゃんとした形でフィルムが残ってほしいけれど、どうだろう?どちらかというとフィルムの維持よりも現像すお店・ラボの維持のほうが難しい気がします。デジタルでもプリントはし続けるかもしれないけど、現像はないですもんね。う~ん。
ポラロイド社が破たんしてからインポッシブルプロジェクトでフィルム開発・発売の様子を見ていると、会社がなくなるとその技術が受け継がれないまま会社だけでなくその技術も消えてしまうことがあるのだな、と思う。インポッシブルプロジェクトで工場や機械類をリースして元ポラロイドの熟練工と言われる人があらたにフィルムの開発をしているけれど、実際に発表される商品は、悪いけれど今のところポラロイドから出てたものにおよばない、と思う。
今後、どんな風にして使う人が満足するような製品になっていくのか分からないけれど、たぶん、それはこれまでポラロイドから出ていた製品とは違ったものになっていくだろう。逆に万が一、ポラロイドからフィルムを出そうとしてももう生産できるはずもないですよね。
もちろん、インスタントカメラは富士フィルムからも出ているし、デジカメが主流の今、ポラロイドフィルムの技術なんて、時代遅れの技術で気にしてる人も多くないのかもしれない。でもこれって単なるポラロイドフィルムユーザーのノスタルジー以上の意味合いがあるんじゃないかと思ってしまいます。
昔はフィルムさえ残ってれば大丈夫って考えてたものだけれど(何が大丈夫なのか?って気もするが)、もしかしたら50年後には、フォルムを持っててもフィルムをプリントする技術がなくなってしまってて、どうすることもできなくなっているのかもしれません。(まあ少なくともスキャンはできるだろうからそんなことはないのかな?)