「写真の秘密」-ロジェ・グルニエ-

◆一番初めにさわったカメラ
小さい頃、父親の眼鏡屋の一角に写真スタジオがあったということから始まり、ローライフレックスライカ、オリンパスなど愛用のカメラで、10代の頃から、戦時中、記者時代、作家になってから、と生涯を通じてスナップショットを撮り続けてきたグルニエが、自身と写真、カメラについてつづったエッセイ集。
自身の写真論を展開するというよりも、思い出やエピソードを2、3ページの短めな分量で書いてるものがほとんどだし、内容も学生の頃に友だちのお母さんのヌード写真をプリントするといった軽いものから、1944年のパリ蜂起のときに隠し撮りをしていてドイツ兵に射殺されそうになるといった興味深いものまで幅広く取り上げられているので読みやすいです。
こういうテーマが決まってて各章が短めな軽いタッチのエッセイ集っていいね。フィリップ・ドレルムの「ビールの最初の一口とその他のささやかな楽しみ」とかさ。で、ほんとはこういう本は、毎日寝る前に一章ずつ読んでいく、ってのが正しい読み方って気がします。

子どもの頃、うちに壊れた二眼レフのカメラがあって、よく上からのぞいて遊んでいたのが、わたしのカメラに関する一番古い記憶。横浜にいるときなので小学校に上がる前の話。二眼レフは子どもでも簡単にのぞけるし、壊れているとはいえシャッターは切れたので、楽しくてよく持ち歩いてました。わたしがいまだに古いフィルムカメラを使うのは、その記憶があるからなのかもしれません。
しかしそのカメラがちゃんと動いているときに、父親がどんな写真をとっていたのかは聞いたことがないんですよね。後年、父親が結婚する前、まだ山登りをしていたときに撮ったモノクロ写真が、物置の奥からたくさん出てきたことがあって、一時期額に入れて飾ったりしていたけれど、さすがに昔の話とはいえ二眼レフを持って山に登っていたとは考えられないし‥‥。まだ写真が残っているとは思えないけれど、今度、二宮に帰ったときにでも聞いてみるかな。
それから今度中古カメラ屋さんに行ったら、ジャンクだけど一応ファインダーがのぞける二眼レフのカメラを探してみようと思う。子どもたちのおもちゃになるかもしれないし、ならなかったとしても部屋に飾っておくだけでもいいしね。